足を滑らせたわけじゃない。何かが腰を押さえたつけたせいだった。
(え……)
おじ様の手だった。体が離れないようにしっかり手を回している。さらに、もう片方の手が忍び寄ってくる。
「ひゃっ!?」
付着したバスタオル越しにお尻を触られる。そのままゆっくりと摩るように動いている。突然こんなことをされて訳が分からなかった。何をしているのだろうと、とても驚いていた。
「お嬢ちゃん……悪い……」
おじ様が話しかけてくる。その声はどこか辛そうで、呼吸が激しくなっている。お酒臭い吐息が鼻まで届いて表情が歪んでしまう。
「俺も男なんだ……お、お嬢ちゃんみたいなべっぴんさんの、すげえ体を見ちまったら……」
瞳孔が開いている。あんなに優しかった目が一変して怖い印象を植え付ける。これらから推察するとおじ様が今どういった精神状態なのか、私には分かる。
興奮している。
「しかもその体がくっついてきたら……嫌でもエロい気分になっちまう……っ」
「んっ……!」
腰に回していた手もお尻へ伸びてきて両手で鷲掴んで、そのまま柔らかさを確かめるかのように揉まれる。
「肉付きの良い尻してるな……」
「や、やめてください!」
抜け出そうとしても逞しい腕で押さえ込まれてしまう。そうだ、他の二人に助けを求めよう。そう考えた私は右手側に座っているはずのおじ様たちに視線を送る。
(……嘘でしょ……?)
意識を外へ向けたら信じられない光景を見た。あろうことか、その二人もこっちに近づいて
さらに、それだけでは飽き足らず手を伸ばして
「嫌、やめて……!」
「大丈夫、優しくすっからよ」
酔いと火照りのせいで鈍っている動きなんていとも簡単に止められてしまう。脂肪のついただらしないお腹に騙されがちだけれど、おじ様たちの腕や足腰の筋肉は逞しく発達している。仮に正常な状態だったとしても逃れる術はないと察する。
「はぁ、はぁ、はぁ……!」
「ふぅ、ふぅ……!」
人はこうも簡単に変わってしまうのかと思い知っていた。ひょっとしたら、おじ様たちは元からこうするのが目的だったのかもしれない。もしくは、私以上に酔っ払っているせいで心の
……まるで被害者のような見方をしているけれど、冷静に考えたら悪いのは明らかに私のほう。この方たちは優しいから大丈夫だと、安易な判断をしてしまったから。開放的な気分に身を任せ、少しくらいならと強いお酒を三杯も飲んでしまったから。様々な積み重ねがこんな結果を招いてしまった。
「これはいらねえな」
「!?」
おじ様たちは唯一私の身を守っていたバスタオルを掴むと、勢いよく引っ張って取り上げてしまった。すると包み隠していた胸が零れ落ちて、目の前のおじ様の眼前に晒されてしまう。同時に、延々と触られていたお尻も外気に触れる。突き出していたせいで最も見られたくない箇所が丸出しになる。
「おおっ、でっけえ乳!」
「嫌っ! 見ないでっ!」
元からあった羞恥心がさらに大きくなって、咄嗟に胸と下半身を両手で覆い隠した。こんな小さな面積じゃどうにもならない。でも、こうするしかない。
「極上の女体だ、見せなきゃもったいねえ」
「あ……!?」
ほんの少しも隠すことは許されなかった。私の
「形も良いし、乳輪もほどいい大きさで……たまんねえ……!」
「ケツの穴もマンコも綺麗だなあ」
「うまそうだ……」
吐息が肌に触れている。もう少しでくっついてしまう距離で、おじ様たちは私の胸や性器をじっくり観察している。顔から火が出そうだった。羞恥心が極まって涙腺が緩くなる。どうあっても、この人たちは私を犯す気なのだろうか。私の涙を見たらやめてくれないだろうか。
「が、我慢できねえ! はむッ」
「んくッ!?♡」
そう考えていた、次の瞬間。おじ様が私の乳房にしゃぶりついてきた。口を大きく開けてばくんっと乳首を頬張ると、欲望のままに舐めたり吸ったりする。あっという間に片方が終わると今度はもう片方の乳房へ。口だけでなく手で揉みしだきながら代わる代わる貪る。
「わ、若い娘のマンコ……! じゅるるるるるッ!!」
「あッ、あああ……っ!!♡」
胸だけじゃなく下半身にもおじ様の口が迫ってきた。お尻にこれでもかというほど顔を密着させて、思い切り吸いついた後に舌で激しくねぶる。鼻がお尻の穴に当たって、しかもぐいぐい押し付けてくる。
「すう、はあ、すう、はあ……ッ」
「や、だ……! そんな、ところ……嗅がないで……!」
