※この作品はR-18です。

放っておいて下さい   作:氷野心雫

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少しずつ、話が進みます…


どうしようもないですね!

私は、真っ暗な空間を漂っていた。

 

(…あれ?ここは)

 

そこは、転生する前にいた、真っ暗な世界。

 

(…んん?)

 

周囲を見渡しても、やっぱり真っ暗なまま。私は、茫然自失。

 

(…転生一週間で死んだとか。早くね?)

 

『あはは、残念!死んでませんよ』

 

陽気な声。転生案内人だった。やっぱり、姿は見えず。ただ、今回は何故か白い発光体が浮遊している。

 

(…何これ?)

 

『ああ、彼は。君の身体の元持ち主だよ』

 

(…はい?…)

 

転生案内人の言葉に、一瞬、思考が停止した。しかも。

 

『…初めまして』

 

なんと、その持ち主が言葉を発し、さらに停止した。

 

『もしもし?大丈夫かな?』

 

(…んん?ちょっと、待って。今声が)

 

『ああ、ちゃんとお話出来ますよ?びっくりさせちゃいましたね。あはは』

 

転生案内人と同じように、陽気な声で、身体の元持ち主が言う。

 

(びっくりしましたよ~!…じゃないわ!?一体、何がどうなってるの!?)

 

プチパニック状態の私。

 

『落ち着いて。ちゃんと、説明するからさ』

『一度、深呼吸してみたら、どうですか?』

 

二人同時に言われ、私の混乱は、何故かすぐに落ち着いた。

 

(…んじゃ、説明してもらうか)

 

『…すんごい、変わり身の速さ』

『いゃ…、むしろ有り難いと思いますけど?』

 

私の態度の変わり身の速さに、二人は圧倒されている。そして、二人から説明を受ける事。小一時間くらい。その内容を、分かりやすくすると。能力を使った私の身体は、能力を使う際、生命エネルギーと呼ばれる力が放出されるのだが。その放出される生命エネルギーの量に耐えきれず、オーバーヒートしたそうだ。つまり、あの激痛は、生命エネルギーが身体を破壊しているという事。ただ、本来、その生命エネルギーは定期的に排出されるようになっている筈だった。ところが、排出出来ない状態が起こっている。それが。

 

『僕が、貴女から離れられなくなったのが、原因なんだけど』

『もしかしたら、その原因が君じゃないかって』

 

(…はぁ、そんな事言われても、私何もしてないし。ってか、持ち主君に、未練があるとかじゃないの?)

 

『…いや、僕は特に未練はないよ』

 

(未練がないって。見た目若いでしょ。持ち主君、幾つよ)

 

『21かな』

 

年齢を聞いて、私は愕然。

 

(若!?私の三分の一しか生きてないやん!?それで、未練ないとか)

 

『…僕。元々、心臓の病気で身体弱かったんで。でも、色々楽しい事しましたよ?』

 

(でもさぁ)

 

『まぁ、そうですね。次産まれ変わる時は、丈夫な身体が良いなとは思いますけどね。あはは』

 

(…君、とても良い子だね)

 

何故か、母親の気分になってしまった。

 

『とりあえず、話を元に戻すけど。原因は、やっぱり君にあると思うんだよね』

 

(私に原因かぁ…、う~ん。もしかしたら、憑かれやすい体質が関係してるのかな?)

 

『…憑かれやすい体質、ですか』

 

(う…ん、前世の時。よく色々憑かれてた。除霊とか、お祓いしたけど。相性の良いのは、同化してたみたい。霊媒師の人が、そんな事言ってた。まぁ、悪さするような奴らじゃないから、そのままにしてたし)

 

『…成る程、それが原因かも知れないね』

『だとすると。僕、このままなんですかね?』

『今はちょっと、何とも言えないかな。とりあえず、今は我慢して』

『…分かりました。方法が見つかるまで大人しくしときます』

 

(私は、どうすれば良いかな?)

 

『何が?』

 

(何が?じゃねぇよ…。今、私ってどういう状況?死んでる訳じゃないんでしょ?)

 

『ああ、もう少しで、意識が覚醒する筈だよ』

 

(…いや、それは何となく分かってるけど。そうじゃなくて、生命エネルギーの排出方法)

 

『えっとね、簡潔に言うと。射精すれば、生命エネルギー排出は出来るよ』

 

転生案内人の発言に、私の目は点になる。

 

『本来、能力を使った際に、ある程度生命エネルギーの排出は、出来るんだけど。持ち主君が、身体に残っている状態だと、二人の生命エネルギーが共鳴し合って、倍の量を放出してる事になってるんだよね』

 

(…それで?何故、射精よ…)

 

『今、君の身体は男性でしょ?生命エネルギーってさ』

 

その言葉に、納得した私。

 

(…ああ…つまり、沢山自慰行為しないといけないのか…)

 

