※この作品はR-18です。

人類の大半が女性になった世界でも、Hをするのは大変なんです。   作:冴木凛

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12 シエル

 まずは一番軽い連絡、つまり雲雀シエルへ落とし物の連絡をする。

『初めまして、一年の深山レントと申します。今日、ぶつかってしまってすみませんでした。お怪我はなかったですか。その時に、紫色の万年筆を拾いました。雲雀先輩のものではないでしょうか。心当たりがある場合はご連絡ください』

 ちょっと硬すぎるか? そう思いつつも、学内メールの送信ボタンを押す。

 さてその次は……ヤヨイさん、かな。

『お話したいことがあります。会えませんか。返事待ってます』

 文面が深刻過ぎて笑えるが、まあ、いいか。

 とりあえずその二つを送り終え、何か飲もうとキッチンに行くと、端末の電子音が鳴った。

 早いな……

 端末を見てみると、シエルからの返事だった。メールを開いてみる。

『初めまして、レントさん。あ、でも、もう会ってるのだから、初めてじゃないですね。連絡ありがとう。どこに落としたのか分からなくて探していたので、とてもうれしいです。万年筆は、明日、レントさんの教室まで取りに行くので、持ってきてもらえますか。お願いします。』

 随分と丁寧な人だと思いつつ、俺はそれへの返事を書く。

『分かりました。では明日、持って行きます。こちらこそお願いします』

 よし、これでとりあえず一件終わり……そう思っていたら、再び返事が返ってきた。送り主はシエルである。

『ご丁寧にありがとう。こうやってレントさんからメールをもらうと、ぶつかった時のことを思い出します。痛くはなかったですか? 気が動転してしまっていたので、謝罪もできずにごめんなさい』

 こちらの心配をしてくれている。あの時の印象とは違い、明るそうな人のようだ。

『全然大丈夫です。先輩に怪我が無かったか心配でした』

『心配してくれてありがとう。とてもうれしいです。あ、でも』

 そこでメールが切れている。続きがあるのかとしばらく待ったが、そうではないらしい。

『どうかしましたか?』

『いえ、大丈夫です。いえ、大丈夫じゃないかもしれません。思い出した途端、レントさんに触れた肩、握られた腕が、熱く火照ってきて、少し苦しいです』

 メールを見て目が点になった。この人は、何を書いているのだろう。何か……何かが違う。相手の名前を確認してみたが、確かに『雲雀シエル』と書いてある。

 サブウィンドウで生徒情報を確認してみたが、登録してある写真は、階段の踊り場でぶつかった、長い黒髪をした少し重たい雰囲気のあの女性のものだ。

『あの、どこか怪我したのですか?』

『いえ、怪我ではないです。体が火照ってるだけで、手が止まらないです』

 ……何、これ。

 唖然としてしまって、何をどう返せばいいのか分からない。その間にもどんどんとメッセージが送られてくる。

『シエルの、恥ずかしいアソコを、レントさんが握ってくれた手で触ると、電気が走る様に痺れます』

 ……ちょ

『シエルは今、イケないことをしています。まるでレントさんが触ってくれてるようです。レントさんを思い出して、シエルは今、オナニーしています』

 ……待って

『手が、止まりません。クリトリスをいじる手が止まらないんです。レントさんが触ってると思うと、止まらないんです』

 ……いや

『あ、ああ、いきそうです。シエルはいけない子です。シエルの恥ずかしい姿、見てくれますか?』

 そこで少し時間が空き、そして、写真が送られてきた。そこには、生徒情報に載っていた写真の女性が、制服姿のスカートをまくり上げたあられもない姿……ピンク色のオマンコを愛液でべとべとにし、中指でクリトリスをいじっている姿が写っていた。処理しているのだろうか、毛は生えていない。

 目が……今日会った時は眠そうな半目だったものが、今は大きく見開かれ、切なそうに歪んでいる。

『シエルの恥ずかしいオナニー姿です。レントさんも、私の姿を見て、オナニーしてくれますか? 私の恥ずかしい姿をオカズにしてくれますか?』

 これは想定外だ……どうしたらいいか、困ってしまう。

『動画の方がいいですか?』

『待ってください、先輩。どういうつもりですか?』

 素直にそう送った。そして、そう送ってから、もう少しソフトに言うんだったと後悔した。シエルからのメール送信が止まる。まずかったかと思っていると、一文が送られてきた。

『ごめんなさい、許して』

 なんだか、やばそうな予感しかしない。

『気にしてません。大丈夫です。大丈夫ですよ。ビックリしただけです』

 そう送り返したのだが、

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』

と返ってきた。句読点無し。やばさマックスか?

『謝らないでください。大丈夫です』

 この場を収めないと……とりあえず思いついた言葉だけを送った。しかし、次にシエルから送られてきたメールには、『ごめんなさい』という言葉が何行にも渡って書かれていた。

 それに返信しようとして、またメールが来る。そして次々と。それらすべてが『ごめんなさい』で埋め尽くされている……これ、どうしよう。

 サアヤに聞こうか、そう思ってから思い留まる。そして俺は覚悟を決めた。

『先輩、怒ってないですから! というか、先輩がエッチ過ぎて興奮しました!』

 そう書いて送信する。と、シエルからの『ごめんなさい』メールが止まった。しばらくの無音の時間。そしてメール着信の音。メールを見ると、

『ほんとうですか?』

と書いてあった。

 ……怖い、怖すぎる。

『ほんとうです、ほんとうです。こんなに興奮していいのかな、なんて思うくらいです』

 なんだか、どんどん深みにはまっていってるような……さすがに不安を感じたが、また着信音が鳴る。

『うれしいです。レントさんの優しい言葉を読んで、シエルのエッチなオマンコから、お汁があふれてきて止まりません。音も聞いてください』

 音声ファイルが……再生すると、くちゅくちゅという卑猥な音が響いた。

『興奮しましたか? シエルのイケないオマンコの音をオカズにしてくれてますか?』

 そして更なるメール。しかし、事ここにきて、雲雀シエルに対して興味がわいてきた。あの雰囲気から想像できない、卑猥なメール……一体どんな人なのだろう。

『はい、興奮が止まりません。先輩、よかったら一度二人でお会いしませんか?』

 Qかもしれない。五年生か……ソフィーアなら何か知っているだろうか。

 

 そんな風に考えていたのだが、しかしそれ以降、シエルのメールはもう来なくなってしまった。

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