※この作品はR-18です。

天下の大将軍になる!! ~夜の睦言~   作:oosima

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現実での職場の都合で以前からの投稿から結構だいぶ時間を空けてしまったことと、何というか書き進めれば書き進めるほど、本家からの主人公と原作でのもう一人の主人公の威厳が下がっているような書き方になってしまい申し訳ありません。
お詫びに少々ですが大人の読者様方向けの場面も載せています。



045 持ち主に貶められる威厳も有り

 ○秦始皇8年(紀元前239年) 黒羊争奪戦二日目夜 趙国西部 黒羊 秦軍(白漂軍)左軍後方浴池(天然温泉)○

 

「ほう…」

「あらま…」

「こいつあ…」

 

 その湯気佇む幻想的な光景の中でも、それとミスマッチしている見慣れぬ人物に白漂軍の女性達は息を飲んだり、頬を朱に染めたり、感心の声を上げたりしていた。

 

「…もう身を清めたので上がりますね。寝る前の仕事に戻ります…」

 

 彼女たちの視線を集めているのは、見慣れぬがこの場に絶妙に調和していて且つ静寂という言葉が似合う美女だった。

 女性にしては170センチ台の長躯で四肢は長いが、運動を嗜んでいるのか細く締まりつつも女性らしい凹凸ある肢体でそれを白絹のような肌で包んでおり、それは水滴る姿と合わさって健康的な色気を醸し出している。

 腰まで伸びた艶ある黒髪を生やしている頭には切れ長な双眸で深い琥珀色の瞳を備えていて秀麗とした美貌が付いている。

 彼女は手慣れた様子で湯を拭きおえると、数は多くないがここまで商売で付いてきている妓女の衣装に着替えて楽器を手にその場を後にした。

 

「妙に静かな娘だが…何処の誰だ?」

「さあ、後方よりかは少ないがここまで商機嗅いで来てる妓女の子かな?」

「最近は東方の国境を接する国で没落した商人が多いという話があるからな。気品があるのはそうしたところの元豪商の育ちからか…?」

 

 見慣れぬ妓女が来るのはさして珍しくないので、湯治場にいた女性達はさして気に掛けはしなかった。

 

「…ふう、久方ぶりにここの湯船に浸かろうと思っていたけどまさか秦側にも見つかっていたなんて…向こうが女性ばかりだったから自然に徹して誤魔化せたけど……」

 

 少々の後、白漂軍の女性達の意識を引いていたその美女はある洞窟の前で周囲をうかがうように首をキョロキョロと回していた。

 誰にもつけられていないことを確認すると、彼女は洞窟の中に姿をくらました。

 

「……ふう、相変わらずこの衣装になると胸辺りがキツク感じる……」

 

 少々して洞窟から出てきた者は、趙右軍の実質的な指揮官となっている西貴城主の姫昭だった。

 それから洞窟入り口の裏側の泉の畔に繋がれていた愛馬に乗りなおして自軍に戻ろうとした。

 

(…ばれてなさそうだったらあのまま妓女のふりをして情報を聞き出してもよかったかし――――)

「…でさーよー」

「まじかよー。うらやましーなー…」

(―――っ! 他の気配が…!)

 

 だが、そこで幾つかの茂みの向こう側より他者の声が響き、姫昭は即座に愛馬をしゃがませて口元にメっとして静かにさせて自らも茂みに隠れた。

 少々して向こうの茂みの隙間より、歩哨に出ていると思わしき秦兵の姿が幾つか見えてきた。

 

「…今頃は奥方の紅華さんと側室の王京さんとあそこでー…」

(!!)

