バンカーが壊滅して、ヨルハ部隊もほとんど全滅状態。かろうじて残っていると思われる面々もウィルスに侵食されているため、現在は救出不可能。マスターの娘である9H1と10H1の命を懸けた機転により、2Bと司令官を失うことなく済んだ。
残念なことに、2Bは戦闘機能を消失したのか、戦闘はA2へ委任。今後は彼女をパートナーとしてだそうが……
「9S。私は単独の方がいい」
と言われ、今は別行動を取っている。なんというか、協調性が無いというか、なんか拒絶されているというか……
彼女の方はあちこちに赴き、機械生命体の破壊を徹底して行っている。僕の方もバンカーみんなの仇を討ちたいから、見つけたら必ず倒す様にはしているが、どちらかと言うと調査がメイン。先日橋が落ちた原因調査にあたっているが……
「成長? 修復? この建造物は一体……」
以前イブと戦闘を行った窪地。そこに、見た事のない物が出来上がっていた。いや、現在進行形で『建築』されている。
「ハッキング……いや、危険だ。とにかくもう少し調べて報告に戻ろう」
どんどん上へと積み上がって行く謎の建築物。目的が見えない状況ではあるが、バックアップの取れない今は慎重に慎重を重ねよう
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各地に発見されている謎の建築物。手を出せず経過を見守るだけだったが、アジトの方では新たに子供が産まれた。
2Bから11H1、12H1、司令官から13H1が誕生。僕とデボル達とで検査を行った結果、他の子達には見られないプログラムが発見。おそらくワクチンであろうと推測になった。汚染されたアンドロイドが現在発見されず、機械生命体にいくつか試すが、効果が出たとしても襲ってくる事に変わりがないので、効き目のほどがわからない。
そうやって身の回り守備を固めている所にポッドから報告が入った。
「報告:建造物の建築が停止」
戦闘の出来るアンドロイドで様子を見に行く。やたら縦に造られた建築物。一際大きいのと複数の尖った物が完成されていた。近くと機械生命体の反抗を受けたが、それ自身は特に脅威では無かった。しかし
『こんにちわ! 塔へようこそ!』
思い切ってハッキングを試みると、妙に甲高く馴れ馴れしい女性のような子供のような声があたりに響く。
まわりの小さなオブジェにも試したが、ハッキングそのものを受け付けない強固なシールドに守られている。何か手が無いかと考えていると、その声が妙な事を言ってくる。
塔に入るにはアクセスキーを取得しろ
……ここまで強固なシールドを備えて置きながら、わざわざ解除方法を伝える手口。どう考えても罠だが、これをこのままにも出来ないと判断し、アジトへ通信報告。アクセスキーの名称から、ここ以外の土地に出来た別の建造物の所へ向かう。A2はと言うと……
「ハッキングなんてめんどい。まかせた」
と言って単独行動……僕には彼女の制御は難しそうです
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「おいポッド。さっき言ってたアクセスなんとかがある場所はわかるか?」
「疑問:あと一文字をわざわざ長く聞く理由」
「なんでそう言う返しなんだよ……」
主の事は信用しているが、まだ他のアンドロイドは信用出来ない。手伝いはするが一緒に行動は遠慮願いたい。
「どこに行けばいい?」
「提案:9Sと行動。連絡のタイムラグの解消」
「……さっさと教えろ」
アクセスキーは9Sがきっと手に入れるだろう。ただアイツはスキャナーモデル。露払いぐらいはしておかないとな
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資源回収ユニット。さっきハッキングを試みた小さな建築物が言っていた建物。それは以前A2と初めて会った城の所にあるようだ
内部への侵入はあっさり出来た。しかし内部にはまだ敵が多く撃破しつつ進む……ところどころ壊れている機械生命体があるが、なんだろう?
「エレベーターがあったり、複雑だったり……ここは一体?」
どうやら上が目的地のようだけど、時々、機械生命体が「痛い」とか「苦しい」とか言いながら襲ってくる。油断を誘うための嘘なのか? 行動が理解できないまま最上階とおぼしき場所に到達。中央に台座にのった光の玉があり、円形に広がった大きな部屋のような場所。そしてその部屋の端に何本か柱が動いているように見えた。よく見ると……
「機械生命体の……部品?」
「予想:機械生命体の武器、資源の製造工場」
「まずいな……早く停止させないと」
武器の供給を止めれば、多少なりとこっちが有利になるはず。光の玉がさっきから助けてと連呼しているが、意味がわからない。こっちも助けて欲しいぐらいだよ。そう思い、ポッドに射撃命令を出す。
無事破壊は完了。さっき動いていた柱も止まり、アクセスキーも入手。確か三つ必要だったな……次へ向かうとするか
二つ目は水没都市と命名した場所。ここはマスターとアクセスして戦ったな……。あの時はマスターに悪いことをした。僕たちの戦闘が人間にとってあそこまで負荷のかかるものとは……でも、僕にとっても貴重な体験で、お陰で感情が復活した。
「こっちは『魂の箱』でさっきのが『肉の箱』……機械生命体のネーミングセンスがわからない……」
ここも同じく上を目指すような構造をしていた。さっきと違うのがやたらとハッキングで扉を開けるための手順を要求される。ただその中で見過ごせない情報も出てきた
