※この作品はR-18です。

天下の大将軍になる!! ~夜の睦言~   作:oosima

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今回は他作品系ネタから始まります。
元ネタはかなり気分が悪くなる展開が多いですので、この世界で彼らがどうなる事やら…。


080 転落が露わになるのは大抵突然である

 ○20××年某日 某弧状列島 某都市廃屋○

 

「…ハア…! ハア…ハアァ!」

 

 白漂も加わっている物語が紡がれる主な舞台とは別の時代の別の国にて、一人の幼い少年が廃屋の地下にある一室で荒げた息を上げていた。

 色素が薄い髪を生やした下劣な雰囲気をした少年が下半身を露出させ、そこを拙く乱雑な動きで振り動かしている。

 

「……あ…か…っ…」

 

 その少年の下には一人の少女が虚ろな双眸を浮かべており、そこからは乾いた涙の跡が目立っていた。

 

「オイオイ、試したいプロレス技があるんだからあんまやりすぎんなよ」

「……す、すげえなぁ…こ、こんなこと思いつくなんて…」

 

 近くで他より大柄な身の少年が待ち遠しそうに指を鳴らしており、その影より卑屈な雰囲気が目立つ少年が畏敬を込めた表情を浮かべていた。

 

「ね、ねえ…こ、これからどんなことするの……?」

「…………………」

 

 続けて先に姿を現した少年達と比べて普通な雰囲気が目立つ少年が不慣れな表情で口を開くが、その対象である端正な顔立ちだが瞳はその見た目の幼さからは想像できない酷薄な色が浮かぶ少年が適当な石を手に持って少女に近づいていた。

 

「…そうだね…。今日は…指全部が折れるにはどれくらい時間がかかるかみたいな実験をしようか……」

 

 その少年の手に握られた石は血糊が付いており、彼が酷薄な双眸で見下ろしている少女は衣服が破かれていて、露わになっている素肌には無数の青あざや出血が見られている。

 そして、少女と少年たちの共通点としては、彼らの年齢がまだ十代に達して幾ばくも立ってない幼さが目立つ存在であったことだ。

 だが、端正な顔立ちの少年はまるで実験動物を見るかのような眼差しで少女に近づいて石をゆっくりとだが振りかぶる。

 

「や……めて……苦しい…い、痛い………」

 

 少女はこれから行われる行為に気付いて哀願を乾いた声で発するが、端正な少年はそれに薄っすらと冷たい笑みで返す。

 

「嫌だよ。だって…もの壊す怪獣のようにした方が楽しいんだもの―――」

 

 だが、端正な顔の少年が少女の指目掛けて石を振り下ろそうとしたその時、それは少女の身に叩きつけられる直前で起きた。

 

「そうか、じゃあ…最後は怪獣みたいにボコボコにされるのも好きだってことか」

 

 そのまるでノイズがかかったような新たな声が発せられたと同時に、端正な顔の少年が持っていた石が蹴り飛ばされた。

 

「―――お…? だ、誰? 邪魔をしたのはいった…!?」

 

 良い所で邪魔をされた端正な顔の少年が、背後に迫られるまで気付かなかった新たな人の気配に、記憶にある限り初めて不気味さと恐怖と言う感情を覚えつつ、それまでそれらを感じた事のない経験の無さから気付かぬまま少々苛立った声を上げようとしたその直後、何かが叩きつけられて拉げて折れる音が部屋を響いた。

 

「……………何だ。嬉しすぎて言葉に出来ないのか?」

 

 その音の正体は、部屋に現れたフード付きパーカーと適当なお面で姿を隠した少年が、端正な顔の少年を髪から掴んでコンクリートの床に鼻っ面から叩きつけ、鼻と顎が砕けて歯が飛び散った事による破壊音だった。

 

「……え…?」

「な、何が…!?」

「だ、誰だお前!?」

「きょ!? きょおぉぉぉぉちゃあああああああああばぁ!?」

 

 リーダー格らしいその端正な顔立ちの少年を突然襲った惨状に、取り巻きの4人の少年たちは困惑と驚愕の声を上げるが、それは瞬く間に先ほどと同じ暴行による殴打音とそれに晒された取り巻き達の悲鳴に変えられていった。

