晏嬰氏の方の彼の前世がどのようだったかはわかりませんが、私の方で描く彼のそれもまた中々に闇が…まあ、そこまで描かれるかは今後も連載が続くかどうかに関わっています。
それと某巨人戦争漫画由来のネタが一部使われています。
○秦始皇8年(紀元前239年) 秦国中央部 王都咸陽 西水園○
「……んく…目が覚めたか…まだ夜か…」
江殊幡が軍勢を引き連れて闇を駆け抜けていた頃、正(嬴政)は西水園の外れに位置する旅館の一室で目を覚ました。
彼は寝台には一時の眠りにつくまで愛を紡ぎ合った女性がいないのに気付き窓を見やると、深夜で他に人がいないのを見計らって水浴びをする一人の女性を見つけた。
「…琵…」
「…あ、正(嬴政)様…」
昨夜も情愛を通じ合った殿方があられもない姿で背後に現れると、扇琵は我ながら今更だと感じつつも身の大事な場所を手で隠しつつ彼を押す形で物陰に隠れる。
「正体を隠しているといっても玉体をそのように軽々と衆目に付かせるような真似はおよしください」
「大丈夫だ。気配しか感じられないが…信頼を置ける護衛が五人で周りを見張ってくれているからな」
(…この方…やっぱり神経図太いというか良い根性してるというか…やっぱり性癖が特殊なんじゃないかしら…? 人が見ているのにここはもう既にこんなになってるなんて……)
既に正(嬴政)の男根は雄々しく隆起して、(赤面しつつも微妙な表情を浮かべている)扇琵の豊満でありつつも美麗な丸みを保っている尻肉に偶然ながらも挟まれてシュッシュと嬉し気に揺れて擦っていた。
但し、扇琵の尻肉も自身を温める男根の熱と硬さをより求めてフルフルと動いており、彼女自身も気付いてはいたがそれを止めようとはしていなかった。
それに応じて扇琵の秘裂で水気とは別の潤いを生じ始める。
正(嬴政)もそれに気づいたらしく、扇琵の唇を自身のそれで塞いで声を上げづらくすると、彼女の尻肉を掴んでより男根との密着度を高めてより早く自分達の肌を擦れ合わせ始めた。
「…んく…む…お前の身は…中だけじゃなく肌も男を溺れさせるものがあるな…」
「ちゅうぅうぅぅぅ…うぅ… 正(嬴政)様のこれも…蜜蜂を誘惑して逃さない花のような…魔性の魅力がありま…すうぅぅぅぅ❤」
両者は数分間、その状態で互いの身体を擦らせ続けて水面を揺らし続けるが、生物としての本能とか身の飢えが限界に達そうとしたところで、新たな足音が近づきつつあるのに扇琵は気付く。
「せ、正(嬴政)様ぁ! も、もう直にぃ人が来ますのでぇ…❣」
「そうか…じゃあ、最後はお前の一番好きなところに…っ!」
正(嬴政)は扇琵の並の男根なら餅が混ざり合うような吸い付きと柔らかさを持つ尻肉を惜しみつつも、それを嬲り続けた事で既に焦らされた形で男を求めて飢えた口を開く秘裂へグニュッと滑り込むように捻じ込んだ。
「んんんんん~~~~~~❣❣」
「っっっ!!」
幾度となく交わってきた二人の肢体は一瞬で最奥まで繋がり、弾けるような子種と潮の噴射のように主が混ざり合いながら天高く舞い上がるような極みへと突き上げた。
○秦国東北部 対趙国境付近 新規某宿場町○
「あー、今日も回鍋肉うめー」
嬴政と扇琵の水辺での情事の一晩より次の日、西録の近くに設けられた秦人移住者による宿場町で、同地に駐屯している信達が昼食を取っていた。
「そう言えばこの前に漂を本陣の寝所で暗殺しようとしてたっつー奴はどうなったんだ?」
「近場に紅華達がいたからあっさり取り押さえられて、今では……
そこでは近況をネタに雑談が生じていたが、同席していた河了貂が躊躇いがちにそう答えると何名かの顔が引きつりだす。
