※この作品はR-18です。

オートマタ(全自動妊娠出産愛玩人形)   作:カズゆき

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最終話「ヨルハ・・・部隊」

 私は、人の多い所を歩くのが好きだ。さっきのようにぶつかるのはまれだが、そういうアクシデントも楽しい

 あの人が生きていた時代に、少しでも近くなったのだろうか? あの人との最後になるかもしれない子供をお腹に抱えつつ、「9S(ナインズ)ホテル」へ向かう

 もちろん、表ではなく裏の方だ。人目のつかない通路を歩き、一面真っ白の行き止まりに着く。そこに手を付けると

 

「……登録されたアンドロイドの信号を検知……おかえりなさい」

 

 そんなアナウンスが『頭の中』に響き、何もなかったはずの壁が音もなく開く。私が中に入ると、また音もなく壁は閉じ、壁には何も残っていなかった

 

「奥様? また外を散歩されておられたのですか?」

「最近楽しくてね……」

 

 支配人の奥さんが、ちょっととげとげしい雰囲気で言う。

 

「もう……『今は産まれない』とはいえ、無理はしないでください」

「ええ。注意はしてる」

 

 私達であれば、ちょっとやそっとじゃ、外からの力で産まれることは無いと思うけど、それでも大事に扱いたいのは同じだ

 

「みんなは?」

「いつものお部屋で、てれびを楽しんでおられます」

 

 そう言えばあの人に聞いたことがあったな。外に出られない人とか旅行に行けない人が、記録を大きな画面で見ることで楽しめるとか……

 

「トゥーワン。いつもありがとう」

「いいえ。いつものことですから」

 

 口元を隠しているが彼女の笑顔はそれでも伝わる。支配人が表に出られない以上苦労もあるだろうが、それを楽しんでやっているようで何よりだ

 エレベーターに乗って最上階に向かう。そういえば、あの花があったのは逆に地下だったな……とふと昔を思い出すと、扉が開いた

 

「あー!!! そこは左の攻撃をさばいて投げるかキメるだろうが! なんで飛び込んだんだよ!?」

「もう……あんまり叫ぶとお腹の子が心配ですわ」

 

 二人とも……というか片方だけテレビに夢中のようだ。かじりついているのはやはり昔ずっと戦っていたからだろうか? 格闘技というのを好んで見てるみたいだ

 

「あら? おかえり」

「ただいま」

「おはへりー」

「口に物を含んだまましゃべらない」

 

 最上階は私たち専用の部屋で、『私達』以外がボタンを押しても来れないようになっている。と言っても広さはあの時の部屋と変わりないけど

 

「今日はなにか面白いことがあったか?」

「人が一杯だった」

「それでも、全盛期の10分の一……まだまだ時間がかかりますね」

「確か、男の数が足りないだっけ?」

「現在で2:8。最近3:7になったようですね」

 

 それでも、あの人一人の時に比べれば本当ににぎやかになった。出来ればお腹の子の出番が無い事を祈る

 

「あの時流行った病気も再発してないですし、機械生命体も今やお手伝いロボットです。このままいけば私達も静かに暮らしていけるでしょう」

「戦闘型の私にとっては微妙だけどな」

「君も妊娠してるのだから、控えた方がいい」

「はいはい……って本当、これ重いな……お前らよくこんなの抱えてたな」

「あら? 幸せの重みです」

「……まぁ否定はしねぇけど」

 

 私達三人とも、あの人の遺伝子を直接卵子に書き込み、息子をお腹に抱えている。戦闘型といった彼女は、私の二つの子宮で書き込んだ卵子の片方を移植したものだ。

 

「一度、滅んでしまった人類」

「あの時は旦那様がいたから、今がありますが」

「次も考えないとな」

 

 万が一。あの時は色々なものが重なり、人類がいなくなってしまった。あの人が残ったのは本当に偶然。それに備えるべく私達は

 

「再度同じことが起こった場合」

「息子を産み、何度でも人類を復活させる」

 

 お腹をさすりながら、来てほしくもなく、でも産まれてほしいという小さな矛盾を思う。この子を宿し1000年と少し。お腹にいてくれるという幸せは、やはり心が安らぐ。この子が生まれる時は、またあの時のように絶望の夜が続く。だから私達は

 

「どんなに暗い夜でも、いつかは明ける……」

「私達『ヨルハ部隊』改め」

「ヨルハアケル部隊……何度でも私達は人類を再生させます……アナタ……」

 

 記憶の劣化はない私達。もう娘たちは全員死んでしまったけど、それでも、あの思い出は苦しむ呪いでもなく、生き残る罰でもなく、明日の希望となっている

 

 ……マスター……いつか、また、お会いできると、信じております……




これにて、このお話は終了となります
「ヨルハアケル」「夜は明ける」このダジャレが思いついて、どうしてもここまで書きたくなりましたw

それでも、ヨルハ部隊はいつか来る夜明けを信じて戦った
それが叶った一つの形として私はこの形になりました

次回‥というか、まだ書いてたりするものがあるので、まだだらだら続けたいと思います

ではでは
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