※この作品はR-18です。

天下の大将軍になる!! ~夜の睦言~   作:oosima

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今回は遂に主人公の待ちに待っていたあの場面が登場します。
それと、今回再び出てくる例の子の色々な元ネタは、あの有名なFate二次創作ゲームに出てきた同音異字の名前のあの子です。


065 慶事と疑惑は表裏一体

 ○秦始皇8年(紀元前239年) 秦国東南部 国境近辺地帯 堅陽城○

 

 秦の南部は蜀の地に代表されるように深山の地が多い。

 そのため、同地を何本も流れる河川が重要な交通路となっており、その要所を守る堅城の一つとして堅陽城は存在していた。

 

「ギャハハハハハハハ! 山陽の黙っててやってるあれと函谷関での借りを纏めて返しに来たぞ山猿共ぉ!」

「左翼はもっと広がれ! 右翼は重装歩兵を前面に持ってこい!!」

 

 そこに向けて近づきつつある楚軍別動隊十万の中に、項翼と白麗の姿もあった。

 

「…ほーーー、向こうにも元気そうな若人がいるみたいじゃのー。そう思わんかー琉宗ー?」

 

 その様を堅陽の望楼より、特徴的な冠を被って茶を注いでいる男が懐かしそうな表情で見ていた。

 

「……めんどくさい」

 

 冠の男の問いかけに、所々で赤いメッシュが掛かっているような赤髪が混じる女性たる琉宗が気怠そうな言葉で答えた。

 だが、その身は車椅子からさび付きだした人形のように震え、やや片足の動きが鈍そうにしつつも、長いベルトが付いた巨大な車輪の如き刃を支えとして起き上がった。

 

 

 

 

 

 ○秦国東北部 黒羊五丘樹海地帯 中央丘本陣○

 

「あの楚が十万失う大敗をしたぁ!?」

「山陽攻略中にはそんな話聞いたことがないぞ!?」

「正反対の北のこちらはともかく咸陽でも聞かんなど!?」

「堅陽なんて要所とは言え辺境にそんな傑物が居るなど初めて聞いた!」

「その琉宗と言うのは何者なんだ!?」

 

 楚軍が堅陽に近づきつつあった頃、黒羊の白漂軍本陣は同地とその城主について騒然となっていた。

 

「け、馬鹿野郎共が辺境にこそ傑物が潜んでんだよ」

「馬呈、静かにせい」

 

 ちなみにその場にはまだ公式上は外様扱いだが現地の有力者と言うことで鋼仲達も軍議に参加していた。

 

「山陽攻略中に斉と楚が国境の鉱山地帯を巡って緊張が高まっていたからな。秦も山陽に集中したかったから戦勝は秘密にすることと秘かに金品を払うことで、面子にうるさい楚を大戦中は大人しくさせられたんだ」

「白漂将軍ー、どうやら堅陽側は城主琉宗とその副将が三万を率いて楚軍別動隊十万を山地戦で迎え撃つ構えのようです」

「それなら心配は無いな。二人が山間で押しとどめている間に堅陽にいる別の将達が楚の後背地と補給路を攪乱して全力を出せなくするようにするだろう。これでこっちは趙と匈奴に専念できる」

 

 それに対し白漂は堅陽については深く知っていて安心している様子で、蒙恬はそれが気に掛かった。

 

「その堅陽について詳しいですね。伝手があるのですか?」

「…あー、伝手があるというか…秦に来る前の…まだ国が残ってた頃の彼らに会って…世話になったことがあるからな。その時からの経歴故に咸陽の軍本部も実力は買っても忠義心は期待できないとして宣伝には力は入れてないけど…」

「?」

 

 だが、白漂の堅陽に対する評価に不安とは別の複雑な憂いが今度は浮かび上がり、それを蒙恬は増々訝しんだ

 

 

 

 

 

 ○秦国東北部 黒羊五丘樹海地帯付近野営地○

 

「…あ…はぁ………あぁぁ…❣」

 

 本陣での軍議より数日後、白漂は樹海周辺を哨戒する部隊の野営地に滞在していたが、そこにある本陣のゲルの中で杏橋が押し殺された嬌声を上げていた。

 

「…はあ、まさか出産したばかりの身で戦場まで戻れるなんて…妊娠中ずっと腕がなまらないように鍛えていたらしいけど…」

「…そうは言いましても…あの子の…頼のためとはいえ…ああ! あなたにここを埋めてもらえずにいて生じた飢えが予想以上で…ふあぁぁぁぁ…❣」

 

