Connect with you 〜アルマス×ラグナロク〜 作:荒ぶる異族
時系列は序盤における天上世界でユグドラシルに向かう旅をの時を想定しています。
こちらではR18シーンをカットしているので、ノーカットで見られたい方はConnect with you (R18)をご覧下さい。
※内容は同じです
崩壊が迫る世界の中、彼女を見つめる。
ラグナロクは決して挫けない。
絶望を前にしてもその歩みが止まることはない。
ラグナロクは軍旗を掲げる。
勇気を、知恵を、信仰を、正義を、愛を、規律を、希望を集わせて。
ラグナロクは、……。
「本当に、絶バカ……」
いつ裏切るかも分からない私のことを、信じてくれて。
頑固で、正義感が強くて、普段はクールを装っている癖に他人のことになるとすぐに熱くなってしまうお人好しで。
よく分からない言い回しをするのが玉にキズだけど。
決して退かない、倒れない不屈の剣。それが
だから、どうしようもなくラグナロクに憧れてしまう。
前線で軍旗を掲げ続けるその姿は、私にとって理想そのものだったから。
気がつけば彼女のことを考えてしまうのも、目で追ってしまうのも。
それ以外の理由なんて、ない。
そう自分に言い聞かせて、胸の奥に生じた気持ちにソッと蓋をした。
アルマスの様子が変だ、と心配されるまでに時間はかからなかかった。
「アルマス、どうした?何か気掛かりがあるならこのブリューナクが話を聞こう」
「え、いや……、私は別に悩んでなんか」
「悩みがあるのだな」
「……今のは誘導尋問じゃない?」
「なるほど。すぐにボロが出るほど思い悩んでいるのだな」
「察しが良すぎて怖い!?」
ブリューナクに隠し事はできそうにない、と諦めて悩みを話すことにした。
「最近なんだか胸がモヤついて不快……、っていうわけじゃないんだけど絶落ち着かないというか、それがなんだかイヤでもなくて、むしろ……。いや、いやいやいや!やっぱり絶不愉快よ!」
「もっと端的に言って」
いつの間にかラグナロクが私の顔を覗き込んでいた。
何故だが急に顔が熱くなってくる。
「わ、分かってるわよ!今の説明は流石にダメよね。考えをまとめて、また今度話すからそれまで待ってて」
シッシッとラグナロクを遠ざけようとするけど、本人は全く納得してくれない。
「アルマス、深刻な悩みなら今聞くわ。後顧の憂いは断っておくべきよ」
「こうこのうれい……?」
後々になって出る心配事のことだ、と直ぐ様ブリューナクのフォローが入る。
「……はぁ、いろんなことが有りすぎて疲れてるだけ。だから気にしないで」
「……アルマス」
はぐらかした答えに、ラグナロクは不服そうだった。
ブリューナクに至っては「理解した、ブリューナクの出番はなさそうだ」と言って去っていった。良く分からないけど怖い。
「……アルマス、正直に答えて。もう一人のアナタが出そうなの?」
「……」
あたりまえの事実確認に胸がズキリと痛む。
「そうだって言ったら、私が
「決まってるわ。闘って、今ここにいるアナタを取り戻す」
逡巡すらせずにラグナロクは言い切った。
「後顧の憂いは断つべきじゃなかったの?」
「誰かを見捨てる選択をするなら、
ラグナロクが誰かを切り捨てたりしないなんて、分かりきっていたことなのに。
それでも彼女の答えを聞いて、少し目頭が熱くなった。
「ん……、ありがと」
「何か言った?」
「別に」
ラグナロクに聞こえないように小声で呟いた言葉は、やはり彼女には届かない。
これでいい。
「アルマス、私と運命を共にすると約束して」
「うん。………ん?」
ラグナロクの言っている意味が分からなかった。
「今だって一緒にユグドラシルを目指して旅をしてるでしょ?」
「そうね。でもアルマスにはもっと近くに…、私の隣に居てほしいの」
