本当に、彼の過去もしくは前世には何があったのでしょうか…?(もっとも、それまで連載が持つかどうかは作者も不安なので今後とも応援をよろしくお願いします)
○秦始皇8年(紀元前239年) 秦国東北部 黒羊 黒羊五丘樹海要塞 中央丘本部要塞○
「…白漂将軍、医療及び各水源担当の責任者達が集まり終えました」
「そうか」
いつも通り秦兵らが活動している黒羊要塞の一室で、白漂は神妙な表情に切り替わっていた。
「白漂様、今回はどのようなご用件で我らをお呼びに…?」
「ああ、まだ兵達には生水は煮沸してから飲めとして通達を出していないが、ここの水にいつの間にかから―――」
「将軍! 失礼します!」
只事ではない気配を感じた将兵達が理由を聞かされようとした時、慌ただしく新たな伝令が駆け込んできた。
「―――あ? どうした?」
「卓軒から先ほど急報が届きまして…藍蘭殿が血を吐いて倒れたとの事で…」
「「「「「………え…!?」」」」」
「…!」
その報せに部屋にいた者たちが困惑と驚きを露わにし、逆に白漂は双眸を細めたが静かなままだった。
(…聞いた話じゃこの辺りにあの子の部屋があるらしいけどー…)
一方その頃の蒙恬は中央丘地下要塞である人物を探していた。
「…くぅぅ…すーーーー……」
(…お、この声は…!)
蒙恬がその寝息に引かれて坑道に面して掘られた横穴式個室の一つを覗くと、そこには静かに寝息を立てているデボラの姿があった。
(…西域の子は本当に色白な人が多いな…!?)
蒙恬はデボラの寝顔をもっと間近から見たくて更ににじり寄ろうとするが、そこでまだ血に濡れたままの彼女の刀が引っ掛かって倒れてしまう。
「…!」
「うわ!」
すると一瞬の間しか経たぬうちに、デボラの双眸はパッチリと開いて腕は瞬時に矛を引っ手繰って突き出し、矛先が迫った蒙恬は蹈鞴を踏まされた。
「…あれ~? 楽華の隊長さんですか~? ここで何用ですか~?」
矛先が蒙恬の背後の壁に深くめり込んで止まった所でデボラの意識は覚醒する。
「…い、いやーこんな所で寝息がたってるから誰かなーっと思ってさ~」
「…それだけですか~…あ、いけない~、まだ洗ってない分の刀がある~」
デボラは蒙恬の足元に転がっている血に濡れた刀を見つけると、近場にある水桶に付けてパシャパシャと洗い始める。
「蒙恬様ー! 蒙恬様は何処にーーー―…って居られたー!」
胡漸が慌ただしくデボラの部屋に入りこんだのは洗い終えて刀を水桶から取り出した時の事だった。
「どうした爺?」
「それが儂も知ったのは先ほどですが各所の水源より問題が発生しました! あ! デボラ殿もその水にもうそれ以上は触れないでくだされ!!」
「はい?」
「各所に分散されているようなので薄くなってはいるようですが、この辺り一帯の水源が何者かによって投じられた毒に汚染されているようです!!」
「「!?」」
その報せは、黒羊一帯を無差別的な災難が蝕み始めていることを明らかにする一方であった。
「…あーもう! だからここから先は民間人の立ち入りは禁止されているから通せんのだ!」
「けち臭いこと言うなよおっさん! せっかく南からはるばる竜の胆の乾物を持ってきたのによー! せっかくここの将軍達に食べてもらおうと思ったのにさー!」
同じ頃、中央丘へ向かう街道のある一点で商人達が守備兵達と押し問答を繰り広げており、制止しようとする兵士の中に渕もいたが、彼と対峙しているのは大きな風呂敷を背負っている子供だった。
