「みーくん、今日の演出どうだった?」
千世子から招待されたデスアイランド制作発表が終わってから30分後。
俺は招待した張本人と一緒に蕎麦を食べていた。
「つま先立ちが凄かった」
「あはは、これでも鍛えてるからね」
演出内容は千世子が観客席に紛れ込み、座席を飛び乗りながら、舞台まで移動するものだった。
「あれは千世子が考えたのか?」
「そうだよ。面白かったでしょ?」
「原作より面白かった」
「それは言っちゃだめだよ」
「千世子もそう思ってるんだな」
恐らく映画は千世子頼みなのだろう。
千世子の映画やドラマはすべて観ているが、3割は駄作だった。
「……そうだね」
「ま、内容が良ければ大々的に出演者オーディションを開催したりしないか」
「そういうことだよ」
デスアイランドは24人の若手俳優が出演するが、半分がスターズの俳優、残りの半分を一般オーディションで募ることにしたのだ。
「宣伝だけでだいぶお金使ってそうだな」
「詳しい金額はわからないけどね。それより蕎麦美味しいね」
「だろう」
ここも編集担当に教えてもらった個室がある老舗だ。
「みーくんが誘うお店って渋いところばかりだよね」
「嫌だった?」
「まさか。みーくんと一緒ならどこでもいいよ」
「ファーストフードでも?」
「もちろんっ」
蕎麦を啜りながら天使の笑みを浮かべる千世子。
ファンには見せない、俺にだけ見せてくれる本物の笑みだ。
「今日も泊まってくでしょ?」
「明日仕事は?」
「午後からだから大丈夫だよ」
「そっか。なら泊まってく」
「うんっ」
食べ終わったら景に連絡を入れておこう。
帰ったらまた文句を言われそうだが、性欲を解消してやれば問題ない。
「それとアリサさんからの誘いどうするの?」
「どうするって……」
記者会見終了後。待ち合わせ場所に千世子がとある人物を連れてきた。
星アリサ―――元女優でスターズの社長だ。
千世子との関係がばれて怒られるのかと思ったが、星アリサの目的は勧誘だった。
新しく文化部門を設立した事務所に俺を所属させたかったらしい。
「マネージメントがお任せできるから楽だと思うよ?」
「うーん、でもたまにしかテレビに出ないし……」
「今はでしょ。今後、賞を獲ればオファーはたくさんくるよ?」
「そんな簡単に賞が獲れると思うか?」
「思うよ。だってみーくんの小説が一番面白いもん」
「……わかった。あとで連絡しておく」
やだ。俺ってチョロすぎる……。
でも編集担当も事務所に所属したほうが楽だと言ってたしなぁ。
「ううん、私から言っておくよ。詳細も私から追って連絡するから」
「面倒じゃないか?」
「そんなことないよ。私に任せて」
「わかった」
それから三日後。千世子から連絡を受けた俺はスターズに赴き、マネージメント契約を結んだ。
なぜか千世子が同席していたが、晴れて俺はスターズ所属の小説家となった。
それと千世子に俳優の星アキラを紹介された。
どうやら彼は俺のファンだったようで、千世子に俺を紹介するよう頼み込んだらしい。
アキラ君とはスパイダーマンなど好きな映画の話が盛り上がり、初対面でだいぶ打ち解けたと思う。
「あひゃあぁっ♡ ああぁっ♡」
スターズと契約を結んだ夜。
俺は千世子の綺麗な身体を貪っていた。
「はひぃっ、あぁんっ♡ 子宮っ、オチンポで叩かれてるぅっ♡」
千世子は動物の交尾のように四つん這いで、後ろから俺の愚息に激しく攻められている。
「千世子、潮を噴きすぎだって」
「はぁんっ♡ だ、だってぇ……あぁぁっ♡ 止まんないんだもんっ♡」
潮を噴き散らしてシーツを濡らし、牝のはしたない絶叫を響かせながら、千世子は絶頂の快感に浸り続ける。
「うあぁっ♡ みーくん、イクっ♡ またイッちゃうっ♡」
今日も千世子の性欲は凄まじく、7回戦目の今も衰える気配がない。
明日から映画の撮影なのに大丈夫だろうか。
最初は心配をしていたが、千世子との交配に夢中になった俺はすっかり忘れていた。
「あひぃぃ♡ これぇっ♡ 潮噴きアクメ気持ちいいよぉっ♡」
演技では絶対言わないであろう千世子の隠語に肉棒が反応してしまう。
獣欲をたぎらせる肉棒で犯され、千世子は色っぽい声でよがり鳴き、腰を痙攣させながら潮を噴き続ける。