 子供一人生んだことにあるゆとりを得つつも、杏橋の戦と武で維持されている筋力を基調とするカズノコが、子を宿せぬ時期に入っているなど知らぬと言わんばかりに白漂の男根をキツク締め上げている。

 

「っっっ!!」

「ひっぐ…ううぅぅうぅぅうぅぅぅ…❣❣」

 

 その常人なら一分と持たずに精を絞られる肉襞を、白漂はその数十倍を愛欲を持って楽しんだのちに、自身の精気を白濁に変えて杏橋に子宮から意識を白く染め上げられる極みを味わわせた。

 

「……あ…か…くぅぅうぅ……❤️」

 

 自身の下腹部を膨らませる白濁の極みに脳髄を焼き溶かされる感覚を味わいながら、杏橋は白漂の手より自身の臀部を解放されると前のめりに寝台へ倒れた。

 

「あらあら…お姉さま方をあれだけ泣かせておいてこちらはまだ…チュ❤️」

「………っ…」

 

 既に幾度目の量とは思えぬ白濁を震える杏橋の秘所より垂れ流させた後も、少し下を向いているだけの白漂の男根に、譜孝が淫靡な笑みで躊躇いなくキスをした。

 

「…ふ、譜孝…まだ精を出されたばかりで過敏な殿方のあれにそのような…」

「ホーホー、これはこれはまた手ごわい後輩が出て来たなぁ」

 

 それを杏橋よりも先に抱かれていて、極みの余韻も退いて意識が戻っている王京と藍蘭は対照的な反応を見せていた。

 

「…最初の頃から積極的だったけど、今回は事情もあるから一段と強いね」

「ええ…はむむぅぅううぅ…ぷは…❤️ 側室とはいえ…夫である貴方様の名に傷を入れる訳にはいきませんから…チュルゥゥゥ…❣❣」

 

 小悪魔チックな微笑みで白漂に口淫を続ける譜孝だが、彼女が置かれそうになっている状況とそれが周りに与えている影響を考慮すれば情事は必須な行為であった。

 

「…来年の加冠に備えて…今のうちに貴方様の子をこの身に宿しておかないと…んんんん❣❣」

 

 白漂の男根を清めつつも再びそそり立たせると、座位で彼に跨って繋がる譜孝だが、二人の互いを見やる表情は淫靡な朱色に染まりつつも瞳には真剣な光が混じっていた。

 来年には嬴政が正式な秦王に即位するための加冠の儀が行われるのだが、その祭礼における物品担当の責任者の一人に譜孝が任じられたのである。

 当然、今現在の白漂の状況を考えれば譜孝は短くない期間で彼から離れざるを得ず、そうなる前に出来るだけ早く彼の子を宿さなくてはいけない身になった。

 中央への出発に近い時期に孕むと、DNA鑑定など無いこの時代では女性が夫より長く離れている間に妊娠したりすれば不義を疑われやすくなるためである。

 

(…あいつ、子供三人出来てるくせに飽きずに今晩もまたまぁ…)

 

 だが、如何に真面目な理由も含まれているとはいえ、基本は愛欲を嚙み締め合う情事なので前線ゆえにそれから遠ざかるものが多い周囲が見れば悶々とさせたり苛立たせる場合が多いのは変わりなく、現にゲルの隙間より盗み見ている羌瘣もその一人であった。

 そして、人間という動物が思考と身体が一致しない場合が多い原則に彼女が漏れる事は無かった。

 

(…ううぅ…またあいつらの色事に身が―――)

「…ん? 何か別にも(・)う(・)二(・)人(・)いるような…」

 

 羌瘣が自身の落ち着かなくなってモジモジとしだした足の付け根に衣服越しながら指を触れさせていたその時、隙間の向こうに見える白漂が自身の存在に気付き始めた。

 

(―――あってこんな時まで何故勘が鋭い…え、二人!? そ、そういわれれば確かにかなり薄くされてるけど他にも一人いるような…!?)

 

 その事に羌瘣はしかめっ面を浮かべると共に困惑するが、視線をキョロキョロ動かしていると直ぐに理由に行き着く。

 

(……え?)

