無題①
此処、涼州漢陽郡。馬家の屋敷。
翡と翠が漢陽郡から離れている日の事だ。蒲公英と鶸、そして蒼の三人は翌日に休暇を取る為に身を粉にして働いた。その夜、湯を沸かしていなかったことをいい事に、その晩、三人は身も清めずにそれぞれの部屋へと戻る。そんな義姉妹達に今日はやけに物分かりが良いな、と思いながら夕餉の食器を洗った後で私、葵は是否枕を両手に抱えながら翠の部屋へと赴いた。明日は三人揃って街中を歩き回る予定で抜け駆けはなしという約束だ。久しぶりにゆったりと眠れることに安堵を覚えつつ、いざセクハラ染みた行為がないと思えば、少し物足りなさを感じながら扉の取っ手に手を掛ける。
「やっほー」
蒲公英が翠のベッドに座っていた。
そっと扉を閉じようとすれば、後ろから両肩を掴まれて力強く部屋へと押し込まれる。背中に感じる胸の弾力から察するに蒼のようだ。その蒼の後ろから顔を真っ赤にした鶸が、もじもじと身を捩りながら扉を閉める。「いらっしゃい」と蒲公英が席を譲り、私はベッドの端に座らせられる。荒い息遣いが三つ、顔を上げると蒲公英と鶸と蒼が据わった目で私を見下ろしていた。少し汗臭い、ツンとした匂いが鼻先を擽る。そして、三人の股間には、女性にはあってはならない膨らみがあった。
状況を理解した私はそっと視線を落とす。そして、これから起こり得る未来を想像し、真一文字に結んだ強張った笑みを浮かべた。初めから仕組まれていた動きだ。そして今日、三人共に一線を超える気でいる。そのことを察した時、ぷるぷると体が震えてきた。恐怖ではない、羞恥に近い気がする。いずれ、この日が来るとは思っていた。しかし覚悟ができていた訳じゃない。なあなあで受け流し続けた報いが今に繋がっている。どうすれば良いか、どうやって逃げようか。そんなことを考えていると親指と人差し指を添えるように顎を掴まれて、「諦めた方がいいよ?」と蒲公英に耳元で囁かれる。ちょっと嘲笑が混じったような声に背筋がゾクゾクッとした。くいっと顔を上げさせる。蒲公英が口元を弧にした笑みを浮かべる。その後ろで蒼が舌舐めずりをしており、鶸ですらも半目で私を睨みつけてくる。
ああ、これはもう逃げるのは無理だと察したら全身から力が抜け落ちた。
「これってどういうことなの?」
じとっと三人に問いかけると「葵の男性器の苦手克服訓練だよ」と蒲公英があっけらかんと答えた。
「早速だけど先ずは服を脱いでくれない? その素敵な肌を私達に晒して欲しいなー?」
抵抗する意思も削ぎ落とされて、それでも少しでも時間を引き延ばそうと思って、ゆっくりと衣服を脱いだ。
布擦れの音、三人の荒い吐息が耳に入る。最初は羽織り、次に着物を脱いだ。下着姿になった時、手を止めようとすると「ちゃんと全部脱いで」と蒲公英に囁かれたから、仕方なくブラに手を掛ける。最初、平たかった胸も義姉妹達に揉まれている内に少し膨らみを感じられるようになってきた。何処か中性的だった体は、今や歴とした女の体に変質してしまっている。丸い膨らみを持った四肢を晒すのに抵抗を覚えるようになったのは何時頃か、乳首が膨らんでいるところを見られるのが恥だと思うようになったのは何時頃か。ブラを外してショーツに手を掛けた時、ゴクリと唾を飲み込む音がした。視線を上げる、上目遣いに見た三人の目は見開かれており、私の肌を余すことなく脳裏に焼き付けようとしているのがわかった。肌を撫でる風が冷たい、嫌でも裸ってことが意識させられる。
