TS転生者のR15本編に書けない話 作:さかきばらき
たまにはエチチじゃない回もってことで…
人間、「その場の勢い」というやつは確かにあるらしく、逆に言えば、「その場」を一度抜けてしまうと、驚くくらいに勢いを失うこともある。
先ほどまでは母様と夕飯どちらを食べるか迷っていたけれど、床に押し倒していた母様を立ち上がらせ一緒にベッドまで行く僅かな時間で、視界の端に映るサービスワゴンと料理皿に僅かな罪悪感が芽生えた。
せっかく人が作ってくれたものだ。
このまま「行為」に進めば1時間は止まることがないだろうし、そうすれば絶対に料理が冷めてしまう。ただでさえ体調が悪いと偽って、部屋に運んでもらったのだ。
そんな罪悪感を感じたのは母様も同じらしく、結局、まずは食事をすることになった。
が、実は自分の寝室にはちゃんとした机がない。
そもそも看病ということであれば自分はベッドに横たわっていることを想定されるわけで、食べ方も、他の人に食べさせてもらう形式が想定されていたのだろう。用意された自分用の食事はクリーム風味のシチューで、具材も小さめに調理されている。
どういう風に食べるべきだろうか、母様に目でそう尋ねかけると、「じゃあ私が食べさせてあげるよ」と言われた。
母様が匙を取って、本当の看病のようにベッドに腰掛けた自分に食べさせる。
フー、フー、と
……まあ体調は悪くないし体も元気に動くから、実際には自分ひとりでも食べられるのだけれど。母様も久しぶりに娘の口に食事を運んでやることが楽しいらしく、嬉しそうに次々とシチューを掬う様子を見ては止める気も湧かない。
ちなみに、流石に裸でこうした一連の動作をするのは恥ずかしいらしく、大きめの衣を上から軽く羽織っている。帯紐で留めていないから本当に最低限体を隠すだけだが、胸や大事なところなどはギリギリ遮られている。
どんなに体中が性感帯な変態さんになっても恥じらいを捨てない部分、高潔さと言っていいのかは迷うが、こういうところもまた母様の好きなところだ。
が、天賦の才なのか何なのか知らないが、チラリズムという概念もよく理解されているらしい。確かに大事なところは隠れているし問題ないのに、動くたびに羽織物が揺れ、そよ風でも吹けばと思ってしまうほどに絶妙なライン際までチラチラ覗く。
なのに本人は楽しそうに、幸せそうに、「はい、あーん」などと無邪気にのたまうものだから、元々あるか怪しい倫理観がどんどん削られていく。
「か、かぁさま。母様の分は食べないんですか?」
「ん、食べるけど、キミにこうして食べさせてあげるのが楽しくて」
「餌付けじゃないんですから……」
欲情した気持ちを落ち着けるためにひとつ尋ねたら、困ったように笑いながら答えられた。
これ、ほっとくと一口も食べなさそうだな……。
「じゃあ、たべさせてあげます。はい、あーん」
「うぇっ!? わ、私は自分で食べるからいいよ」
「だめです。はい。あーん」
「う、うぅ……ぁー」
諦めたように目を閉じて小さく口を開けた母様に、匙を手に取ってシチューを掬った。
母様のマネをして、軽く息を吹きかけ冷ましておく。そっと口元まで匙を近付けて、「あーん」と言いながら食べさせた。
体温が高くなっているからか普段より少し赤みの強い唇が、自分の差し出した匙を咥える。しっかりと口が閉じられたのを確認してから匙を引き抜けば、載せていたものはすべて母様の口の中に移動したようだ。
「……ん、美味し」
「料理が上手って素敵ですよね」
「それもそうだけど。……マナが食べさせてくれたから、より美味しく感じるんだよ」
そう言って、母様は唇に少しついたクリームをペロリと舐めた。
「あ! だめですよ!」
「?」
「口元の汚れは、食べさせてあげた人が拭いてあげるのが決まりです」
「初めて聞いた決まりなんだけど……」
食べさせてあげた後に、「もう、口元が汚れてるわよ」までが一セットだと思います!!
もっかい、とばかりにシチューを掬って食べさせる。今度はもう、母様も素直に食べさせられていた。
「また、付いちゃってますね」
ほんの少しだけ。上唇に僅かに付いたシチューを、自分が代わりに舐め取った。ナプキンが手元にないのだから、こうして拭き取る他あるまい。異論は認めない。
一度舐めただけではまだ取り去れていないかもしれないので、顔を離さず、何度も何度も母様の唇を自分の舌先でチロチロと舐める。
最初は顔を寄せられて驚いた母様だったけれど、自分が犬みたいにペロペロ舐めてくるのを見ると微笑んで、ゴクンと口の中のものを飲み込んでから舐め返してきた。
……自分の口元は別に汚れてませんよ。
「……ん、ちゅ、……んぅ、はぁぁ」
「んむ、はむ……ちゅ、ぇあ……」
とうとう自分の舌がすべて母様に絡め取られてしまう。まったく、母様は食いしん坊ですね。
まだシチューは余っている。このままキスを続けてしまうときっと食べきる前にエッチをし始めてしまいそうだ。
キスをやめるのは名残惜しいが、ご飯も折角だし全部食べたい。
その折衷案として、天才的な考えが浮かんだ。
「ん、あむ」
「……!!」
シチューを少量口に含んで、もう一度母様に口を近付けた。
何をしようとしているのか理解した母様は一瞬驚いて、その後嬉しそうに自分の口にむしゃぶりつく。
俗に言う、口移しというやつだ。
涎と一緒に口の中のものを相手に食べさせるなんて普通に考えれば下品だし拒否されるようなことだが、母様は背徳感に体を震わせるようにしながら咀嚼し、飲み込んだ。
そのまま口の中からシチューの味がなくなるくらいまで舌を絡み合わせて、味がしなくなったらもう一口、皿から口に含んで母様に食べさせる。
喉が渇いてきたら、今度は水差しから水を口に含んで、半分半分分け合うように飲む。
特に水は、普段のキスのように正面から移すのでは零れてしまう。親鳥が雛に餌をやるように、母様の顔を持ち上げさせ、上から流し込むように飲ませてやった。
「…………♡♡」
こくこく、と喉が動くさまを見ながら、口移し2割、舌を絡め合わせるキスを8割。
そうしているうちに、気付けば皿の中身は空になっていた。
いや違うんですほんとに青い鳥を眺めてたとかそんなことは決して
たまたま、そう、たまたまムラムラしない日だったんです
私がムラムラすれば1万字くらい余裕のよっちゃんですよ