とある大貴族の家宝たる壺を壊してしまったメイド・セルフィは、国の法に則り罰を受ける事となる。
その罰とは、片足では持ち上がらない程に重い靴を履いて街から首都までの道を歩く、通称・重靴の刑。
牢から首都までの道を征く3日間、彼女を地獄のような責め苦が襲う。
靴ずれの痛み、尿意、そして復讐……
果たしてセルフィは無事に牢に辿り着くことができるのか。
暴力的なシーンがあります。好きな方は見て行ってください。
感想や評価、指摘等は容赦なく送っていただいて構いません。今後の作者の原動力になります。
西の小国・ランドランド帝国には、特殊な刑罰が存在する。
それは、『危害を加えた部位に対し、痛みを伴う集中的な刑罰を加える』といったものだ。死刑制度の存在しない帝国において、この刑罰は非常に恐ろしい物として認知されていたようだ。
例えば、誰かを撲殺した者は、撲殺を行なった者の手に対して相応の罰が下される。
罰の程度は、罪の総量に応じて決定される。
目には目を、歯には歯をといった具合だ。
裁判において、行為が故意か否かが問われる事はない。罪は罪というのが、帝国の法的思想であったからだ。
殺人なら一級刑罰、それ以外は罪状に応じ、2〜10級の刑罰として扱われる。
ここで、詳しい事例を紹介しよう。
これは1645年に起きた事件の記録である。
小国の西方を治める大貴族・シリノル伯に仕える若い給仕、セルフィ=アノール。彼女の犯した罪は、【器物破損】であった。
それだけなら小さな罪に聞こえるかもしれないが、彼女が『踏み砕いた』のはシリノル家の家宝である壺だった。
損害総額は彼女の一生の給料を遥かに上回っており、当時の帝国法に照らし合わせ、彼女には死罪より重い罪が課せられる事となった。彼女はその身体を以て、罪を償う事となったわけである。
彼女へ下された罰は『両足への』『2級刑罰』……2番目に重い刑罰という事である。
この2級刑罰というものは特殊であり、1級刑罰とされる『切り落とし』に対して刑の裁量が決められていない。
つまり、どんな刑を課そうが自由なのである。命を以ってしても償いきれない罪を犯した罪人に対し、命尽きるまで苦しみを与え続ける。それが、2級刑罰なのだ。
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セルフィ・アノールは牢の中で静かに佇んでいた。
美しい金髪を肩まで伸ばし、細い手足と日に焼けた小麦肌を持つ、平民とは思えない瀟洒な顔立ちをした女性だ。ルビー色の目が可愛らしい。歳は今年で18になる。
彼女はシリノル辺境伯のお気に入りでもあり、街の人々の中には憧れの眼差しを向けるものも少なくなかった。
だが、それも事件が起きるまでの話。
今彼女は、絹の衣一枚のみを見に纏い、暗い石牢に錆びた鎖で繋がれている。裸足裏は石畳によって無数の擦り傷が作られており、焼けた小麦色の肌には、数日にわたる牢生活のせいで所々垢が浮かんできている。
そこには、清楚な給仕の面影は無い。
彼女には家族はいない。恋人も守るべき子供もいない。死んでしまえばそれまでの存在ではあり、等の彼女自身、自分の人生に満足も不満も感じてはいなかった。
彼女の心を支配していたのはただ一つ、これから自身を蝕む苦痛への恐怖のみである。これから彼女に課せられる刑罰は2級刑罰、死よりも恐ろしい刑罰だ。
牢の橋で身を縮こませる小さな身体が、小刻みに震える。瞳は涙に潤み、乾ききった唇の端端からは噛んだような血の跡が残っている。罰を受けるのは今日だろうか、明日だろうか。彼女に許されていたのは、震えて待つことのみなのだ。
そして、本日……その時は来た。
複数の鎧の足音に、彼女は身を震わせる。鎧の音に混じって、チャプチャプと水の音も聞こえてくる。それらの音の正体を想像し、彼女はまた身体を小さくして震えるのだった。
やがて、やって来た2人の騎士が牢の戸を開けた。そのうち1人は、手に小さな桶を持っている。
「おい、囚人。禊の時間だ」
低い声でそう告げると、騎士はセルフィの細腕を掴み、力任せに引きずった。衰弱し切った細身には騎士に対抗できるだけの力はなく、彼女はされるがままに桶の前に立たされた。
「足をつけろ。貴様の汚れた裸足を、ここで浄めるのだ」
濁り一つない水が、地下牢に吹く風により、僅かな波を立てている。
ここで抵抗する理由もない。
セルフィはおずおずと水に足をつけた。
「つめたっ……」
思わず引っ込めようとした足を、騎士が押さえつける。騎士の力に従わされ、セルフィの右足はくるぶしの辺りまで完全に水につけられた。冷え切った足に残った僅かな体温が水に奪われ、彼女はブルっと身を震わせる。