「(…あの生物狂共か…)じゃー半日かかれば根性のあるやつだな…」
「ん? 何々? 嫌に暗い雰囲気があるけど…その西遼って何?」
それに普段は白漂軍将兵と接点があまり無い蒙恬が怪訝な顔を浮かべる。
「元々は…夏王朝よりもさらに以前…それも神話と同じくらいの時代…今とは違って湖沼地帯だったという燕の遼河流域一帯に住んでいた異民族だ。それが乾燥化に伴い…西側の森林湖沼地帯に移住したという。一説ではそことは別に南下したのが華夏人の祖先になったらしい」
「…何だかまた濃い面子がいそうだねー…」
「それである裏仕事の匠でもある」
「確か火器兵器とそれに使用する油の調合が特異な異民族構成の隊があったね。それかな?」
「それは粛尤が率いる赤狼だ。あいつらは火と油の匠だが西遼は別だ。まー時々仕事が被る時があるが…」
「え? どういう意味…? あ……」
場にいる面子の多くに忌避の色が強まってくるのを見て、蒙恬もまた普段のちゃらけた軽い空気ではなく冷徹な表情になって何かを察した風になる。
「まー表向きの仕事は軍用の牛馬等と言った生物の管理と飼育と言うことになってるけどな。おかげで馬の調子も前より格段に良くなってるのは良いぜ」
それに対し、この中でも軽い雰囲気を崩さない、目つきが鋭く右頬に横傷がある青年が補足してくる。
嘗て麃公軍所属で、現在は白漂軍移籍に伴い信隊に移動した我呂だ。
その我呂の終始軽いままの口調はさして珍しくない内容を吐いたが、蒙恬にはそれが却って不気味さを覚えさせた。
○秦国東北部 対趙国境付近 白漂軍本軍駐屯地○
蒙恬がこの時代の闇を感じていた頃、此度のその対象である白漂軍は本日も軍務に明け暮れていた。
匈奴衰退直後ほどではないが、異民族の流出入が激しい秦北部を管轄とする軍だけあって、そこは多民族が多く見られる異質な軍で各所を胡語が飛び回っていた。
「ギャーギャー!」
「クエークエー!」
「ギチギチギチ!」
その中でも深い森の中に駐屯地を構え、そこに設けられた檻や籠の中に様々な生物を飼育している隊が存在していた。
他にも、車に乗せられた植木鉢の状態で栽培されている珍妙な植物、中に何が潜んでいるかわからない液体で満たされた大甕に桶等も存在している。
そこが、蒙恬が白漂軍の面子より聞いた西遼の陣地であった。
彼らは、白漂の前世にて表向きはある戦国時代初期島国を描いた物語に出てくる山民族ジバシリと中華外殻地の異民族、彼が前世に生きていた時代の迷彩服を混ぜ合わせたような恰好をしており、僅かに見える肌は北国特有の白い素肌が見えていた。
「い、異様な隊が多い軍ではあるが…ここは今まで見て来た隊の中で一番じゃな…」
「中華のみならず外の異世界より集めた希少な動植物を栽培飼育して使役しているようです。こことは別の施設には蜀南や西域等からのものも管理しているとか…」
「そ、そのような所からも……!?」
その中を所用で楽華隊副長である胡漸と同隊の若手将校である陸仙が歩いていたが、そこで前者の鼓膜に劈くような震えが走る。
「ん? 副長?」
「いや…今さっき…
「それはまーこの時代なら何処の軍も大なり小なりやっていますよ。まーウチは若がそういうの好きじゃない性格だから捕まえた重要な捕虜は専門の部署に渡したりはしていますけど…」
「…まあ、このご時世じゃしな…(いや、それにしても明らかに今まで耳にしてきたそれらとはけた違いのものと言うような…)」
胡漸はそのまま目的地を目指して足早にその陣地を抜けていく。
