その日来店した客と言うか、最近来店した客の中でもピカイチで美人だと断言出来るソイツは、何処か気怠げに席に着いた。それがまた妙な色気を孕んでいて、視線が吸い寄せられる。
食事を提供する為に近付けば、蜜柑の香りが漂う。コイツからかと見てみれば、途中で男だと気付く。
あえて女に対応するようにしてみても、態度が変わらないから、よく勘違いされて訂正するのが面倒になった口かと小さく笑う。ソイツが店を出る前に雑用に近付き、迷惑かけるなとか色々とお小言を言うのを聞いて、保護者かと納得した。
見た目の年齢はそんなに変わらないように見えるが、結構離れてるのかもなと判断してしまったのは、雑用がソイツの前では随分と幼いと言うのと、ソイツの言動だ。雑用を甘やかしつつもしっかり叱ったりしている様子が、姉と弟にしか見えない。
俺も、レイジュには世話になったから、会えばあんな感じになるのかと1瞬考えて、んなアホなとすぐに否定する。その後襲撃を受けた時には、アイツは姿を消していた。
小船で1人離脱したと言う話を聞けば、戦闘力は無いのだろうと思った。だが雑用……いやルフィは、マリモ剣士に後を追えと指示してそれにマリモ剣士が従う。
長鼻も他2人も追いかけて行く事になったが、ルフィは少し嫌そうな顔でボソリと呟いた。
「今追いかけないと、多分ナミゾウは死ぬ」
「は?何かあんのかよ」
咄嗟に問い掛ければルフィは頷いた。
「10年前より、弱くなってる。ナミゾウの強さは尋常じゃなかった。多分、毒か何か飲んでる。……昔から、自分の事はどうでもいいって言う悪ィ癖があるんだ。身近な誰かを、庇ってるんだろうな」
そう言って、ルフィはすぐに追いかける為にアイツをぶっ飛ばすと言い切った。俺は恐らく、この時からルフィを船長にと決めていたんだろう。
バラティエでの別れを済ませて出発するときには、行き先を掴んだというマリモ剣士の知人が戻っていたのでそれと共に出発した。聞けばアーロンパークと呼ばれる地域の中心に向かったと言う。
食事をとりながらルフィと共に目的地へ向かえば、途中で海獣に襲われるし、船は空を飛んで壊れるしでいい事は無かった気がする。
船が壊れた時、マリモ剣士を巻き込んでの到着となった。おかげでナミゾウと言う女男と長鼻意外は全員が揃った形になった。
だがその直後に揉めたのはナミゾウって奴が長鼻を殺したとの騒ぎから始まった。大騒ぎになってルフィが怒り狂っていた時に現れたナミゾウは、恐ろしく冷たい雰囲気を出していた。
けれど女男に気付いたルフィは満面の笑みで迎えに来たという。この船長は、ただの馬鹿じゃねェんだなと、その時気付く。
ルフィが様子見てやがる。それにしても、この女男……バラティエに来てた時とまるで別人だな。
冷たい表情でルフィを見て、出て行けと言う女男にルフィは逢えただけで幸せだと全身で示す。嬉しそうに、楽しそうに声を掛ければ女男は小さく震える。
何だよ、お前結局ルフィの事が大切なんじゃねェか。何を隠してやがる。
上手く話を聞き出せるチャンスかと思った時、長鼻を殺したと騒がれて女男の雰囲気が氷に戻る。せっかく溶けかけたってのに。
その直後ルフィが突然倒れた。それに対して俺もマリモ剣士も動けなかったのに女男は1瞬で移動してルフィを支えた。
「ルフィっ!」
その速度も驚くが、助けに移動したその雰囲気に圧倒される。必死に守ってる感じが、悪人になり切れてねェなと思わされる。
そんな女男にルフィはニシシと笑って言う。
「本当に俺を邪魔に思ってたら、ナミゾウはこんな事しねェだろ。大切な相手にしか表情を変えられないナミゾウがどんだけ強がっても無駄なんだよ」
それを聞いて少し疑問に思ったのは、俺にも表情変えてるぞって所で……。それにしても、ルフィには本当に色々な顔を見せるなと眺めてしまう。
