それは、物語の冒頭。けれどこの時俺は気付かなかった。ただ、宝を手にして逃げる時、騒がしくなったのは幸運だと思っただけだった。
偉大なる航路の地図、それがあれば最悪今の俺なら1人でもグランドラインに入って世界地図を描けるだろうと思った。航路への地図は現在バギーが所有している。
それをどうやれば上手く盗めるか。下手をしてこんな所で躓く訳にはいかない。
情報を集める為に俺は自分の容姿を最大限に利用してきた。流石に女に見られる事は無くなったが、美少年である事に変わりはない。
胸板が見えないように細身の美少年が遭難したようにみせかければ、簡単にバギー海賊団の船員から今より少し良い船を入手出来たし、本拠地の地図まで手に入った。そうなれば迷う事も無いとバギーの本拠地を目指していける。
……別にグランドラインへの地図しか、手に入れてはいけないなんて法は無い。バギーと言えば宝探しに全力を尽くすタイプの海賊で有名だ。
貰える物はなんでも貰っておこう。バギーからなら2千万位は持ってるだろうと当たりをつければ、行くのが楽しみになる。
この時本気で忘れていた出逢いがそこにあるなんて、運命は描かれている所に既に到達していたのに、ヒントも多く存在したのに気付かなかったのだ。
無論白ひげにはエースが白ひげ所属になったとの新聞を読んだ時に、サッチの事は手紙で知らせてあった。それなのに少しも思い出せなかったのだから、俺の愚かさが分かるというものだ。
それでも、流石に名を売ってる海賊団であり、赤髪の兄弟分。バギーの配下は人を見付けるのが上手い。
とりあえずは逃げるかと走り回っていたら、空から降ってきた男を見て俺は息が止まるかと思った。明らかに当時より成長していても、間違えようのない少年。
その姿を見て動きを止めたのは、何も俺だけではなく、追いかけて来ていた奴等も突然のルフィの登場に驚いていたし、ルフィも何故か俺を見て固まっている。
「ナミゾウ……?」
知ってる声より幾分低くなったが、まだまだ声変わりをしてい無さそうなルフィの声に、俺は追われている事も忘れて懐かしさに目を細める。
「ルフィか。久しぶりだな」
「ナミゾウ、追われてんのか?」
呑気に会話をしていたら、俺の背後からバギー海賊団の奴等が襲って来る。だから俺はそれをひょいと交わしつつまぁなと答えた。
その様子を見ていたルフィがここは任せろなんて言うから、俺は素直に任せようと少し離れる。どうせルフィがここで負ける事は無い。
少し離れたところで様子を見ていた俺は、戦いが終わったところでルフィに話し掛ける。
「強くなったな。もう、今戦えば負けるのは俺だろうな……」
「ふざけるなよ。ナミゾウがあの時の強さのままでも危険だってのに、何言って……」
ルフィが悔しそうに俯くのを見て、そんな顔もできるようになったのかと少し驚く。ルフィはいつも誰にでも向かって行くイメージしか無かったから。
「あの頃少しも戦えなかった俺に、ナミゾウが手加減してくれてたのを知ってる。今はもう、あの時みたいに手加減するとか許さねェ」
熱い決意を感じるルフィの瞳に気圧されたような気がしたのは、俺がルフィのファンだからだろう。俺は怒らせたい訳では無いので、素直に謝る事にした。
「悪かった。……当時はルフィが悲しむ所を見たくなくて、わざとだったが、今は冗談抜きで勝てるか怪しいと思ってる」
俺の言葉を見定めるようにルフィは真剣な眼差しを向けてくるから、俺はただルフィに好きに判断しろとばかりに笑うしか出来ない。ルフィはそんな俺を見て、小さく舌打ちした。