 

『…ここ三カ月にわたって○○市で起きていた交通事故及びに電車に脱線事故、火災などで驚くべき事態が起きました。警察は一週間前に別件の○○市××小学校に通う女子児童に対する婦女暴行事件で逮捕された男子児童五名を、それらの諸事件の容疑者としても…』

 

 そうした廃屋での一件より一週間後、そこに囚われていた少女は病院にある病床からテレビであるニュースを見ていた。

 

「…何というか…確かに危ない空気を放ってた連中だったけど…まさかね…」

「…うん…今でも…私も信じられない……」

 

 その少女の隣には、彼女のクラスメートである整った顔立ちだが非凡の域には達しない見た感じなら普通の少年が座っており、彼女のために持ってきた見舞いの品であるリンゴの皮を剝いている最中だった。

 少年がそうしている間もニュースは続いていく。

 

『…それにしてもー、色々と衝撃的な事件ですねー。被害者が女子小学生というのもショックですが、まさかそれを誘拐して暴行していたのが同じ小学生だったなんて…』

『更にー匿名で複数の警察署等に届けられていたというUSB等に収まってた映像によれば、関与がわかっているだけでも人を車道に付き飛ばしたり、高所から突き落として下手すれば死者が出かねない行為を複数行っていたと言いますからね。更にまだ関係が捜査中の火災や交通事故に至っては死者まで出ているものまでありますし…』

『発見されたときは瓦礫の下敷きになってて重傷の状態だったらしいですが…不謹慎ですが…』

『例の少年法改正後で初の凶悪少年犯罪と言うことですが、量刑はどうなるのでしょうかね?』

『死刑は対象外となりますが、ここまで罪状が明らかとなると執行猶予はほぼ確実にないでしょう。それから…』

『被害者の少女曰く、加害者少年達より自分を救出したという謎の人物ですね。背丈からして同年代らしいですが…警察もこの人物については調査中ですが未だに…』

 

 その間に少年はリンゴの皮を剥き終わり、ナイフをふき取ると椅子から身を起こした。

 

「……じゃあ、今日はこの辺で次は学校で会おうね」

「うん、そっちも体に気を付けてね…」

 

 少年は少女に別れの挨拶を済ませると病室を後にする。

 それから、少年は病院の裏庭を訪れてある人物を尋ねた。

 

「……久しぶり、爺ちゃん…」

「ああ、お前さんも大事が無くてよかったのぅ」

 

 待っていたのは少年の祖父で、片目付近に古傷の跡が見えており、見た目は高齢で細身だが身は外見の年齢のわりに壮健な状態で、何より一目で何か底知れない威圧感を感じ取れる者には感じさせる特異な老人だった。

 二人は周囲に人の気配が無いのを確認すると、同じベンチに座って病院の購買で買った菓子を口に運びながら雑談を始める。

 

「もう何年か前…お前さんがチンピラに絡まれてボコられとったから助けた際に見られた技を教えてくれと言われて教えた技が…まさか役に立つ日が来るとはのう。出来れば使わずに済んで欲しかったやけどなぁ…」

「思ってみればさぁ、父さん母さんが亡くなる前から秘密で通って会い続けて頼み込んでたら爺ちゃんが教える条件として出した無茶な回数の筋トレ…諦めさせるつもりで出したでしょ」

「当然じゃろ、儂の技は儂が若かったあの時代でこことは真逆のあの場所で勝って生き残るために身に付けさせられて磨かされてきた技や。あれくらいこなせん奴に教えたら碌な事にはならんやろ。じゃが…まあ、まさかお前さんが食いついてくるとは思わなかったやけどなぁ…だが、お前さんの齢であそこまではやりすぎやろ」