「え!?べ、別に良いけどっ…」
……ラグナロクが変なことを言うから少しだけ声が裏返ってしまった。
「ぁ、あの…、ラグナロク、なんで?」
「今のアナタがいるのは私のバイブスがアナタに移っているからよね。逆に言えばアルマスの中にあるバイブスが弱ると……」
「
「えぇ。元のバイブス所持者である私との距離がバイブスの強弱に関わるなら、傍に居るべきよ」
「……あっそ」
「アルマス、なんでむくれてるの?」
「むくれてなんてない!……ふぅ」
ラグナロクに振り回されている自分に、目を閉じて心の中で落ち着けと念じる。
そして目を開けると、ラグナロクが私の顔を間近で覗き込んでいた。
「!?」
「顔が赤くなってる。やっぱり本調子じゃないんじゃ…」
少し身じろぎしただけで唇が触れ合いそうな距離に、心臓がバクバクと暴れだす。
「ら、ラグナロク…、近い!近すぎるから!一旦離れて……」
「ダメ。アルマス、体調が優れないなら正直に言って」
「〜〜〜〜っ!アナタのせいでしょ、この絶バカ!!」
緊張に堪えられなかった私は、ラグナロクから距離をとって先頭を歩いていった。
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ーーーーーー
ーーー
「……アルマス」
私は何か怒らせるようなことを言ってしまったのだろうか。
「ラグナロク、ブリューナクはもう一度アルマスの言動を振り返ることを推奨する」
「アルマスの……?」
ーーーアナタのせいでしょ、この絶バカ!!
「アルマスの体調が優れないのは私のせい…、考えられるのは……」
彼女の中にある私のバイブス?
アルマスは、私の体力が回復してないからバイブスが復調しないのだと伝えたいのだろうか?
……根拠はないけど違う気がする。
「少し休みをとる必要があるかしら…」
天上世界崩壊までの猶予は決して長くない。
けれど、それ以上にアルマスのことが気掛かった。
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ーーーーーー
ーーー
夕刻に小さな村へ辿り着いた。
村人はただの一人もいない。
「インテグラルキラーズの行動による影響とブリューナクは推測する」
「ユグドラシルに近づく程、彼女達の影響は強まるはずよ。この先の街や村は彼女達の管理下にあるか、全員去った後だと思った方がいいわね」
「私の美貌を見せてあげることができないなんて…、残念だわ」
「……こんな時でもブレないわね」
ラグナロクとブリューナクが冷静に現状を分析する中、フラガラッハの的外れな発言にアルマスは溜息をついま。
「今日はもう暗くなるし、取り敢えず宿を探しましょ。アルマスもそれでいい?」
「ラグナロク、私に伺いをたてなくてもいいから……」
「……わかったわ」
なんとなくラグナロクとの間に微妙な空気が流れる。
見つけた宿は、2人部屋が幾つかある程度の小さなものだった。
「私はアルマスと寝るわ」
「ぶっ!」
ラグナロクの爆弾発言に思わず吹き出してしまう。
「面白いところなんて無かったと思うけど……。相変わらずアルマスの感性は分からないわね」
「そっちが変なこと言うからでしょ!?」
ラグナロクはキョトンとした表情で私を見つめてきた。
自分が自意識過剰だったのだと、後から気付かされる。
「今のラグナロクの発言はアルマスからすると……、」
「ああああ!うるさい!さっさと休むわよ!」
(無駄に)鋭いブリューナクの言葉を遮り、部屋の中に逃げ込んだ。
「……疲れた」
ボフっとベッドに身体を預け、一人ごちる。
「フラガラッハはあんなだし、ブリューナクは察しが良すぎるし、ラグナロクは……」
ーーー私と運命を共にして。
間近で見た彼女の顔を思い返す。
長いまつ毛。
端正な顔立ち。
