朝から戸惑う羽目になる私。男の身体になって、5日目の朝。私の分身は、しっかりと勃起していた。勃起した分身の長さ、太さ、固さは私の理想そのもの。どうしたものかと、考える。そして、おもむろに、分身を掴んだ。何とも言えない感覚。私は、ぎこちない動きで、自慰行為を始めた。女の時とは、また違った気持ち良さ。
(もうすぐ、イきそう)
強弱を付けながら、私はトイレットペーパーを尖端に当てる。勢い良く放たれる精子。荒い呼吸で、茫然と分身を見る。まだ固く、勃起している分身。私は、小さく溜め息をつき、視線を上げた。いつの間にか、開かれている扉。朝食を乗せたお盆を持ったまま、そこに立ち尽くす天城。天城は、笑顔を見せているが、明らかに表情がかたい。少し強張らせている。
(……み、見られた)
「……朝食、置いておきますね」
笑顔を貼り付かせたまま、天城は言う。そして、スススっと、音もなく部屋を出ていった。
(…お嫁に…、じゃなかった。お婿にいけない)
両手で顔を隠し、心の中で、しくしくと泣く。でも、これはチャンスである。元々、天城に来られたら、困るからだ。
(天城が来ると、どうしても我慢出来そうにないし。最悪、襲っちゃう)
現に、私の分身は、一回抜いたのに、固さがさらに増していた。ズキズキと痛む。私は溜め息を一つ。そして、もう一度抜く事に専念した。
その日のお昼。天城は来なかった。代わりに、土佐がテーブルの上に、昼食を置く。思い切り、睨んでくる土佐。
「お前、天城さんに何をした」
そう問いながら、ノートを投げ付けてくる。
『別に、何もしていない』
「嘘つけ!?なら、どうして天城さんが…」
言葉の最後を濁す土佐。
『何?最後の方、聞こえなかった』
「…何でもない!」
『そうか、まぁ良い。悪いんだけど、次から食事は、そこに置いといて』
「…お前、偉そうだな」
『別に、誰に何を思われても、俺は構わない。出来る限り、君達と関わりたくないだけだし。だから、彼女にもそう伝えてくれないか?』
ノートを睨みながら、土佐は渋々頷いた。
「分かった」
そう言って、土佐は出ていく。私は、小さく溜め息をついた。
その日の夕方。夕食が、備え付けの台に置かれた。私は、安堵の溜め息。
(これで、何とか一つ問題が解決だね)
椅子に座り、ゆっくりと食事を堪能する。扉の向こう側から、誰かが近付いていた。安心しきっている私。その気配に気付けない。その人物は、投入口から、私の様子を窺っている。ふと、私は視線を投入口に向けた。誰かの目。私に気付かれ、その人物は、去っていった。
(……誰だろう?)
疑問に感じたが、その後は、誰の気配も感じず、その日は過ぎていった。
次の日の朝。今回、私の分身は勃起していなかった。
(良かった。毎日、勃起されてたら、大変だからね)
ベッドに腰掛け、朝食が来るのを待つ。投入口から、朝食が来ない。代わりに、扉がノックされ、同時に扉が開く。お盆を持って天城が立っていた。その横には、明石。天城の表情は、今までと変わらず、笑顔。反対に、私は困惑していた。
「お早うございます。朝食をお持ちしましたわ」
『…話、聞いてないのか?』
「話ですか?」
『食事は、そこに置いといてって』
ノートを見せながら、投入口を指差す。天城の視線は、一度、投入口を見てから、私に視線を戻す。
「土佐から、聞いていますわ」
微笑む天城。
『聞いてて、何で持ってくる訳?それに、昨日の朝…』
私は視線を天城から反らした。無言の天城。黙って、お盆を、テーブルに置く。明石が、素早く椅子を置き、部屋を出ていった。扉が閉まり、施錠される。二人きりになる部屋。無言の天城が、椅子に座る。私は、チラリと天城を見た。何故か、頬を染めている天城。膝に置かれている両手が、モジモジしていた。
「……昨日の件は、その…」
視線を手元に固定したまま、天城は小声で話す。
「私にも、落ち度がありましたから」
椅子に座る私。天城を見据える。
『…落ち度?』
ノートを見せる。天城は、チラリと私を見た。そして、視線をすぐに反らす。
「…実は、ノックせずに、扉を開けたんです」
顔を真っ赤に染め、俯く天城。
(…っあ、ヤバい。可愛い)
心の中で、悶える私。相変わらず、表情筋は死んでるので、ぴくりともしないが。
「…お詫びとまでは、いきませんが。何か、要望はありませんか?」
視線を反らしたまま、そう天城が言う。天城の言葉に、私は思案した。
(…あ、アレお願い出来るかな?)