 

 そして、現れた秦兵達がやや下卑た表情で口にしていたその内容と指さす方向に、姫昭は物音こそ立てなかったが双眸を大きく開かせた。

 

 

 

 

 

 ○趙国西部 黒羊 中央丘秦側付近 秦軍(白漂軍)中央軍本陣○

 

「…例の量産体制が整った射出兵器の威力が予想以上に凄いですね。樹海両側は有利に進んでいますし…中央丘の方も戦線こそ半々ですが敵軍に出血を強いて既に兵数差も逆転済みです…」

 

 夜も遅くなりだした時間帯にて、王京が白漂の天幕にて本日の秘書として書類の纏めを進めていた。

 

「そうだねー、このまま行ってくれれば楽なんだけどねー。そうは慶舎もさせには来ないだろうし―――」

「あ、白漂様、筆が止まってますよ」

「―――ねってはいはい」

「……全くもう…」

 

 その隣の机で同じく白漂も各隊からの報告書に目を通していたが、やはりいつも通りに面倒くさがっていて隙あらば楽しようとしており、王京は紅華と同様に彼の世話で苦労していた。

 

「…あーーーやっと終わったー。それじゃ―後はよろしくねーーーー…ぐう…」

「いや、すぐそこに寝台があるのに…ってもう寝ちゃってるわ…はああ」

 

 そして数十分後、白漂は最後の署名も済ませるとそれを除けないままで机上に頭から突っ伏して爆睡しだした。

 それを見た王京は夫の小さく開いた唇から漏れ出てくる唾で書類が汚れるのを防ぐため、溜息を吐きつつも細身に似合わぬ怪力で彼の身を持ちあげて寝台へ移し替える。

 

「…はーーー、すごく頼りにはなるけど嫌なことや面相臭いことは逃げ性だと紅華義姉様が言われてたけど…本当に私生活は世話が焼ける人…」

 

 どうにか寝台に仰向けで白漂を寝かし直すと、王京は夫の静かな寝息を立てる寝顔を注視し始める。

 外部とは遮られているので仮面を外して甲冑は寝巻の上に最低限しか付けてない白漂は、その整いつつも静かな武威を宿している面貌を晒していた。

 

(………こうして寝ているところを見ると…本当に綺麗な人だけどーそれに普通は似合わない子供っぽさも可愛い所に見せる人ねー…肌も触り心地がいい………し!?)

 

 その面貌から王京は細いなれど武人として収縮されて硬さもある指先で夫の肌を撫でていくが、それが生きるか死ぬかの戦場で無意識のうちに刺激されていた夫の愛欲を目覚めさせ、白漂の雄の象徴が寝巻の一角に大きな天幕を張り始めた。

 

「…こ、こういう所は子供じゃなくて大人だって思うわよね…………っ……」

 

 それに気づいて王京は羞恥で表情を斜めに背けつつも双眸はしっかと捉え、周囲に顔をキョロキョロと向けて他に人がいないのを確認すると、決心したようにゴクッと静かに息をのんだ。

 

「…あんまり溜めさせているとこの前の庶徐ちゃんみたいなことが起きないとは限らないし。それが他の人にいる所だとこの陣中の秩序的にまずいし…だったら若輩だけど妻の一人でもある私が寝ている間に静めて上げないとね……」

 

 王京は普段は屁理屈と断じるだろう言葉を連ねて自身も刺激されだした情欲を正当化すると、片手で自身のボトムと下穿きの帯を緩めて露出させて足の付け根の準備を始めつつ、もう片方の手で白漂の衣服の帯を解いてその男性の象徴を解放させ始めた。

 数十秒後、白漂の赤黒くも艶のある肉の大槍がぶるんと緩んだ下穿きを跳ねのけて大気にさらけ出され、それに王京は既に潤いを十分に帯びた自身の女陰を騎乗位の姿勢でそっと被せる。

 

「…それではあなた、行かせてもらいますよ―――」

「おい、それどころじゃないぞ」

「―――おっていいぃぃ!?」

 

 だが、王京の女陰が剣に被せられる鞘の如く夫の男根を包み込もうとしたその時、彼女の身がいつの間にか背後に現れた羌瘣に髪から引っ張り上げられて敢え無く中断となった。

 

「お前も寝たふりをしてないでさっさと起きろ」

「ぶぎぃ!?」

 

 そして、次に処分寸前の豚を見る屠殺人の双眸を浮かべた羌瘣は白漂の股間を結構な脚力で踏み付け、いつの間にか起きていた彼に豚のような悲鳴を上げさせた。

 