騎士は小麦色の足甲を……次に煤に汚れた足裏を揉むように洗い、右足についていた垢と汚れを全て取り落とした。
左足も同じようにされ、彼女の両足は生まれたばかりの赤ん坊のような瑞々しさを取り戻したのである。
呆然とする彼女を、1人の騎士が盾で小突いた。桶から這い出た彼女は、ペチペチと音を立てて牢の石畳に裸足の足跡を作る。
騎士は彼女の縮れた金髪を鷲掴みにすると、持っている書類に顔を近づけさせた。
「惚けるな。これよりお前に課せられた罪、両足への二級刑罰を執行する」
書類には、靴の刑とあった。
その細かな内容は記されていなかったが、セルフィは直感的に、自分の足が何らかの靴によって酷い目に遭わされることを察した。
果たして、彼女の想像通り、3人目の騎士は巨大な鉄の靴を抱えて現れた。騎士たちが身につけているグリーブより、2回りほど大きな鉄の具足。当然ではあるが、彼女の細足と比べるまでもない。
ドスンと重い音と共に、彼女の前にその靴が置かれる。靴はまるで巨人が履くような巨大さだというのに、不思議なことに、その口は彼女の裸足がぴったりと収まるほどに小さかった。
「靴の刑は複数の刑罰により構成される。これがまず一つ目、重靴の刑だ」
いうや否や、騎士はセルフィの足首を掴むと、鉄靴の口に押し当てた。
この鉄の靴が自分に与える苦痛が分からない。分からないという事は、今の彼女にとってあまりに恐ろしかった。
セルフィは渾身の力を込めて抵抗したが、騎士の力は強く彼女両足は鉄の靴に収まってしまった。
騎士は素早く彼女の両足首を押さえつけ、特殊な器具で足と靴を固定した。これで、彼女は独力ではどうあがいても靴を脱ぐ事はできなくなってしまったのである。
皮の靴とは違う、全身を締め付けてくるような冷たい圧力に、セルフィは痛みを感じる。
しかし、それ以上はない。
刑罰の内容を訝しむセルフィを置いて、騎士は淡々と刑の内容を読み上げてゆく。
「お前はこれより3日間、その重靴を履き、この国の首都エンセラルドまで向かう。道中は我々帝国騎士がお前を護衛する」
エンセラルドという言葉に、彼女は聞き覚えがあった。この国の首都であり、特別な拷問広場が存在する場所である。
かつて死罪が存在したこの国では、重罪人を処刑するのにこの広場を用いていたのだ。
彼女のいるこの牢はエンセラルドの近郊に存在する。普通に歩けば半日とかからないだろう。3日というのは大袈裟だ。
そう思った彼女だが、一歩を踏み出した彼女は、それが浅慮だったと知ることになる。
一歩を踏み出そうとしたその瞬間、何かが彼女の足を引いたのだ。その力は強く、彼女は倒れそうになる。牢の壁を掴んでなんとか体勢を立て直した彼女は、足元を見て、自分の足を引いた物の正体を察した。
その犯人は、靴であった。靴の持つあまりの重量に、彼女の足首が耐えられなかったのである。鈍い痛みを訴える足首をさすろうと腰をかがめたところで、騎士は彼女の頬をピシャリと打った。突然の暴行に目を丸くする彼女に、騎士は厳しく言い放つ。
「お前はこの3日間、座ることも必要以上に屈むことも許されない。我々は交代でお前を監視する。もし座ろうものなら、制裁を加えることを我々は許可されている」
騎士はセルフィの喉に首輪のようなものを装着し、なおも続ける。
「なお、我々は確実に3日以内にエンセラルドへ着かねばならない。できなければ、我々に待っているのは処断の憂き目だ。お前の歩みが遅いと感じた時は、躊躇なく我々はこの手綱を引く。いいな」
騎士が首輪についた鎖を引くと、セルフィの身体は否応なしに前へと進められた。いつの間にか、両手は後手に回され、錠で拘束されてしまっている。
首を引く力に抵抗することもできず、セルフィは重い靴を引きずりながら牢を進むしかなかった。
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セルフィが歩みを始めてから、およそ半日が経過した。
森を征く彼女が見ることができるのは、沈みかける夕陽と、それを遮らんと葉の手を伸ばす木々のざわめきのみだ。
湿気を纏った夏の風が肌をなぜる度、彼女はその冷たさに身震いする。太陽に照らされているならいざ知らず、絹一枚しか着るものを許されていない彼女にとって、冷たい森の中で、水を纏った風は拷問にしかならないのだ。
先達して首輪を引く騎士の顔を伺う限り、焦りは見えない。首都までの道はあとどれくらいか……屋敷から町の中心部までしか行動範囲を広げてこなかった彼女には、町の外の地理の知識は無かったのだ。