思い付いた私は、ノートに書き込み、天城に見せた。一瞬、天城の表情が、険しくなったが。
「分かりました。司令に、相談してきます」
頷く天城。私が、朝食を食べ終わるのを、確認してから、部屋を出ていった。
その日の夜、私は基地内の大浴場にいた。どのくらい、お風呂に入っていなかったのか。頭や身体を洗っても、一度では泡が立たず。数回、洗う事になった。脱衣所には、見張りの土佐と伊勢がいる。大浴場と脱衣所の間には、磨りガラスの扉。真っ裸の私が、見える訳ではないけど、扉一枚隔てて、女性二人がいる。
(別に、逃げるつもりもないけど、まぁ、仕方ないか)
朝、天城にお願いしたのは、お風呂の事だった。基本、私は毎日お風呂に入らないと、身体がベトベトして眠れない。この世界に来てから、一度もお風呂に入れなかったのは、私の中では苦痛だった。
(普通、捕虜の要望なんて、通る筈はないんだけどね。天城には感謝だわ)
湯船に浸かりながら、全身を伸ばす。バランスの取れた筋肉質の身体。腹筋もしっかりと割れ、私の理想の男性像そのもの。
(…いゃ~、抱かれてみたいよね。無理だけど)
湯船から上がり、脱衣所の前に立つ。ノックすると、バスタオルが、扉の隙間から出され、私はそれで身体を拭き、下半身に巻き付けた。
「…さっさと着替えろ」
磨りガラスの扉を開け、伊勢が言う。私は頷く。服も、私が天城にお願いした。白地のTシャツに、ボクサーパンツ。そして、紺色の繋ぎ服。服を着ている間、伊勢と土佐は、後ろを向き、私が着終わるのを待つ。私は、壁を叩き合図。二人は、私の方に向き直った。
「戻るぞ」
頷き歩き出す。私の後ろを、二人もついて歩き、地下牢に向かう。
「お前、天城さんに感謝しろよ」
土佐が言う。私は、小さく頷き、繋ぎ服のポケットに入れていたメモ帳を見せた。
『彼女には感謝している』
「…本当、天城さんは何を考えているんだ」
溜め息混じりに、土佐が呟いた。地下牢に着く。私は、部屋の中に入る。そして、投入口から、メモ帳を土佐に見せた。
『俺の我が儘を聞いてくれて、ありがとう』
二人は、それを見て。
「…別に、天城さんに言われたからな」
「倉本って言ったっけ?お前、変わってるな」
全く違う反応を見せる二人。土佐は、少し拗ねた表情。伊勢は、悪戯っぽい笑みを見せた。
「まぁ、お前が変な気を起こさなければ、こっちも特に手荒な事はしないさ」
そう伊勢は言って、部屋から離れた。土佐も無言で、伊勢の後を追う。一人になり、私は溜め息をつきながら、ベッドに腰掛け、すぐに横になる。そして、そのまま眠りについた。
次の日の朝。私の分身が、勃起している。どうしようかと悩んでいる時。扉がノックされ、私は咄嗟に股間を隠した。朝食を持ってきた天城が、部屋の中に入る。素早い動きで、椅子を置き、明石が出ていく。
(…なんか、明石の動き。どんどん速くなってない?)
あまりの連携に、私は茫然としていた。そんな私を、微笑んだまま、天城が見つめる。
「どうかされましたか?」
天城の瞳が、妖しく光る。私は、首を横に振った。
「…お腹、どうされたのですか?」
天城の視線は、私の下半身に向けられる。冷や汗を掻く私。
(…ヤバい!)
