・神は、我々を人間にするために、何らかの欠点を与える
元ネタ:シェイクスピアの名言集
シェイクスピアの名言?の一つです。言葉通り「欠点がある人間にこそ、人間味がある」という意味です。本作品でも言葉通りの意味として使わせていただいています。ちなみにラークは四肢の無い少女を作った際、容姿と性格だけは完璧なものとして創り敢えて四肢を奪う事で欠点を与えています。少女が話す場面が無かったに等しいので、ここら辺は完全な裏話になりますね。
なおこの言葉を検索すると色んな考察サイトがありますので、興味がある方は検索してみる事をおススメします。
・オレンジの香りを讃えた笑顔を向け少し冷めたコーヒーを差し出してきた。
元ネタ:ネクロノミコン ~アルハザードの放浪~
私が好きな作家ドナルド・タイスンの作品「ネクロノミコン~アルハザードの放浪~」にて登場した表現です。情欲の魔物と憤怒の魔物という話で登場する表現で、美しい女性の姿をした情欲の魔物を以下の様に書いています。
「風の愛人は見るも美しい。夢の中に現れ、白い腕を伸ばし、長く艶やかな髪を頭に高くそびえさせ、笑みはオレンジの花の香を讃え、目は星影を映す深い井戸のようである。(以下省略)」
個人的な意見ですがその時、自分だけに向けられる女性の笑顔というのは少し神聖じみたものがあると思います。まさしくダイスンの上記の「笑みはオレンジの花の香を讃え」という描写は私にそれを連想させるものでした。本作でラークの娘がカミルにそういった笑顔を向けたのは、カミルなら私を救ってくれるだろうという伏線じみたものです。実際カミルは娘を救っていますからね。
・壁を上下に這う金属の管から伸びた摘みを押し込んだ。
元ネタ:近くの公園の遊具
これは私の実家の近くにある海辺に公園があるのですが、そこに一階と二階を繋ぐ金属管がありそれで会話する事が出来ます。静岡科学館る・く・るにも似た様なものがあったと思います。これを登場させた理由は本作の「建物内のあらゆる音、使用人の小言からねずみが走る音まで全て増幅し人間の可聴領域まで達した状態で記録する」という部分を書くためです。何が言いたいかというと魔術師は国を発展させるため多くの貢献をしましたが、実際は良く思われていないのです。現に使用人から小言を言われますからね。こういった彼らの立ち場を仄めかすための描写でした。
・「良く出来ているだろう?中国から取り寄せた個体だ。なんでも不老長寿のために、桃しか与えられず育ったらしい。(以下省略)」
元ネタ:桃娘(トウニャン)
この部分は元ネタにもある様に、ラークの娘が元は中国の桃娘であることを示唆しています。それに加え娘はラークの実の娘ではないことが、この台詞からも察することができます。桃娘については諸説あり、一番言われているのはある作家の創作であるという説です。ですが本作では実在しているものとして扱わせていただいております。何より知り合いの絵描きに見えせてもらった桃娘の涙と汗を啜り、内臓を喰ら絵画が印象に残っているからです。桃娘とは簡単に言うと幼い頃から桃しか与えられない少女のことです。そうすると少女の分泌液、即ち涙や汗が万病に効く薬となり、その肉体は不老長寿の肉となるとされたそうです。興味のある方は是非一度検索してみて下さい。
・私は木箱を脇に抱え直し、ローブは彼女に掛けたまま地下室を後にした。
元ネタ:クトゥルフ神話カルトブック エイボンの書
正直この部分は書きながら足したシーンです。本当ならカミルが出ていく際に娘の嫌がる悲鳴が聞こえる予定でしたが、私に慈悲の心が芽生えたのかローブをトリガーとした「緑の崩壊」を仕掛けさせていただきました。
緑の崩壊とはC・A・スミス、リン・カーター、ロバート・M・プライスなどなど多くの作家が協力して作ったエイボンの書に記載されている魔術です。クトゥルフ神話の緑の崩壊と言えばグラーキのゾンビの方が一般的ですが、魔術として登場するロバート・プライスの「緑の崩壊」というお話があります。ざっくり内容を説明すると沢山の功績を持つ主人公の魔術師は周囲から現人神のように扱われますが、故に孤独を感じ一緒にその勝利を喜んでくれる人が欲しいと思います。そこで主人公は静銅像に女性の魂(正確には高次元の存在)を入れ、女神のような女性を造ります。この時、青銅は人肌となり人間の女性を模倣する事に成功します。とは言え主人公は愛人を探していたのではなく、共に研究の成功を分かち合って喜んでくれる。つまりより勝利を甘くしてくれる人を望んでいたため主人公は全くと言っていい程、女性に手を出しませんでした。しかし元青銅像の女性の美しさは禁欲を守る若い弟子たちの標的になり、ついに多くの弟子たちから性交の相手として穢されてしまいます。それを知った主人公は弟子たちの行為より、女性が穢された事を嘆きました。そして青銅像だった女性と性交した者に「緑の崩壊」が掛かる様に仕掛けたのです。結果、弟子たちは日に日に体が思うように動かなくなっていき、最終的に緑の不快物へと変身を遂げました。その後の主人公と青銅像だった女性の結末は皆さんで確かめて下さい。
