100日後にテクノブレイクした勇者 作:パァンけーき
【2日目】
昨日は腎虚で1日ぼんやりしていたせいで、自警団団長を勤めている幼なじみに見つかって、今日の
約束を破ると後が怖いので、鞣した革の胴衣を着付け、ブーツを履いて、腰に水筒と剣を提げた。
「起きてるか……と、聞くまでもなかったな」
「あれ、もうパトロールの時間?」
「そうだ。準備が出来たら行くぞ」
幼なじみと二人で自警団の拠点である櫓脇の簡素な小屋に入ると、斥候の
「二人か。今朝に
「お疲れ様です。いつもありがとうございます。それで、森で何か変わったことはありましたか?」
「足跡とうんこが比較的村の近くにあったな、それが今言った大猪の物なんだが。……森が少し、騒がしい。団長がいれば万が一もないだろうが、用心するに越したことはない」
「だそうだ。気をつけるんだぞ」
「はいはい」
「……まったく。昼には戻ります」
幼なじみと二人で村の外へ、大きな街道へと続く赤茶けた道から外れて林の中へと入っていく。既に仕事を始めていた木こりの友人と簡単な挨拶をして、森へ進んでいく。
「……二人っきりになるの、久しぶりだね」
「ああ、お前忙しいしな」
さっきまで毅然としていたのが砕けて、急に女言葉になった幼なじみに、今さら驚くような僕じゃない。警邏の時には、こうなるのが常だった。
「アレンは、ずっと村にいるよね?」
「どうだろ。馬が好きだから、
「それはダメ……馭者は山賊や獣に襲われて危ないし。アレンは若いんだから、馭者は村の年寄りに任せればいいよ」
「応援してくれないんだ」
「違うのっ!私はアレンのことを思って……」
「なにそれ、僕の母親か何かのつもりなの?」
「……ぁ……」
「……無駄話はやめよう」
お互いに黙りこくり、何か言いたそうにチラチラとこちらを見てくる幼なじみが痛々しかった。
僕は物心つく前に母親が死んだと叔父さんから聞かされている。村では僕の前で母親の話はしてはいけないと、暗黙の了解があって、さっきのは失言に傷ついたふりをする僕の意地悪だった。
「ごめん。……カトレアの言うことも分かるよ。本当は、馭者も興味無い。ただ、僕の可能性が村で終わるんだと思うと、怖くなるんだ」
「アレン……そうだったの。本当の気持ちを教えてくれて、嬉しいわ。私はね、アレンさえいてくれれば──」
「──避けてっ!!」
僕は腰の剣を抜いてカトレアの頭を狙って突き出した。一瞬で思考が切り替わったカトレアは前方へスライディングして僕の剣を避けて、剣は有翼の魔物の飛膜を傷つけた。
「落ちたっ」
「ギュイッ!?ガァーーッ!!」
バランスを崩した魔物は地面に転がり、牙を剥いて飛びかかってきた。
「はあぁっ!!」
カトレアが木葉を巻き上げて体を反転させると、一歩で魔物との距離を零に──紫電一閃。振り抜いた姿勢で静止すると、手には血で濡れた剣が握られている。魔物は、カトレアの一刀で首を断たれて絶命していた。
「こんな魔物が、どうして森に」
醜悪な顔をした魔物を観察し、不吉な気配を感じた。
『世界が滅亡に近づいています』
たちの悪いノイズだと、意識的に無視していた声が、今は真実のような響きがあった。
『私達の赤ちゃんのために℃#%☆──』
アー、キコエナイ。ナニモキコエナイ。