「ひぃんっ♡ んおぉっ♡ これぇ、もうイっちゃうっ♡」
「好きなだけイっていいからな」
千世子の膣内が収縮し、細かく痙攣し始めてきたのを感じた直後だった。
「あひぃぃぃいいいぃぃいいッ♡」
体をのけぞらして千世子が絶頂に達した。
他人には聞かせてはいけないような喘ぎを放ち、身体を激しく痙攣させる。
「それじゃ次は俺がイク番だな」
「あへぇ……♡ みーくん、容赦ない……♡」
絶頂の余韻に浸っている千世子の腰をがっしり掴み、絶頂直後の敏感な膣穴を蹂躙するべく、激しい抽送を見舞ってやった。
「おひいいいぃぃぃぃぃぃぃっ♡」
千世子の悲鳴が混じった喘ぎは深夜まで続いた。
体力を使い果たした千世子は俺より先に眠りについてしまった。
千世子に明日からしばらく会えないと言われていたので、精力が余っていた俺は寝ている千世子の口を借りることにした。
口内射精すると窒息する恐れがあったので、気を遣って顔面に精液をぶちまけたのだが、翌朝に両目が開かなくなった千世子に怒られてしまった。
☆☆☆
景がいなくなってしまった。
もちろん家出をしたわけじゃない。
なんとデスアイランドのオーディションに受かったのだ。
CM撮影に続き、こんな短期間で映画にまで出演することが出来るなんて。
もしかしたら景は天才かもしれない。
そんな天才の景は映画の撮影のため、一ヶ月ほど家を空けることになったのだ。
困ったことになった。
自慢じゃないが俺は家庭科の授業以外で料理をしたことがない。
景たちと同居するまでは、外食や出前で食事を済ませてきた。
俺だけならそれでもいいが、レイとルイはまだ小学生だ。
栄養のバランスが取れた家庭料理が必要だろう。
なので短期で家政婦を雇おうとしたところ、景にいい人がいると紹介をされた。
「もうすぐで夕食できるからね」
キッチンに立つ女性が味見をしながら言った。
女性の名は柊雪さん。
景が所属するスタジオ大黒天の制作担当だ。
「いつもすみません」
「ううん。私もレイちゃんとルイくんが心配だし」
俺の壊滅的な家事スキルを心配した景は、オーディションに受かってすぐに柊さんに、俺たちの面倒を見るようお願いをしていたらしい。
景関連以外の仕事がなく暇だった柊さんは快く了承してくれた。
最初は通いだったが、うちの最新式ジェットバスの虜になった柊さんはすぐに泊まり込むようになった。
そんな柊さんとの同居生活も二週目を迎えた。
「ごちそうさまでした」
柊さんは高校を卒業してから一人暮らしをしており、自炊もしているため、料理の腕前は確かだった。
「お粗末様。お風呂も沸いてるよ」
「柊さんは?」
「私はもう二人と一緒に入ったから」
今日は打ち合わせで遅くなったので、遅い晩飯となってしまった。
帰宅したころにはルイとレイはすでに熟睡しており、おかえりと言ってもらえなかったのが少し寂しかった。
「それじゃ入ってきますね」
「うん。シャンプーも補充しておいたからね」
「どうも」
柊さんは制作スタッフだけあって気が利く。
レイとルイも懐いているので、これなら景がいなくても千世子の部屋に泊まりにいけるかも。
「いや、さすがにそれは柊さんに悪いか」
スケジュールがすかすかなオーディションを通過した景たちとは違い、千世子たちスターズの俳優は南の島と本州を行ったり来たりしている。
さらに千世子はNGを出さないため、撮影が終わるのがほかの役者と比べると圧倒的に早い。
なので俺と淫らな生活を送ったり、自分磨きの時間を作れているのだ。
「一ヶ月は自家発電で我慢しよう」
景と関係を持ってから一人でする機会はほぼなくなった。さらに千世子とも関係を持ってからはまったくオナニーをしていない。
オナニーをするほど精力に余裕がないのだ。
景も千世子も激しく求めてくるので、身体を重ねるたびに精力を使い果たす。
だからオナニーをする必要がなかった。
「みーくん、新しい寝間着買っておいたから置いておくね」
扉越しに柊さんの声が聞こえた。
「あ、はいっ!」
「古いのは破れてたから捨てておいたからね」
「わかりました」
柊さんも俺のことをみーくんと呼ぶ。
最初は先生と呼ばれていたが、恥ずかしいので、先生以外で呼ぶようお願いをしたら、みーくん呼びになった。
「ふぅ、すっきりした」