「…う、ううぅ…ぼ、僕…これでも一(・)応(・)君たちの上官なんだけど……!?」

「一応とは自覚があるんだな。それよりも二人とも注意しろ」

「え、注意って…?」

「詳しい場所はまだわからんが狙撃手がいるぞ」

「は、狙撃手って―――!?」

 

 痛む股間を涙目で擦っている白漂であったが、羌瘣のその言葉を聞いた直後に直感がざわめき、更に恥ずかしがって身を隠して天幕の隅に逃げ隠れている王京の背後の幕が強風で揺らめいて見えた背後の山の中腹に、一瞬だが月光の反射で煌めくも危険な凶刃の光を目にした。

 

「―――えって危ない!!」

「……え…!?」

 

 それに白漂は思考よりも反射で体が飛び出し、戸惑う王京に覆いかぶさるようにして彼女を押し倒した。

 

 

 

 

 

 ○秦国東北部 某中都市○

 

「…む?」

 

 秦国の宿場町の一つである中程度のある都市の旅館の一室にて、白漂の見送りを終えて、旅芸人の一団に扮して咸陽への帰り道の途中にある嬴政が寝台より怪訝な声を上げた。

 

「…? どうなされました陛下?」

 

 それに彼と同室で明日の準備をしていた扇琵が気付く。

 今回、彼女は嬴政と共に旅芸人の一人に扮して秘密視察に同行中の身であった。

 

「…いや、何だか古くからの友人の顔を先ほど一瞬思い浮かんだのだが…何故か同時に下肢の方から胸騒ぎに似た悪寒を感じてな…あ…」

 

 自身に顔を向けながら手を動かし続けている扇琵の怜悧で明朗な美貌に意識が覚醒していく嬴政であったが、その高まりに伴い下肢の繋ぎ目より湿り気を帯びた冷たさを覚えて今の自分達の状態を思い出す。

 

「…あ、夕刻に演奏を終えた後にここで高ぶり繋がって果てた後で…私の女陰に長く収められていたまま眠られていたので…私も少々前に起きて風呂も簡単に済ませたばかりの身です。茶を用意しますね」

 

 寝台に寝転んでいたままの嬴政の前で扇琵は茶の用意をし始める。

 扇琵の後姿に嬴政は頭に再び血が上る感覚とそれに対する戸惑いを覚えた。

 

「なあ琵…お前のその恰好……」

「……え…あーー…この格好は昼間に紫夏さんの一行に渡された西域から流れてきた最新の様式の舞妓の衣装だとか…。更に風呂から出た後の寝巻の下着がこれしかないって押し切られて…」

 

 嬴政の視線と言葉を受けて扇琵は今の自身の格好を思い出して、羞恥で身がモジモジとし始める。

 扇琵は半透明の薄絹の寝巻を纏っていたが、それが彼女のスレンダーグラマーな生来さに子供一人を生んだことからくるむっちりとした媚態が加わった肢体をより煽情的にしていた。

 更に薄絹の下には、金銀を繊細に加工した装身具で構成された露出度が高いビキニ衣装で、白漂前世で言うベリーダンサーでもかなり過激なものを形作っていた。

 

(…紫夏め……いつまでもこんな人をいじくる真似ばかり……!?)

 

 扇琵の媚態をいつまでも見たいという本能を抑え込もうとして視線を無理やりあらぬ方向に回し始めた嬴政だが、そこで彼は秦の上流社会で最近はやり始めてる硝子窓とカーテンの僅かな隙間から此度の張本人の盗み見ている姿を見てしまう。

 

(あ、見つかっちった。テヘペロ♪)

 

 嬴政と視線が合わさった直後、その張本人紫夏は少し舌を出したお茶目な顔でそそくさと姿を消した。

 それを見送った嬴政は納得のいかないという表情ながらも、音を殺して寝台より起き上がって戸締りをし直してカーテンや窓をしっかりと閉め直す。

 

「……あ、陛下起きられていたのですか。もう少しで出来ますのでお待ちくださいま―――!?」

 