それに正直、アーロンから飲むように言われている薬の為に本当に勝てる気がしない。飲まなければ、簡単にバレるのかは定かでは無いが、試してみる気にはなれない。
「ナミゾウは、やっぱりズリぃよ。シャンクスにも誘われてたし、いつも余裕あるし……で、ナミゾウはまだ島巡って放浪してるのか?」
「まぁな。今回は島の探索じゃなくてお宝狙いだが……どうだ、手を組むか?」
俺の言葉にルフィは1も2もなく頷いた。それは幼い頃の友情に似た何かが理由なのか、それとも航海術が目当てなのか。
どちらにしてもいい傾向だと俺は内心で笑う。そんな俺の顔をじっと見てくるルフィにどうしたと聞きながら、宝をいったん隠しに行けば、ルフィは1人で納得している。
何だろうと首を傾げたら、ルフィが嬉しそうに俺の腕を掴んで来た。そして、俺に笑顔で言う。
「ナミゾウ、前より綺麗になったな」
何を言われたのか分からずにルフィを凝視してから、俺は男だぞと1応言ってみれば、知ってると言われたのだから、何なんだと思う。とりあえず懐いてくるルフィの頭に手を伸ばしかけて、麦藁帽子に触るのはと思って手を止めたら、ルフィが帽子を外した。
どうやら俺の意図に気付いたらしいルフィが、期待するように見てくるから、つい笑って頭を撫でてしまう。ルフィは相変わらず可愛い。
それから少しルフィと懐かしさにかまけて会話をしていたが、バギーが宴会を始めるのを待って、宝を奪いに行くつもりだと話しておく。そのままルフィにどうするか聞いてみたら、宴会に参加すると言い出したので、とりあえず好きにさせてみる事にした。
何気無く参加してれば、情報を集めやすいとかそんな意味だろうと解釈して。けれどもルフィはさりげなく混ざる事が出来ずに大暴れしてしまうので、宝を盗み出そうした所を見つかってしまう。
仕方なく逃げ出そうとしたけど、多勢に無勢しかも大半が刃物を使っていては、ルフィが危ない。
ルフィを庇おうとして多節棍で割って入るものの、押し負けて吹き飛ばされるとルフィの悲鳴にも似た声が響いた。そこで俺を弱点と見たバギーが俺に馬乗りになると首を締めてくる。
「ふっ……くっ……」
「おお、イタイケナ美少年にイケない事してる気分にさせられるな」
そう言って笑うバギーはしっかり悪人面で、抵抗して殺されるか、このまま犯されるかしか選択肢が無さそうな状態に少し困る。まだ死ぬ訳にはいかないからだ。
殺されるくらいなら、犯される事を望むんだが……どうしたものか。ルフィの心に傷を作るのも嫌だし。
そこでバギーを切り刻む形で隙を作ってくれたのがゾロで、どうやらルフィの指示によるものらしいと分かり礼を言ってからゾロの背後に立つ。正直助かった。
当然解放された瞬間に、多少のお宝と海図を懐にしまっていたが、ルフィはバツが悪そうにこちらを見ている。
「なんか、悪かった。俺、足引っ張ったな」
「気にするな。共闘初で連携取れる方がおかしい。……ゾロを助けに来させてくれて、ありがとう。助かったよ」
俺の言葉にルフィは小さくそれなら良かったと言うから、とりあえず隙をついて逃げる方法を考える。ゾロに小声でバギーは悪魔の実の能力者だから斬撃は効かないと話せば、小さく舌打ちされてしまう。
「とりあえず逃げるか」
「そうしないとヤバい雰囲気なんだよ。マジでさ」
それから俺達3人は必死になって逃げ出した。ゾロもルフィも逃げたくない雰囲気ではあったものの、ここでこのまま戦うのは分が悪い。