足が重い。そう感じられていたのは、最初の頃だけだった。今彼女を苛むは、足首の痛みと首元の痛みである。
凄まじい重量を持つ鉄の靴を履いて動くには、非力なセルフィでは脹脛と腿の力を使い、足首と脛の付け根を前に突き出すようにしてずり歩くしかない。とうぜん、そんなことを続けていれば足首付近が悲鳴を上げる。
すぐに休みたくなるセルフィだが、歩くのをやめた瞬間、彼女の前を歩く騎士が彼女の首をグイと引くのだ。
頸椎を強く圧迫するその行為に、彼女の体は反射的に前へと進んでしまう。脹脛が吊ろうが、首が痛もうが関係ない。方時も休む暇はなく、彼女は裸足で鉄の靴を履き、両足を酷使しながら前へと進み続けるのだ。
「……ぁっ……くっ……ふぅ……ぅっ」
短い呻き声を断続的に上げながら、セルフィは重い一歩を牛歩ながら踏み出してゆく。
彼女を護衛する3人の騎士たちは皆寡黙であり、彼女に無駄話を振る事は無かった。セルフィ自身もまた、自身を襲うこれからの苦難を想像し、話をする事は無かった。
やがて日は沈み、月が昇った。
騎士達は焚き火を焚くと、彼女を遠く離れた巨木に縛り付けた。
「っ……」
身を捩れど、硬く結ばれた縄は彼女が座る事を決して許さない。セルフィは騎士達を睨みつける。自分はこんなに苦しい思いをしているのに、彼らは楽しそうに談笑している。
(騎士なんて、皆醜い男のくせして……)
自分より遥かに外見で劣る彼らが、自分より楽しそうにしている。その事実がが許せなくて、セルフィは酷く顔をしかめた。
すると、騎士の1人がこちらへと近づいてきた。睨んでいたのがバレたのかと思い、慌てて顔を伏せると、騎士は彼女の顔を覗き込むように屈み込んだ。
「疲れたか、囚人」
その声が思いの外柔らかくて、セルフィはわずかに視線をもたげた。他の騎士達より少しだけ歳を喰った、おじさんの騎士だった。
髭を濃く生やしたその顔は、お世辞にも美形とは言えない。
そんな顔をこれ以上見ていたくなくて、セルフィはまた顔を逸らした。
「……」
「こっちだって、誤送任務は暇なんだよ。隊長のいないところでくらい、息抜きさせろ」
黙ったままのセルフィに構わず、騎士は続ける。その口振りは、まるで喋らない者を相手にするのに慣れているかのようで。
彼女に対し、騎士は柔らかい声で続けた。
「正直に言えよ、この刑罰終わったら、なにがしてぇんだ」
「終わっ、たら?」
思わず聞き返してしまったのは、男の言葉の中にあったものが、セルフィ自身の予想の範囲になかったからである。
この処罰が終わることばかりを考えていたセルフィに、『終わってからの幸せ』は甘い蜜の如く流れ込んできた。
「お前さん、シノリルの所の給仕だろ?何したのかは知らねぇが、若い美空でこんな刑罰喰らっちまって、可哀想にな」
「あたしにだって分かってないのに、アンタになんか、分かんないわよ。あたし達平民は、いつだって貴族のオモチャ……それに、こうなっちゃった以上、未来なんてないわよ」
セルフィの回答に、騎士はガシガシと頭を掻いた。その仕草に少し腹が立って、セルフィは舌打ち混じりに眉を寄せた。
「なによ」
「いや、な。未来なんてなぁ、意外と簡単に開けちまうもんなんだぜって事を言おうとしてたんだがな」
「そんなわけないじゃない。てか、オジサンだってこんな事してる時点で、開けてないじゃん未来」
「おや、手厳しい」
騎士は戯けた仕草で耳を塞ぐと、そそくさとセルフィの前から離れていった。その一連の流れと軽口には苛立ちしか覚えなかったが、不思議と彼の言う事には厳しさは感じなかった。
数日に渡る牢生活により凍り付いていたセルフィの心は、ほんの少しだけ氷解した。
騎士は去り際、小声でこう言い残していった。
「囚人、お前さんはまだ若い。お前さんを拾ってくれる奴が、どっかにいるはずだ」
「余計なお世話よ……アンタなんかに言われる筋合いないわ」
その声が騎士に届いていたのかどうか、セルフィに確かめる術はなかった。だが、不思議と彼女の心には、彼に対する信頼が芽生えつつあった。
腰に巻かれた鎖はセルフィが座る事を妨げ、彼女は夜一日中、寒さと両足の痛みに耐えながら過ごす事になった。
月を見上げ、受ける彼女。そのルビー色の瞳には明らかな疲れが見て取れるが、その中にはまだ希望の光があった。
「刑罰が終わった後のこと、か」
一言とて話す事は無かったが、彼女の中にはまだ、この刑罰を乗り切ろうという意志の力が残っている事を感じさせた。
しかし、真の地獄は次の日から始まるのである。