泣きそうな顔と声で、女男はルフィに言う。それで納得しろって無理があるだろ。
「……巫山戯るな。俺は、部外者がこの島の事に首を突っ込んで、怪我でもして言い掛かりをつけられたくないだけだ。泣き虫坊やは大人しく帰れ!」
言いながらも女男はルフィに対して優しい。そっと地面に寝かせると、顔についた砂を落としている。
その手つきが幼い子供を撫でる母親の様で、それでその言葉を信じろって無理があるだろうと呆れてしまう。途中明らかに頭を撫でようとした手が止まり、強く握られた拳を見れば、耐えたんだなとわかっちまう。
俺達の存在に今更気付いたような様子で、慌てて表情と雰囲気を引き締めてるが、もう遅いだろそれ。
「勝手に死ね!」
そう言って女男は走り去った。それを見送り、立ち去る2人も見送り、寝てるルフィの側でマリモ剣士に話し掛ければ、マリモ剣士は助けられてるからなァなんて気楽な事言ってる。
こりゃ参ったね、どーも。
それから程なくして喧嘩になった俺達の間に長鼻が現れて、ちょっとした騒動になったが、そのお陰でルフィが目覚めた。それから少し話をしていたら、美人が2人姿を見せた。
その2人はナミゾウの姉と母だと言う。それを聞いたルフィはスっとその瞳を細めた。
「ナミゾウが守ろうとしてた、大切な奴か……」
ルフィの声は少し低い。それから過去を話すからと言う2人にルフィは興味ねェと言った。
「ナミゾウの過去は、本人が話すまで興味ねェよ。散歩」
そう言って立ち去るルフィを見送れば、マリモ剣士は話を聞くと言いながら寝てしまうし、纏まりがねェなと思う。あの女男の役割はデケェと感じるのも無理はないだろう。
2人が語り出したのは、ナミゾウが2歳の時からだった。神童と呼ぶに相応しい能力をその時から持っていて、3歳になる頃には親しい相手にしか表情を変えなくなったと言う。
そんなナミゾウは5歳で航海術を身に付けて1人で海に出たと言われれば、確かに超人的だと思う。それから途中2年近く帰らないで旅をしていたと。
恐らくはそこでルフィに会ったのだろう。その頃のナミゾウは誰よりも強かったと、船の上でルフィは楽しそうに語っていた事を思い出す。
ナミゾウが10歳になった時、この島に魚人が攻め込んで来たと言ったお姉さんは、少し苦しそうな顔をした。それからナミゾウは未来を知っていたんじゃないかと思ってると言い出した。
そんな馬鹿なと思ったが、お姉さんは本気で言ってる様子で横槍は入れられそうにない。そんなお姉さんの言葉を引き継いだお母さんは、アーロンに挑んで殺されかけたのだと言う。
アーロンは女子供にも容赦しないと聞けば、いい気はしない。だが、殺さなかっただけマシかと思った時、ナミゾウに助けられたのだと言われる。幹部と呼ばれる魚人以外を打ち倒して、母親と姉を庇う10歳のナミゾウが見えた気がした。
それでも多勢に無勢、ナミゾウは負けてしまい、危険過ぎると殺されかけたのだと言われれば納得も出来る。だが、そこからだった。
幼いうちから発揮していた、神童としか呼べない能力を持つナミゾウが描き溜めた海図を見たアーロンがナミゾウを連れて行こうとして、村の人達がナミゾウの為に死に掛けた。それからナミゾウは誰にも助けを求めなくなり、村を買い戻して自由にする為に、村人を生かす為にアーロンの仲間となった。
それでも危険だからと毒を飲まされ続けて、時折その発作で死にかける事もあるのだと。その中でも、老人と子供の命代を支払い続けて、村を買い戻す資金も集めた。
村はこれで帰ってくる筈だという段になったが、ナミゾウはこれからまだ何か起きる気がするから、巻き込めないと言って倒れたと聞かされる。その話を聞けば、ナミゾウは俺よりも歳下と言う事になる。