私を辱めるためか個人の趣味か、押し付けた鼻で呼吸をしている。腰をよじらせて逃れようとしても、おじ様は執拗に顔を埋めて食らいついてくる。その上、両手でしっかりと押さえつけて固定されてしまい、どうしようもなくなってしまった。
「見れば見るほど良い
前に一人、後ろに一人、そしてもう一人のおじ様は、私が暴れた時に備えてかすぐ隣で待機している。胸や腰、お尻などを触りながら卑猥な視線で私を犯すように見つめている。
「あッ♡ んっ!♡」
「はは、嬉しいね……お嬢ちゃんもその気になってくれたのかい」
「え……?♡」
「感じてる声出してるだろ?」
胸を貪っていたおじ様が私と目を合わせてそんなことを言ってきた。違う、これは無理やりされている事に耐えているだけ。感じてるわけじゃない。
けれど、さっきから胸や下半身を責められるたびに自分が思っているのとは別の、変な声が出ていることは確か。
「勘違いしないでください……私は今も、やめて欲しいと思ってるんですっ……」
初対面の男にいきなりレイプされて悦ぶのは相当なマゾヒストの変態くらい。私は至って正常な人間で、正常な感覚を持ち合わせている。この人たちの思い通りには……
(……正常とは、言い難いわね……)
前言を訂正しなければいけない。今の私はのぼせ気味で、アルコールのせいで上手く頭を働かせることができなくなっている。少なくとも正常な状態ではない。おまけに……これは認識したくなかったのだけど、
本当に、認識したくはなかった。人間は入浴したりお酒を摂取すると体が熱くなって血流が良くなり、当然性器周辺の血流も良くなって性行為で感じやすくなる。人に寄るけれど私はそういうタイプなのだということが、今ここで明らかになった。
『感じてる声を出してる』と言われて、尤もらしく否定した。それは嘘でしかない。間違いなく
「くっ……♡ ふっ、ぅ……ッ♡」
「どれ、こっちの穴も舐めてみるか」
「ひぅっ!?♡」
情けない声が出てしまった。ずっと性器を舐めていたものが、お尻の穴へと移動したせいだった。代わりに指で股間を弄られ、唾液やその他の液体が付着した舌がぬるぬると塗りつけるように往復する。
「やめてっ、あっ!♡」
「お嬢ちゃん、ケツ穴も性感帯か?」
「ち、違っ……!♡」
気持ちいいというよりもくすぐったかった。こんな汚いところを舐めるなんて気が知れない。やっぱりこの人はそういう性癖を持っているのかもしれない。
「なあ、そろそろ湯から出ねえか……ゆでダコになっちまう」
ぴたりと胸の責めが止まったかと思えば、顔を真っ赤にしたおじ様がそう切り出した。流石にこのままだと体に危険が及ぶと判断したみたい。
「ああ、そうだな」
「一旦上がるか」
私にとって絶好のチャンスがやって来た。隙を見ておじ様たちの手を解き、脱衣所に逃げ込む。そして浴衣で素肌を隠してプロデューサーの部屋へ行き助けを求める。ただ大きな問題があって、歩こうとするだけでフラつく私に果たしてそれができるかということ。
「んじゃ、お嬢ちゃんも一緒に上がろうか」
「……っ」
案の定、無理だった。おじ様たちに立たせてもらうまではよかったのに、歩こうとしたら真っ直ぐ前に進めない。のぼせたせいというよりかはアルコールのせい。すっかりと体に回ってしまったようで、この状態じゃ逃げ出してもすぐに捕まってしまう。普段からお酒を飲んでいるからか、顔が赤いだけで平然と動けているおじ様たちを見ると尚更そう感じる。
◇
「さあて、続きだ」
温泉のすぐ近くの石畳に座らされて、おじ様三人に囲まれる。
「も、もうやめてください……この事は絶対、誰にも……」
「すまん」
おじ様の一人が私の言葉を遮って覆い被さってきた。そしてお腹の上に跨ると、腰に巻いていたタオルを取って傍に置く。
「こんなになっちまってよ……今更やめられねえ」
「……!」
すぐ目の前に現れたのは、空を向いてビクンビクンと脈打っている大きな男性器だった。私で興奮してすっかり膨れ上がったそれは大きく反り曲がっていて、まるでキノコの笠のような立派な亀頭を備え付けている。
「太さ5センチ、長さ18センチはある自慢のチンポだ。曲がっちまってるけどな。お嬢ちゃん、見たことあるかい」
「……」
何も言えない。
「コイツでどれだけ女をイかせたか。マンコに入れると膣壁を抉り擦るんだよ。それが病みつきになるらしい」
黙って首を振る。拒否の気持ちが現れた結果だった。でも獣になったおじ様には通じない。