やはり夏でも湯船に浸かるのはいいもんだ。
身体の毒素が抜けていく感じがする。
「あれ? どこか出かけるんですか?」
浴室から出ると柊さんが玄関で靴に履き替えていた。
「うん。愛読してる漫画の新刊が発売されてるの忘れてて」
「夜遅いし明日でいいんじゃないですか?」
「今日読みたいの!」
「そうですか」
「30分くらいで帰ってくるからお留守番よろしくね」
そう言って柊さんは勢いよく飛び出していった。
ここは俺の家だと突っ込みたかったが、追いかけて言うほどでもない。
リビングに戻った俺は氷菓を頬張りながらニュース番組を観ていた。
芸能人の不祥事、政治家のスキャンダルなどでテレビもネットも盛り上がっている。
「景も有名になったら千世子みたいに変装が必要だよな」
千世子のリスクマネジメントはしっかりしている。
特上の美少女と言っても過言ではない千世子には言い寄ってくる男が多い。
当然人気の男性アイドルや俳優たちもそれに含まれているが、千世子は誘いどころか、連絡先の交換もすべて断っているらしい。
さらに俺やアキラ君と出かけるときはばっちり変装をしている。
なので千世子はスキャンダルで世間を騒がせたことは一度もない。
世間を騒がせ続けているアイドルたちに見習ってもらいたいものだ。
「それにしても遅いな」
柊さんが家を出ていってから1時間近く経つ。
最寄りの本屋なら往復で20分もかからない。
「いや、心配しすぎか」
柊さんは20を過ぎた大人だ。
3つも下の俺が心配するのは失礼だろう。
『続いてのニュースです―――――――』
性的暴行や強制わいせつ被害を受ける事件が都内で多発しているニュースが流れた。
幸い死者は出ていないようだが、全身重傷のようだ。
「……てか近所じゃん」
事件現場は近所だった。
OLさんが仕事帰りに襲われたらしい。
「と、とりあえず電話するか」
だが柊さんが応答することはなかった。
もちろん不都合で電話に出れなかったり、着信に気づいていない可能性はある。
「一応、迎えに行ってみるか」
ルイとレイが起きても心配しないよう書置きを残して俺は家を後にした。
☆☆☆
今日もいつも通りの一日になるはずだった。
みーくんたちを起こして。
四人で朝食を食べて。
スタジオで事務処理をして。
レイちゃんとルイ君とお風呂に入って。
夕食を作って。
家事を終えたら漫画を読んで。
そんな平凡な一日になるはずだったのに……。
「大人しくろクソアマ!」
「やめて! 離して!」
漫画の新刊を買うために本屋に行った帰り道。
私は近道になる公園を横切ろうとしたところ、暴漢に襲われてしまった。
近所で性的暴行の事件が多発しているのは知っていた。
でも私には関係ないと思っていた。
彼氏はいたことないし、告白もされたことがない。
高校を卒業してからも自宅と事務所を往復するだけの日々。
男っ気が全くない生活。
オナニーだって両手で数えるくらいしかしたことがない。
だからレイプなんて私とは違う世界の出来事だと思っていた。
「うるさい黙れ!」
「あぐっ!?」
左の頬に衝撃が走った。
強烈な痛みで殴られたのだとわかった。
痛い。
怖い。
凶器で脅かされてるわけではない。
ただ殴られただけ。
それだけなのに私の身体は恐怖に支配されてしまった。
さっきまであれだけ叫んでいたのに声が出ない。
男を退かそうとしていた腕も力が入らない。
男を蹴飛ばそうとした足は震えている。
「次騒いだら殺すぞ?」
「ひぃっ」
初めて味わう暴力により支配に私はどうすることも出来ないでいる。
このまま私はこの男に犯されてしまうのだろうか?
いやだいやだいやだいやだ!
助けて。
たったの四文字なのに言葉を放つことが出来ない。
「そうだ。大人しくしてれば痛い目にあわなくてすむからよ」
「や、やめ……」
鼻息を荒くした男が私の上着に手をかけようとした時だった。
「ぎゃああああああっ!」
いきなり男が痙攣しながら悲鳴をあげた。
「あがっ……」
刹那。男は意識を失い倒れ込んだ。
「……………………ぇ?」
男が倒れ込んだことにより、背後に人がいるのがわかった。
その人は私がよく知る人だった。
「柊さん、大丈夫ですか?」
「み、みーくん……?」
次回は雪ちゃんがみーくんを押し倒す