大きく溜め息をつく私。

 

『もっと、効率の良い方法があるよ』

 

(…それって、もしかして)

 

『そう、沢山エッチすれば良いんだよ』

 

楽しそうな声で、転生案内人が言う。私は、から笑いするしかなかった。そして、少しずつ、意識が遠退く。

 

 

 

 

 

目蓋を開けると、地下牢のベッドに、寝ていた。周囲を見渡す。

 

(…今、何時なんだろう)

 

投入口から射し込む明かり。薄暗い部屋の天井を、無言で見つめる。部屋に誰かが近付いて来ていた。ゆっくりと、扉の鍵が開けられ、入ってくる。私は、視線を向けた。廊下の灯りが、逆光になり、表情が分からないが、私はその人物が誰なのか、すぐに分かった。

「…良かった。目を覚ましたのですね」

ほっと胸を撫で下ろす様に、天城が言う。私は、身体を起こし、ベッドに腰掛けた。

「あれから、何時間経ってるんだ?」

「……倉本さんが倒れてから、十日経ちました」

 

(そっか、そんなに経過してたんだ)

 

私は『時間の流れが違うのだと』ようやく理解する。気が付けば、天城は私の横に座っていた。私の横に座っている天城は、いつもの着物ではなく、薄い素材の着物。恐らく就寝用の物だ。私が、天城を横目で見ていると、天城が私の身体に抱き着く。ふわりと香る天城の匂いが、鼻腔を擽る。

 

(うぉ~、どうしよう!?天城良い匂い。しかも、柔らかい)

 

私の胸板に、天城の乳房が押し付けられている。柔らかさと程好い弾力。私の腕は、天城の後ろで抱き締めようか。やっぱり止めようかと、葛藤している。勿論、すでに分身は勃起。準備万端だ。

「……心配してたんです」

耳元で囁かれる天城の声。その声は、少し震えていた。私の煩悩が薄らぐ。

「…このままずっと…、目を覚まさないのではないかと」

そう言って、私を見つめる天城。目元は、涙で潤んでいた。天城の顔がめちゃくちゃ近い。私の心臓が高鳴った。

「……えっと…、心配掛けた」

天城は無言で私を見つめている。

 

(何!?これ、どういう状況!?)

 

頭の中が混乱している。恥ずかしくて、天城を直視出来ない。そんな私の心を読んでいるのか、私から身体を離し、天城はクスクスと笑う。その笑みは、あまりにも綺麗だった。

「倉本さん」

「……」

「倉本さんは、私の事。好きですよね?それも、初めて逢った時から」

 

(…あぁ…、やっぱりバレるよねぇ)

 

「…どうして、そう思う?」

私は、つまらない質問をする。天城は微笑み。

「さぁ?どうしてでしょう?」

問いに、問いで返された。どうやら、天城には『私の気持ち』はお見通しのようだ。私は溜め息を一つし、頭を掻きながら、天城から視線を反らした。

「…えっとまぁ、そうだな……好き…かな」

「倉本さん。ちゃんと私の目を見て、言って欲しいですわ」

その言葉に、私の心臓が脈打つ。チラリと視線を向けると、天城はずっと微笑んでいる。頬をピンクに染めて。ふと、私は思った。

 

(…そう言えば、転生案内人が言ってたな。最低限、私に都合良くされてるって。天城のこの反応もそうなのかな?)

 

そう思うと、少し悲しくなった。何故なら、それは天城の本心じゃないという事だから。私が、前世で好きになった天城。正妻の地位は揺るぎないもの。本当なら、絶対に逢う事なんて出来ない。ましてや、触れる事なんて、夢のまた夢。でも今、私の目の前にいる天城は、確かに存在している。だけど…。

 

(天城の本心を知りたい)

 

「倉本さん?どうされました?」

無言で見つめている私を、不思議に思ったのか。天城は首を傾げながら、問う。

「……天城は、俺の事どう思う?」

真剣に見つめる私を、天城はゆっくりと目蓋を閉じ、数秒後、再び開けた。

「そうですね。最初は、警戒していました。素性が分からなかったというのもありますが。セイレーンのスパイかも知れない。と」

真剣な眼差し。

「…でも、数日。貴方を観察し、文字を介して、会話をしてみて感じたんです。倉本さんは優しい人だと」

天城の手が、私の手に触れる。微笑む天城。

「それに、エンタープライズさん達を助ける姿を見たあの時。確信したんです。倉本さんに心惹かれている自分がいる事に」

 

(…天城の言葉、嬉しい。けど…、その気持ちは偽り。天城の本心じゃないんだよ。やっぱり、私の都合なんだ)

 