「いや、だから僕はあそこまではしてないよ…(この何カ月物間、爺ちゃんから習った隠密技術で追尾してたあいつらがあの漫画みたいにマジでヤバそうなことしたら陰ながら止めたり、あの場で全員手足の何本かの骨と鼻はへし折ったけど…まあ、一番ヤバいあいつが背後から包丁で脇腹刺そうとしてきたから避けたらそいつが壁にぶち当たって、その衝撃で脆くなっていた壁と天井が崩れた時は驚いたけど。あの子を抱きかかえて間一髪で避けれたのは良かった…。まさか既に死人が出るものまでやってたなんてな…。それにしても…あいつらを尾行していた時に時折り感じていた何処からか盗み見ている様な気配は何だったんだろう…? あの気配を放ってた誰かがあいつらの所業を隠し撮りして告発したのか…?)」

 

 その会話の終わりに、祖父は静かなままながら眼光を深く強めた双眸で孫である少年を見定める眼差しでこう問いかける。

 

「…それでのう、お前さんはこれから先…どうするつもりや。もう…自分で磨いた技で組み合った相手を壊す感覚を覚えた以上は…」

 

 それに、少年はしばし黙りこくって深く悩んだ表情を浮かべ、やがて顔を上げるとゆっくりと口を再び開く。

 

「…そうだね。僕は……」

 

 そこで、少年を照らす日の光が強まって彼の視界は白く染まっていった。

 

 

 

 

 

 ○秦始皇8年(紀元前239年) 秦国東部 対魏国境地帯 著雍 著雍大要塞○

 

「…兄さ…隊長! もうそろそろ敵がこちらに来ます!」

 

 時と場所は白漂達が生きる時代の中華に戻り、そこにある最前線の一角に位置する森の中で誰かが仮眠から意識を呼び戻されていた。

 初老と思わしき老兵将校に妙な呼び間違いをされたのは、数時間前まで要塞内部の託児所で働いていた青年の漆間であった。

 

「あー、ありがとう漆翔」

 

 漆間は自分達が潜む茂みに覆われた丘陵より、下の窪地状の道を通って撤退していっている魏軍の部隊を見やると、闇夜に溶けるようにしてその場から姿を消した。

 

「…くそ! 玉鳳に黄隼め! 秦は若手まで層が厚すぎる!」

「おい! あまり大きな声を出すな! 気付かれてここで追い打ちでもされると意味が無くなるぞ!」

 

 一方、敗走中の魏軍はほとんどのものは声こそ押し殺しつつも、時折苛立ち紛れの捨て台詞を吐くものがいる事からもわかるように、連続に渡る奪還戦の敗北に焦燥を募らせていっていた。

 

「落ち着いてください! 今は今回の戦で得た情報を呉鳳明様に届ける事を優先しましょ…!?」

 

 だが、その中で冷静さを比較的保っていた魏軍の副長の首が音もなく胴から離れ、暗闇の中で周りに赤い噴水を浴びせかけた。

 

「な、何者だぁ!?」

「ま、まさか…“影豹”の連中か…ああ!?」

 

 次々と胴から首が離れていく同僚らの姿に、高位の魏兵は恐慌を起こす寸前まで来るが、その途端に彼は縄に掛けられた首で樹上高くまで吊り上げられた。

 

 

 

 

 

 ○秦国東北部 対趙国境付近 西録付近 某秘境○

 

「「………………………」」

 

 著雍で魏軍をまたしても敗報が襲おうとしていたその時、対趙最前線の一角に位置する秘境にある池のほとりで、白漂と姫昭が非常に気まずそうな表情で俯きながらも正座で対峙していた。

 現在、二人は数時間前に岩場を進んでいた際に足を滑らせた弾みであろうことが男女の交わりに至り、その後に白漂が意識を失ったのを見計らって姫昭がほぼわるのりと欲情で彼に逆睡姦を仕掛けた後の熱も冷め、今や賢者タイムを通り越して共通して地下にまで掘り下がる勢いで気分が落ち込んでいた。

 

「……え、えーーーッと…姫昭…いったい…どうしてあんな事になってた…!?」

「っ!? そ、それは……!!」

 

 目が覚めてから小1時間に渡る沈黙の末、視線を脇に逸らしながら白漂が苦しそうながらも口を開くと、姫昭もビクッと震えながらもおずおずと口が開いた。

 

「…何というか…あの岩の隙間に足を滑らせて君と共に落ちて…そこでかなり際どい密着をしたから…君が岸壁をよじ登って脱出して身を離そうとしたものの、それも滑って受け止めた拍子に頭を打って意識を失ったところまでは憶えてるんだけど…?」

「!!!!!!!???」

 

 白漂が記憶を必死に引き出していくと、姫昭は自身のこれまでの過失を思い出して声にこそならない悲鳴を上げて頭の中が高速でぐるぐると言い訳やら弁解やらの材料が駆け巡っていく。

 

(ま、まずい…まさか落ちたはずみで妻子のある人と繋がってしまい! 更に意識が無かったのを良いことにそのまま交わり続けていただなんて言えない! な、何とかして上手く誤魔化さないと…!!)

