※この作品はR-18です。

悪の組織は不死身の少女に殺してと言わせたい   作:Kaisu

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28:幕間 影の伝染病

 こむら返って悲鳴をあげていた足がある程度平常に戻ると、お姉ちゃんはビニールマットを持って僕を川縁まで連れていき、石鹸を取り出した。

 

「そんなに全身精子の匂いさせてたら、帰れないからね。洗ってあげるから、綺麗さっぱり落としましょう」

 

 今日はペットボトルの温水ではなく、川の冷水。

 でもカッカとした体の火照りが抜けきらない体にはちょうどいい冷たさ。

 

「なーんにも、レオ君はなーんにも、動かなくていいからね〜。おもちゃの汚れは持ち主がキレイキレイにしないといけませんから〜」

 

 座った僕はあっという間に泡だらけ。また全裸になったお姉ちゃんによって、首、肩、両手、手首、肘、二の腕、脇、背中、胸板、へそと、垢と汗と精子を擦り落とされていく。

 仰向けに寝かされて、お姉ちゃんは尻を僕の顔の方へ向け、腰を無視して足先の方へ頭を向けた。足の指の股すらこそいで、足先から股間の本丸へ、こむら返って固まったスジを揉み洗って何度も伸ばしながら攻略を進め、足の疲れを腰へ押し上げていく。まるで血を股間に集めるかのように。

 

「攣ってたからしっかり揉んで柔らかくしてあげたのに、おちんちんはまたガッチガチに硬くなったね?」

 

 30分ぐらいだろうか。

 ずっとお姉ちゃんが密着し、ありとあらゆるところを触られて。

 興味が足へ移ってからは常に顔の近くで毛のない股間がてらてらと輝きながら揺れて淫臭を振り撒いていたのだ。元気にならないほうがどうかしている。

 

「じゃあ、ここのコリもほぐしてあげないとね。じゃあ、足開いて」

 

 また一段と手の中で石鹸を泡立てたお姉ちゃんは、泡を足の間に落とした。

 触れられていなかった内腿を指が泳ぎ回る。玉袋を慈しみながら優しく揉み洗い、肛門のシワひとつひとつすらも引き伸ばして汚れを落とす。自分でもここまで丁寧に洗うことはないほどに。指の腹が肛門を行き来するたびにふゃぁとその指を受け入れてしまいそうになる。

 ひとしきり腰回りを石鹸で掃除すると、お姉ちゃんは両手を尻の下に回して、ちんちんの先を口に入れ、固まっていた尻肉を揉みほぐしながらしゃぶりはじめた。

 玉袋までは触ってなおもノータッチだった竿。突然熱々の口内に収まり、たっぷりの唾液で磨かれていく。

 豊かなおっぱいがお腹の上で潰れ動いてこそばゆい。

 

「はふぅ」

 

 大きくはなく、まだ完全な剥き癖のないそれの隙間隙間に唾液が染み込んでくるよう。やわやわと優しく情欲を募り、血管だろうか、ちんちんのなにかが開いていくような感覚。

 お姉ちゃんの腰が落ちてきて、ゆっくりと、大迫力で、少しづつおまんこが降ってくる。薄いびらびらがみじろぎのたびに歪み呼吸するように小さく開閉している。

 淫臭に誘われて舌を伸ばす。舌先が触れたのは肛門とおまんこの間。ビクッとお姉ちゃんが一度腰を引き、ほんの少しだけ足の位置を変えると、ちょうど口の上に降りてくる。

 ほんの少し苦くて、でも圧倒的に淫らでいかがわしい匂いの液体。僕の舌には割れ目をほじるほどの勇気はまだなくて、ちろちろとくすぐるように撫でて、溢れるインモラルな雫の通り道になるだけ。

 

「ふふ、もうちんちんの先っぽがミニトマトみたいに真っ赤になったね」

 

 それから10分ほど、もっと長いかもしれない、互いの性器を舐めしゃぶりあい、マッサージを受け続けた尻肉はすっかり蕩(とろ)けさせられた。

 たっぷりの唾液でふやかされ、体中の疲れを一点に集められたちんちんは、ねっとりとした低刺激で口内の安穏とした居心地を堪能させられて陥落寸前、もう、出口を求めて痛いほど煮え滾っている。

 

「大きくなあれ、大きくなあれ、なんてね」

 

 パツパツに腫れているだろうちんちんの口と弾力のあるお姉ちゃんのくちびるがキスをする。

 それを号砲に、お姉ちゃんは深々とちんちんを咥えこみ、口をすぼめて吸いついて、長く激しいストロークを始めた。

 

