基本的に本編後こんな未来があったかもしれない的なIF話となりますので、お話ごとに時系列や本編終了後の出来事が異なる場合があります。ゆるふわ認識でお願いします。
なお、本編の余韻がIF話で台無しになっても責任は負いかねます。その際は見なかったことにして忘れましょう。
父になる日にシチューを (前)
自称・役者なのに舞台や演技の経験がまったくなく、実際にはまだアマの役者ですらない
「スタジオ
専業の芸能事務所ではないが役者として所属しないか、というお誘いのようだ。やり方はどうかと思うが、事務所を探していた景としては渡りに船ではある。事務所として信用が置ければ、の話だが。
名刺を出された。きちんと印刷されたもので、自宅のプリンタで作ったようなものではない。スターズの審査員でもあったし、一応はちゃんとした業界の人なのかもしれない。景は警戒度を内心ですこしだけ下げた。
あやしいヒゲ男は
柊さんはたぶんヒゲ男の部下のはずだが、聞き分けのないヒゲ男を遠慮なく叩いていた。二人がどういう力関係なのかすこし興味が出てくる。映像を撮ること以外はなにもかもダメな男の世話を焼くタイプなのかもしれない。もう手遅れかもしれないけど男に騙されないよう気をつけたほうがいいと思う。
いまいるのは『父の日にシチューを』というコンセプトで撮影されるウェブCMの撮影現場らしい。あまり大きくないが天井は広いスタジオの中は、撮影の準備に人が行き来してざわついている。なぜここにいるのかというと、新人の役者として景がCMを撮られるという話らしいのだが。
いきなり現場とか、契約の内容その他は大丈夫なんだろうか?
素人なので慣習とか条件の良し悪しはよくわからないが、とりあえず役者としてスタートを切らなければ始まらない。仕事自体は試しにやってみてもいいかもしれない。いくらなんでも無料ということはないだろうし、最低でも高校生バイトの時給くらいはもらえるだろう。
失敗時や退社時に損害賠償とか借金を背負わされそうな契約だったら断ろう、と景は一応気を引き締めた。
話はすこし戻って、昨日の夜までさかのぼる。
大手芸能事務所『スターズ』の俳優発掘オーディションに落ちて凹んでいた景は、家の前で空を見上げながら落ち込んでいた。ルイとレイにすこし慰めてもらって気が晴れたが、黒山墨字と名乗るヒゲ男の登場に困惑することになる。
「審査員のヒゲ男に気に入られて『お前は役者になるために生まれてきた』なんて言われても、オーディションには受からなかったのよね」
その後、イトコで中学生の頃からの恋人である
もちろん以前からそれに参加することは話していたので、結果について話さないつもりではなかった。でも、まさかあんな惜しいところまで行った挙げ句に落ちるとは思ってなかったのだ。もっと早く落とされるか、さもなければなんとなく受かると思っていた。後ろ向きな言葉の一つくらいは出ても仕方がないだろう。
その後まさか、それを気にした樹がそのまま車で家に直接やってきて、景を夜のドライブに連れ出すなんて思ってなかったのだ。
ルイとレイはそろそろ寝る時間だったので、おやすみを言って出かけることになった。
「残念だったね。でもまた次の機会もあるさ。景ちゃんは美人さんだしね」
そんなことを言って、景の恋人は笑った。慰めても褒めてもいない気がする。割といつもどおりだった。
基本的には樹に会えた時点で、景の機嫌は急上昇してしまうため、普段から慰めて貰う必要もほとんどなかった。樹もそのあたりはよく理解していて、慰めるようなことは言わない。恋人たちの貴重な時間は、もっと楽しい言葉で彩られるべきであろうとお互いに思っている。
暗い夜空ときらきらした街の灯り。二人きりで車を走らせるだけで、かけがえのないデートの時間の出来上がりである。普段の生活も含めて、女子高生になってもその気になれば景はかなりお安くあがる女の子だった。
右側で車を運転している樹の横顔を見つめる。真剣に前を見つめる姿が格好いい。真剣でないときも格好いいけど。運転の邪魔にならないように慎重に、樹の腕に手のひらを重ねた。次にそっと頬ずりしてみる。抱きつくのはさすがに危ないかもしれないのでやめておくことにした。
まだ中学生だったころに結ばれて、はじめてを捧げた相手。それ以来ずっと恋人としてすごしている。ちょっと、いやかなりえっちだけど、会うたびにいっぱい愛してくれる。精神的にも、肉体的にも。
「走りながら夜景を見るのが目的だったんだけど、どこか行きたいところはある?」
だから、そんな樹の問いにすこし顔を赤くしながら景は答えた。
「……ホテル」
景の家から距離的にはかなり離れた、やや郊外に位置するそういう用途のホテルに到着する。部屋は来る途中で予約済み。ここは以前にも何度か利用したことがあった。
