私の中でもこのシーンは外せなかったので、ねじ込むのに苦労しました・・・
「遅かったじゃないか9S」
「君ねぇ……」
オペレーターさんをおんぶして、第3の資源回収ユニットからなんとかアジトについた一番最初がこれである
「9S。そいつがワクチン投与に成功したヨルハ機体か?」
「え、ええ……何故それを?」
「A2から報告を聞いていたのよ。検査の準備もオッケーよ」
「……ふん」
顔を逸らし奥へ向かうA2。なんだか怒った時の2Bに似ていて、ちょっと嬉しかった。
「さ、奥へ行くぞ」
「ええ」
デボルとポポルに連れられて、診療所と化した道具屋の裏へ行く。オペレーターさんをベッドに寝かせて、改めてこちらもスキャンしてみる。僕の結果ではウィルスの感知はなし。ポッドの方も発見出来ず……
「結構危ないとこまで感染してたっぽいな……」
「そうなの?」
「ええ。言語中枢の所まで侵食された跡があって、もうちょっとでロクに喋れなくなるとこだったかも」
「侵食された連中は……確かにひどかった……」
バンカーの時といい、あの時といい下品な言葉オンパレードだったもんな……
「でも、他の機体は侵食が早かったですが、なぜオペレーターさんだけ?」
「さぁな……ただ、何重ものプロテクトというか抵抗の跡もあった」
「そうね。どうしても負けたくない。そんな信念を感じたわ」
静かに横になるオペレーターさんを見つめ、成功しているか不安を感じつつも、やっと一歩踏み出せた。そんな気持ちを抱いていた……
──────────ー
「と言うわけで、なんだか怪しい塔へ入れるかもしれない」
「記録を見ました。資源を回収し、何かを射出する……。目的はわかりませんが、放置しては敵の増援を許すでしょう」
「アダムは間違いなく私が倒したと言うのに……」
定時報告は行なっていたが、私のは大体撃破関係。今回の救出や調査に関しては9Sが頼りだ。ただ、敵の目的がどうにもハッキリしない。恐らくは月面の人類を狙う算段らしいが、そこまで人類狙う理由もわからない。
「どちらにしても内部の調査、必要であれば破壊する方向で行きましょう」
「それまでは……控える、のですか? 司令?」
「誠に遺憾ですが、ここを攻められた時の事を考えて、塔の問題が片付くまで子作りは……禁止いたします」
どうにもここにいる連中が沈んでると思ったら、そっちか……
「そ、そうか……」
主もなんだか沈んでるし……。ま、私は妊娠出来ないから、帰還する度に目一杯してるからいいけど
「終わるまでは私はお尻中心に、2Bは残念ですがお口のみでご主人様のお相手をして下さい」
「せっかく、繁殖型へ替わったのに……」
今、なんの話してるんだっけかな……。
いつの間にか、ローテーションの話とか、回数の話とかかなりずれてる会議は、その後しばらく続いた
──────────
翌日。オペレーターさんの容体は落ち着いているが、まだ目を覚ます様子はない。戦闘型へ換装したと記録上あるので、出来れば一緒に塔へ来て欲しかったが、これ以上敵に猶予を与えるとどうなるかわからない。
アジトの守りは2Bを始めとする一家に任せる形になり、僕とA2そして……
「現場での治療は任せろ」
「ええ。負傷しないのが一番ですが……」
デボルとポポルがついてくる事になった。
「娘達はもう一人前に看護出来ます」
「まだちっちぇのにな」
「大きさは関係ないです!」
見送りに来ていたメンバーの中から、二人によく似た赤い髪の女の子が出てきた。
「そうよデボル」
「わりぃーわりぃー。ちょっと前までお腹の中にいたと思うとなー」
「母さん達こそ失敗しないでよ?」
「お? 言うねぇ」
「私達の出番が無い方がいいのよ。それより……」
「うん。患者さんは任せて!」
そんな見送り受けて最後にマスターが来てくれた
「9S……出来ればまた『一緒に』戦いたかったけど……」
「ダメです。今度は本当にどうなるかわかりません」
敵の本拠地と思える所に乗り込む以上、マスターの危険は可能な限り排除しなければいけない。
以前でさえトラブルで危なかったのだ。今度こそ……と考えると到底出来る事ではなかった
「……わかった。無事に戻ってこいよ?」
「……善処します」
そう言うのが精いっぱいだった。そうマスターに告げて僕たちは塔の場所へ向かった
──────────
「やっぱり敵が集まってるな……」
「でも、まだ少ないような?」
塔を見下ろすことが出来る位置から状況を観察する。正直、もっとこう大軍団を想像したが、下手すれば僕だけでもなんとかなるレベルな気がする
「万全を期すため、私達が露払いってことでいいか?」
「そうねそうしましょう」
「戦うの、久しぶりだな」
そう言って3人が先行して機械生命体の排除に向かった。特に大きな抵抗も見えず、塔の周りにある小さな『サブユニット』に近づく。手に入れていたキーが反応してハッキングが可能な状態になりそのまま行う。
一つ、二つ、三つとサブユニットは問題なく解除出来たが……
「おい! 数が増えてきたぞ!?」
「さすがに本体はってことじゃない?」
「ちょっとマジになるか!」
敵がどんどん増えてくるが、三人のおかげで塔本体にハッキングができた……しかし
「な!? この防壁は!?」