「とりあえず、こっちだ。ついてこい」
俺の言葉に従い3人で今はゴーストタウンと化している村へと逃げ込むと、建物の影にでも身を潜ませようと提案した。その時、見知らぬ人が姿を見せた。
それはブードルと名乗るこの村の村長で、ルフィに1応ゾロを紹介してもらい、俺もルフィの顔馴染みだと自己紹介をした。その俺の言葉にルフィは何だか難しい感じで色々考えてる様子だったけど、無視してゾロに視線を向ける。
彼が、海賊狩りのゾロか。俺に懸賞金かかってなくて良かった。
「ナミゾウを仲間にしたんだ!」
「馬鹿ルフィ、俺は仲間じゃねェよ。まだやる事がある」
「なんだよ!ナミゾウまだなんかやってんのかよ。いつまで待てばいいんだ?」
俺は咄嗟に計算して、ふぅむと唸る。
「今回バギーがいくら持ってるかによるんだよな。それによっては、後2件位で貯まると思うから、そんなに待たせないと思ってる。スリだけで貯められる額じゃねェんだよ」
「なんだ、金が必要なのか?」
ルフィは不思議そうに言うから、あれ?と思ってルフィに視線を向ける。
「話してなかったか?俺は1億貯めないとグランドラインに入れないんだよ。だから、ここでルフィに会えなければ金が貯まったタイミングで1人で行くつもりだった」
「1人で!?俺と行こう!」
「だからな、俺は金がいるんだよ。……金がないと、身動き取れねェの。すぐに行きたいなら俺以外と行け」
俺の言葉にルフィは不機嫌そうになるが、そんな態度取られても困る。そのやり取りを聞いていたゾロは、何とも不思議なものを見るように見てくる。
「どうした?」
「ルフィから聞いていた人物像とは、違って見えたからついな。なら、お前は仲間にはならねェのか?」
「ま、金が貯まるまでは無理だ。……その契約もアイツが守る保証はない。その場合は……」
1人でも全員を守って戦いながらジンベエが来るのを待つしかない。それが終わるまで動けないとなれば、早くて半年か。
「半年遅れ位でグランドラインに入る事になると思う。だから、航海士は別に誰か探せよ」
「俺は、ナミゾウじゃなきゃ嫌だ!」
我儘は四皇レベルと言うのは、この時からかと頭を抱えれば、ゾロが楽しそうに笑った。それを恨めしく見れば、ゾロが人間だったんだな、お前……なんて失礼な事を言った直後少し寝ると言い残して寝た。
戦闘員しか居ない船に乗るのは、本来勘弁して欲しいところなのに、俺はルフィと海へ出たいと思ってしまったんだから、人とは憧れの人に弱いものだと痛感させられるばかりである。
それからルフィを手招いて帽子を示せば、なんの気なさそうに手渡して来るから少し確認する。明らかに紐があった跡はあるのに、麦藁帽子に紐が今は無い。
俺は麦藁帽子に紐を取り付けながらルフィの様子を見てみると、嬉しそうに俺を見ているのがわかった。そんなに俺が仲間になるかもしれない事が嬉しかったのだろうか。
仲間になるかはまだまだわからないは分からない状態であるのにも関わらず、ルフィは笑う。幼い頃に本当に僅かな期間しか1緒に過ごしてはいなかったのにな。
帽子に紐を付けてルフィに返せば、ルフィはそれをマジマジと見て嬉しいという感情を隠さない笑顔を見せる。それから元気にお礼を言うから、どういたしましてと俺も笑った。
そんな穏やかな時間を過ごしていた時、騒音と共に建物が壊された。俺は咄嗟に逃げ出したが、ゾロとルフィはその場に残ったようだった。