(……あ…)

 

 自身とは別のゲルを覆う茂みの一角にて、同じく情事を盗み見てしまっている綴の姿を発見し、向こうもほぼ同時に自身の存在に気付いてしまったためだ。

 

「「……………………」」

 

 結局、二人は白漂ゲルの警備兵達に気付かれぬまま、夜の散策に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 ○秦国東北部 黒羊五丘樹海地帯 中央丘本陣○

 

「「「「「……………………」」」」」

 

 羌瘣と綴の微妙な接触より再び数日後、黒羊中央丘には同地域に駐留する秦軍の将校の大半、現地の有力者たちが集っており、全員が期待と高揚からくる焦れを滲ませた静寂とした雰囲気を漂わせていた。

 

「…お、おい…黒羊とその周辺の功に、現在の状況を考えりゃあむしろ遅い方だが…」

「…ああ、どうして例(・)の(・)毐(・)国(・)事(・)件(・)が起きてからで…未だその収束の気配が見えないこの状況でだな…だが、まぁ…」

 

 その中に遅れて到着した信が不審を隠せない表情を浮かべているが、同伴している蒙恬は同じ懸念を浮かべつつも素直に感嘆の意も滲みだしていた。

 二人も含んだ将校や有力者たちは樹海中央丘の麓の一角に設けられた仮の式場に集まっており、全員の意識がその奥に設けられた高台に集まっていた。

 

「…オッホン!」

「………」

 

 その高台にて咸陽から派遣された高官が大きく息を吐くと、白漂は静かに壇上へ上がって彼の間で片膝を付く。

 

「…それでは! 先の黒羊攻略及びに周辺地域調略による功と…その後の防衛及び統治安定化の功績を持って―――」

「「「「「!!!!!!!!!!」」」」」

「……………」

 

 そして、高官が白漂を見据えて彼に対し納刀したままの宝剣を見せて構えると、将校たちの緊張と期待が最高潮に達し、里甲ら少数の者達は複雑な表情を浮かべる。

 

「―――蒙武将軍及びに近日に任命されし騰将軍に続く…秦国三人目の大将軍に任命する!!」

「…謹んで拝命いたします」

「「「「「…ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」」」

 

 数秒の間を置いて、高官が言い放った宣言と宝剣の下賜を受けて白漂が放ったその答えに続き、式場に集うほぼ全員より大歓声が巻き起こった。

 

「…漂……が…」

「ああ、これで………」

「秦国…三人目の………」

「「「「「大将軍!!!!」」」」」

 

 付き合いが長く深い者達はその歓声には加わらず、けれどもより深い感慨を感じてこの決定を深く聞き入っていた。

 

「…続けて! 他に此度の黒羊遠征にて武功を上げた諸将の論功行賞も行う! 呼び上げ次第に壇上へ上がるように!」

「「「「「!!!!!」」」」」

 

 十数秒後、歓声が静まり始めたのを見計らった高官らの宣言で再び緊張と沈黙が諸将らに走る。

 

「まずは粛尤五千人将!」

「うぐ!」

 

 次に呼び上げられたその名に信が苦虫を噛んだ表情になる。

 

「粛尤五千人将は先の遠征にて火計と武勇を持って趙軍を大いに破り、更に此度の趙軍総大将慶舎を捕縛するという武功を上げた! これらの点からして此度の武功における次席は明白である! よって爵位を二階級昇進として領地を記述通りの拡張して相応の金を授与し、将軍へ任命するものとする!!」

「むぅ…!」

「妥当だな」

「だ、だけどなぁ…」

 

 粛尤が白漂軍における第四将(第一将が郭備で、続けて第二が紅武、第三には里甲と現在はなっている)となった事に、諸将からは様々な賛否両論が出る。

 

「…訳ありだというのは知ってるけど…予想外に静かだね…もっと不満が声に露わになると思ったけど…」

「…まあなぁ、言い方はすっげー腹立つのが多い野郎だが…戦は強ぇし適切だから助かってる奴も多いから実力は認められてる。ただまぁ、戦闘以外で主に受け持ってる仕事がなぁ…」

 

 その反応に蒙恬は意外だという表情を浮かべているが、それに対し信は忌避の色を隠し切れずにいるものの口元は歪めているままで強い反対の言葉は出さずにいた。

 

「次は郭巨丙!」

「うっしゃああ!」

「ぶーーーーーー!!?」

 

 だが、続いて指名された名とその者の気勢有る応答を聞くと信は盛大に唾を噴いて、勢いよく後頭部から倒れた。

 

「……を持って汝を四千人将に昇格し…」

「ちょっと待てごらー!? その楕円が今回何したってんだーーーー!?」

「いやねー、西貴を再制圧する際に邯鄲の高官やら上位貴族の役人を大勢生け捕りにするとかしたってー…」

 

 粛尤昇進の時には原作よりも大人の対応をどうにか取り繕っていた信だが、いざこざが多い同世代の昇進には一気に剥がれ、玲花はその沈下にいつもの苦労をすることとなった。

 

 

 

 

 