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次の日の朝、森の天井を朝日が越えるのを待たずして出発したセルフィと騎士達は、昼下がりには既に森を抜けることができていた。
森を抜けると、今度はうだるような夏の太陽が彼女の肌を焼いた。風の少ないこの地方において、この地獄の行進は拷問に等しいのだ。
騎士達は定期的にセルフィに給水を施しており、それによってセルフィは決定的な衰弱を免れていた。足と首、およびそれを支える腰などの筋肉に痛みを覚える事はあれ、彼女の体力にまだ余裕があるのは、騎士達の尽力あっての事なのである。
森の向こうに見えるのは、シリノル伯が治める町の一つ、クーアノールの町である。首都エンセラルドの付近に位置するこの街は、小さいながらも多くの民が住んでいた。
シリノル辺境伯の統治は清廉潔白そのものであり、領民の殆どはかれを敬い慕っていた。
そんな彼らにとって、伯の家宝を踏み抜いたセルフィは彼らにとって恩人の仇に同じだった。
この重靴の刑は、そういった「晒し刑」の要素を含む刑罰でもあるのだ。
晒し者にされれば、もうその街では働き辛くなる。彼女にとってこの刑罰は、自身の居場所を奪われると言った側面も持っているのだ。
しかし、それとは別に、彼女には不安ごとが一つあった。
尿意である。
牢無いを含め、携行食以外何も食べさせてもらっていない彼女にとって、便意はそこまで大した問題ではなかった。ロンドロンド帝国の携行食は、腹持ちが良く、吸収も良い事で有名だった。
だが、尿意となると話は別である。
昨日、昼間も夜中も騎士に見張られていた彼女は、用を足すことができていなかった。昼間に何度か騎士にそれとなく話しかけたものの、騎士は彼女の声に耳を傾けず、それが原因で彼女の膀胱には未だありったけの尿が溜まったままなのだ。
何度か無理やり用を足そうと股に力を込めた事はあったが、その旅に騎士が首の手綱を引くので、彼女の膀胱は驚いて尿を引っ込めてしまうのだ。
町の入り口が見えてきた時、セルフィは眉を逆立て、口を固く結び、鼻水と涎を垂れ流した……苦悶と絶望が入り混じったような、それは苦しそうな表情を浮かべていた。
彼女の不名誉な凱旋を見ようと、町中には多くの町民が駆けつけ、左右に分かれて列を作っていた。騎士はそれらの民を時に押し退け、セルフィを無理に歩かせる。
セルフィは股に必死に力を込め、渾身の力で足を動かしながら、煉瓦造りの街を進む。
「や……っ!!ふん……っ!!」
一歩を踏み締める度、彼女は微かな嬌声を漏らしながら、足を僅かに内股へと傾ける。一歩を踏み出す時、内股のままだと距離を稼ぐことができない。
だが、内股を維持しなければ彼女の股下にある堤防は決壊し、黄金の蜜が滝のように垂れ流されることになるだろう。
それはセルフィにとって最も不名誉な事であり、同時にこの町での彼女の居場所を完全に奪う事を意味していた。名誉と生存、その二つをかけ、彼女は全身全霊をかけてでも、一滴の蜜も溢す事は許されなかったのだ。
靴の中は夏の熱と彼女の汗とで、既にうだるような熱気に包まれている。滑って脱げてしまえばどんなに素晴らしいかと思うだろうが、彼女の足首に固定された器具は、全く持ってそれを許さないのである。
さて、騎士の尽力と彼女の弛まぬ股と足首の努力により、セルフィは町の中央まで進むことができていた。
股下で煮え繰り返る肉の窯は、そのうだちを最大限に高めており、その蓋を外せばすぐにでも湯立ち切った液状の黄金が溢れでることだろう。
時は稼ぎ時だというのに、商人達は自分の店を放り出してまで、セルフィのアラレもない姿を見に顔を出している。
幾人かの男が頬を緩めては、その隣にいる女性が彼を思い切り引っ叩くのだ。
だが、彼らが囚われるのも無理はない。
1日を越える行軍による疲れと股下の沸騰を耐え続けた彼女の全身は汗に塗れ、酷い異臭を放ちながらもぴっちりと絹の服をその細身にへばりつかせていた。
彼女の乳とてそれは例外ではなく、その登頂には桃色の小さな突起がくっきりと浮かび上がっているその股下はぐっしょりと濡れそぼり、夏だというのに湯気が見えてきそうだ。
そんな状態で、彼女は苦悶に身をよじり、喘ぎ声を漏らしながら一歩を進んでいるのである。
これを、色気と呼ばずしてなんと呼ぼうか。
「はぁ……はぁ……んっ……ふぅ……っ!?」
頬を真に紅潮させ、セルフィは歩みを続ける。腰は既にひどく前屈みになり、口から見える真っ黄色の歯がカチカチと音を立てる。
その全身の様子が、彼女の肉体的限界をありありと語っていた。