柔らかそうな桜色の唇。
ラグナロクのことを考えると、どんどん身体が火照っていく。
そんな自分を誤魔化すように彼女への悪態をついていった。
「厨ニ、バカ、鈍感!そもそも軍服が胸も太腿も際どすぎるし!それに……!」
「それに?」
喉が渇き、冷や汗がブワッと出てくる。
低めの声に振り向くと、ラグナロクが既に室内にいた。
貼り付けられた笑顔がすごく怖い。
「……えと、体調が良くないからもう寝るわ。おやすみ!」
取り敢えず、頭から毛布を被って現実逃避することにした。
「……ス、ねぇ」
まどろみの中で心地良い声が耳に入り、目が覚めていく。
「アルマス、起きてる?」
「今、起きたとこ…」
眠たい目を擦りながら毛布から顔を出すと、私に添い寝をしているラグナロクと目があってドキリとする。
「……なんで私と同じベッドにいるのよ」
「話がしたかったから」
夜10時。ちょっとのつもりが、少し長く眠ってしまったみたいだ。
「アルマス、悩んでいることがあるでしょ。それを私に話して」
「……何のこと?」
「誤魔化しても無駄よ。バイブスからアナタの想いが伝わってくるの。私に知ってほしいとアナタが願っている。そうでしょ」
「……はぁ、全部お見通しだったってわけね」
バイブスを介して、ラグナロクが私を心配しているのが伝わる。
「アルマス、端的に言ってね」
「無理よ。自分でもこんなに悩んでいる理由が分からないんだもの。ねぇ、ラグナロク……。アナタにとっての私って何?」
今のバイブス保持者だとか、裏切り者だとか、そんなことを彼女が考えてないのは分かってる。
「大切な仲間よ」
……ほら、やっぱり。
「……
「……アルマス?」
「……ごめん、どうかしてた」
顔を見られたくなくて、ラグナロクに背を向けるように寝返りをうった。
ラグナロクと親しくしている彼女達が羨ましい。
どっちが大切かなんて、そんな分かりきったことを聞いても傷つくだけだ。
(あぁ、私はラグナロクに嫌われたくないんだ……。)
「どっちが大切、なんて比べれるものでもないけど、私にとっての
私はラグナロクの仲間だ。
それ以上でも以下でもないから、特別になりたいなんて望めないし、望んじゃいけない。
私は
「アルマス、アナタのしたいことを教えて」
「私のしたいこと……」
だからこそ、私とラグナロクの間にできたバイブス以外の
そう考えると、自分の願いが見えてきた。
「ラグナロク、ありがと。自分のやるべきことが分かったわ」
「……アルマス」
「誰も犠牲にしないで済む優しい世界で、アナタに笑ってほしい」
世界は決して易しくないことも、それが吹けば飛んでしまうような儚い望みだということも分かってる。でも。
「ラグナロクなら絶対にやり遂げるって、そう信じてる」
そのために
私の中で息づいている彼女のバイブスを還そう。
私が死んでいなくなり、彼女のバイブスを元に戻すこと。
きっとそれは、仲間という繋がりを最後まで守りきれる唯一の選択だから。
「ダメ。宿命から逃げないで」
「ら、ラグナロク……?」
ラグナロクに背中から抱き締められた。
耳にかかる彼女の吐息の熱さに、押し付けられた身体の柔らかさに、心臓が激しく脈打つ。
「アルマス、自分を犠牲になんて考えないで」
「……それも、バイブスを通して分かるものなの?」
「そんなものなくてもアナタを見たら分かる。見くびらないで」
お互いの身体の隙間がなくなるくらいに、ラグナロクに強く抱き寄せられた。
「誰も犠牲にしないで済む世界を作るために、自分を犠牲にするなんて間違ってる」
「でも!バイブスが在るべき場所へ……、アナタの中に還ればきっと、私は
「アルマス、私の気持ちは既に伝えたつもりよ」
「ぁ……」
ーーー私が
ーーー決まってるわ。闘って、今ここにいるアナタを取り戻す。