「竜の胆だぁ!? 嘘つくんじゃねー! 竜がお前みたいなガキに捕まえられるわけねーだろ!」
制止役には信もいて子供を叱りつけて追い返そうとするが、子供は寧ろ負けじと食いついて風呂敷の中身を見せ始める。
「本当だよ! こいつの中身は楚の僻地で細々と生き残ってる竜の子供を捕まえて肝臓を干したもんだ! これがその証拠だ!!」
子供は商品の次に自身の両手を突きだしたが、それは肉体労働を激しくこなしたり、獣に幾度となく傷を負わされたりした痕が大量についていた。
「これこそが俺が竜の子供と命懸の決闘をして負かしてその戦利品を得た証拠だ―――」
「…ふーーん、なるほどなー…!?」
信は子供の両手にやや感心を見せつつも彼が付きだした竜の胆という乾物を手に取って一口舐めるが、その味は彼の記憶の奥底に静められていた翳に触れて少々不審を帯びた表情をさせる。
(…この味…確かあのクソが竜に食い殺された時と同じ―――)
「―――ってごらー! 人の商品に口を勝手に付けんな!」
「―――いって、す、すまねえ。懐かしい感じだったからついー…!?」
その味に嫌な記憶を思い返された信を現実に引き戻したのは、売り手である子供の怒声と忙しそうな味方の足音であった。
「行商人共! 大人しくせい!」
「ここにいる者達で最後だな!」
「う、うわぁ! 何をするだ!」
急にその場の味方が増えだして通行と営業許可を求めて集まっていた行商達を取り囲んだのだ。
「先ほど近くの町にて刺客の姿が発見された! お前達もこれより捕縛して取り調べる!!」
「「「「「!!!!???」」」」」
そして、取り囲んできた秦兵達の宣告に行商達から恐怖と困惑が立ち上った。
○秦国中央部 王都咸陽 後宮○
「……対趙前線で断続的に発見される匈奴…現在も調査中…」
黒羊で再び不穏な蠢動が姿を覗かせた数時間後、その報せは日が沈んで静まる中枢である咸陽にも届いており、嬴政もまた書簡でそれを読み通していた。
「……陛下…」
その傍らにな娜佗の姿もあり、彼女は嬴政の身を案じる視線を送っているが、その瞳は欲情で潤んでいて懇願するような色合いをしていた。
「…どちらも国にとって大事な仕事なのはわかりますが…報告書への見通しと夜伽とを同時にするのは聊か…」
現在、娜佗は嬴政に背面騎乗位で跨ってその王に相応しい雄々しき男根を、処女ではないが経験浅く硬さが残る秘裂で迎えている最中だった。
「そうは言ってもここ最近はあまり時間のゆとりが無いしな」
「…で、でしたら…生娘と大差がない私ではなく…他の気心が知れている方の方がよろしかったので…ぁああ❣❓」
繋がっている最中でも書面を読んでいるのと同じく真顔なままの嬴政に、娜佗は羞恥で眉を八の字にしながら苦言を呈そうとするも、降り始めていた子宮口を亀頭で円を描くようにグリンと撫でられて立ち上った甘い衝撃で止められてしまう。
「…ならば何故、彼女の提案を受け入れて今宵この部屋に行く権利を受けたんだ? 断ろうと思えば断れるはずだ?」
「…そ、それは先生が…私の方で続いているあの料理による欲情を解消できる最後の手段は…もう殿方で霧散させてもらうしかないと頻りに進めてきたか…らぁぁぁあ❣❓」
実は娜佗は前回の刺客騒動の際に食した濃厚媚薬料理による欲情が未だに続いていた。
その身の奥側より立ち上る情欲は断続的に彼女の意識を朦朧とさせ、この数日間で慣れた後宮勤めで小さなミスを頻発させるほどだった。
もちろん、彼女は医療棟に毎日通って様々な治療を試したが効果は出ず、遂に実際の情事を行って昂っている愛欲を発散させる方法を勧められたのだ。