ちなみに、胡漸が聞いた悲鳴がしてきた方角は森の更なる奥にあり、そこには洞窟があったか、暗闇より短い間隔で小さくもすさまじい悲鳴が立ち上ってきていた。
○秦国東北部 対趙国境付近 新規某宿場町○
「……それにしても意外だね。ここまで大きくなると持たない軍の方が珍しいけど…漂が自軍にそういう部署を設けていたなんて…」
一方、胡漸達の直属の上司である蒙恬はまだ宿場町で料理と雑談を楽しんでいる最中であったが、意外そうな顔つきに変わっていた。
「言っとくけど誰彼構わずしてるってわけじゃねーぞ俺たちは…」
「いやねえ、漂とて必要なのは頭ではわかるだろうけど、それまでする部署を自分の傘下に持っていたのは意外だったなーって…」
「まー、あいつは尋問の技術を色々と身に付けてそれを教え込んでもいるから、そこまでやるのは珍しいけどな…まあ、見たのは一度だけだが…その分…マジでキレさせる連中には情け容赦ない一面も見せるけど…」
同席していた客人達も多くが帰っていっており、彼の話の相手を務めているのは主に信となっていたが、その表情には忌避を感じさせる珍しい表情を浮かべていた。
「…その顔、そう言うところ見たようだね」
「まーなー、特にまだ泥竜でこっちがガキだった頃に会った…流れ者のそいつ…漂にしかわからねえ異人の言葉しか話せなかった奴だったんだが…、近い齢のガキなのが信じられない位に同情の余地がない屑だったけどよ…。まー漂自体は未遂で済んだが…流石にあの最後は間抜けによる自業自得っつっても真面に見れなかったよ…」
そして、その時の信は肌寒そうに自らの皮膚を撫でていた。
○秦国東北部 対趙国境付近 白漂軍本軍駐屯地 西遼区画○
西遼族が今現在野営地に組み込んでいるその洞窟は、組み立て式の牢などを用いて牢獄としても機能していた。
「………うぅ…ぐぅ………」
そこの牢の一つに、外傷こそないものの異様に痩せこけて生気が大幅に薄れた身を鎖で縛られていた鵬の姿があった。
『まだ生きているな』
『朝の投薬で内臓が生きたまま捩じり潰されるかの如き激痛を嘔吐と共に味わわせたが…まだ初期段階とはいえ小娘にしては中々持つ…』
その牢獄で警備と捕虜の監視に当たっているのが西遼族の者達。
この時代は、当然の如く白漂が生きていただろう前世の現代とは違って捕虜の保護を定めた国際法は無く、人権に対する意識も極めて低い。
ましてや、一方面軍司令官にまでなっている白漂の暗殺を目論んだとなれば、当然その背後関係の調査が行われるのが当然であり、尋問や拷問が行われるのが普通であった(そうした時代で、残忍と言う評判が国内外に広まっている桓騎の過剰さがわかる)。
(…まだよ…まだ…死なない…何としても…ここから逃げて……!)
その状況下で鵬が憔悴で朦朧とした意識ながら、自分達が隠れ住んでいた隠里を滅ぼした相手と目している白漂への憎悪で、まだ捕えられたばかりの身ながらも拷問に耐えていた。
人間とは、何らかの強い感情に裏打ちされた意志の支えがあれば苦痛に対しては免疫を発揮出来るものなのだ。
「い、いてえ! も、もういいだろ! 全部話したんだからさっさと自由にしてくれよ!」
(…ん…? この声…は…?)
だが、逆に言えば人間は己の行動に意味が無いと感じれば意志の力も弱まるものであり、此度もその足音が余裕のない男の声を添えて近づいて来た。
「…まさか他の嘔吐薬程度で悶絶している連中の姿を見るだけでここまで吐くとは…例の白漂将軍暗殺未遂で捕まってまだ一回目とはいえ吐かずにいる娘もいるのにな…」
「あ、あの馬鹿は関係ねえだろ! かーーー! 全く俺が言った事で全部なのによー!!」
(!!?)