となれば、この家族にも知られねェようにしながら、何か他にもされてるなと言うのは分かる。そうでも無けりゃ、あの色気は有り得ねェ。
虫唾が走るとはまさに、だな。そんな男が家族と同様に愛してやまないのがルフィか。
村人達にナミゾウは何も言わずに守り続けているが、村人達はそれを知っているのだと語るその表情は暗く、期待していると知れば何かあった時逃げ出せなくなるからとそれを伝えずに8年の時を過ごしたと話されて、勝手に頑張れとは言えそうもねェな。
いつの間にか起きていたマリモ剣士も含めて3人でこれからどうするかを話し合う。結局ルフィを探す事に話は決まり、村の方へ行ってみるかと歩き出す。
村につくと何やら騒動が起きていて、ナミゾウのお姉さんが撃たれたと言っている。その騒ぎをルフィも少し離れた所で見ているから、俺達もとりあえず成り行きを見守る事にした。
「ノジコが海軍に撃たれた!」
「何だって!?なら、ナミゾウは!?」
「ぼう、そう……してる。だから、ちかづかな、いで。まきこ、まれたら……ナミゾウが、苦しむ、から」
辛そうな呼吸の中でお姉さんが言えば、村の人達が次々と武器を手に表に集まるのが見える。中には明らかな子供も多くいて、オイオイと思うが声をかけられる雰囲気でも無い。
そこへふらつきながらも信じられない速度で姿を見せたナミゾウに全員の視線が集まる。そこでナミゾウは微笑みを浮かべた。
その笑顔を見た瞬間、こりゃ、ルフィが止まる筈もねェなと思わされる。そんな笑顔の状態でナミゾウは村人を説得しようとしている。
幼い子供達に慕われて、それを振り程く事も出来ない甘さ。老人に無意識で手を差し出すお人好しさが目に付く。
そんな時、ナミゾウがフラリと体を揺らした。それにルフィが1瞬動こうとして、自らを押しとどめたのが分かった。そのままそこで血を吐くナミゾウに、俺達は誰も動けなくなり言葉も出せない。
ルフィの言葉が脳内に蘇る。毒って、こんなレベルのかよ!
それでもあの動きが出来るのかと、驚愕する。苦しそうに何度も吐血して、それが落ち着けば優しく笑って村人を止めようとする。
……馬鹿か、んな事されて、止まれる奴がいたら会ってみたいもんだよ。そんな中でも俺が守ると宣言するナミゾウは愚かにもその事に気付いていない。
ああ、ナミゾウは強いんだろうさ。だが、ある意味で最弱だよ。
そう言いたくなった時、ナミゾウをお母さんが抱き締めた。それにすぐさま風車親父が近付き頭を撫でる。
そんな中でも精一杯の笑顔だろうものを見せて大丈夫だと言うから、子供達まで泣きそうになっている。お前はもう少し、相手の立場になる事を覚えろよと喉まででかかる。
最後の別れを済ませた村人たちが立ち去り、ナミゾウはその場に崩れ落ちた。そこにルフィが後ろから近付く。
まるで2人しか居ないような、近づく事の許されない空気が生まれる。
何度もアーロンと言いながらナミゾウは自らの肩に刃を振り下ろす。それを俺もマリモも長鼻も見ているしかできない。
血を吐くような叫びは、己を呪い、縛る鎖。苦しさや怒りを吐き出す事も出来ない真っ直ぐすぎる綺麗なナミゾウに対して、俺は視線を逸らす事さえ出来やしない。
ルフィがその手を掴むと、ナミゾウは手にしていた刃物を落とした。そして、囁くようにどうしてと言う。苦しそうな声に、ルフィはいつもと変わらない様子を保っている。
だけど伝わる。ルフィの怒りと慟哭が。
ルフィもまた、ナミゾウを大切だと思っているのは、恐らくはナミゾウ以外の全員が知っている。あからさまにルフィはナミゾウを特別扱いしている。
そのナミゾウが短い問答の後に泣きながら、ルフィに助けを求めた。ルフィはそれに応えて、行くぞと言うから、俺達は漸く動き出せる。