早く、と促される。そう言われたから仕方なく、ショーツを下ろす。その時、ぬちゃっと音が鳴ってしまったのが堪らなく恥ずかしかった。全てを脱ぎ終えると蒼の手で衣服は回収される。今日のベッドには布団が用意されておらず、自らの四肢以外で肌を隠すものがない。できるだけ肌を隠そうとすれば、前のめりになる。そのまま顔を上げると、まだ衣服を着たままの三人が股間を膨らませたまま私を見つめている。
まるで晒し者にされている気分だ。ドクンドクンと胸の内側から胸が打ち鳴らされる。
「……私だけ脱がせないでよ」
拗ねる気持ちで呟くと三人は短いスカートの中に手を入れる。
蒲公英はちょっと楽しげに、鶸は恥じらうように、蒼は見せつけるように、ゆっくりとショーツが下される。むわりとくる淫臭混じりの汗の匂い、スカートに収まりきらない三本の肉棒がぶるんと跳ねて、透明の液体が私の顔に少し付着した。しかし露わとなった三者三様の陰茎の衝撃に、我慢汁のことなんて気にしていられなかった。鶸の皮の被った陰茎、桃色の亀頭、その鈴口がちょこっと顔を出している。蒲公英は剥けており、三人の中では二番目の大きさ。しかしカリの部分がえげつない形をしていた。そして蒼は三人の中で最も長くて大きい。鶸は三人の中で最も小さいが、それでも私の一.五倍くらいの大きさがあった。蒲公英で二倍ほど、蒼は更に大きい。巨根と呼ぶに相応しい一本の陰茎に、馬並みと称するしかない二本の陰茎。鈴口から透明の液体を溢れさせながらピクンピクンと動いている。正直、圧迫感が凄い。今日はお風呂の用意もしていなかったせいか、空気が質量を持っているように錯覚する。噎せ返る、臭いが濃い。ちょっとおしっこの臭いもする。胸が高鳴る、胸が疼いている。もどかしそうな顔で三人が私を見つめている、私が身動ぎするとピクンと三人の陰茎が跳ねた。荒くなった息を無意識に当てると真正面に立つ蒲公英が「ん……っ」と小さく喘いだ。亀頭が膨れている、竿には血管が浮き出ている。えぐいし悍ましい。臭いもきついし、舐めてしまったらどうなるのだろうか。そんなことを考えてしまう程度には頭がおかしくなっていた。先程から三者三様の臭いに脳が犯されているような感じがして、くらっと来る。
でも、やっぱり、踏ん切りは付かなかった。顔を俯ける、やっぱり無理だ。だって私、男だし、今、女の子だけど男だし、陰茎とか気持ち悪い。それを舐めるとか考えられない。口腔に溜まる涎をコクリと飲んで、舌先をチロっと出してみる。視界の端にはトロッと垂れる我慢汁があって、ポタリと地面に落ちた。蒼の陰茎は他にも増して臭いが濃くて、我慢汁の量も多い。実際、彼女達の中で最も体臭が強いのが蒼だった。でも女の子の匂いが強いって意味で、正直、興奮してこなかったかといえば嘘になる。あの豊満な胸に顔を埋めながらギュッとされるの好きだし、シックスナインの姿勢になった時、下になって彼女の愛液で顔を濡らすのは――後で後悔するけど、行為中は結構好きだし、ムチムチの太腿に挟まれながら呼吸ができないくらいに秘部を押し付けられるのは興奮する。ポタリと我慢汁が落ちる、ちょっともったいなく思えた。舐め取ってみようか、少しだけ、一口だけ、でも、やっぱりできない。スッと横目に鶸の皮かむりな陰茎を覗き見る。ちょっと皮を剥いてみたい気もある。初めては口でしてあげると鶸も興奮してくれるかも知れないけど、でも、どうせやるなら手でじっくりと観察しながらやってみたいな。と思ったり、思わなかったり、駄目だ。いけない。蒼の変態的な思考の影響を受けている気がする。