一通り話終え、私は画面越しの絵里を見る。
『話は分かりました。一度、こちらへ戻って来てくれるかしら?』
「ああ、分かった。オズマ司令、とりあえず基地に戻るが」
「構わない。戻って来るんだろ?」
「ああ、敵の事も話を聞きたいからな」
私の言葉に、オズマは頷く。それを確認して、私は天城とモナークを連れ、音ノ木坂基地へと転移する。戻って来た私達を見て、絵里は溜め息を一つ。
「それにしても、厄介な体質だわ。倉本さん、生命エネルギーの暴走、いつか治まるのかしら?」
「…分からない」
再び溜め息をつく絵里。
「それで?現時点で暴走を抑止出来る方法は?」
「……」
「どうして、黙っているの?」
絵里の問いに、私は気まずさで視線を反らす。天城に視線を向けると、頬を染める天城。
(…やっぱり、正直に話さないといけないよねぇ)
「……ぁ…えっと、一言で言うと。…セックスすると治まる」
「……っえ?」
「生命エネルギーは自動的に排出されるんだよな?」
「…ええ…そう…ね」
私の話に、絵里達は動揺しながらも、頷く。私は、視線をみんなから反らしたまま。
「俺は、それが出来ない身体らしい。本当なら、能力を使うと排出される筈なんだ。でも、排出出来ずに暴走を起こす」
まだ視線を戻せない私。それは恥ずかしさからきている。
「暴走すると激痛が生じる。そうなると、あまりの痛みで俺は意識を失うんだ。その後の事は、制御出来ない」
その言葉で、天城が私の腕を掴んだ。私と天城は見つめ合う。
「成る程、では、ギャラクシー基地でのアレもそれが理由か?」
頬を染め、腕組みしたモナークが言う。
「ああ、そうだ」
モナークの問いに、頷く私。頬を染めながらも、小さく咳払いし、絢瀬は天城に視線を向ける。
「倉本さんの状況は、分かりました。不測の事態なのは理解出来るけれど……天城」
「嫌ですわ」
天城は私の後ろに隠れた。服の裾をしっかりと掴む。
「我が儘を言わないで」
「絶対に嫌です。私は、千尋さんの側にいます」
「天城、自分の立場、理解しているの?貴女、秘書艦なのよ?」
「…では、秘書艦を辞めます」
天城と絵里が言い合う。私は、希に視線を向けた。希は、やれやれと首を横に振る。
「まあまあ、絵里ち。ちょっと落ち着こ。天城も」
希の言葉に、二人は無言になる。ただ、睨み合いは継続中。
「…えっと」
「千尋君、君が別棟に移動してから、色々話があってな。君の処遇とか。生活のサポートの事とか」
私は、後ろに隠れた天城を一瞥。
「倉本さんのサポート。本当なら、引き続き土佐と明石が担当する事になっていたのよ」
そう言いながら、絵里は溜め息をつく。まだ睨み合っている二人。
「それなのに、天城が勝手に貴方のお世話をしていると聞いたのよ。しかも、朝までずっと一緒だったという報告まで受けてね」
(…あぁ、やっぱりそうだったんだ)
絵里の言葉を聞いて、私は溜め息一つ。
「だから、天城に『倉本さんの部屋で寝泊まり禁止』って言ったのだけれど」
「…嫌です。私、千尋さんの側から離れるつもりはありません」
二人は睨み合いを続ける。モナークもやれやれと首を横に振った。
「こんな感じで。ずっと平行線なんよ」
呆れた表情で希が言う。私は天城の頭を優しく撫でた。絵里と睨み合っていた天城の視線が私に向けられる。
「天城、みんなを困らせるな」
「……千尋さん、私の事。お嫌いですか?」
天城の瞳が潤む。そして、私の身体を抱き締めた。それを不快な表情で見つめる絵里と、呆れた表情の希とモナーク。
(…うわぁ、反応に困るぅ)
八方塞がり感な状況。私は咳払いし。
「好きとか、嫌いとか。そういう事じゃなくて」
言いかけて、言葉を呑み込む。天城の涙が頬を伝う。ドキリと鼓動が高鳴る私。
「…ご迷惑なのですか?…私は、ただ千尋さんの側にいたい…だけ」
咄嗟に、私は天城を抱き締めた。そして、小さく息を吐く。
「天城、頼むから俺を困らせるな」
「千尋さん」
私の言葉に、天城の表情が暗くなる。私は再び息を吐き、絵里達に視線を向けた。
「…絢瀬司令。悪いけど、天城には今まで通り、俺のサポートをしてもらいたい」
「…!?」
私の発言に、絵里達が驚いた。勿論天城も。
「理由は?」
「…さっき、言っただろう?暴走したら俺は制御出来ない」
モナークの問いに、私はそう答えた。
「暴走したエネルギーを放出するには、性行為するしかない。天城には、話していなかったけど」
そう言って、視線を天城を向ける。天城の頭を優しく撫で、絵里達に視線を戻す。
「本当は手を出すつもりは無かったんだ。それでも、天城は受け入れてくれた」
潤んだ瞳で見つめる天城。私から絶対に離れたく無いと言わんばかりに抱き締めてくる。そこでようやく、私は天城の思いを受け止める事に決めた。
「天城、ずっとそばにいてくれ」
私の言葉に天城が涙を浮かべ微笑む。嬉しい気持ちをぶつけるように甘えている。
(本当に可愛いなぁ)
今まで見た事が無い天城の行動に、絵里達は呆然と見つめ。希はそんな状況を『やれやれ』と飽きれた溜息をついたのだった。
何年か振りの投稿。多少?いや、かなり書き筋が変わってしまったかな。仕方ない、それもまた人生。