牢屋の前をカーテンが遮っているので見えはしないが、そのわめき散らすような声と話されている内容が鼓膜を震わすたびに、鵬の意識は鮮明となっていくが、彼女の抵抗力は反比例で闇へと飲まれていく。
「まだもっと手の込んだ責めに耐えている連中もいるのに…情けない奴…」
「し、知るかよ! 元々軍に入ったのも食うためだ! あの馬鹿女と同じく今回の策に加わったのも報酬が良かったからだよ。それが貰えなくなったってんならどうでもいいんだよ……」
「そうはいかん。まだお前の話した情報が嘘である可能性もあるからな。白漂将軍を暗殺しようとしたあの女も吐かせて比較し検証しなければいかん。もしも話に食い違いがあればお前もあの女も再度拷問だ」
「そ、そんな…いててててて!!」
そのままわめく男とそれを連行している兵達の影は、鵬の視界から遠のいて消える。
それから少々して、カーテンをかき分けて西遼の拷問官達が各種の薬物や道具に食事等を持って現れた。
「……待たせたな。先ずは食事だ。口を大きく開け―――」
「………っ…×××……で…」
「―――っ…!?」
そして、拷問官が鵬に拷問を受けるのに必要な体力を取らせるべく無理やり口を明けようとしたその時、そこから小さな声が漏れ始めた。
○秦国東北部 対趙国境付近 西録 迎賓館○
「……それで、この水路の整備に付いてだけど…」
「失礼します。昨日までの重要な捕虜たちの供述書についてお話が」
自軍駐屯地の一角におけるその捕虜の取り調べより次の日にて、白漂は姫昭と二人で現地整備について話を進めていたが、そこで杏橋が現れた。
「…白漂将軍、その書類は」
「ああ、こちらで捕らえた捕虜達から得た情報の纏め書きだ。褒められない手法が多く含まれるが赤狼や西遼はこの手でも優れている」
「……ええ、それはそうですね…」
杏橋が現れた理由とそれに対しいつも通りな白漂の様子に、姫昭は始め目を細めるが自身とて代わりに側近達がそういう裏仕事も秘かに請け負っていた経験が有るので非難は発さなかった。
「…そういう顔出来ている時点でまだ君は擦れていないね。それじゃーこれまでの協力へのお礼の一端にあんま精神削らずに済む尋問方法を教えよう」
「……? どのようなものですか?」
だが、その反応は却って白漂の好意を得たらしく、彼が見せた新たな反応に姫昭は断るとかえって不機嫌にさせると悟って素直にそのお礼とやらを聞くことにした。
「まずは一人目を軽く尋問して動揺を生じさせる。それからー…………」
白漂の言が進むにつれて、姫昭の顔は引きつり度合いを大きく進めて嫌な思い出の数々が脳裏に蘇っての陰鬱としたものとなる。
「……確かに…それなら…度を超す前に口を割りやすくなるでしょうが……」
「拷問にそのまま強めていくよりかは良いと思うけど?」
「……それは…そうですが………」
一方、杏橋はそうして話が深まる前に空気を読んで夫達がいる部屋を後にしていた。
(……幼少期から得体の知れない方も混じってはいますが…本当に有益な師と巡り合いやすい人ですね漂将軍は…。それにしても…先の暗殺事件の実行犯は情報を吐かせ終えた後は隙を突かれて脱走された風に装って逃がした方が良いというという里甲ご老人の要請…。それも何故か漂将軍にはただ脱走されたとだけ伝えてほしいとは…何をお考えで……?)
その一方で、廊下を静かに歩いて揺れる銀髪に似合う静かな西洋人形の如き美貌の裏側で、杏橋の思考は高速で回転し続けていた。
今回はあまり詳細には描かれませんでしたが、何時の時代も人の世は明暗が一体になっているということの一端を盛り込んだつもりです。
そして、最近は出番が少ないあのお爺さんキャラが何かを秘かに進めているようですが、その内容は次回からの予定です。