「もしかして、具合が悪いのですか?」
そう言いながら、私の横に近付く天城。横にしゃがみながら、私の手にそっと触れ、優しく掴んだ。
(…マジで、ヤバい!)
表情は変わらないが、私の内心は、大いに慌てている。勃起した分身は、ドクドクと脈を打ち、爆発寸前だ。私は、首を横に振り続けた。上目遣いで私を見る天城。私の中で、ナニかがキレた。天城をその場に押し倒し、覆い被さる。
(身体が、熱い…)
呼吸が苦しい。心臓がドクドクと脈打つ。次第に、分身が痛い程、熱くなり、私は天城の腹部に、押し当てていた。
(…自分のモノにしたい)
天城の髪に、顔を埋め、匂いを嗅ぐ。甘い香りに、目眩がする。耳朶に舌を這わせ、優しく噛んだ。ビクッと天城の身体が反応する。私の思考は、まるでお酒を飲んだ時のように、フワフワしていた。着物の上から、胸を撫で上げる。布越しでも分かる、乳房の大きさ。帯で腹部に触れる事は出来ない。私の手は、臀部を撫でた。それは、無意識の事。柔らかさの中にも、しっかりとした弾力がある。視線を、天城に向けた。頬を真っ赤に染め、瞳を潤ませている天城。そこで、私は我に帰った。素早く、天城から身体を退け、壁際に後退る。
『…ごめん』
たった三文字を書くだけなのに、手が震える。身体を起こしながら、天城はそれを見た。
(…どうしよう。襲うつもりなかったのに)
気まずい雰囲気に包まれる。表情は変わらない私。でも、心の中は、青ざめている。天城の方は、真っ赤な顔で、モジモジしていた。どのくらい、無言だったのか。次第に、周囲が騒がしくなる。それだけじゃない。爆発音が聞こえ、建物が大きく揺れた。突然開かれる扉。息を切らしたモナークが、天城を見る。怪訝な表情の天城。
「…どうしました?」
「天城、敵襲だ!」
「…敵襲」
「セイレーンだ。今すぐ司令室に!詳しい説明をしている暇はない」
「…待って下さい。他に誰もいないのですか」
「いない。基地には、天城と私。ダンケルク、ヨークタウン。他、数名しかいない」
「…どういう事です!?」
「それは」
モナークは、状況を説明した。数時間前、基地近くの沖合いに、セイレーンの大群が迫っているとの情報が入り、その討伐に、エンタープライズをはじめ、戦力の高い者達が向かった。最初、すぐに討伐出来ると思っていたが、セイレーンの最新鋭と思われる、超大型空母が複数出現。劣勢状態という事。
「このままでは、エンタープライズ達は」
その言葉を聞いて、私の感情は、複雑に蠢いた。
(転生案内人)
『ほいほ~い、何かな?』
(私の身体、要望通りなんだよね?)
『勿論、ちゃんと戦えるよ』
私は、思案した。
(…ここで、私が動いたら、色々不利になるけど。今すぐ、エンタープライズ達の所に行かないと、手遅れになるのは目に見えてる。でも、要望の中に一瞬で行ける能力がない)
奥歯を噛む。急に、足元が光り、何やら紋章の様な物が浮かび上がる。
(…まさか!?)
『ああ、言い忘れてたけど。転移出来るよ。君の世界で言うとこの。魔法ってヤツを追加しておいた。他にも、色々あるけど』
(…はぁ!?)
