○秦始皇8年(紀元前239年)険水関攻防戦七日目夜 趙国南西部 太行山脈西側領域南部 軹関陘西側地域 険水関対岸秦側陣地○
「…っ…あ…ぅぅぅ…❤️」
極みに入っている頃は無限に思えた愛しい男の種が注がれていく感覚も、次第に落ち着きを取り戻してステラは瞳に光が戻っていった。
それと共に我が身の感覚も戻っていき、まだ胎内でトプトプと子種汁の残滓を注いで来ている信の肉棒を改めて感じ取って淫靡な微笑みを彼に向ける。
「…うふふ、まだ元気そうね…❤️」
「ステラを相手に一度だけで済む方がおかしいだろ」
「女として冥利に尽きる言葉ね…。だけどその前に…!」
同じく落ち着きを取り戻しつつも瞳にはまだ猛る獣欲の光を宿している信に嬉しさを覚えつつ、ステラは戦場で見せる怜悧な眼光を取り戻すと回弩を瞬時に取り上げ構えて矢を連射した。
連射された矢はゲルの扉を内側から綺麗な人型で撃ち抜いた。
「誰? 剣を抜いて持ったまま近づくなんて不躾な真似をする暇があるならもう寝床に付くか縄に掛かりなさ―――」
「…あう…」
「―――い…?」
「え…?」
だが、その扉を開いて現れたのは重傷を負って血を流しているまだ幼い子供で、ステラと信は呆気にとられた声を上げた。
「…うぅぅ…ふ❤️ ぁぁああ…❣」
信達の寝所で一騒動が起ころうとしていた頃、白漂軍本陣総大将ゲルでも庶徐が熱くも焦燥を訴える嬌声を上げていた。
「はむ…ちゅるる…♪ おや…最初に女陰を舐めて欲しいと言ったのは君だったはずだけど…?」
「ぁあうぅぅぅぅ…❣ い、言わないで下さ…ぁあ…❣」
寝台の上で膝を付いて上体を起こしている庶徐の真下には、彼女の真下に潜り込んでその大きく開いた淫裂に舌と歯を這わせて、そこから淫蜜を絞り出させて味わっている白漂がいた。
庶徐は自身が夫の伽を務められる今晩の初めにて、白漂のしてほしいことを言えばいいという言葉を受け、その経験を積んでも垢抜けてない気質から自身の女陰を口淫してほしいと恥ずかしながら願ったが、それは今こうして女陰だけでなくその後ろの菊門まで愛撫されだすと未知の快楽を後悔と共に覚えた。
「ひょ、漂様ぁ…❣ そ、そんな…所まできたな…ぁぁあ❣」
「ちゅるり…♪ それなら毎日僕の雄の象徴に顔を寄せ合っている君達も…その穢れを帯びた口で接吻をねだっていると言うことになるけど?」
「!? そ、そのようなつもりで言ったわけでは…ふぅぅぅぅ❣❢」
普段の夜は紅華など勝ち気な女性を中心とした妻達の個々に高い体力も上乗せした人海戦術で押されがちであったが、如何せん成長限界無しという特性と技巧派としての才覚から体力も性技も上昇中の白漂にとって、今宵一人だけで来た庶徐は格好のご馳走であった。
「…さてと、そろそろ行こうか…」
「ふあぁ❣❓ ふぇ…ひょ…漂様…❣❓ そ、そこ…何だか感じがちが―――」
蕩けさせつつも肉欲的な焦燥感で庶徐の肉体が十分に飢え出したことを確認した白漂は、彼女を自身の腰の上から降ろして四つ足を付かせると、その尻肉を掴んで肉の穂先を近づけるが普段繋がっている肉門ではなくもう一つの穴に近づき、彼女を戸惑わせようとしたところで制止が入った。
「失礼します。緊急の連絡です」
「ん?」
「―――あ…」
解れが必要量に達しつつもまだ未経験であった庶徐の後ろの穴を白漂の亀頭が開門させようとしたその時、紅華が扉を開いて現れた。
「お、奥様…」
「あーお互いいつものことでしょ…漂様、信隊の野営地で険水城の住民と思わしき児童が一人捕えられたとの事です」
情事の最中における第三者の介入に、白漂の奥に所属している故に経験こそしているがまだ初々しさの残る羞恥心を見せる庶徐に、ほんのりと頬を朱に染めつつも嫌な意味で慣れた微妙な表情を紅華は一瞬向けるが、瞬時に真面目な表情に切り替えると白漂に報告を続けた。
「詳しい内容は?」
「述べますのでその間に今宵の夫としての仕事をこなしておいたほうがよろしいかと」
「あ、はい」
「ああん❣❓」