漫画の通りならば何も心配はいらないけれど、既に小さな差異がある上に、彼等は漫画の登場人物では無くこの世界に生きる1つの命。必ず無事だという保証がどこにあるというのだろう。
助けに戻るべきか……そう思ったのも束の間、ルフィは気軽な様子で姿を見せた。しかし、ルフィが仲良くしていた犬の宝物が、大切な家が燃えていた。
敵は既にルフィにより撃退されていて、それでも大切にしていた場所を奪われた犬は、ただ切なさを訴えるように泣いている。
どうして、海賊はいつもこうなんだろう。
どうして、俺は知っていても守れないんだろう。
今はまだ、初めて出会った犬が相手だから良いけれど……これがもしも、ココヤシ村で起きた事なら、俺は後悔に苛まれる程度ではすまないだろう。
ルフィはすべてを失ったかに見えた犬に、店の商品を1つ渡した。それを見て犬はそっとそれを咥えると、他の人達が避難している方へと去っていった。
俺はその光景を眺めながら何も出来なかった事実を突き付けられた気がしていた。事実、何も出来てはいないのだが。
涙を流す事も、罵る事も、怒りを爆発させる事も、俺には何1つ出来なかった。ただ、凪いだような気持ちになり、呆然と立ち尽くしていた。
ルフィがゾロを探して起こしている間に、俺は船に僅かばかりの盗んだ宝と地図を片付けて来た。これからまたすぐに、宝を貰いに行くのに荷物があったら邪魔になる。
そう思っていた間に、村長さんはバギーを倒しに行くのだと強い意志を持って叫んだ。それはダメだと、危険だと、いくら俺が言っても止めても無駄で、村長さんは駆け抜けていった。
それからすぐに、3人でバギーのいる所へと向かった。そう、俺の宝が待っているし、村長さんを殺させる訳にもいかないから。
「なぁ、ナミゾウ。仲間になれよ。村長も守るし、宝もナミゾウにやる。だから、仲間になれ」
突然のルフィの言葉に俺は戸惑いを隠しきれなくて、ルフィを凝視してしまう。それでも俺は慌てて感情を隠すと、ニヤリと笑いその手を軽く払い除ける。
「手を組むって言ってくれよ。お互いの、目的の為に」
俺なりのケジメだ。お宝集めて海図を描いて、村を買い取る。
それが終わるまでは、仲間なんて俺にはいない。今更、幸福なんざ求めちゃいない。
それからバギーのいた酒場の辺りまで戻ると、村長が必死に戦っている姿が見えた。村長の血を吐くような言葉は、ほんの1部さえバギーには届かない。
立ち尽くす俺の横を通過してルフィは村長を壁に投げ付けて意識を奪う。それを見て慌てて駆け寄った俺は咄嗟にルフィに声を掛ける。
「なんて事するんだ!」
「このままほっといたら、おっさんは死んでた。気絶させとくのが1番安全だ」
俺の言葉に反応したのは、驚いた事にゾロだった。ゾロはそれだけ言うと、ルフィのいる方へと足を向ける。その瞬間、ルフィが大声で叫ぶ。
「赤っ鼻ぁっ!」
その言葉に慌てるゾロと、ああ、こんなシーンあったなぁと感慨深く思いながらルフィを見つめる俺。そして、バギーの砲弾を打ち返す姿を見て、俺はそっとルフィに近付く。
「俺はお前達が戦ってる間に宝を手に入れてくる。だから、それが無事に出来たら、また手を組むか話そう。それまでは、1度別行動だ」
俺の言葉にルフィは笑うと、それを了承した。なので俺はそれを受けて2人に合わせる必要の無くなった状態が気軽に思えて颯爽と走り出すと、そのまま宝を漁り出した。
1つ残らず俺の物にしてやる!後少し……後少しなんだっ!