話を本作に戻しますが、青銅の女性と娘の共通点として性欲のはけ口とされている。と私は定義し、青銅の女性と娘を照らし合わせラークに弟子と同じ末路を辿っていただきました。最初に「ローブをトリガーとした」と解説したのは、ローブが本来数日かかる魔術を一瞬で発動するためのトリガーと成った意味です。ですから寝ている娘を襲うとしたラークはそのまま緑の不快物へと変身した事でしょう。哀れですね。
・ナスの谷
元ネタ:クトゥルフ神話(該当文献多すぎるので省略)
ここでクトゥルフ神話に精通している人は、本作の舞台が幻夢郷であった事を悟ると思います。分からない人に説明しますと、クトゥルフ神話では現実を「覚醒世界」とし夢の中に「幻夢郷(ドリームランド)」という世界が存在するという設定があります。本作はその夢の世界が舞台であったという事です。
ナスの谷についてですが登場作品では必ずと言っていい程に不気味に描かれます。それもその筈、ナスの谷には人間の命と精神を脅かすのに充分な怪物が多く住んでいるからです。現に賢者エイボンもナスの谷に出向く際、ルーン文字を刻んだ偃月刀など色んな護符や武器を用意してから向かっています。
・セラニアン
元ネタ:クトゥルフ神話(該当文献多すぎるので省略)
幻夢境にある雲の上にある都市です。ラ○ュタではないので注意。セラニアンの描写は個人的にブライアン・ラムレイの表現が好きです。これについて語ると文字数上限に達しそうなので省略させていただきます。本作では直接関りが無かったので、雲の上にある都市として認識されていれば問題ありません。
・ゾシーク(またはゾティーク)
元ネタ:クトゥルフ神話 該当書籍「ゾティーク幻妖怪異譚」
クラーク・アシュトン・スミスが描く人類最後の地です。ゾティークは覚醒世界のものですが、時系列を示すため書かせていただきました。つまり本作はゾティーク黎明期の幻夢境を舞台としています。その時、幻夢郷がどういった状況下は本作の描写の通りです。
個人的にゾティークは「断罪の書」に記された人類が絶滅する「大いなる死」の後に再び生まれた人類だと解釈しています。エイボンの書でも人類は何度か誕生し滅んでいる事が仄めかされている部分がありますので、大いなる死で滅んでから再び誕生した人類がゾティークの住民だと解釈しています。そう解釈すれば科学がほぼ知られていない事にも説明がつきますからね。
・モーディッギアン(またはモルディギアン)
元ネタ:クトゥルフ神話 登場作品「死体安置所の神」
クトゥルフ神話において私が一番好きな神です。彼は彼なりの法を持っており、それに従う人には一切の危害を加えませんが、守らない人には罰を与えます。モーディッギアンはゾティークで崇拝されている存在で、死体しか喰らわず意図的に人を殺し死体を拵える事はありません(例外として法に従わない者は殺す)。法と言っても死体が出たら喰屍鬼に報告し、死体を譲渡すること。これだけです。ですから人々からは葬儀代が浮くのでありがたい神として讃えられています。
個人的にはモルディギアンの登場描写とそれに仕える喰屍鬼の神官のセリフがめっちゃカッコいいので是非一度、登場作品「死体安置所の神」を読んで欲しいです。ちなみに私は一人で「おぉぉ...カッコいいな」と電車内で呟いてしまい、周囲の目線が痛かったです。
・さて覚醒世界のナート降霊術師たるウァカルンによる(以下省略)
元ネタ:クトゥルフ神話 登場作品「ナートの降霊術」
文字通りゾティークのナート(地名)に住まう降霊術師ウァカルンです。本作は全て降霊術師カミルの手記と死体をもとに、ウァカルンがまとめた内容であったという事です。個人的にアンブローズ・ビアスの「カルコサの住民」のオチが大好きなので、それに似せたかったというのが本音です。
ウァカルンですが登場作品では主人公というわけではありません。が降霊術師としての力量は計り知れない者であり、登場作品中での彼の生命力は正直言ってバイオハザードのネメシスレベルだと思います。
以上、本作にて登場したネタや用語の解説となります。
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