「射出……? あの塔を名乗った建築物は何かをは発射するもの? バンカーはもう無いから……月面サーバを狙って?」
そしてもう一つ、衝撃の事実が出てきた
「そんな……まさか……僕達ヨルハ部隊のブラックボックスが、機械生命体のコアで出来ている……?」
確かに、不利な状況を覆すのに敵の武器を鹵獲するのが手っ取り早いけど……
「……ポッド、この情報は厳重にプロテクトをかけて、他の人たちに見られないようにしてくれ」
「了解」
削除しても、いつかはサルベージされるかもしれない。この情報は一旦僕が管理しよう
最上階では、さっきの肉の箱と同じ用に光の玉があったので破壊。2つ目のアクセスキーを入手できた。
最後の資源回収ユニットは……遊園地のところか。あそこのジェットコースター、マスターなら楽しめるのだろうか? そんな事を考えつつ三度入る。今までより抵抗が激しく、かなり苦戦した。魂箱は謎解きのような構造だったけど、こっちの『神の箱』は戦闘ばかりだ。
なんと最上階についたが……
「ぁぁぁ……」
「……え?」
目の前に現れたのは見た覚えのあるアンドロイド、21Oだった
「オトコぉぉぉ!」
そう叫び『赤い目』を光らせながら蛇のような機械生命体を呼び出す。ここまでの度重なる戦闘に加え、見知った相手との戦闘しかも
「オペレーターさん!」
「21O。侵攻作戦の時、戦闘型Bへの換装を希望。21Bとして作戦に参加するも4時間後に行方不明」
「なんで!?」
さすがに戦闘型へ変えただけあって強い! こっちもかなりの戦闘を経験したはずなのに……
「オス……レイプ……座標……転送……コダネ……ハイは、一回で……」
「くっそぉぉぉ」
彼女の攻撃は熾烈。今までの蓄積したダメージもあったがひとまず動きを止めた。戦闘中の相手の独り言が気になって破壊は出来なかった。
疲労困憊。表現としては多分これが一番合う。尻餅をついて大きく息を吐く。どうしたものかと考えていると相手が動き出した!
「オスぅぅぅ」
「くっ!」
武器を振りかざされて思わず頭をガードする。ここまでか……と覚悟した
「何をやっている!? 9S!?」
武器は振り下ろされず、前を見てみるとA2に羽交い締めされたオペレーターさんがいた
「A2!?」
「何をしている!? さっさとハッキングしろ!」
「しかし……」
「壊すか直すかさっさと選べ!」
壊す? それは嫌だ。今、僕に出来るのは……
「ハッキング! ワクチン投与!」
一発勝負。こっちが感染するかもしれないけど、悩んでいる時間は無い。一人でも助けたい
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「やっと止まったか」
なんだか9Sの動きがおかしかったが、知り合いだったのか。なら、あの動き納得出来る。今、二人は再起動待ちだ
「報告:9Sと21B。バイタルに乱れはあるものの、メンテナンスで改善可能」
「わかった。起きるまではここにいる」
露払いと万が一を想定していたが、なんとかなったな。自身のシステムチェックをしながら起きるの待っていると9Sが起きた
「ううん……ポッド状況を」
「お前は寝てた」
「は!?」
身も蓋もない言い方だが、事実だからしょうがない。声をかけられて驚いたのか9Sが戦闘態勢をとる。勘弁してくれ……
「A2か……?」
「それぐらいわかるだろう? それに横に寝ている奴も」
オペレーターと呼んでいたことから、多分Oシリーズなのだろう。なんか武装が違う気がするが……
「その……A2? 君はなんでここに?」
「ああ……その、なんだ」
「報告:敵勢力の排除。および露払『だぁぁぁ! たまたまだ!』」
こいつは本当、言わなくていいことを言う。
「それより、『そいつ』大丈夫なのか?」
「え? ……ああ!!?」
傍に寝ているオペレータータイプと思うアンドロイド目を向ける。多分、スキャンだったり何か検査してるんだろう
「ウィルスの反応が……ない……」
「いい事じゃないか」
正直、かなりほっとした。これで万が一昔の仲間を見つけても、壊す一択じゃなく助けられる可能性が出てきた。まー私の方じゃなくて9Sや2Bの方になるだろうが。すこし気が抜けてしまったが地震のような振動が起こる。9Sとオペレーターのいたところが抜けて下に落ちてしまった
「おい!!」
追いかけようとするが、新たに機械生命体がこっちを襲ってくる。特に驚異でもなかったが、にいちゃん、にいちゃんと連呼する変な奴だった……
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「う……ううん……」
ここは……?
「9Sの起動を確認。おはようございます9S」
「ああ……ポッド……」
気を失う前のメモリーを呼び出す。A2に助けられて、床が抜けて……それで……あ
「オペレーターさん!?」
慌てて周りを見ると、すぐ近くに21Oもとい、21Bが近くで寝ていた
「ポッド、状況の報告を」
A2の助成により、なんとか21Bさんへのワクチン投与は成功。その後、塔の一部崩落に巻き込まれ機能の一時停止。ポッドが救出してくれたという……
「ありがとう……オペレータさんはどうしたらいいと思う?」
「現状。ウィルスの感知は無し。デボル、ポポルタイプによる診断があれば、確定可能と予想」
「……なんとか連れて帰るか……」
こういう力仕事は苦手なんだよな……と思いつつ、やっと誰かを助けることが出来るかもしれない。そんな期待をしつつアジトに戻って行った