俺は宝を僅かな欠片1つ残さずに袋に詰めると、それを抱いて船へと急いだ。しかしながら、大きな袋を抱えた俺をバギーが見逃す筈も無く、追い掛けてくるバギー。
チッと舌打ちして、俺の宝に目を付けるなんて、何様のつもりなのかと苛立つ。
「俺様の宝には指一本触れさせねぇ!返しやがれ!」
バギーは怒りを漲らせながら俺を追うが、それこそ何を言ってるのか俺にはわからないし、わかりたくもない。
「何言ってんだ!海賊専門の泥棒である俺が、海賊から盗んだこの宝は既に俺の物!置いていく理由も、返す理由も無い!」
「何を言ってやがる!いいからさっさと返せ!人様から物を盗んでいい理由あるかっ!」
「いつも人から物を盗んだり、人を殺したりする海賊に説教される謂れはない!俺は海賊が大嫌いなんだよ!!」
まるで子供の喧嘩のような事を言いながらも俺は宝を守りながら走る。両手が塞がっていて武器を使えない俺は攻撃をかわして逃げるしか出来ない。
そんな時、妙な声をあげながら時折動きを止めるバギーに俺は持っていた宝で顔面を強打し、その隙に逃げる。それから、バギーから手に入れた俺の船に隠しておいた、地図とともにその宝を置いて再びルフィの元へと戻る。
ルフィは相変わらずバギーと戦っており、俺はその様子を見てふむと1人納得すると行動に移った。
バギーの身体を見付けてはロープで縛り上げていく。荒縄等は港には多く落ちていて、材料や道具には意外と困らない。
そして体の大半を縛り上げたその時、バギーが体を1つに戻そうとして戻せない事に焦る姿を目撃し、ニンマリと笑うと声を掛けた。
「お探し物は、これかな?」
驚き騒ぐバギーをルフィが遠い空の彼方へと飛ばしたのを確認して、俺は小さく伸びをする。戦いは終わったらしい。
船へと歩を進め始めた俺にルフィは声を掛けてくる。
「なぁ、ナミゾウ。今度こそ、仲間になれ」
「だから、無理なんだよ。だが、手を組むなら良いぞ。航海士として1緒に行ってやろう」
そう言いながら船へと向かっていると、いつの間にかボロボロになっていた麦藁帽子に気が付いてしまう。
「それより、その帽子、ルフィの宝物じゃなかったのか?」
「そうだ!俺の宝だ!」
その言葉に俺はふっと笑みを浮かべる。弟が居たら、こんな気持ちになるのだろうかと思う程だ。
「なら、急いで船に行くか。流石に歩きながらは直せねェよ」
俺がそう言って走り出すとルフィもその後に続き、そして船に到着する直前、後ろが騒がしくなる。村の人達が村長を守る為に怒り狂いながら追いかけて来ているのだ。
そうなると分かっていたから急いでいたのだけど、間に合わなかったらしいと俺は足を早める。それにルフィは笑いながら着いてくるのだから、強くなっただけでなく足も随分早くなったものだ。
「ナミゾウは相変わらず足が速いな!それに、ここはいい村だ!」
取り敢えずゾロを回収しつつ走る事が先決な俺はそれに頷き1つで返して、船へと飛び移った。
厄介な事に巻き込まれると分かっていても、ルフィの側は暖かくて穏やかな気持ちで居られる。離れ難い気持ちになりながら、俺は約束を守る為ルフィから麦藁帽子を受取り、舵の指示を出す事にした。
その麦藁帽子をルフィから受け取る時に、突然ルフィが俺の腕を掴むからどうしたのかと思っていたら、勢いよく引き寄せられてルフィに倒れ掛かる形になる。そんな俺を抱き締めてルフィは俺の耳に息を吹き掛ける。
「……っ!ルフィ!何してんだ」
離れようとしたがルフィはやはり腕力を上げていて、武器を手にしてない俺に力でかなう筈も無く解放される気配は無い。そんな俺とルフィをゾロは特に気にした風もなく眺めていて、俺は咄嗟に声をかける。
「お前の船長だろ、ゾロ!止めろ!」
「……無理だ。それに、嫌なら逃げ出せばいいだろ、男なんだしよ」
ゾロの言葉に俺はルフィの股間を蹴り上げて解放されるとルフィを睨む。ルフィは蹲っているが、そんなのは今は関係無い。
アーロン達に開発され終えている俺の体に、綺麗なルフィが触れるなんて俺には耐えられない。ルフィには……極力知られたくない。
「……女に飢えてんなら、後でそう言う店のある島に連れて行ってやるから俺で済まそうとするな」
ルフィはそんな俺に悲しそうな瞳を向けてくる。俺はそれを無視して船縁近くに腰を下ろして麦藁帽子を直す為に糸と針に手を伸ばした。