ああ、必ず助けてやると心で思いながら歩き出せば、フラフラとナミゾウは止血もせずに付いてくる。それを長鼻、いや、ウソップが支えて歩く。
姿を消していた2人組は挑んで負けたらしいと気付く。それでも村人を殺させなかったのだから、手柄と言えるだろう。
ルフィは門を砕いて侵入すると、アーロンを殴り飛ばす。既に暴走列車よろしく動き続けているから、サポートするのも大変そうだと笑ってしまう。
ナミゾウは子供達に捕まり、動けなくなっている。そのままそこで休んでろと思っていたが、ルフィの言葉に反応したアーロンが語り出すとナミゾウが焦った様子で姿を見せた。
その表情は凍り付いていて、コイツが敵なのだと再認識させられる。そのアーロンが語った内容は想像していたよりも悪い。
怒りに震えるナミゾウと、高らかに何をこれまでしてきたのかを語るアーロン。村人達も、俺達も息を呑む。
そうまでされて、ナミゾウは庇い続けたと言うのか。俺でさえ怒りに震えるのだからと横を見れば、マリモがバンダナを巻いたのを目にする。
その直後に響いたアーロンの声と言葉に、俺は反応する。このアーロンって奴は、愛し方の1つも知らねェのかよと内心で罵ったのは仕方ない事だろう。
ナミゾウはアーロンの想いに全く気付いていない様子で、ゆっくりとアーロンに歩み寄る。その場にはアーロンとナミゾウしか居ないような錯覚を起こさせる程に、2人は睨み合い微動だにしなくなる。
双方強いなと思った直後、愛を語るアーロンを無視するようにナミゾウは武器を手にする。その姿は美しい。
圧倒されるような気配に、雑魚達が下がっていく。美しくも悲しい気配を纏うナミゾウを俺は衝撃を持って見つめる。
男に見惚れるなんて、考えた事もなかった。強気に笑うナミゾウを、押し倒したいと思ってしまった。
「……来いよ、相手をしてやる」
何とも魅惑的に聞こえるが、これは下手に手を出せば怪我じゃすまねェなと思う。そもそも男にどうやって手を出せというのか。
それを止めたのはルフィで、それを見ているしかできなかった俺は無意識のうちにホッと息をついた。ルフィの気配は禍々しく、アーロンって魚人とどちらが悪役かさえわからなくなりそうな程だ。
「お前は、下がってろ。アイツは俺がぶっ飛ばすんだ!」
「ルフィ……」
呟くような、囁くような声でナミゾウはルフィを呼ぶ。キャプテンだから信頼していると言う話でもなさそうなそれに、少し不思議に思う。
この2人の距離感は何だろうと少し考えた時、ウソップがナミゾウに声を掛ける。その声は優しく宥めるようであったのに、言葉は何処か怒りを含んでいる。
それを受けてナミゾウは1瞬不思議そうに首を傾げた。その仕草が可愛く見えた時点で俺は終わってる気がする。
その後ウソップとの会話を続けていたらしいナミゾウは、何故か少し困ったような、焦ったような様子を見せる。その直後ナミゾウが俺に視線を向けて来て、何事かと思う。
「……だが、サンジには理由が無いだろう。怪我の1つだってさせたくはない。だから俺が自分で……」
そこまで言ったナミゾウに俺が怒りのままに言葉を口にするよりも早く、ウソップが怒鳴った。
「怪我してんのも、弱ってんのも、病気なのも、死にそうなのも全部お前だろうが!サンジだって既に仲間だ!何だってお前は1人で全員の命抱えてんだよ!何も出来ずに守られるだけ立場に当たる人間の気持ち、少しは考えたらどうなんだ!」
その言葉にナミゾウは動きを止める。困惑した様子で立ち尽くしている。
それを見て俺は思わず声をかけた。
「……ナミゾウ、だったな。本来男の為に戦うとかは趣味じゃねェが、お前が苦しむと大切な家族が泣くんじゃねェのか?2人のレディがお前を想って泣くのを見たくねェという、俺の我儘だ。気にせず休んでろ」