そして、後宮で本当の意味で女性を抱ける男とはほぼ一人しかいない。
「…まあ、お前が断っても俺の方から呼び寄せてこうして叱る所だったからあまり意味は無いけどな。お前がこの数日の間に壊したものには俺の私物もあったから」
「し、叱るってぇ…これはむしろ逆では…ひぁああ❣❓」
但し、そういう事情は抜きにして嬴政は嬴政で適当に理由をこじ付けて呼び寄せる腹積もりだったらしく、その言葉遣いから娜佗はやや非難を帯びた流し目を向けようとするも、そこで自身の大きくも美麗な丸みを保つ桃尻をペチンと軽く叩かれ、それが子宮口を小突かれた衝撃と重なって下半身が痺れさせられる感覚を覚えさせられてしまう。
(……何というか、剣の稽古で何度も相手している限りでは怪我で引退したというのが信じられない強さを持つこの子もこうした表情をさせられるとは…彼女の話を聞いた時は眉唾だったが……)
嬴政の脳裏に、自身の影武者を時として務める盟友と心身を通わせる女性の一人で今はその子を身籠っている最中のため、休養と守護を兼ねてここ王都で休養兼ある公務のために留まっているある女性の姿が浮かぶが、娜佗が今見せている普段の彼女と違うイジメてオーラ全開な姿が彼の好奇心を刺激した。
「(聞いた時は眉唾だと思っていたが…試してみるか…)それでは娜佗、俺ももうお前に種を注ぎたくなったから動くぞ」
「え、だ…大王さ…まアアアァアアアァ❣❓」
その俗にいう嗜虐心に従って嬴政は身を起こし、娜佗を彼女の腰の裏で拘束された両腕より掴み上げて押し倒すと、俗にいう寝バックの姿勢で大きくグラインドさせる動きで彼女の胎内を搔き乱し始めた。
「…娜佗…これでは色を楽しめるようになるにはまだまだこちらの鍛錬も重ねていく必要がありそうだな…」
「な、慣れろと言われてもおぉぉ❤️ このような甘い魅惑どうや…てアアアァアアアァアアアァ❣❓」
娜佗のまだ経験浅い女陰は震えを伴う半溶けした冷凍肉を思わせ、その強張ったゴリゴリが残りつつも鍛え抜かれた腹筋による強い締め付けで男根を大きく欲張らせた。
だが、彼女の子宮口も怯える子羊のように震えながらも下り切って子種を迎え入れる準備が整ったその時、嬴政は盟友の女人の提言が頭によぎってきて動きを止めた。
「…ふえぇぇ…? だ、大王様……?」
「…どうしても聞きたいことがある…」
近づきつつある久方ぶりの極みに脳が麻痺しかかっていた娜佗の耳に、嬴政は口を近づけて優しく愛でる表情でこう囁き掛けた。
「…戦場を引退する前に病で死した許嫁と俺の…何方がいい?」
「…んなぁ!?」
だが、放たれた言葉は今でこそ宮女としての日常に慣れつつも根は武官特有の強い矜持と真面目さが残っている娜佗にとって、悪魔の甘言というべきもので彼女を狼狽させるには十分すぎた。
「(…譜孝が前の面談で言った通り…真面目な娘ほどこういう手には弱いのだな…)もしも前の恋人より悪ければ…これ以上は悪いからもうやめようと思うのだが…」
「あ…あ…ぁ…あ…あああああぁぁぁァ………!」
名残惜しそうな苦笑を浮かべつつ申し訳なさげに男根を徐々に引き抜いていく嬴政に、娜佗は天から垂らされた蜘蛛の糸に逃げられて行く亡者の如き絶望に襲われ、ほぼ反射でその美麗な引き締まりを見せる両足が動いて彼の腰をがしっと拘束した。
「へ、陛下ですぅ❣ あ…あの人にはごめんだけどぉぉぉ…❣ 陛下のがぁアアアァアアアァアア逞しいですぅぅぅぅぅ❤️」
「…っ…そうか…ならこれで決めよう…っ!!」