 ○秦国東北部 黒羊五丘樹海地帯 信隊駐屯地○

 

「…今回の論功行賞…妙におかしい…」

 

 論功行賞が行われた日中から時は過ぎ、暗くなった黒羊の樹海地帯を利用し、外部からは伺い辛いが内部はしっかりとしていて兵員の居住性も高い駐屯地の一つで、信が妙に真面目な表情を浮かべていた。

 

「何かしら? 似合わない顔して?」

「似合わない顔は余計だっつーのステラ。いやまー…今回の漂の昇格だが…妙な時期になったなーって…」

「まぁねぇ、今の王様と相国殿の不仲は公然の秘密だし…」

 

 今回の白漂の大将軍就任は身内を始めとして秦国中には慶事であった一方で、訳知りの面々には不可解な点があるものであった。

 その中で最大の要因は例の毐国成立である。

 

「…普通なら近場なのにどうして気付かなかったんだーって…今回の黒羊平定の功での昇進を邪魔してきそうなものなんだけど…来たのは予想外な返事だったし…」

 

 夜食の準備をしているステラも口にした通り、咸陽から相国派込みで送られてきた通達は意外なものであった。

 

『此度の毐国事件によって秦国東北部を中心に幾つかの地域で不穏が見られ、またこれに乗じて各国も蠢動を始めている。よって、此度の黒羊平定を鑑みて白漂将軍こそが東北部担当には適任だと判断した。よって、貴殿は大将軍に任命して東北部及び北部の指揮権を与える一方で、早急な安定化も命じる』

 

 白漂の武功と毐国で生じている混乱を鑑みれば普通過ぎる内容で、却って不気味さも感じさせるものであったのだ。

 

「…何を考えてるんだ呂不韋のやろ―――」

「二人とも―、早く来ないと宴会の食事が終わっちゃうけど―」

「―――おって何ぃ!?」

 

 信がその事で更に顔を顰めようとするも、ゲルのドアを開いて現れた玲花のその催促によって彼の意識は思考から食欲に引き戻された。

 

「…う…うぅぅぅぅぅ~~~~…つ…遂に若い頃の弟分だった漂がぁ大将軍にぃぃぃぃぃ……!!」

「うわ! 尾平が滝みたいに涙と鼻水垂れ流してやがる! 汚ねー!」

「兄貴さぁ感動するのはいいけど昔勝手に言ってた事を今も言うなよぉ」

「尾到が居なかったら尾平良くてとっくにクビになってたな」

 

 白漂の大将軍昇格を祝う宴会が黒羊樹海地帯各所に配置されている各隊によって既に開かれており、信達がいたゲルの外も同様であった。

 

「ぬおおおおお!? 肉とか結構食い進められてるじゃねえか! 何で呼ばなかったんだ玲花ぁ!?」

「何度も呼んでたのに全然反応しなかったじゃない。慣れない事はあまりするものじゃ…あーもうちゃんと二人の分は確保してあるから」

 

 既に空と化している大皿が幾つかあるのを見て慌てだした信に、玲花は料理を盛りつけたプレートを差し出して大人しくさせた。

 それへ即座に口を付けながら信は宴会へ加わった。

 

「…いやー、本当になー泥竜の噂を聞いた時でも信じられなかったのになー。本当に行くところまで行ったよな漂―」

「むが? 尾到?」

「ウチの兄貴なんざ村では可愛がってた昔の弟分が今では将軍で出来が悪い子分だったお前が今じゃー五千人将だって自慢してたぞ」

「誰が子分だぁあの出っ歯ぁぁぁぁ!!」

「のわー信!?」

「あ、兄貴ー!?」

 

 そのまま黒羊樹海地帯各所で発生している喧嘩が信によってまた一つ増やされた。

 

「のわー! 俺の肉が―!?」

「おい! あの馬鹿を抑えろー!」

「駄目だー! 他に十人くらい馬鹿がうつって暴れ出してるぞー!」

「…はあ、けれど…いつも真剣だと休める暇が無くなるし…息抜き出来る時はそうしておかないとね…」

 

 乱闘に拡大していく騒ぎを見て、ステラは呆れつつも表情も柔らかくなっていって、信と会話しながら作っていた献立を運んでいく。

 その後、黒羊平定戦後に続いていた樹海における平穏な夜の最後は賑やかに過ぎていった。




遂に白漂氏が大将軍になれました…が、その辺もやはり情勢的にきな臭い様子です…。
次回は原作を基本としつつも、最近出番が無かった子達も絡めて話を進めていきますが…もしかしたら原作にも無かった展開に入ったりするかもしれません。
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