しかし、それを目の当たりにしてなお、騎士は彼女の首から伸びる手綱を引く力を、全く緩める事はしないのである。
「うぅ……も、もう……っ!!だめ、っ!!」
内股を維持する事、足に力を込め、前に進む事。それらを両立する事ができなくなりつつある彼女の瞳から、一筋の涙が伝った。それを皮切りに、瀟洒を維持していた彼女の顔面は涙と涎、それとよく分からない汁に塗れ、くしゃくしゃに崩れ始めた。
汗にまみれ、もう鉄と肌の境目すら分からなくなった靴と足を震わせ、彼女は腰を大きくかがめる。
騎士が首を引いても、もうその足は動かない。必死に内股を続け、彼女は自身の細い股から、液体が伝う事を必死に止めている。
「み、んな……みない、で……っ!!」
からからに乾いた喉を震わせ、声にもならない声で彼女は民衆へと訴えかける。そこに、かつての給仕としての優雅さはどこにもない。
息を荒くし、醜く顔を歪める彼女に、さしもの領民達の中にも哀れみの眼差しを向けるものが現れ始めた。
ふと、その瞬間、空気を切り裂き、彼女の身体を打つものがあった。
それは彼女の背中を強く打ち、彼女の姿勢をピンと縦に立たせた。足元に転がり落ちたそれをみた彼女は、それの正体を知った。
「いし?」
彼女に痛みを与えた投擲物は、子供の掌に収まるほどの石であった。
皮切りはここであった。
民衆の列の至るところより、彼女に向けて投石が始まったのである。
2人の騎士は彼女を取り囲むように盾を構え、石の多くを防いでいた。だが、その盾の隙間を抜けてくる石は多くあるもので、それらはセルフィの身体を強く打ち、鈍い痛みを彼女に味合わせる。
「うっ……ううっ……」
股下からこぼれそうになる黄金水の痛み、足首と首、腰を襲う肉体の疲労から来る痛み、そして投石による容赦ない痛み。
痛みのカクテルパーティは疲れ切った彼女の精神を加速度的に削っていき、彼女の姿勢を丸くかがめさせた。
「やめよ!!今より石を投げた者は、後に4級刑罰の勅が下ることとなるぞ」
「やめろってのが分からねぇのか!!」
騎士達が大声で叫び、盾を構えながら民衆の列へと突撃してゆく。鍛え上げられた彼らの盾は民衆を吹き飛ばし列の一部が大きく崩れた。
しかし、それは同時に、彼女を守る盾が無くなったことも意味していた。
鋭く投げられた一つの石が、彼女の体目掛けて鋭く飛ぶ。石は不幸にも彼女の下腹部に命中し……限界を超えつつあった彼女にとって、それは決定打となった。
「あ、あぁっ……ああうっ……」
石は彼女の膀胱にかけている力を麻痺させ、絹の布一枚先に隠された蜜口から黄色の水を滴らせた。惚けている彼女に、それを止める力は残されていない。
黄色の線が2本、3本と馬のような脚線を伝い、鉄の靴のうちに流れ込んでゆく。
民衆のうちから、どよめきが漏れる。
「あの女、粗相をしたぞ!!」
その声に、騎士達を含めた民衆全員の喧騒がピタリと止んだ。彼女の意識もそれで我に帰った。緩んでいた股に力を込め、これ以上の粗相を隠すべく必死で股を締める。
だが、もう手遅れだった。
湯立ち切った黄金の窯は、ゆっくりと地へと傾けられたのである。
「あ、ああぁ……」
セルフィの必死の抵抗虚しく、彼女の絹の服の裾から一筋の黄金の線が落下した。両手を縛られている彼女にそれを隠す術はなく、一筋だった線は太さを増し、さながら動物のそれのように凄まじい放射へと変わってゆく。
「あああああっ!!ああああうううっ!!」
1日と半をかけて蓄えられた尿の大結晶。その匂いの凄まじい事よ。観衆の多くは鼻で手を覆い、子供のいる者はその子の目を覆った。
セルフィにできる事は、恥を耐えながら、一刻も早く放尿を完了させる事のみ。しかし、心の中で1分が経てど2分が経てど、股から溢れる水流は一向に治る気配がない。
「どまっで……どまっでよぉ……っ!!」
声にならない叫びを上げ、セルフィは必死に股を閉じようとする。鉄の靴の中は既に彼女の尿に塗れ、沼を踏んでいるような酷い感触を生み出している。
力の入らない足をガクガクと震わせながら、彼女は一歩でも前に進もうと足を地面に擦る。
だが、いくらタタラを踏めど、それは不快感を生み出す結果にしかならない。足元は汗と尿の混じった不快地獄。股下は、止まらない尿を押さえつけなければならない快感地獄。そして脳は観衆からの視線に耐えなければならない羞恥地獄。
セルフィは今、三つの地獄を味わっているのだ。
町の皆に放尿を見られている羞恥と、我慢してきた尿意を解放できる快感の狭間に囚われ、彼女は恍惚の中でひたすら叫び続けた。