「ふああああああああああああああ❣❣」
快楽に負けた悔しさと昔の思い人に対する罪悪感で泣き出した娜佗に、嬴政は若干後悔を覚えたがその侘びも込めて彼女に対し腰を再び躍動させた。
「っっっく!!」
「アアあアアアアああああああああああああああああああああああああ❣❣❣❣」
そして、一際大きく腰と尻肉がバチンと叩かれる音が響いた直後、二人は繋がりし最奥で互いの身が弾けて放出されたような極みの噴水によって、意識を兜率天へ打ち上げられたような快楽を味わわされた。
○秦国東北部 黒羊 黒羊五丘樹海要塞○
「…うぅ、もう夜も暗くなったなぁ」
「いつまで続くんだぁ?」
咸陽でまた新しく愛欲の関係が生まれた頃、黒羊の方では拘束された行商達より不安と不満の声が断続的に続いていた。
「おい、聞いたか。将軍の奥方の一人が刺客に襲われてなー」
「ああ、今も意識不明だという話だろ?」
だが、その彼らが放り込まれている牢に近い詰め所では、見張りの秦兵達が不安そうな表情で日中に起きた異変について話し込んでいた。
「………すみません。ちょっと厠に行きたいのですが―…」
「むぅ、そうか…じゃあ俺が見張っていく」
その最中に拘束された行商の一人が見張り付きで牢から出され、厠へと移動していく。
「……………」
そして、厠に辿り着くと見張りの兵は行商の足元に石突で円を描き、そこに戦や文字を書き足していく。
「…成程ねぇ、そこか……」
薄明かりも届かぬ闇の中で厠に案内された行商は歪んだ笑みを浮かべると、月明かりを僅かに差し込ませてくる小さな通気口を見上げた。
そして、行商はそこまで飛び上がって窓辺に引っ付くと、大人なら通れず子供でも普通は通れないその小さな通気口を、あろうことか幾つかの関節を外すと蛇のように這いずって入り込んで進んでいった。
「…へへ、戦場にまで連れていくとは…それもここまで運んできて様子を見に来るとは脇が甘い男だなぁ♪」
やがて、通気口を抜け出てゴキゴキと関節を繋ぎ終えながら月明かりを浴びて露わになったその行商は、昼間に信に対し竜の胆の乾物を自慢げに見せた時とは違う、童らしからぬ歪んだ笑みを浮かべて月を見上げていた。
童の行商の正体は刺客であった。
「…造作もねえんだよ。俺らに取っちゃあこれくらいの岩場や斜面なんざよぉ♪」
刺客はまるで平野を走るような素早さで、木々が生い茂り時として岩場がむき出しの中央丘の急斜面を登っていき、やがて目的地に近い頂点へと到達する。
そして、そこらの排水を流しだしている排水溝の入り口の一本を見つけると、躊躇うことなくその中に飛び込んで内部へと侵入していった。
その中を本来なら人間の無呼吸運動可能時間を凌駕する時をかけて泳ぎ切り、適当な場所で天井に当たるマンホールを押しのけると、周囲に人がいないのを確認して排水溝から通路へ抜き出て、目的地の部屋の扉に辿り着いたのを確認すると更に嘲笑を増した。
(テメエんところの部下にいる知らない顔に今の自分が居る場所を刺客にチクられるとはねぇ。まあ、何万と部下がいる以上は仕方ないけどねぇ…)
刺客は思念では同情しているように嘯きつつ、懐より猛毒を塗った弾を装填したスリングショットを構えて扉の隙間を覗き見る。
「………………」
部屋の中には、寝台にて布団にくるまれた死体のように静まっている藍蘭と、後ろ姿で顔は見えないが見舞いしている白漂の背が見えた。
(…戦場でも連れてくるとは…しかもやられたら見舞いにまで来るとは深い愛情だねぇ…♪ じゃあ…俺が二人揃って…逝かせてやるよ……!!)