白漂は耳を立てながらも庶徐のクパッと開いた肉門に狙い直すとジュポンと肉槍を突き込ませて彼女に甘い悲鳴を上げさせた。
「先ほど、信隊の野営地にて険水城の民衆と思わしき児童を一命取り押さえました。現在は酷い重傷の為に意識不明で治療中の状態で…」
その間に白漂は腰を動かし続けて庶徐に甘い悲鳴を上げさせながら、紅華と真面目な表情を向け合いながら言葉を交わしていたので、人間の適応力というのは改めて凄い事を地味に知らしめていた。
○秦始皇8年(紀元前239年)険水関攻防戦十日目早朝 趙国南西部 太行山脈西側領域南部 軹関陘西側地域 険水関○
「…ふあああ、秦軍は今日もここでは動きなしか…」
「変化といえば土塁づくりを続けてるのと…それで誤魔化してるつもりで穴を掘ってるってことだな…」
白漂の元にある報告が寄せられてから三日後、霧が深く立ち込めている険水山の麓にある趙側第二防壁にて趙兵達が馬鹿にした声を上げていた。
現在、白漂軍が五日前より土塁作りに見せかけてこちらに向けて地下道を掘り進めているのを知っているためだ。
通常、こうした坑道作戦は敵に対して隠蔽するために大きな遮蔽物に隠されている状態か、それが無い場合は遠距離、場合によっては地平線の向こう側からも掘り進めるのが通例である。
それを白漂軍は川幅が数十メートルしかない状況で、直ぐ見える対岸側の土塁作りや塹壕堀に偽装したつもりでそこで掘り進めているのだから、一般兵達が馬鹿にするのも無理からぬことであった。
「…まー、近いと言っても川の底を通るんだしあと五日は掛かるだろ。それまでに準備を済ませて…!?」
それらの状況を踏まえて趙兵の一人が馬鹿にしきった様子で対岸を評しようとしたその時、彼の喉元を背後より槍が穿ちぬいて絶命に追い込んだ。
「…え!? な、何が起きてぐ!?」
それを隣にいた別の趙兵が喚声を上げようとしたその時、背後より現れた秦達兵が彼の口を塞いでそのまま刺殺した。
「こ、この五日の間に川向うまでその下を掘り進めるなんてすごいですな…」
「穴掘りに関して袁羽さんの右に出る人は私が知る限りいませんから…早く門の開閉装置を探しましょう」
その突如として侵入してきた秦兵は竜騎を含めて白漂軍各隊より選抜された精兵達で、山岳や市街地など高低差がある戦がめっぽう強い庶徐も含まれていた。
○趙国南西部 太行山脈西側領域南部 軹関陘西側地域 険水関出城○
「ハッハッハ、趙側めまさか我らがここまで早くあそこまで坑道を掘ってのけるとは思っていなかったようですな」
「まあね、それに正確にはこの辺りには無数にある水の浸食で出来た既存の地下空洞を利用していたからそれを繋げていっただけだし。漏れ水対策は新しい石膏で早期に塞ぎながらできたし、それでも漏れ出た分は新型の排水機で汲みだし続けたおかげで突入までは誤魔化せているからね。そうして向こう側の出て来れた出口は向こう側で見つけたあっちもそんな知らないだろう苔と藪だらけの狭い汚水が通る洞窟だし」
「…いや、軽く言ってますけど将軍は本当に石の都の人間ですか…? ここまで山や森が読める人間…それも内部の空洞まで読み取れるのは林胡でも見た事がありません…」
濃霧でそこまで詳しくは見えないが、聞こえてくる喚声の内容と、霧の中から見えてくる味方の発煙筒に似た光による合図で作戦は順調だと白漂は読み取って華夏出身の部下達は感嘆していたが、北方民族出身者達は畏敬が混ざった視線を向けていた。
中華と違い過酷な自然環境が広がる現モンゴル一帯に住まう諸民族は諸感覚が研ぎ澄まされており、その中で森林地帯を主な居住域とする林胡は生来より森や山の地形や内部構造を外観より探り描く能力が高かったが、その彼らから見て白漂の“森読み”は異常に突出していた。
「いやまあ、流石に頭の中だけで描くのは不安だから僕はこうしてあそこで実際に見てきた者も含めてこうして書き出してるけど」
「いや、一回忍び込んで直に見たくらいでどうしてそこまで書き連ねられたんですか?」