 それが終わった直後の物音に扇琵は気付くが、振り向こうとしたところで彼女の身は背後から嬴政に抱き寄せられてしまった。

 

「…琵、その言葉からして…お前は俺がいなかった拡珉での公演でその恰好で踊っていたということだな。宮女でありながら王以外の殿方に肌を見せたと……?」

「―――あ…! で、でも…! その日の講演の予定表とこの衣装を配られたのが陛下が居られなかった時の公演の開始直前で断る余裕が無くて…あう!?」

 

 自身の女の証に優しくだがしっかと触れてきた男の感触に、扇琵は焦がれるような渇望を覚えつつも釈明しようとするが、そこで自身の体に焚きつけられただろう雄の証を白餅の如き尻に押し付けられて感じた熱と、振り向いた所で目にした嬴政の愛欲の熱で火照りつつも不承不承なジト目で遮られてしまう。

 

「…宮女の掟を破ったがまだ若いし王の子を産んだ身だ。行動で弁解する機会を紹介するだけだ…」

「…陛下、その言葉攻め…まるで深酔いして宮廷ごっこに興じだした田舎の年配の殿方みたいです」

「うぐ…」

「あ…❣」

 

 だが、そのジト目を添えて言い訳じみた嬴政の非難に、扇琵は欲情しつつも少し残念そうな人を目にしたやや哀れむ眼差しをうっかり返してしまい、それで胸に痛みを覚えた嬴政は身が横揺れして、その反動でしっとりと吸いつくような尻肉を這っていた亀頭はずれ、装身具ショーツの金製クロッチをずらし露わにした女陰に入り込んでしまう。

 嬴政の肉の穂先が潜った扇琵の肉門は、夕刻にて彼に抱かれていた名残で残っていた子種汁により潤いを保っていたままで、その影響からか肉襞も男を即座に求めだして絡みつくように亀頭を締め付けて揉み始めた。

 

「……これならここで止めてそのままにするのも一種の釈明になりそうだが……」

「っ❣❓ っっっ~~~~~~~…❣❣」

 

 その感触で亀頭から電流を流されて溶けていくような快楽に愛欲の渇望を覚えつつも嬴政は無理に作った笑みでそう言葉責めするが、自身の雌を再び暴かれた扇琵は羞恥と恥辱で戸惑いつつも無言で哀願するように首を横に振った。

 

「…なら宮女として釈明するがいい…」

「……はい、どうぞ…来てくださいませ…あっ❣❣」

 

 そして、嬴政はその子供一人生んだとは思えない細く引き締まった腰を抱き寄せ、扇琵は母である事を覚えさせる形良くもむっちりとした尻肉を押し付け、互いの性感の深淵へと食い込ませ合った。

 

 

 

 

 

 ○趙国西部 黒羊 秦軍(白漂軍)右軍影響圏内某集落○

 

 黒羊には一応は趙国に属しつつも、諸事情で縁遠い集落が幾つか存在している。

 現在、その一つの一番小さな集落にある私塾の前で子供たちによる人だかりが出来ていた。

 

「………どうですか、長老様…?」

 

 その子供たちの多くが落ち着いていて思慮深そうな顔で囲んでいるのが、身なりこそ貧しい方士の風体であるものの顔つきや落ち着いた眼差しには何処か高貴そうな色を浮かべている老齢の男性である。

 

「……うむ、息苦しくなってはおるが…命に別状は無さそうだのう…」

 

 男性が背を向けている私塾の寝室には、横たえられて苦しげな表情を浮かべている里了の姿が何故かあった。

 彼らの姿に里了は警戒を緩めていない表情でこうなるに至った経緯を思い返す。

 

(…ふう、まさか…あの趙将との戦いでここまで流されてしまったとはな…)

 

 昨晩、中央丘より右下の丘を偽装占拠しようとした劉冬を討つべく襲い掛かった里了であるが、向こう側の抵抗にあって深手を負わせたものの崖下に落馬させられて急流を流されたのち、意識を失っている間にこの集落に流れ着いてしまっていた。

