何度目かの互いの絶頂を経由して、二人の落ち着いた吐息が部屋の中へと溶けていた。
どんなことにも終わりは訪れる。さすがにふたりとも精も根も……というか、むしろ
布団の上には手足をくったりと投げ出して全裸で天井を見つめる、少し幼くも美しい少女――
汗が浮かんだ全身のところどころには、精液が飛び散って乾き付着していた。ぽうっと上気して幸せそうに緩んだ表情が、それまでの愛された行為の名残を思わせる。
淫靡に蕩けた美少女が惜しげもなく裸身を晒している横で、同じように全裸で仰向けに横たわる男の表情も、やや疲れたふうではあったが幸せに満ちていた。
少女の横顔を愛おしげに見る優しげな瞳が、この二人が恋人同士の愛し合う時間を過ごしたあとであると、明確に物語っている。
脱力した指を絡めて繋いだ手だけのつながりから、どちらからともなくもそもそと動いて、二人の手足がまた絡み合った。さすがに性欲ではなく、相手の身体のぬくもりを求めたにすぎないようではあったけれども。
――そしてそれを、部屋の外から小さな瞳に見られていた。
ルイとレイは、自分たちのおねーちゃんと一緒に裸で布団に横たわっているのが、大好きな樹おにーちゃんであることを一応確認だけして、そっと扉を閉めた。
樹がおねーちゃんを襲ったのだとしてもむしろ歓迎なので、二人の甘い時間の邪魔をする気はない。
「あと一時間くらいかな?」
「あまり遅いと心配するかも」
「「どこで時間潰そう……」」
物わかりが良すぎるうえにやけに大人びた知識を持つ、おねーちゃんもおにーちゃんも大好きな双子だった。
景は背後から覗かれたことに気づかなかったため、恥ずかしさで床を転げ回る事態はとりあえずは回避されることになる。
樹は双子の気配を認めて景の身体越しに一応気怠げに二人に手を振ったが、意識が朦朧としていたので目が覚めたら忘れている可能性を否定できない。
幸せなまどろみを感じながら、
最後は睦み合いながら、半ば気を失うようにして眠ってしまっていたらしい。
二人とも全裸だった。さらにどう見ても事後の男女の姿だった。敷かれた布団と乱れに乱れて汚れたシーツ。隣でいっしょに寝ていただけとか言い訳しても、とても通用しそうにはない。
ルイとレイはどうなったんだろう。こんなところを見られていたら恥ずかしすぎる。
この時間で帰ってきてないとしたらそれはそれで心配だけれど、友達の家で遊んでいるのであればぎりぎり問題ない時間帯でもある。
とりあえず、お風呂に入らないと。
起き上がろうとして、ずっと片方の手をつないだままだったのに気がついた。樹が起きる気配はない。男性のほうが体力を使うのだろうし、もう少しだけ寝かせておいてあげることに決めた。
固まった感じすらする絡まった指を慎重に外して、一瞬迷ってから寝ている樹の唇に軽く口付けた。それだけで、胸の奥がきゅんと切なくなる。
樹ひとりなら、布団で裸で寝てても……いや、かなりまずくはあるけれど。
そもそも布団も変えないと匂いが……いや換気が……などと考えては見たものの、とりあえず使ってなかったタオルケットをかけて誤魔化しておく。起きてから風呂に入ってもらってシーツを換えれば一応問題はないだろう。
冷静に考えれば景自身の身体が一番の惨状と言えた。肌に飛び散ったり垂れている精液と足の付け根から肌を伝った血痕だけでも、身体からおとしておいたほうが良いだろう。とくに血の跡は生々しすぎてあまりよろしくない。
初めて樹に抱いてもらった余韻を、お風呂場で思い返してじんわり幸せを噛みしめるのも楽しそうだった。
お風呂にたどり着くまでに、ぽたりと床に垂れ落ちた精液や、足を伝って流れていった精液の処理をすることになったけれども。
畳と精液は相性がよくないことを景は知った。あまり将来役に立たなさそうな無駄知識である。さらに床の汚れを拭いているうちに次の汚れが足元に落ちて焦るとか、子供の頃に鼻血が止まらなくなって困ったとき以来の出来事だと思う。
全裸で泣きそうになりながら床を拭いたり、ティッシュで股間を押さえながらよたよた歩いた自分の姿は、恥ずかしいので記憶から封印しておくことにした。
お風呂場でぬるいお湯のシャワーを全身に浴びると、ところどころが染みた。自分が樹の背中に何度か爪を立てたのは覚えているが、樹も似たようなことをしていたらしい。
染みた箇所を確認してみる。跡が残りそうなものは流石にないようだったけれども、あってもよかったのにと思う。
首元にキスの跡は残っていただろうか。何度も吸われた気がする。見えるところにあったら流石にまずい気もするけど、誰かに見つけてもらいたい気持ちもある。
樹に抱かれたのだと、大声で叫びたい。景は彼のものになったと触れ回りたい。顔がにやける。
下手すると樹が捕まりかねないので、さすがにする気はなかったが。
どこかぼんやりした、快楽の余韻が景の身体にまだ残っていた。
石鹸でのんびりと身体を洗っていると、身体の奥から樹が出した精液がまたとろりと流れ出してくる。
「樹おにーちゃんの精液……まだあるんだ」
樹はどれだけ中に出したというのか。処女を失ったばかりのいたいけな女子中学生に!