『君の世界では、転生者って。チート能力が当たり前なんでしょ?』
その言葉を聞いて、私は呆けた。しかし、それも一瞬の事。私は意を決した。
「俺が行く」
声が出た事すら、私は気にも止めず、天城とモナークが、私に視線を向けた。その表情は驚き。
「…倉本さん、声が」
「そんな事、今はどうでもいい。俺が、助けに行く」
言葉と同時に、転移の紋章が強く光る。唖然と見つめるモナーク。光りが、私を包み込む。天城が私に抱き着いた。そして、光りと共に私と天城は消え、部屋に残されたのは、モナークと部屋の外で様子を窺っていた明石だけが残ったのだった。
眩しい光りが収まる。目の前は戦場だった。周囲には、エンタープライズ達によって、撃破されたセイレーンの戦艦が複数、船体を半分以上、水中に沈ませ浮かんでいる。そして、すぐに近くで、戦闘が繰り広げられていた。私は、とりあえず、足元を確認する。水面に立っている私。これは、転生案内人に要望して叶えられ、この世界に転生する上で、欠かせない、私の能力の一つ。私の目の前で、ベルファストが戦っている。私は急いだ。全身、キズだらけのベルファスト。あと一撃でも食らえば、恐らく。上位個体のセイレーンが、砲撃する。瞬時に、私はベルファストの前に立ち、呼び出した刀で、砲撃を切り捨てた。周囲にいた者達が、私に気付く。
「…新手の敵か!?」
ビスマルクが、ボロボロの砲台を私に向ける。
「違います!」
天城が、ビスマルクの前に立ち、私を庇う。
「…天城、貴女。基地にいた筈」
「ええ、そうです」
「どうしてここに?」
「説明は、後で。今は」
そう言って、視線を上位個体のセイレーンに向ける。そんな二人の会話を、私は聞き流しながら、その場で跳躍し、その上位個体を縦一線で斬り倒した。唖然と私を見つめる面々。
「天城、動ける子達を1ヶ所に集めて」
「ビスマルク、天城の援護をして」
「…誰か知らないけど。命令しないで」
怒りの表情で、ビスマルクが言う。その間も、上位個体が、集まってくる。
「ビスマルクさん、お願いします。指示に従って下さい」
天城が、ビスマルクに言う。ビスマルクは、苦虫を噛み潰した様な表情で、嫌々頷く。天城とビスマルクのお陰で、短時間でその場にいた子達を集める事が出来た。勿論、上位個体は、私が次々と切り捨て、半数以上減らす事が出来ている。
「…エンタープライズの姿がない」
ビスマルクの言葉に、私は視線を巡らす。幾つも撃破されたセイレーンの戦艦の向こう側。超大型空母に囲まれ、砲撃をギリギリで避けるエンタープライズの姿。爆撃機を飛ばす滑走路は、粉々になり、丸腰状態のエンタープライズ。私の心臓が、脈打つ。
(…このままだと、エンタープライズが)
気が付けば、私は超加速していた。エンタープライズの身体を抱き上げ、その場で跳躍。近くにいた上位個体を蹴り、その反動を利用して、天城達の元まで戻る。無言で、ビスマルクにエンタープライズの身体を託す。
『…データには、ない。…お前、何者?』
「あんたらに、名乗る気などない」
『…我々の邪魔をするな』
「嫌だと言ったら?」
『なら、ここで死ね』
その言葉で、私は笑ってしまった。私の身体が、光りに包まれ、次の瞬間には、全身武装。
『…っな!?』
「残念、死ぬのは、お前らの方だよ」
全身から放たれる砲撃。私の武装は『極振り』の『機械神』の力。その力は、折り紙付きだ。上位個体のセイレーンが、この一撃でほぼ全て撃破。残った者は、右往左往して、逃げていく。セイレーンが、確実にいなくなったのを確認して、私は天城達に向き直る。いつの間にか、私の武装は解けていた。
「…倉本、さん」
天城が、私の頬に触れる。
「…お前!?」
土佐が、ビスマルク達を掻き分け、私を殴り付けた。一瞬の事に、周囲の子達がざわつく。私は、殴られた頬を赤く染め、土佐に視線を向けた。
「やっぱり、敵か?」
「土佐、止めなさい」
「…天城さん、どうして。こんな奴を庇うんですか」
「倉本さんは、敵ではありません」
「何故ですか?根拠は?」
私は、無言で転移の魔法を発動させる。その紋様は、ここにいる全員を包み込み、次の瞬間には、基地内のメイン広場に転移させた。
「不利になるかも知れないと分かった上で、倉本さんは、私達を助けてくれたんです」
優しい眼差しを私に向ける天城。
「…があぁ」
次の瞬間、全身に激痛が私を襲う。それは、身体の内側から膨張し、全身がバラバラになるような感覚。あまりの激痛に、意識は朦朧とし、そのまま私は気を失った。
今回
『極振り』をちょっとだけ、出してみた!
次回
私が、学生時代の時の好きな『ヒロイン』出るかも?