泊まりで部屋を取って、朝早くに出てルイとレイが起きる前くらいに家に帰ることが多かった。甘い朝をふたりで迎えるというのにも憧れるものの、次の日は景も学校があるしズル休み前提というわけにもいかない。
乗ってきた車を駐車場に止めてチェックインし、ふたりで部屋に向かう。
部屋に入ってすぐ、景は樹の身体に抱きついた。女性とは違う固い肉付き。独特の匂い。車の中で我慢していた分、隙間がないくらいに密着して抱きついた。
キスして、すぐに舌を絡ませる。くちゅくちゅと音を立てて執拗に繋がりを求めた。樹も応えてくる。抱き合いながらベッドに向かった。
急かされるようにふたりで服をすべて脱いだ。互いに興奮しているのがひと目で分かる。目の前に晒されていた。おおきく屹立した男根と、とろとろに濡れた秘裂。互いの視線が絡まる。
しばらくは互いの身体をまさぐりあった。指や舌で触れるたびに、気持ちが高ぶっていく。前戯はいらずすぐに繋がってもいいくらいには発情しているのに、惜しむようにもうすこしだけそれを高めていく。
「「もう、いいよ」」
同時に耳元で囁いて、どちらからともなく目を合わせて笑いあった。ついばむようなキスをしながら、性器をあてがう。相手のものが自分のものに触れただけで、ぞくりと痺れるような快感がはしっていった。
ゆっくりと、樹の大きなおちんちんが、景の濡れたおまんこのなかにはいっていく。一番奥までつながると、頭の中に星が飛んだ。きゅっと締まるのを感じる。粘膜が直接絡み合う。お互いに身体を揺らしながら、気持ちいいを探っていく。
ふたりの夜は、まだまだ長い。
恋人たちの夜は、やや長すぎた。具体的には明け方まで続いた。
中にいっぱい出された。呆れるくらい出された。樹が暴走して止まらなかったとか無理やりとかでは全く無く、景が途中で「そのままでいい」だの「奥にいっぱい出して」だの、おねだりしながら思い切り抱きついていた記憶があった。現役美少女JKのおねだりに耐えられなかったのは樹の責任とは言いがたい。無罪。
半月くらい前にも似たようなことがあった記憶がある。残念ながらその時の反省は生かされてなかった。
恥ずかしながら、樹との身体の相性が良すぎて色々とまずい領域に踏み込んでいる気がしなくもない。樹に身体を開発されている、と言われるとお腹の奥がきゅんとするが。言い方がやらしい。
エロく開発されすぎている女子高生というのもあまり外聞が良くない。もっとも処女を失って以来正真正銘、相手は一人だけで変なプレイをしたことがあるわけでもない。至ってノーマルだった。ややこなした回数が度を越しているだけなのだ。問題はない。はず。
……ちょっと他の同世代の男女に比べて、ナマで中出ししている率は高いかもしれない。
結婚が前提にある16歳の女性のお付き合いなので、いざ授かってもなんとかなる、というゆるい認識が二人の間になかったとは言わない。というかゆるゆるだった。景などむしろ孕みたい派に投票してもいいくらいである。
日本では女性は16歳になれば結婚できる。ただし保護者の同意が必要となる、らしい。
景はまだ中学生で樹にはじめてを買ってもらった日からお嫁さんになって子供を授かる気満々だったし、樹は嫁にして孕ませる気でいっぱいだった。互いに相手として不安はない。子供は三人以上は欲しい。しかし日本の法律上すぐに女子中学生とは結婚できない。景の年齢が上がるのを待つ必要があった。
景はできればしたくないくらいには嫌だったけれども、16歳になった時点で未成年の娘の婚姻に同意する旨の書類を、なんとか連絡をとった血縁上の父親に書いてもらっていた。内容は気にもしていないようで義務だけは果たすと言わんばかりに数日であっさり届いた。
樹はすでに成人なので、これさえ用意しておけば、景が16歳の現在では夜中にでも思い立って役所に駆け込めばその時点から法律上も問題なく夫婦として生活が出来る。
その後、婚姻届に保護者の名前と押印があれば、保護者本人の署名や同意の証明がなくてもまず問題なく受理されると聞いて景は三日くらい落ち込んだ。日本の行政システムはそんな適当でいいのか。あの葛藤は何だったのか。実の父親に頼み事をしなければならないのを何だと思っているのか。
まあ実際にそれをやってしまうと偽造なので、あとから何かと言われても困る。きちんと手続きをしておくことは悪いことではないと自分を慰めた。
そんなわけでもともとは景が16歳の誕生日を迎えると同時に籍を入れようという話になっていたのだが、景が役者としての道を選んで歩む際に不利になってもいけないと、籍を入れるのはいまのところ一時的に保留となっていた。