全身を絶望と苦しみに苛まれながら、彼女の表情には、確たる快感の色が刻まれていた。
やがて、滝のようだった線は岩清水ほどに細くなり、糸よりも小さくなって消えた。
「はあっ……はぁっ……」
荒くなった息を整えながら、セルフィは町の人々の顔を見て、絶望する。
哀れな奴隷を見る目、裸の躍り子を見つめるような好機の目。それらは、今まで美しい給仕として築き上げてきた彼女の矜持を完膚なきまでに打ち砕いた。
「やあっ!!みないで!!みないで……っ!!うううううっ……ううっ……」
もう、誰にも彼女に石を投げる者はいなかった。股をかがめ、止めどなく涙を流す彼女に送られるのは、哀れみと蔑みの視線だけだった。
顔を覆う事も、涙を拭うことも、膝をつくことも許されぬまま、身体中を襲う鈍い痛みと、心を貫く致命的な痛みの中で、彼女は泣き崩れた。
やがて、首を引かれる力により、彼女の歩みは再び始まった。ピチャピチャと淫らな足音を立てながら、半ば引きずられるように彼女は街を後にした。
もうその目に、力はなかった。
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二日目の夜、再び木に縛り付けられたセルフィは、全身を襲う痛みに眠ることもできず、ひたすらに身をよじっていた。
眠れない理由は疲れのせいということもあるが、その主な理由は足裏の痒みにあった。
密閉されているということが仇になっているのだろう、夜だというのに重靴の中は蒸れに蒸れ、彼女の足を不快感に包み込んでいた。
これは汗によるものだけでなく、彼女の尿が混じっているからでもある。その事実が、わずかに残ったセルフィの自尊心を傷つけた。
チャプチャプ、チャプチャプと音を立てて足を擦りながら、足裏を襲う痒みを少しでも和らげようとセルフィは頑張っている。
そんな孤独な努力を続ける彼女の元に、足音が近づいてきた。
薄目を開けて音のする方を見ると、鎧を外した騎士の1人が、こちらへ向かってきていた。
昨日のおじさんより格段に若い、屈強な体つきの騎士である。
他の2人は眠っており、彼の動きに気がついてはいないようだ。
何やら不穏な気配を感じたセルフィは、彼らを起こすべく、息を大きく吸い込んだ。
「おー……」
い、と叫ぼうとした彼女の口を、騎士は凄まじい速度で抑えた。騎士の手をどけようと暴れるセルフィだが、いつも大楯を構えている男の剛力に叶うはずもない。
このままでは呼吸が苦しくなると思い、彼女は体から力を抜いた。
抵抗力が失われた事を確認したのか、騎士はゆっくりと口から手を離し……セルフィの腹を思い切り殴りつけた。
「ぐ……うっ!!」
鳩尾のやや下の方への打撃。臓器の奥まで響くかと思われる打撃は、セルフィのお腹に鈍い痛みをくらわせた。痛みを逃したいが、木に縛られている彼女にはそれができない。
再び叫ぼうとするセルフィが肺を膨らませると、騎士は彼女の鳩尾を殴りつけた。
「か、ひゅっ……」
肺にためていた息が全て吐き出され、セルフィの呼吸器が悲鳴を上げる。
続けて繰り出される剛腕による連打。
騎士が彼女の腹部に拳を叩きつける度、セルフィは鈍い悲鳴を上げ、瞳をかっ開き、嘔吐物の混じったよだれを吐き出した。
「ひゅっ……ひゅーっ……」
喉が変な音を上げ始めた頃、騎士はセルフィを睨み、ようやく拳の固めを解いた。
かがみ込み、瞳の焦点が合わないセルフィの頬をつまみ、騎士は顔を近づける。
「抵抗するなよ、いいね」
敵意の籠もった騎士の声に、セルフィは諤々と頷く。恐れと恐怖で顔は歪み、その両足はいつもにも増して震えている。
騎士は顔色一つ変える事なくそれを確認すると、彼女の背後に周り、彼女を木に縛り付けていた戒めの縄を解いた。
自由になった彼女が思わず地面に膝をついても、騎士はそれを咎めることはしない。明らかに昼間とは様子の違う彼に、セルフィは不安を覚える。
「なん、で、助けてくれるん、ですか」
「助けるわけじゃない」
草の這う地面に寝転がるセルフィを見下ろし、騎士は自分の身につけている防具を外し始めた。彼が何をしようとしているかはセルフィにはわからない。
だからこそ、彼女は彼の一挙一動を注視することしかできなかった。騎士は防具を次々と外しながら、ため息混じりにセルフィに語りかける。
「僕の主人はね、元はシリノルの爺さんだったんだよ。彼はなんの役にも立たない僕を、門番として雇ってくれた」
「……」
「あの爺さんには感謝してる。身寄りのなかった僕を雇ってくれたんだ。いつか恩返しがしたくて、それで、今日に至るまで鍛えてきたんだ。おかげで、騎士になりすまして潜り込んでも何も言われなかったよ」