 

 数十秒に渡る沈黙と思考の回転の果てに、姫昭は普段の自分なら絶対にしない渾身の言い訳を放ってしまう。

 

「そ、それは白漂様が言われたからじゃないですか!!」

「………え…??」

「あ、あの時…媚薬紛いの茸で意識が朦朧としていたせいもありますけど…岩場が崩れてどうにか脱出できた直後に…今回に西録の不祥事を含めて急に責められてきて…それで私が窮してどうすればいいかと尋ねたら…その…体で支払えと言い出して…それで私の身を無理やり手籠めにしようとしていた最中にまた眠り出して………!!」

「!!??」

「………あ…」

 

 それは完全に今回の痴態の責任を全て白漂に押し付けるもので、浴びせられた彼は大きく表情を引きつらせ、それを目にした姫昭も我に返って内心でだらだらと汗を流し始めてしまう。

 

(…な、何を言ってるの私ぃぃぃぃぃぃぃぃ!? 幾ら意識曖昧だったからってこんな子供みたいな責任転嫁が通じるわけないじゃないのぉおおおおお―――)

「え……えーーーっと…姫昭…僕は…君にどう責任を取ればいい…んだろう………??」

「―――お……ってあれ?」

 

 だが、そこで白漂が姫昭の肩を掴んで、ぎこちなくて血の気が退いた表情ながら真面目な声でそう問いかけると、彼女は呆気に取られて口から間抜けな声が漏れた。

 

 

 

 

 

 ○秦国東部 対魏国境地帯 著雍 著雍大要塞○

 

「戦死者の名簿はあそこに回せ。それと死体は敵のも疫病の原因になるから早急に埋めろ」

「二番隊の方は土塁の修理に回ってくれ」

「他にはー…」

 

 姫昭渾身の言い訳で彼女と白漂の関係が妙な方向へ動こうとしていたその時、今宵の魏軍による夜襲を撃退してその後処理に著雍秦軍が取り組んでいる中、甄遼頊が退勤を許されて仮宿に向けて帰り道に着いていた。

 

(……フィギュアスケートの全斉陽戦優勝後の帰り道で…ブリタニア系による爆弾闘争に巻き込まれて死んだかと思えば…目が覚めたら子供に若返った姿でこんな大昔に流れ着いたなんて…まるでみたいなアルウィンのSF作家ウェルズが書いたタイム・マシンのような現象ですね…?)

 

 今の寝床がある兵員宿舎が見えると、甄遼頊はそこからこの時代には本来ないはずだが懐かしくも香ばしい匂いをかぎ取って頬が緩んだ。

 

「あ、戻って来たんだ甄遼頊さん。今さっき山菜ピザが焼き上がった所だから一緒に食べようか」

 

 甄遼頊が扉を開くと、そこには竈型調理器よりこの時代にはまだないはずだがその気風が強く出たピザを取り出している漆間の姿があった。

 

「…イエース、ウルマのジャパン風手料理ピザ好きデース」

 

 それで頬が更に緩んだ甄遼頊は自身の嘗ての母語の訛りが強く出た、彼の遠い国の言葉で喜びを露わにした。

 そして、甄遼頊は顔まで隠す兜をそこでようやく外して素顔を露わにする。

 露わになったのは、シニヨン風に結われた輝く金髪に明るい青色の瞳に白い素肌で、神々しいまでのコーカソイド系美貌の美女だった。

 

