※この作品はR-18です。

放っておいて下さい   作:氷野心雫

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天城が安らげるのは

一通り話終え、私は画面越しの絵里を見る。

『話は分かりました。一度、こちらへ戻って来てくれるかしら?』

「ああ、分かった。オズマ司令、とりあえず基地に戻るが」

「構わない。戻って来るんだろ?」

「ああ、敵の事も話を聞きたいからな」

私の言葉に、オズマは頷く。それを確認して、私は天城とモナークを連れ、音ノ木坂基地へと転移する。戻って来た私達を見て、絵里は溜め息を一つ。

「それにしても、厄介な体質だわ。倉本さん、生命エネルギーの暴走、いつか治まるのかしら?」

「…分からない」

再び溜め息をつく絵里。

「それで?現時点で暴走を抑止出来る方法は?」

「……」

「どうして、黙っているの?」

絵里の問いに、私は気まずさで視線を反らす。天城に視線を向けると、頬を染める天城。

 

(…やっぱり、正直に話さないといけないよねぇ)

 

「……ぁ…えっと、一言で言うと。…セックスすると治まる」

「……っえ?」

「生命エネルギーは自動的に排出されるんだよな?」

「…ええ…そう…ね」

私の話に、絵里達は動揺しながらも、頷く。私は、視線をみんなから反らしたまま。

「俺は、それが出来ない身体らしい。本当なら、能力を使うと排出される筈なんだ。でも、排出出来ずに暴走を起こす」

まだ視線を戻せない私。それは恥ずかしさからきている。

「暴走すると激痛が生じる。そうなると、あまりの痛みで俺は意識を失うんだ。その後の事は、制御出来ない」

その言葉で、天城が私の腕を掴んだ。私と天城は見つめ合う。

「成る程、では、ギャラクシー基地でのアレもそれが理由か?」

頬を染め、腕組みしたモナークが言う。

「ああ、そうだ」

モナークの問いに、頷く私。頬を染めながらも、小さく咳払いし、絢瀬は天城に視線を向ける。

「倉本さんの状況は、分かりました。不測の事態なのは理解出来るけれど……天城」

「嫌ですわ」

天城は私の後ろに隠れた。服の裾をしっかりと掴む。

「我が儘を言わないで」

「絶対に嫌です。私は、千尋さんの側にいます」

「天城、自分の立場、理解しているの?貴女、秘書艦なのよ?」

「…では、秘書艦を辞めます」

天城と絵里が言い合う。私は、希に視線を向けた。希は、やれやれと首を横に振る。

「まあまあ、絵里ち。ちょっと落ち着こ。天城も」

希の言葉に、二人は無言になる。ただ、睨み合いは継続中。

「…えっと」

「千尋君、君が別棟に移動してから、色々話があってな。君の処遇とか。生活のサポートの事とか」

私は、後ろに隠れた天城を一瞥。

「倉本さんのサポート。本当なら、引き続き土佐と明石が担当する事になっていたのよ」

そう言いながら、絵里は溜め息をつく。まだ睨み合っている二人。

「それなのに、天城が勝手に貴方のお世話をしていると聞いたのよ。しかも、朝までずっと一緒だったという報告まで受けてね」

(…あぁ、やっぱりそうだったんだ)

 

絵里の言葉を聞いて、私は溜め息一つ。

「だから、天城に『倉本さんの部屋で寝泊まり禁止』って言ったのだけれど」

「…嫌です。私、千尋さんの側から離れるつもりはありません」

二人は睨み合いを続ける。モナークもやれやれと首を横に振った。

「こんな感じで。ずっと平行線なんよ」

呆れた表情で希が言う。私は天城の頭を優しく撫でた。絵里と睨み合っていた天城の視線が私に向けられる。

「天城、みんなを困らせるな」

「……千尋さん、私の事。お嫌いですか?」

天城の瞳が潤む。そして、私の身体を抱き締めた。それを不快な表情で見つめる絵里と、呆れた表情の希とモナーク。

 

(…うわぁ、反応に困るぅ)

 

八方塞がり感な状況。私は咳払いし。

「好きとか、嫌いとか。そういう事じゃなくて」

言いかけて、言葉を呑み込む。天城の涙が頬を伝う。ドキリと鼓動が高鳴る私。

「…ご迷惑なのですか?…私は、ただ千尋さんの側にいたい…だけ」

咄嗟に、私は天城を抱き締めた。そして、小さく息を吐く。

「天城、頼むから俺を困らせるな」

「千尋さん」

私の言葉に、天城の表情が暗くなる。私は再び息を吐き、絵里達に視線を向けた。

「…絢瀬司令。悪いけど、天城には今まで通り、俺のサポートをしてもらいたい」

「…!?」

私の発言に、絵里達が驚いた。勿論天城も。

「理由は?」

「…さっき、言っただろう?暴走したら俺は制御出来ない」

モナークの問いに、私はそう答えた。

「暴走したエネルギーを放出するには、性行為するしかない。天城には、話していなかったけど」

そう言って、視線を天城を向ける。天城の頭を優しく撫で、絵里達に視線を戻す。

「本当は手を出すつもりは無かったんだ。それでも、天城は受け入れてくれた」

 潤んだ瞳で見つめる天城。私から絶対に離れたく無いと言わんばかりに抱き締めてくる。そこでようやく、私は天城の思いを受け止める事に決めた。

「天城、ずっとそばにいてくれ」

 私の言葉に天城が涙を浮かべ微笑む。嬉しい気持ちをぶつけるように甘えている。

 

(本当に可愛いなぁ)

 

 今まで見た事が無い天城の行動に、絵里達は呆然と見つめ。希はそんな状況を『やれやれ』と飽きれた溜息をついたのだった。




何年か振りの投稿。多少?いや、かなり書き筋が変わってしまったかな。仕方ない、それもまた人生。
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