ある意味容赦のない愛されっぷりに、表情が緩む。いまは笑うところではなかったはずだけれど。
「性欲がすごいのか、私のことが好きすぎるのか、どっちなの」
若さだけで片付けてしまうにはすこし常軌を逸していなかっただろうか。おかしい。
客観的に見ればそれに最後まで過不足なく応えた幼さの残る女子中学生も大概かもしれないが、そこはとりあえず棚上げしておく。
樹には次からは自重……は別にしなくてもいいのだけど。
なにか責任を取らせるべきではないだろうか。部屋に戻ってからのお仕置きを、考えておかねばならない気がした。すこし贅沢な甘いものを三人分……いや四人分か。
あらためて、樹との関係を想う。
自分たちが、条件と運が
シャワーのお湯と一緒に肌の上を滑って床に落ちた白い粘性の塊は、そのまま排水口へと消えていく。すこし勿体ないようなどこかほっとするような、景はおかしな気分になった。
何回出されたかは覚えていないし、まだたくさん景のなかに残っているのだろうけれども。今夜も明日以降にも、まだまだたくさん景の中に精液を出されてしまって、いずれはまだ中学生なのにも関わらず、赤ちゃんを孕んでしまうかもしれないけれど。
少しそんな妄想をしてみたものの、それはあまり現実的な未来とは思えなかった。当然だけれど、まだいまの年齢で妊娠をすれば世間の目は厳しいだろうし、婚姻を結ばずに出産するのも同様だ。成長しきっていない景の身体への負担も予想しづらい。
樹が、そんな未来を景に積極的にもたらそうとするとは思えない。今日は特例中の特例であり、互いに歯止めを
二人の結婚が可能な年齢になった日に届けを出しに行く、その日から子作り解禁、くらいはしかねないかもしれないけど。
「今日がわりと安全な日なのは本当だし……もう少しずれてて、危ない日だったらどうなったんだろう……」
計算は間違ってない……筈だった。嘘をついたわけでもない。あれだけ景の中に出してもらったとはいえ、赤ちゃんができる可能性は低い。
「でも、安全日は絶対じゃないって習ったし」
もちろん樹もそんなことくらいは知っているだろう。それ込みで今日は景の中に出してくれた。嬉しい。
おそらく妊娠はしないと思うけど、想像して、にまにまするくらいは許してほしい。
もしかしたらという可能性は残っている。もしそうなったら、樹おにーちゃんのお嫁さんになるよりも先に、お母さんになってしまうかもしれないのだ。ルイとレイは、おじさんおばさんである。
家族は、減るよりは増えるほうがずっといい。
色々と、困ったことは出てくるかも知れない。けど、家族で顔を見合わせて、そしてしょうがないなって笑って、一緒に解決していけばきっとなんとかなるだろう。
私がいて、樹がいて、ルイとレイがいて、そして子供が何人かいて。
それはそれで、色々と大変ではあっても楽しい日々になる気がして、景はわくわくしてくるのだった。
樹に買われて、愛されて、処女を失って、幸せを感じている。
昨日までの私が知らない、持っていなかったものを、今日の私は持っている。
いままで許せなかったことも、忘れたふりをして許してしまおう。
不器用な子供だった私は、もういないのだ。
この日、