「あーはいはい、そんなに嬉しいならもう僕は戦場辞めて君の料理人にでも転職しようかな?」

「冗談辞めてください。戦場へ共に行かなくなる分に私とあなたが会える時間が減ります。泥竜から移った事で昔の話がすぐできる友人のほとんどとは離れてしまって、この近くで元々いた時代のネタでおしゃべりできるのは貴方とそれよりも大幅に先に来た弟さんしかいませんのに」

 

 その雑談が示す通り、この二人にはある共通点があった。

 それは、二人ともに未来かもしくは別の時間軸ともいうべき後世と言える世界から流れ着いてきた異邦者であり、ある意味で白漂と同類と言える存在であった。

 ちなみに、二人はそれぞれ別の時期に各々の身内と共にこの時代へ何らかの異常現象で導かれ、迷っていた所を偶々少年時代の白漂と出会ってどうにか衣食住を確保出来た後、それから更に偶然で出会った王騎将軍に興味を示されて半ば拉致同然でその軍に引き抜かれ、現在は騰軍所属で今ではそれぞれ五千人将にまで出世している。

 

「…只でさえ私の前の世からの本業に素人目でも評価して下さる方は貴方しかいないんですから…はぐ」

「食べながら体を動かすのは止した方がいいよー。せっかくわがまま言ったら他の女の子に刺殺される領域の見た目持ってるんだから」

 

 その甄遼頊だが、秀麗な口に山菜ピザを咥えて器用に口だけを動かしながら、左の手先と右足の指先を自身の後頭部付近まで高らかに上げて繋げ、そのままの体勢でくるくると軽やかに回っていた。

 それはフィギュアスケートで言うところのビールマンと言うポーズの一種であった。

 ちなみに、現在の甄遼頊は宿舎に付いた時点で具足などは脱ぎ置いて、露出こそ少ないがそのスタイルが非常に良い長身ボディを如実に示す、胴着風だが肌にぴっちりとした衣装に着替え済みであった。

 

「あら、男の場合はここで貴方みたいになっても可笑しくないとでもおっしゃられるのかしら?」

 

 ちなみに、その甄遼頊の衣装は肌にピッチリとしている衣装なので、現在の伸ばされている状態ならその下にある下着の形もくっきりと見えるはずだが、それは見えなくて代わりに彼女の足の付け根付近の凹凸が如実に表れていた。

 

「……ヨーロッパ系の人ってそういうのは言葉も行動も本当にストレートな印象を覚える」

「あら、嬉しくないのならお止めしましょうか?」

「……………リーメアリー…」

 

 その行動が示す甄遼頊の思いを、既に心身ともに伝えられてきた身である漆間は自分の分の夜食を飲み干して口を水でゆすぐと、彼女の本来の名を口にしてゆったりと立ち上がった。

 

 

 

 

 

 ○秦国東北部 対趙国境付近 西録付近 某秘境○

 

「…せい、せい、せい」

 

 著雍でも新たな役者達により夜の一幕が幕を開けようとしていた頃、部下達が今現在捜索中である白漂は慣れた捌きで魚を水面から陸へ打ち上げさせていった。

 

「ほれ、ほれ、ほれ、あ…あ(・)な(・)た(・)ーーー全て受け止めました」

 

 それを白漂が蔓で編んだ籠で全てキャッチした姫昭が、何処か羞恥でぎこちなくなりつつも嬉しそうな声で何か含みのある呼び方をする。

 

「ああ、それじゃー今日も料理を教えるからね。ほら…包丁はこう握って…」

「…は、はい…よ、よろしくお願いします……」

 

 そして、白漂は丘に戻ると姫昭を自身の膝に座らせ、彼女の手にそっと触れて短刀での魚の捌き方を手ずから教えていく。

 

((………どうしてこうなった…????))

 

 互いの体温や体の感触に情欲を含んだ喜びを募らせつつも、二人は何故か“夫婦プレイ”に至っている現状について思いを馳せていた。




出入りの方で展開が余りに悪い意味で予想出来ない場面が多いあの漫画のネタを用いたので、中盤以降は清涼剤のつもりでお色気シーンやギャグ要素も入れましたが、最後の方は唐突過ぎる“なにこれ?”な場面になりました。
次回はそうなるに至る経緯に説明と、今回の事件の後始末の仕上げに入る予定です。
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