「…そっか、うん」

私は、そっと天城の手から、自分の手を引いた。急に、天城の表情が曇る。

「倉本さん、私の気持ち。本当に分かっていますか?」

「…ごめん、今は一人になりたい」

視線を外し、私は天城に背を向け、ベッドに横になる。無言の二人。しばらくして、天城が私の身体に馬乗りになった。急な事に、私は目を見開く。天城の着物は、少しだけ崩れ、色白の長い足が見えている。

「ちょ…と、天城?」

「フフ…。どうやら、私の気持ちを分かってもらうには、態度で示さないといけないようですね?」

黒いオーラを纏い、そう言う天城。変な汗が、私の背中に滲む。天城の細く長い指が、私の唇をなぞる。ゾクゾクとした感覚が、全身を駆け抜けた。身体を起こそうと動く私。でも、天城はそれを許さず、体重を掛けながら、私の両肩に手を置く。

「…あ…天城、何…を」

「そんな事。私に言わせますか?」

妖艶な微笑みで、天城の顔が近付いてくる。徐々に近付いてくる天城の顔。私の視線は、天城の唇に注がれている。目蓋をゆっくりと閉じながら、天城の唇が私の唇と重なった。ビクッと、身体を硬直させる私。温かく、柔らかな感触。私の頬に、天城の長い髪が触れ、私の理性は揺らぐ。私の唇を天城の舌が這い、唇の間をスルリと入った。

「…んん!?」

私の舌が、天城の舌に絡め取られる。咄嗟に、天城の肩を掴んだ。動揺している私を余所に、天城は身体に体重を乗せ、私の上に覆い被さる。私は成すがままで、天城は私とのキスを堪能していた。ゆっくりと唇が離れ、二人の間に、唾液が糸を引いている。

「はぁ…」

恍惚とした表情の天城。一方、私は呆然と天城を見つめる。天城の指が、私の首筋を撫で下ろす。再び、私の身体がビクッと反応。

「倉本さん。名前で呼んでも宜しいでしょうか?」

言いながら、天城の指は首筋を何度もなぞり、もう一方の手が肩に置かれた。

「…えっと、天城」

「ダメですか?」

囁くように、天城が言う。

「……どっちでも」

私の答えに、天城が微笑む。私の耳元に唇を寄せ。

「フフ、千尋さん。私の気持ち、伝わりました?」

天城の行動に私は圧倒されている。混乱している思考で、頷くだけ。満足そうな天城は、私の唇を再び指でなぞり、唇を近付けてくる。あと少しで触れる直前、私は天城の唇を手で止めた。不満そうな天城。天城が私の上に覆い被さっているまま、私は身体を起こし、視線を部屋の扉に向けた。天城も視線を同じように向ける。

「……」

「…綾波レイ」

私は呟く。天城が瞬時に、私を見る。部屋の扉付近には、エヴァンゲリオン零号機パイロット、綾波レイがいた。

「どうして、千尋さんが彼女の名を?」

 

(…っあ!?しまった!?)

 

天城の問いに、私は硬直する。天城は、私をじっと見ていたが、レイに視線を向けた。

「綾波さん、どうしてこの基地に?ネルフ基地の方にいる筈では?」

天城が、私の上に乗ったまま問う。

「…碇司令の命令で、彼を調べるように言われたから」

そう言って、私を見つめるレイ。

「…もしかしてこの間、投入口から見てたの。綾波か?」

私の問いに、無言で頷くレイ。それを聞いた天城の表情が、変化する。

「千尋さん、彼女とどういう関係ですか?」

感情が天城の瞳に映る。

 

(…天城、もしかして嫉妬してる?)

 

「特に関係はない。私は、ただ彼を監視していただけ」

レイの言葉に、天城は『本当に?』と、視線で問う。レイはそれに無言で頷いた。

「…そうですか。それなら良いのですが。もし、そうじゃないなら、私。何するか分かりませんからね?」

そう言って微笑む天城。

 

(…怖!?もしかして、天城って。ヤンデレか?赤城じゃあるまいし…。でも、赤城の姉だからなぁ。その要素は無きにしもあらず…かも)

 

天城の新たな面を知って、私は困惑する。それでも、私の中で、天城は『不動の正妻』なのだ。

「…明日、絢瀬司令と話をするから」

「どうしてでしょう?」

「彼を、ネルフ基地に連れて行く為」

「…何故ですか?」

天城の問いに、レイは小さく首を横に振る。

「…理由は言えない事になってるから」

レイはそれだけ言うと、部屋を出ていった。再び、二人きりになる。気まずい雰囲気。頭を下げ、天城の表情は窺えない。ただ、何やらブツブツと言っている。

 

(…よく分からないけど。私、ネルフ基地に行く事になったってことだよね…。ってか、エヴァの世界まで絡んでんの?…)

 

プチパニックの私。

 

(…これ、絶対にまだ何か出てくるパターンだわ)

 

そう思った私だった。




次回は、あのメンバー達が!さらに、幾つか疑問がありますね…。それは、追々開示、回収していきます。
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