ーーー誰かを見捨てれば、
私の心配を彼女はとっくに見抜いていたのだ。
ラグナロクが今の私を取り戻してくれると約束してくれたから。
「……お人好しが過ぎるわ」
「誰にでもじゃない。アルマス、アナタだからよ。バイブスを預けられるのも、他の何に代えても失いたくないと思えるのも」
「……え?」
「私達の関係は不思議ね。好敵手でも、家族でもなく、だけど仲間や相棒という括りには到底収まりきらない」
ラグナロクは本当にズルい。
「端的に言ってよ、絶バカ……」
「そうね、敢えて言葉にするなら……。きっと私達は運命という名の見えない赤い糸で結ばれているのね」
ラグナロクにとっての私は、とっくに特別だったなんて。
その事実に身体が熱く火照りだす。
「ぁ…、」
振り向くとラグナロクと視線がぶつかった。
どこまでも真っ直ぐで、止まることを知らない彼女の瞳を鼻先が触れる距離で見つめる。
心臓がうるさい。上手く呼吸ができなくて息が荒くなる。
きっと今の私は、耳まで真っ赤になってしまっている。
「アルマス、もう大丈夫?」
大丈夫なわけない。
この温もりをまだ感じたいと思った。
「いつかこの身体からバイブスが無くなっても今の私でいれるように、確かなものがほしい。……少しだけ心細いのかもしれない。だから……、んぅ!?」
ラグナロクにムリヤリ唇を奪われ、頭が真っ白になる。
「ちゅ、……これでいい?」
キスをしたのにラグナロクは相変わらずに毅然としてて、唇に感じた柔らかさに私は惚けることしかできなくて。
「ぁ、すごすぎてよく分からなかった…」
……良く見るとラグナロクの頬も少し赤みがかっている気がする。
「じゃあ分かるまで、アルマスの中で確かなものになるまで続けるから」
「あ、うん……」
突然の事に間の抜けた返事しか返せない。
「心配しなくても、気持ちは一緒よ。アルマスが私との繋がりを大事にしてくれたように、私にとってもアルマスが特別なの。だから遠慮しないで。ん…、」
両手で優しく頬を抑えられ、ラグナロクの唇が押し付けられる。
さっきよりも長く、そして段々と熱烈に。
身体の火照りが冷めるまで、確かなものを感じるまで、私とラグナロクは互いを求めあった。
「よし、絶・好調!早くユグドラシルに向かうわよ!」
「あら、マスターの調子が戻ったみたいね。綺麗よ。わたしにはまだ及ばないけど」
「フラガラッハは平常運転ね……」
翌朝、私達はユグドラシルへと再び旅立つ。
もう迷いはない。
いつか
私とラグナロクの間に、確かな繋がりを感じているから。
「ふむ、やはりブリューナクの出る幕ではなかったか」
「「………」」
ラグナロクと目を合わせ合う。
やはりブリューナクは察しが良すぎるし、あと口調が若干ゲイボルグみたいになってる。
そんなブリューナクに対して、思わず二人で吹き出した。
「まぁ、いいわ。ラグナロク、早く取り戻すわよ。この世界の平穏を」
「えぇ、急ぎましょう。仲間達を集めて、ユグドラシルへ!」
私達なら大丈夫だ。
例えこの先でどんな選択を迫られたとしても。
私が
お互いを信じ合っているから、必ず取り戻せる。
どんな世界でも、どんな時でも、私とラグナロクは繋がっているから。
ラグナロクと作る未来に想いを馳せて、ユグドラシルへの一歩を今日も踏みしめた。
fin
本編におけるアルマスとラグナロクの絶妙な関係が好き過ぎて、二人の絆を確かめ合うような内容のSSになりました。
ロストラグナロクでは神令されたラグナロクを、インテグラルノアではアルマスを、世界が違えどお互いが見捨てない決断をしたことが非常に尊いです。
そんな二人を今より少しでも好きになって頂けたら嬉しい限りです。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。