多分ここが最奥だと思うけど、最後のハッキングがうまくいかない。どんなに攻撃してもはじかれてしまう。今までのハッキングなら、どこか別の所に壁を消すための柱のようなものがあり、それを壊せばはじかれることがなくなる
しかし、どこを探してもただの部屋。そこにどんなアクセス攻撃をしてもはじく壁を身に着けたヤツだけ出てくる。
しかもそいつらは一切攻撃もしてもない。つまり、カウンターを狙う事も出来ないからハッキングを一切受け付けない状態なのだ
「警告:閉鎖系防御システム」
「閉鎖……どうやって突破すれば……」
「予測:当該自我データを暴走させる。ぞの自爆エネルギーで防壁を麻痺させることが可能」
「……それだと僕は入れない……か」
おそらく、塔の中は今以上の激戦になる。となるとスキャナーモデルの僕よりA2が適任だ。21Bさんが目覚めれば、さらに楽になるかもしれない
と、考えてると、ハッキングを中断されて塔にはじかれてしまった
「うわっ!!」
「9S! 何をしている!?」
「大丈夫!?」
3人がこちらを気にしながら戦いを続ける。扉を開ければみんなが入れる。……マスター、申し訳ありません……
「ポッドより、ハッキング結果を共有」
『自爆だと!?』
「こら!? 何を勝手な事を!」
ポッドがなぜかさっきの自爆の事を他のメンバーに伝える。伝えたところでどうにもならないのに……
しかし、それを聞いて『同じこと』を考える人がいた
「……デボル……」
「ポポル……やるのか?」
「……うん」
僕が再度トライするより先に、ポポルが塔に近づいて『ハッキング』をしだした
「ああぁぁぁああ!!」
「ポポル!? 何を!?」
「私達はぁ! やっと! 罪を償う機会がもらえたんだ!」
ハッキングをしているポポルと塔の間に、大きな火花が見える。徐々に徐々に開いていくが、まだ足りない
「やめるんだ! 君の回路が……心がもたない!」
「デボル……ごめん、たり、ない、みたい……」
「……大丈夫だ」
「ま……」
デボルもポポルに続きハッキングを開始する。火花がさらに激しさを増してあたりが白い光に包まれる
「デボル!? ポポル!?」
かなり強い光のため、視界が遮られてしまう。大きな音ともしており、どうなったかわからないが声が聞こえた
「9S、後悔しないようにな……」
「娘と……マスターをお願い……」
時間は多分一瞬だったと思う。戦闘音はまだ続いてるからA2が戦闘中なのだろう。
「強烈な光のため、視覚回路の修復中」
ポッドの事務的な解説が聞こえる。ゆっくり視界が回復し、塔を見ることが出来るようになると、その扉はしっかり開いていた。そして、その入り口には二人のアンドロイドが倒れていた。
「デボル……ポポル……」
急いで二人に駆け寄ると、すでにポポルの方は動かなかった。デボルも体が思うように動かないのかぎこちない動きだ
「9S……これ、を……」
「何? データ?」
「私は……私達は……役にたったか?」
「……これ以上ないぐらいだよ……」
彼女の手をしっかり握り感謝を示す。僕一人の自爆だけでは多分開けられなかった。それをポポルが示してくれて、デボルが後押しをしてくれた。まさか入口でいきなりこうなるとは思わなく、悔やんでも悔やみきれないが……
「9S!! 先に入って調査してくれ! また敵が増えてきた!!」
A2の声に意識が戻される。さっきより強化されたような機械生命体があふれてくる。この数はさすがにA2といえどと思うが
「侵入を防がないと挟み撃ちになる! 早く行け!」
「わかった……!」
出来れば二人を巻き来れない場所に連れて行きたかったが、そんな余裕もなく僕は二人を置いて先に行く
「A2ちゃんと来いよ!」
「そっちこそヘマするな!」
徹底的に調べてやる……それがスキャナーモデルの僕の仕事だ。そう決意を胸に塔の中へ入っていった
──────────
塔の方から強い光が見えてやっと扉が開いたようだ。ポッドから自爆が必要とか意味不明な情報が流れたが、9Sがなんか適当にやったんだろう。こっちはこっちで敵がどんどん増えてそっちに行けない
「そっちこそヘマするな!」
出来れば同時に入りたかったが、こいつらを掃除しないと後ろから攻撃される。少々きついが何とかなると判断し、9Sに塔へ先へ入ってもらうことにした。あいつのことだ。ちゃんと調べて、私に楽をさせてくれるだろう。そういう目論見もあって、そのまま戦闘を続けているとようやく終わりが見えた。
外に戦力を裂く余裕がなくなったのか、必要ないと判断されたのかわからないが、ひとまずは終わった
私も続いて入ろうとすると……
「デボル……ポポル……」
動かなくなった二人のアンドロイドを見つける。あの光はこの二人の仕業だったのか……
「……負傷を治す衛生班が、最初に死ぬって……バカだろう……」
「推測:塔攻略に置いて最良の選択」
「……死ぬのが最良なんて……アホ言うな……」
動かなくなった二人の手をつないでやり、私も中へと向かう。結構時間がたったからどこで合流できるかわからないが急ごう
「ポッド……アジトへ、二人の死亡の報告を」
「了解」
「二人は……最高の仕事をしたと……」
「……了解」
1D1と1P1になんて言ったらいいかわからないが、決着がついたらきちんと話そう。必ずだ
今一度2Bより預かった武器を握りしめ私も先へ進む
ここで決着がつくと信じて
なんとか進められました・・・
他の小説を色々書きましたがw