 ちなみに、合戦より数か月前の調査にて身元を隠した調査隊に里了も加わっており、その時よりの付き合いで今は助けられて趙軍からも隠されている状態であった(というよりも占拠面積的には秦側になっているので、不利になってる趙側にはここまで来られる心配が基本なかったのもあるが)。

 

「皆、この秦人はわしが見張っておく。明日も早いからもう寝床に戻りなさい」

「「「「「はーーーい」」」」」

 

 その老人の言葉を受けて集落の子供達は素直に各々の家へ帰っていく。

 それを見送った後に、長老は部屋の奥で眠らせていた里了に向き直った。

 

「……ふう、初めて見た時も只者ではないと一目でわかったがのう…まさか、その若さであの虎狼の国の将校をしておる者だったとはのう…」

「…ありがとうございます。講英(こうえい)殿」

 

 警戒を忘れずにいつつも興味深そうな瞳で自身を見てくるその老人講英に、里了はまだ疲れが残る状態を布団より起こして謝意を示す。

 

「…ですがご老人。前々も秘かに気付いていた風にしていてやけにおとなしく帰した時といい…今回のこの対応は可笑しくありませんか?」

「…………」

 

 続けて里了が前回の密偵任務の時より抱いていた疑問を口にする。

 数か月前に、此度の黒羊攻略戦に備えて里了達はここら一帯の調査で出向いており、この集落も含めて一帯の各村落にも正体はばれないように接触していた。

 だが、その中でこの集落の講英は里了達の正体に気付きつつもそれには触れず、更には偶々来た趙軍の哨戒からも上手く匿うまでした。

 

「…別にそんな深い理由はござらぬ。ただ…昨今の情勢からしてここも秦の手が伸びてきそうなのは見えておったから…、趙が負けた時のための伝手も設けておこうと思っただけじゃ…」

「いや、それをこの場でそのような簡単に話すのは可笑しいです。それに…この辺りの住民は他の趙人とは違う感じがしますし…」

 

 その理由を講英は戦国ではさして珍しくないもので誤魔化そうとするも、里了はこの地の住民からの違和感にも触れて問い詰める。

 

「…趙人は同族同士の結びつきが強く余所者は容易に信を置かない気質だが…この辺りの趙人は同郷同士ではそれが顕著で且つ同じ趙人でも他の地域のものには余所余所しい。特に邯鄲辺りの者には嫌悪を隠そうとしても隠しきれていない視線すら向けている場合もあった……」

「…そこまで気付いておったか……」

 

 里了の問い詰めの内容に講英は目を細め、されども眼光を強めて語気にも重みが増していく。

 

「…特に貴方の場合は…趙と秦を両天秤に掛けつつもどこか趙の方には隔意が少なくともあるという感じだ。それはこの辺りの趙人のそれとは関係無いは無しだろう」

「………………そう多くない接触でそこまで気付いておったか…。これも遠い先祖からの縁かもしれぬな……」

 

 里了の虚言に誤魔化せそうにない眼光をしばし見やった後、講英老人は周囲に人の気配がないことを改めて確認してからゆっくりと口を開く。

 

「…お主の言う通り、この辺りの者達は同じ趙人ということにはなってても…邯鄲とは因縁がある間柄じゃ…」

 

 そう言葉を続けながら講英が窓を見やる。

 その方角はこの地で戦っている姫昭の故郷である西貴があるものであった。

 

「…その因縁であの子は…姫昭は兄である姫柏(きはく)を処刑され、更にその死肉を口にさせられた……」

「!?」

 

 そして、その続けられた内容の想像の埒外を行く内容に里了は絶句した。

 

「…あの事件の内容が余りにあれじゃったから箝口令が敷かれて揉み消されとるが…あの事件が無ければ…姫柏は趙の大将軍に加わっていたであろうな…」

 

 語りを続ける講英の目元に生じていた影がさらに深みを増していった。




次回は、こちらの時間軸における西貴や離眼など黒羊一帯の歴史に絡めて話を進めます。それに伴い、こちらのあの変態王は更に人格がまずいことになる可能性が大です。
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