騎士は防具の全てを外し終え、下半身のズボンに手をかけた。そこで、セルフィは全てを察した。
息を荒げ、腹筋に力を入れて横になった体を起こそうとする。芋虫のようにのたうちながら立ち上がろうとするセルフィの腹を、騎士は思い切り蹴り上げた。
「ーーーーーーーーーーッ!?」
鉄製のグリーブの先端が下腹部に食い込み、セルフィの喉から声にならない悲鳴が漏れる。それでも立ち上がろうとする彼女を見下ろし、騎士は続けた。
「家宝の意味分かってる?家宝ってのはね、その家を格付けする品なんだよ」
息を荒げながら、鉄製の重靴を引きずり金髪を振り乱してずり歩くセルフィ。しかし、少し進んだところで、その細身は騎士の巨腕によって押さえられる。
「品がなくなれば、貴族は終わり。シリノル家の伝統も、あの代で終わりなんだよね。だから、僕はお前に、できうる限りの辱めをしてやろうと思ったのさ。とどのつまり、復讐だよ」
騎士はセルフィの真っ正面に回ると、剥き出しになった巨大な一物を垂れ下げて見せた。夜だというのに黒いとわかるその一物は、男を知らずに働いてきたセルフィにとって、初めて見るものであった。
困惑するセルフィに、騎士は再び膝蹴りを喰らわせた。痛みに耐えかねしゃがみ込もうとする彼女の頭を両手で捉え、騎士はピンと屹立したその肉塔を彼女の口へと近づけた。
「しゃぶりなよ。殺されたくなければさぁ」
腐った卵と香草の混じったような酷い匂いが、彼女の鼻を曲がらせる。こんなものが口の中に入っただけでどうなるか、想像するだけでセルフィは背筋の鳥肌を抑えられない。
男は金髪を鷲掴みにすると、彼女の顔面をグイとモノに近づけた。
両手を拘束されたままのセルフィに、男に逆らう術はない……騎士もそれを分かっているのだろう、何度もセルフィの頬を殴り、力任せに口をこじ開けようとする。
口端からは血が流れ、土に塗れた頬に青い痣が浮かび上がってゆく。
やがて、セルフィの頭から力が抜けた。それを知った騎士は鷲掴みにしていた髪から手を離す……その瞬間だった。
「ッ!!」
セルフィの背中が大きくしなったのだ。まるでシャクトリムシが他の木に乗り移らんと体をくねらせるように、背を大きく逆方向に曲げたのだ。
騎士が反応する間も無く、セルフィはその額を男の屹立塔に向けて勢いよく叩きつけた。
頭突きの直撃を受け、騎士は股を抑えて悶絶する。セルフィは立ち上がり、そんな彼を、怒りと侮蔑のこもった視線で睨み据えた。
「アンタね、一給仕でしかない私がそんな貴族の事情なんか知るわけないでしょ。私がアレを壊しちゃったのは事故。こんな処罰なんかとっとと乗り越えて、新しいお婿さんに娶ってもらうんだから」
「おあいにく様ね、負け組騎士さん」と言い捨て、セルフィは肺いっぱいに空気を吸い込み、寝ている他の騎士たちに向けて叫ぶ。
「助けてぇっ!!私!!殺されちゃう!!」
重靴を擦りながら、セルフィは少しでも声が届くように、騎士達の元へと歩を進める。
目測よりも遠い彼らに声が届いているかは分からない。だが、それでも彼女にとって、今の救いは彼らしかいないのだ。
「騎士のおじさんッ!!助けて!!たすけてよおっ!!こんなのイハンじゃないの!?アンタ達騎士でし……」
セルフィの叫びは、彼女の後頭部を襲う強い衝撃によって中断させられた。揺らめく視界の中で、ぐっすりと眠りこける騎士たちがいる。
いや、アレは眠っているのではない。彼らの首筋には、赤い線が滴っていた。
彼らは、既に殺されているのだ。
気がついた瞬間、セルフィの背筋を冷たいものがツーッと走り抜けた。
「殺されテェのか、テメェ」
謝罪の言葉を口にする暇もなく、セルフィの鳩尾に騎士のグリーブが食い込んだ。悲鳴を上げる間も無く二撃目が訪れる。
「ッ!?がっ……!?ぐうぅ……かふっ!?」
息を吸うこともできず、セルフィは男から振るわれる嵐のような暴力をただその身に受け続けるしかない。
脚、鳩尾、胸、顔、子宮口……余すことなく全身を暴力に翻弄されたセルフィは、もう息も絶え絶えになって地面に倒れ伏した。
最早、起き上がる気力すらない。そんなセルフィの首を掴み、騎士は先ほど彼女が縛られていた木の辺りまでその体を引きずった。
「立ってろよクソ餓鬼」
鬼のような視線で彼女を睨み据え、騎士は彼女の身体を木に固定した。これでもう、セルフィは抵抗する事も逃げる事もできない。
騎士は腹立たしげに彼女の頬を引っ叩くと、その服の端をめくり上げた。
「ッ!?やめてよ……ッ!?」