そして、刺客はその白漂の後ろ髪に隠された首目掛けて猛毒弾を撃ち放った。
「…………」
だが、それを後ろ首に直撃させられた白漂より上がったのは断末魔の悲鳴ではなく、布が破かれる音だった。
「は―――!?」
「はい、残念でしたー」
「―――あがぁ!!?」
それに刺客が短くも呆けた声を上げた直後、何故かその背後に現れた白漂によって彼は歯が飛び散る勢いで顔から蹴り飛ばされ、部屋の中へ転げ回った。
「デ…デメエは白漂…!? だ、だっだらコイづは…!?」
刺客は転げ回った果てに部屋の中の方の白漂にぶつかって止まるが、そこで部屋の方の白漂が座している椅子ごと倒れた姿を目にして、その正体が精巧に作られた人形であることに気付く。
「さー、取り調べに協力してもらおうか…」
「ペ! 舐めるな!!」
刺客は激高しつつも口腔内から小袋を出し、それを瞬時に解いて猛毒塗りの小針を掴みだすと白漂に襲い掛かった。
「はい、ちょい待て」
「!? あが…!?」
だが、それも寝台より瞬時に起き上がった藍蘭が麻痺毒塗り円錐状小鉄球を指弾きで撃ち出し、無防備な背に何発も当てられた刺客は床へ倒れてしまう。
「はい、それじゃー尋問のために縛り上げますよー」
「ぅ! がぁ! ぎ…!」
当然、身動きが出来なくなった刺客は同じく潜んでいた竜騎隊員によって縛り上げられて自害も出来ないように猿轡も咬ませられた。
「しかしまあ、背を指でなぞっての筆談の際に“刺客来てるんで少し死んだふりしてください”と聞かされた時、毒を接吻で飲まされて意識失った際には何かと思ったが…まさか来た刺客がこんな子供だとはな…」
「いや藍蘭、こいつ背丈こそこんなだけど子供じゃないぞ」
「どういう意味だ旦那様?」
「刺客組織の中にはわざと必要な時期に栄養を削ったり、全身に拘束具を付けて成長を阻害させたり、劇薬を飲ませたりして身の成長は子供の内に留めさせるという技術を持ってる連中がいるんだ」
「そ、そんな怪談みたいな術や技あるのですか?」
「世間に広まってる軍事技術なんざ氷山の一角も良い所だよ。というかこいつの顔にしても笑ってる時はともかく今じゃあもう二十は越してる殺気全開の顔だぞ。それに竜を狩ると言っても通常はその獣道に罠を仕掛けて仕留めるのが普通だ。こんな馬鹿正直に格闘戦で捕まえて仕留めたような傷なんぞ普通ない。主に水場系で特殊訓練詰んだもののそれだ」
縛り上げた自身に対して推測で正確に測っていく周囲に、刺客は表情を更に歪めつつも思考は回転し続けていた。
(…何者だこいつは…!? 俺達の存在やその技術はお偉いさんや闇社会でも最上層以上でなければ知られてないはずだ…!?)
だが、刺客はその思考の途中で、一瞬だが白漂が己に対して人ではなくまるでカラクリ仕掛けの人形が不良品に対して向けるもののような視線を注いでいることに気付き、それから指で宙に文字を書かれて“何か”を示されると急速に血の気が退いていった。
(そ、その字は…馬鹿な!? あの事件であ、あいつら以外の生き残りなんぞもう鏖になって記録自体も消されているはず…!?)
「ん? 何だこいつは…? 今の今まで狂犬みたいだった顔付きが死刑を間近にした罪人みたいなそれに…」
「その理由含めて調べるのはここでの仕事じゃない。連れていけ」
(…人一人だけでもその軌跡を完全に知ることは出来ない。けれど…この人が時折浮かべる…感情そのものが無いような色…私の知らない所で何があったのだろう…? 何度か見た…前世の記憶があるという狂人みたいなのに近い空気を纏う事があるけど…)
その刺客の様子を見て、普段の空気には戻ったが興味を無くした表情を向けて運ばせていく白漂に、同伴していた紅華は一抹の憂いを奥底に潜ませた両眼を向けていた。
今回、ヒロインさんが旦那さんでもある主人公のまだ知らない一面に触れて懸念と興味を深める事となりました。
ちなみに、作中に出てきた“竜”は別にファンタジーとかそういうのではなく、実在するある生物のことを指しています(実際の古代中国研究でもそのような研究がございますので…)。