真正面の蒲公英。陰茎が、というよりも下唇をキュッと噛んで、いじらしく私のことを見つめてくる姿に胸が胸が締め付けられるようにキュンとなった。蒼や鶸と比べると臭いは薄い。亀頭は一度、布か何かで磨いたように綺麗でツルンとしている。ふぅっと軽く息を吹きかけると蒲公英はギュッと目を閉じて身動ぎさせた。目尻から涙が溢れる、口から漏れる吐息に余裕はなさそうだ。それでも我慢して、じっと私のことを見つめてくる。やっぱり選ぶなら蒲公英だと思う、初めては蒲公英が良い。でも、しかし、私に挿れるのは鶸か蒼が先で、蒲公英が一番最後だ。それは私の童貞を貰ったのが蒲公英であり、私が陰茎を生やした時、膣での相手を許されていたのが蒲公英だけだからだ。私の陰茎は蒲公英が独占している、だから私の処女は蒲公英以外に捧げることになっている。それは蒲公英が初めて私を受け入れた翌日の家族会議で定められた約束とのことだ。――だったら初めては鶸だよねって、いやだって流石に蒼のは大きすぎる。私のおへそよりも上まで来るじゃん、もし仮に全部入っちゃったら私のお腹の一割程度が蒼の陰茎になっちゃうじゃん。うん、怖い。だから無理、鶸で決定。でも、やっぱり挿れずに済むなら挿れずに済ませたい。正直、舐めるのも嫌だ。
うだうだ、うじうじ、と考え始めて、どれだけ時間が過ぎただろうか。まだ五分程度の気もするし、三十分以上過ぎてしまった気がする。ずっと陰茎を勃たせ続けてる三人も焦れ始めており、鶸と蒼の目から正気が薄れ始めていた。口の端から涎を垂らしている。でも、怖いものは怖いし、気持ち悪いものは気持ち悪いから仕方ない。なにより男の自分が女の子の自分を受け入れることが受け入れ難かった。もういっそ無理やりされた方が吹っ切れるかも知れない。でも、どうせ初めてなら優しくして欲しいし、キスをしたりとか、愛を囁いたりとかして欲しい。みんなのことが好きだからこそ、初めては嫌な思い出にはしたくなかった。
蒲公英が少し席を外す。ビンビンに勃った陰茎を振りながら私に背を向けると、棚の上から小瓶を持ってきた。
「葵ってさ。気が乗ると結構、変態的なこともしてくれるよね?」
そういうと小瓶からドロッとした黄金色の液体を口に含み、そして両手で私の頰に手を添えて唇を重ねてきた。
甘ったるい味がした。蜂蜜の味がする。ねっとりと舌を絡められて、たっぷりの蜂蜜を注ぎ込まれる。んく、んく、と喉を鳴らして嚥下する。体が熱くなるのを感じる。下腹部の奥の方が熱くなり、膣口の上、尿道とかクリトリスの辺りに何か熱いものが集っていった。肉体の一部が膨れ上がっていく、懐かしい感覚があった。陰茎を勃起させる、蜂蜜を全て飲み干しても舌を絡められる。くちゅくちゅと口の中を掻き回される。ほのかに甘い唾液、酸素が足りず、頭の中がボーッとしてきた。それが一分か、二分か、続いて、チュッと口を離された。「良い顔をしてるわよ」って蒲公英がうっとりとした顔で告げる。よく分からない、でも気持ちよかったことはわかる。そして、もどかしかった。「こっちも可愛らしいね」って不意に股間を撫でられた。そこには、つい先程までなかった陰茎があって、今この場にいる誰よりも小さな陰茎が勃起し過ぎて、お腹にペタンとくっついている。ああ、うん、蒲公英を犯したい。くらくらとくる頭に、蒲公英がゆっくりと顔を私の股間に落としていった。
チュッという音がした気がした、蒲公英の唇が私の陰茎の鈴口に付けられている。
そして、そのままズルリと蒲公英が私の陰茎を咥え込んだ。