叫び声を上げようとしたセルフィの口に手袋を突っ込み、男は出しっぱなしだった一物を再び屹立させ、真っ赤なセルフィの子宮口に近づけた。
それが何を意味するかは、セルフィもよく知っていた。だからこそ、彼女は口の中の手袋をどうにかして吐き出そうとし、呻き声と涙を漏らしていたのだ。
だが、そんな彼女の努力に構わず、騎士の巨大な亀頭はセルフィの肉口へと滑り込んだ。
「ーーっ!!」
セルフィの股下に、今まで感じたことが無いような甘美な衝撃が襲いかかる。衝撃は彼女の予想を遥かに超え、急速に彼女の股を押し広げていった。
そして、ある位置を通過した瞬間、快感は、それを遥かに超える痛みへと塗り変わった。
「ぎ……ぎぃぃいっ!!」
まだ未経験の彼女の膣にとって、騎士の肉棒はあまりに大きすぎたのだ。子宮口から粘液混じりの血を垂れ流し、セルフィは手袋に抑えられた悲鳴を上げ続ける。
しかし、悲痛に塗れたその悲鳴を聞いても、騎士はその腰の躍動を収めるつもりはない。
「あー、タマンないねぇ!!仇を辱めてやるってのは、こんな気分だったんだね!!」
男が腰を振る度、肉棒は奥へ、奥へと進んでいこうと前後運動を繰り返し、セルフィの股穴から溢れ出る血の量は増えてゆく。
「んっ……!んんっ!!んんっ!!」
彼女の表情に、最早恍惚や快感といった文字は見て取れない。カッと見開かれたルビーの瞳、口端からだらしなく垂れ続ける涎も構わず手袋に突き立てられる歯。
そこから読み取れるのは、痛みの二文字のみだ。
「んんんんんっ!!んんんんっんっんっ!!」
涙まじりの悲鳴に反し、騎士が腰を振る速度が速くなってゆく。それはすなわち、彼の絶頂が近いことを意味していた。
身体中を這い回る鳥肌を抑えられず、ひたすらに泣きじゃくるセルフィ。騎士は彼女の腰にかける手の力を強め、上下運動を加速させてゆく。
「んーっ!!んーっ!!」
「何言ってんだか分かんないけど、僕は気持ちいいよぉ!!こんなクソみたいな高飛車女の操を、奪い散らせるんだからさぁ!!」
「んんっ!!んっ!!」
「僕が早漏で良かったね!!そろそろ終わらせてやるから!!」
騎士は短く叫ぶと、思い切り彼女の膣へ向けて肉棒を突き上げた。これまでに味わった痛みの最上級が子宮の奥へと突き抜ける。
どろっとした熱い何かが子宮の中に溢れるのを感じ、セルフィの目から光が失われた。
抵抗する力すら失ってしまった彼女の膣からゆっくりと黒肉棒を抜く。肉棒の後には白く濁ったベタつく液がドロリと垂れ下がってきた。
騎士はそれを一瞥すると、仲間たちの骸の元へと戻っていった。
彼がいなくなったのを確認し、セルフィは薄く目を開いた。その瞳には、悔しさも怒りも宿ってはいない。そこにあるのは、何もかも失ってしまった絶望だけだった。
目を閉じ、全身の力を抜く。
その口からは、一筋のよだれがツーッと伝うばかりで。彼女の大陰口から垂れ下がる真っ赤な粘液がシダの葉を濡らし続けていた。
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やがて、3日目の昼頃に、セルフィは首都エンセランドの中央牢まで移送された。
重靴を外され、牢へと放り込まれたセルフィは、騎士がいるのも構わずその場に倒れ込んだ。三日二晩歩かされ続けた彼女の全身は、とうに限界を迎えていたのである。
「殺してやろうとも思ったけど、君にはまだ罰が残ってたよね。もしそれを全部終えられて、それでも命があったら、その時は殺してあげるよ」
騎士の言葉を最期に、セルフィの意識が揺らいだ。
帰る場所も誇りも、乙女の純血すらも失った彼女を支えるものは、もう何一つ残っていなかったのだ。
闇の中で、セルフィは思う。
明日の処罰は、どうか苦しくありませんように、と。
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記録はここで途切れている。
大分筆者の主観が混じっているが、これは間違いなく、当時のランドランド帝国の刑罰の様子を描いた記録だ。
この記録には続きがあるようだが、今現在、その資料は発見されていない。
諸君らが、新たな記録を見つけられる事を祈っている。
お読みくださり、ありがとうございます。
GWに外に出られないと、日の光を浴びられず気が滅入りますね。アイデア自体は色々浮かんでくるのですが、それを文字にする活力が無いので、結局小説にはできずにいます。
エロ小説は基本投稿予定には無いイレギュラーの存在なので、次回の投稿は、予定通り木曜日です。
P.S.この小説は恐らく続きません。あと、PIXIVに同じものをあげています。