「サンジ……」
呼び掛けてくる声が甘くて、苦味の強い飲み物が欲しくなる。ナミゾウは少しぼぅっとした様子で俺を見ていたと思ったら、ゆっくりと口を開いた。
「サンジには、無傷でいて欲しいんだよ。俺の両親と似てるからな」
「両親って……」
お前、覚えてるのか?拾われたんだろう、1歳になるかならないかで。
それからは母親と姉しか居なかったと聞いてるぞ?神童ってそんなレベルの話なのか。そう思って見ていたら、優しく微笑まれる。
「ベルメールさんと、ゲンさんを足して若返らせたらサンジになると思ってる。だから、俺は守りたい」
「……っ!」
守りたいなんて、産まれてこの方1度だって言われた事は無い。それなのにこいつは当然のようにそれを俺に言う。
「……随分勝手だな」
情けなくも声が震えそうになるから、返せたのはこの言葉だけ。そんな俺に微笑みを深めて愛しげに見てくるナミゾウに、これはルフィばかりを責められねェと思った。
これはナミゾウがルフィに甘やかな毒を与え過ぎて、ああなったとしか思えなかったからだ。ナミゾウはそんな俺を気にしてないのか、全員への想いを口にする。
ルフィもゾロもウソップも大切だと臆面も無く言い切る姿に、こいつは何をしたいのかと思う。それと同時に、これはアーロンには拷問だろうとも思えた。
その甘い空気の最後にナミゾウは、だからお前達はと下げようとしてきた時、それをルフィが遮った。そしてルフィは愛しい筈のナミゾウを村人の方へと投げ飛ばして、大人しくしていろと宣言する。
好きな子にはいい所見せたいよなと少し、その気持ちがわかる気がして思えば後ろから信頼を乗せた言葉がルフィに返される。待ってる間に少しでも手当とかしていてくれるといいんだけどなァ。
それからそれぞれが、幹部を1人ずつ相手に戦い始めたが、そんな中でルフィが海に沈められてしまう。その為に休んでいられなくなったらしいナミゾウがアーロンと対峙を始めた。
そちらに視線を向ければ、魚が俺に言ってくる。それは少し挑発的だ。
「ナミゾウは誰にでも股を開く淫乱だが、頭は良過ぎる程で、格闘センスもある。海図も地図もアイツ程綺麗に描く奴はいない。だが……ここでお前達を全員殺した後は、死ぬまでアーロンさんに抱かれる事になるだろうな。お前達のおかげで、アーロンさんが喜ぶ事になる。ありがとな」
「させるかよ……」
苛立ちと共にそう言ったが、恐らくナミゾウはプライドの塊だ。簡単に足を開いたりはしていないだろう。
もしも簡単に開いたとするならば、村人の為か。……この魚達、許せねェな。
戦いが水中戦になり、その結果ナミゾウの家族がルフィを助けようとしてくれているのが分かったが、それは魚も同じ。ナミゾウの家族を殺させない為にも、負ける訳にはいかなくなった。
やっとの思いで倒した時には、吹き飛ばされたナミゾウを庇いながら戦うマリモが見えて、俺も参戦するが力量の差があり過ぎて勝負にならない。これとナミゾウはあの体で戦ってたのかと驚愕する時間さえない。
動けずにいる俺達を嘲笑うようにアーロンがナミゾウに声を掛ける。村人と自分達を助けてもらい、これからもアーロンの支配を受ける代わりに、俺達を見捨てろと。
だが……ナミゾウにその選択は出来ねェよな。俺の事さえ当然のように身内として数えて大切だと言い切った奴が、可愛い弟の様なルフィを見捨てられる筈は無い。
村人に共に死のうと言ったナミゾウは、明るく笑っていて……ルフィが滅多に見られねェと言っていた笑顔だと気付いた。なんだって男の癖に俺の心盗んでんだよ。
そう脳内で悪態ついた時、ルフィが水を吐いたのが分かった。それと同時にナミゾウがアーロンに攻撃を仕掛けた。
ゾロがそれにより開放されると、俺はルフィの岩を砕く為に水中に戻った。