※この作品はR-18です。

人類の大半が女性になった世界でも、Hをするのは大変なんです。   作:冴木凛

18 / 27
18 ソフィーア&ヤヨイ3

 床一面に広がったおしっこをタオルで拭いている俺を、ソフィーアは顔を真っ赤にしながら見ていた。それも『プレイ』の内に入っているらしい。時折、そのタオルを匂う仕草をソフィーアに見せると、ソフィーアは顔を背けながらも、物欲しそうな目線を俺に向けるのだった。

 と、そろそろ床を拭きおわるかというところで、地学研究室の扉がガラッと開く。入ってきたヤヨイが、呆気に取られた表情でしばらく俺とソフィーアを見ていたが、つかつかとソフィーアに近づき、彼女の肩に腕を置いた。

「結局、ソフィーアも『歓迎』したんじゃねえか」

「ま、まあ、そう言うことになるかな」

「あんだけ、言ってたのによぉ」

 そう言うと、ヤヨイは後ろから俺を羽交い絞めにする。見る限り、ソフィーアとヤヨイのわだかまりは無くなったようだった。

「イテテ、お手柔らかにお願いしますよ」

「レントぉ、それにしてもお前、ほんと、物好きだな」

「そうですか? お二人とも、とても魅力的ですよ」

「へっ、生意気言ってんじゃねえよ」

 そして大きな胸を俺に押し付けてくる。しかし、ヤヨイの方に顔を向けると、ヤヨイは顔を赤くして明後日の方向を向いた。

「ま、まあ、お前がして欲しいって言うなら、これからは、いっぱいかわいがってやってもいいぜ」

「かわいがるって……なんか怖いけど、はい、お願いします」

 そう言って俺はにっこりと微笑んだ。

「やれやれ、ヤヨイも形無しだな」

「なんだよそれ」

 ヤヨイがソフィーアを軽く睨みつけたが、ふと何かを思い出したように、目を見開いた。

「あ、そうだ。なあ、なあ、これ見たか?」

 ヤヨイは端末を取り出し、自分の生徒情報を俺に見せた。ヤヨイの欄には早速「パートナー:深山レント」となっている。

「もう登録されたんですね……大騒ぎになりますかね」

「どうだろ。こいつに話題をかっさらわれそうだからな」

 ヤヨイが次に見せたのは、一年生の男子の情報だった。

「若草ジュドー? ああ、あのジュディって人ですね。って、いきなり二人?」

 タツヤの『男性』を奪った若草ジュディは、男名を「ジュドー」にしたようだが、それ以上に目を引いたのが、パートナー欄だった。

 『森カノ』、そして『伊藤エミ』という二人の名前が書いてある。

「そのようだね」

「この二人、成績上位者です」

 二人とも一年生だが、一学期の成績はかなりの上位にいた。特に、森は文型科目、伊藤は理系科目が得意だったはずだ。

「ふむ……」

 そうつぶやきながら、ソフィーアが興味深そうに、二人の女性のデータを見ていた。

「『実利的』なパートナーだが、しかし……」

「随分と短期間に二人もパートナー登録したもんだ」

 ヤヨイが感心した風にそうこぼす。

 相手のことを深く知らずにHをすれば、「Qを引く」可能性が高くなる。随分と大胆なパートナー集めに見えた。

「見境なしの、怖いもの知らずだな。レントじゃあるまいし」

 そう言ってヤヨイは意地悪そうに笑いながら俺を見た。

「いや、見境がないわけじゃ」

「ああ、こいつの方が考えてる、考えてる。レントの方が見境がねえや」

 ヤヨイの言葉を聞いて、ソフィーアが肩をすくめた。

「まあ、もともと知り合いだった可能性はあるかな。ただね」

「ただ?」

「四年生と五年生のパートナー獲得状況を見ると、面白いことがあってね。パートナー獲得数が学年で一番多い男子は、どちらの学年も、元Qの人だ」

 さっきまでソフィーアが見せていた「恥じらい」は、もうその表情から消えていた。今は、どこか名探偵めいた顔をしている。

「何か関係があるんですか?」

「さあ……それは分からないな。レント、知りたくはないかな?」

「ええ、それはもちろん。でも、どうやって?」

「それを調べるのも『探Q部』の活動かな」

 そう言うとソフィーアは、薄い笑みを浮かべた。

「何たくらんでいるんですか」

「たくらむ、とは随分だね。そうだ、今日、君の部屋に我々を招待してくれないか?」

「我々って……お二人を、ですか?」

「ああ、そうだね」

「そりゃいいな」

 ヤヨイが俺の耳に口を寄せてくる。

「レントが部屋に来て欲しいって言うなら、行ってやってもいいぜ?」

「なんかそれ、ツンデレじゃなくて、脅迫に聞こえます」

「脅迫してるんだから、そう聞こえるに決まってるだろ」

 そう言うとヤヨイは、再び俺の首を腕で絞め始めた。

「ああ……でも、今日はサアヤと会う約束をしています。明日でもいいですか?」

「そういえば、そんなことを言っていたね。先約は優先したまえ。我々は、明日としようか」

「ふむ、仕方ねえな」

 ヤヨイがようやく俺を『熱い抱擁』から解放する。サアヤと会うために地学研究室を出ることにした俺を、ヤヨイはにやにやしながら、ソフィーアは相変わらずの薄笑みで、見送っていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。