参謀の一人である林胡出身者が非常に微妙そうな顔を向けているのは、白漂が広げている彼自身がこの前の潜入で得た情報も含めて書き上げた険水山及びそこに築かれた城塞の構造図で、その中には袁羽が掘った坑道とそれらと繋げられた向こう側の地下空洞の想像図まで描かれている。
「…半分くらいは現地で見たり相手の会話を盗み聞きしたりして得た情報を元の書き出したけど…、日数と時間帯からしてもうそろそろこの辺にあるだろう開閉装置を抑えるだろうか…あ、思っていたより早く開いた」
白漂が構造図を差しながら呟いていると、出城と橋梁城壁で繋がっている向こう側にある険水山麓の趙側対岸城壁の正門が重い音を鳴らしながら開いた。
「よし! 罠である可能性を考慮して突入!!」
「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」」」」」
それを見て白漂軍は既に乗馬を終えた騎馬隊を先頭に対岸目掛けて突入を開始する。
罠であっても門を降ろされて閉ざされないように持ち込んだ木材で補強して固め、それから偵察も兼ねて各隊が四方へ散開して先行していく。
「んな!? もう正面からも秦兵が侵入してきてるぞ!」
「りゅ、りゅうき…ココロ殿は何をなさっておる!?」
「そ、それがまた邯鄲から来られた要人子弟に呼ばれておるとの事で…」
「またあいつらか! これだから“趙人”は…ガフ!?」
「ん?」
それらの先攻部隊と共に白漂は趙側河川敷の制圧を進めていくが、その中で時折聞くそうした隔意がもとより感じさせる言葉に違和感を覚える。
(どういう事だ? この辺りの者達…衣装こそ趙のものだが…まるで趙をいけ好かない赤の他人のように吐き捨てて―――)
「貴様が白漂かぁ!!」
「―――っ!!」
白漂はその違和感に何か浅からぬ因縁じみたものを感じ取るも、複数の路地に面した区画に入った所で不意打ち気味で振るわれてきた馬南慈の大矛に中断させられ、彼は眼前まで迫った刃を素早く十星戟で受け流してその勢いで距離を取った。
「伍鬼! この男の相手は任せたぞ!!」
「ハハ!」
「おのれぇ!!」
続けて追いついてきた伍鬼に馬南慈の相手は任せ、白漂は他の味方と合流して趙側河川敷の制圧戦を進めていく。
「…よーし! この勢いなら山まで攻め込めるぜ!」
「桟橋は上げられてるが間にあるのは空堀だけだ! ガンガン行けー!!」
半時間程が経過する頃には、趙側河川敷防衛線はほぼ秦側に制圧され、秦兵達は続々とそこと山の裾側防壁を遮る、幅広ではあるが浅い空堀へ足を踏み入れていく。
「おい! 秦兵がここまで押し寄せて来たぞ! 早くこの“泥堀”の機能を作動させろ!!」
「今やっと流姞様が戻られました! 少々お待ち下さ…あ!!」
それに裾側防壁に留まる趙兵達が焦燥を強めだした頃、今度はそこより何本も大きなパイプが首を擡げてきて、そこから噴き出てきた大量の噴水が空堀に注がれだしていく。
「何だ!? 今度もまた水が噴き出て来たぞ!!」
「怯むなぁ! 先日の洪水に比べれば少し煩わしだけだ! このまま押し切れ―――!?」
それに秦側は驚きつつも少なくない数が無理押しで進もうとするが、そこで再び白漂軍による音術での撤退信号が鳴らされた。
「―――え…!? ど、どういう事だ…!?」
「馬鹿! 早くこっちまで戻れお前ら!! それじゃ良い的になるぞ!!」
非白漂兵である秦兵達は戸惑いを見せるが、そこで遅れてきた信の怒号混じりの催促を受けた所で遂に現実化した自分達の危機を自覚する。
「あ、足が動けん!?」
「ぬ、ぬかるんで動けねぇ!?」
「い、何時の間にこんなの!?」
気づいた頃には空堀は広大な沼地と化して、先行していた秦兵達は酷いものは腰まで浸かって多くが身動きできない状態と化していた。
「隊長ー! また気付かれたみたいでまだそんな多くの数が罠にはまってません!!」
「ち! 止むを得ん! 今の時点で泥にからめとられてる連中だけ始末しろ!!」
「「「「「ハハァ!!」」」」」
それにやや不満げな顔を浮かべつつも趙軍は矢の雨を降らせて泥沼に陥った秦兵達を屠っていく。
「ちい! 今日もこの辺でしまいにせんばならんのぉ!!」
同じ頃に伍鬼と大矛を盛大に打ち合わせ続けて轟音を出し合っていた馬南慈も、彼との勝負を捨てて大急ぎで沼地に飛び込み、趙側から投げ込まれた縄を掴んで無事に戻っていく。
「も、ものの数瞬で空堀があっという間に泥濘に代わって…」
「まだ朝だけど今日はもう河川敷までの制圧で限界のようだな…残っている趙兵はなるべく生け捕りにしろ!!」
それを見た白漂は本日における攻勢の限界点を見出し、趙側河川敷の制圧戦へ集中した。
○秦始皇8年(紀元前239年)険水関攻防戦十日目夕刻 趙国南西部 太行山脈西側領域南部 軹関陘西側地域 険水関出城○
(…見れば見るほど稲葉山城の上位互換みたいな城だなぁ。これはこれ以上正面から行くともっと苦労するぞ…)
本日での戦闘は午前中に終わらせ、趙側河川敷まで攻略して被害もまだ相対的には軽微な状態ではあったが、白漂は聳え立つ険水山に目を細めていた。
「…この様子だとまだ把握していないカラクリがまだ複数仕込まれているだろうな…」
「だよなぁ江殊幡…だけど、一番不可解なのは…それをどうしてもっとうまく使ってこないのか…?」
頭の出来が非常に良くて且つ視野が広くて深い二人にはそれが大きく不可解だった。
「…上手い使い方…ですか?」
「ああ、今朝のあの泥濘を作り出したあの装置なら…例えば僕らを内部まで侵入させながら味方を高台に逃した後で門をこの際に内側から要石を抜くなりして崩して塞ぎ、水に混ぜて油を撒いてそのまま焼き殺すみたいな真似もしようと思えば出来たはずだ」
「…な…!?」
「な、何と卑劣な」
「こっちは捕らえた趙兵の捕虜を占拠した防壁各所に分散して向こうにも見えるように配置して、また前みたいな洪水や泥濘の計みたいなのはやりづらくしてるからそう偉そうなことは言えないけどね」
「い、いやそれはー…」
その二人の会話は現代と比べて相変わらず低い人権状況に基づく笑えない話も混じっていたりしているが、彼らそれで気まずくなった衛兵に構うことなく会話を続ける。
「他にも考えれば色々とこちらを嵌められる策は打てるだろう敵だ。それなのにどうしてこうも後手後手な対応ばかりしてくるのか…何か狙っているのか…」
「もしくは内部に邪魔なのが来ててそいつにあれこれ横槍入れられてて思うように動けないというのが可能性としては高いな…」
「とりあえず私は明日以降の準備を自陣でするから今日はこの辺りで終える。何かあったら知らせてくれ」
そのまま思考を深くしようとしたところで、江殊幡はよりそれを効果的にすべく自らの天幕へ戻っていく。
近場には護衛しかいなくなった状況で白漂はこれまで集めてきた険水の地についての情報を再び洗い出し、それと付随していそうな情報を片っ端から読み漁り出した。
(…信とかも感じていたようにこの辺りの敵は趙中央部と違い秦に対する敵意はあくまでも防衛上の必要以上は出ていないというのが気に掛かる。距離は離れているが離眼や西貴といった山脈西側諸侯は趙中央部には冷遇されてきたのが多いが…それも何か関係しているのか? それと…この辺りの趙人の言葉には何処か北の民と似た訛りを聞くことが多いのも気に掛かるし…?)
机上や床にまで広がる書面や資料図越しでの大量の情報が白漂の頭の中を高速で駆け巡っていくが、そこで彼が執務を取っているゲルの扉がノックされてきた。
「? 杏橋どうした?」
「失礼します。先日に信隊野営地に迷い込んでいた所を保護された現地民の児童ですが、その児童の供述に興味深い内容が…」
「…詳しく聞こうか」
扉を開いて現れた杏橋が持ち込んできたその話は白漂に夜の帳へまで入るまで耳を傾けさせる事となる。
今回も最後辺りにて童が状況を変える切っ掛けになりそうな形で登場しました。
次回は、険水の地の裏事情やその理由である歴史にも触れていく予定です。