「あっ、あっあっあっ」

 

 がつがつ貪るような激しい吸引。出来上がって散々焦らされていた精子があっという間に駆け昇り、疲れを引き連れ、本懐を遂げない誤った行き先へ旅立っていく。

 前2回ほど破滅的で破壊的な快感はさすがに訪れず、体の負担が小さい、静かで緩やかな絶頂。

 上がりきらなかった精子も一滴残らず吸い出され、腰がグッと軽くなる。精子は少しだけ咀嚼されたあと、川に吐き捨てられてうがいまでされてしまった。

 

「今日は飲まないの?」

「飲んで欲しかったんだ? ただ出したかっただけの意志の弱いダメダメな精子も飲んで欲しいなんて、贅沢な子になってしまってお姉ちゃん悲しいよ」

「い、意志が弱いってどういうこと?」

「せっかく全身のこりをほぐして澱(おり)と劣情を集めてあげたのに。お姉ちゃんをお腹の中から犯して自分のメスだと自覚させてやるという男の意志がないヘタレた精子が出てきた。立場は下なのに気持ちよくさせてもらって当然、っていう傲(おご)り高ぶりの味がした。ちょっとお姉ちゃんは怒ってます」

「そんなあ」

 

 おもちゃになるという誓いを立てさせられたあとに、それを超えろという。

 1時間足らずで3回も射精させられて、体力もほとんどなかったというのに。

 

「いい機会だから、レオ君がどれだけ恵まれた環境にいるか教えてあげる」

 

 お姉ちゃんは川の水をペットボトルに汲むと、僕たちの体についた泡を落とし始めた。

 興奮が冷めて、日陰ということもあって、ちょっと寒くなる。

 

「恋人同士じゃない2人が、いかがわしいことをやっているのは理解してるよね?」

「うん」

「大人には、いろいろな方法でお精子ぬきぬきやってもらえるサービスがある。レオ君に今までやってあげたことを合計すると、たぶん30万円ぐらいは請求できるんじゃないかな? たぶん今までのお小遣いとお年玉全部足しても足りないんじゃない?」

「そんなに払えないと思う……」

「そうだよね? それだけのことをレオ君にしてあげてる。レオ君の意志が弱いから達成できなかったけど、おまんこに生で種付けするなんて、1回で10万円出しても断る女の子はいるよ。お姉ちゃんに勝ってレオ君のメスにさえしていれば、ちょっとレオ君がムラムラしたら好きな時におまんこで精子こき捨てられる、勝ち組男になれたのに」

 

 泡は落ち切ったのに冷たい水が体を流れ続ける。きゅっと包み込みように背中にふわふわなおっぱいが押しつけられて、左手は脇の下を通り心臓を握るような位置で。

 なおもかけ流され続ける水でひんやりとしていく体に、お姉ちゃんのモチモチとした肌から熱が移動してくる。

 

「じゃあ想像して。レオ君がさっき意志の強い精子をお姉ちゃんに飲ませていたら。息するたびに、喋るたびにレオ君のオスの匂いが口や鼻の中を通って、所有者の匂いを覚えさせて女の子の部分をきゅんきゅんさせるの。どんなお友達にもできない、レオ君にしかできない、所有者アピールができていたの。興奮しない? ……ああ、心臓バクバクしてきたね。わかりやすい」

 

 おっぱいと手のひらのサンドイッチで鼓動を把握されて、答えるまでもなく。

 お願いしなくても何回も精子飲んでくれていたし、秘密基地の中にある本には精子は飲むのが当然という風に書かれていたから、精子を飲んでもらうことにそんな意味があったなんて考えていなかった。

 耳元でゆっくりとした口調で囁かれ、体がまた熱くなっていくのを感じる。

 

「お姉ちゃんビッチだし、処女でもない。しっかりレオ君マーキングして繋ぎ止める努力しておくべきなんだよ? お姉ちゃんはまだ誰のものでもないから、お金足りないなーって思ったら、SNSでくっさーいおじさんおじいさん達と会って、一緒にご飯行ったりカラオケしたり買い物したりしてお金恵んでもらってるの。裸見せてあげたりちょっとお触りさせてあげたり、おっぱいや手や足でおちんちんしこしこしてあげたりもする。決してレオ君だけのお姉ちゃんじゃないの。いろんな人がお姉ちゃんを従えさせようと大枚はたいてるの。綺麗な体じゃないし、気持ち悪がっていい。それでもお姉ちゃん好き?」

「大好き! お姉ちゃんは綺麗!」

「本当に? 無理してない?」

「してない!」

 

 初遭遇での第一印象の時点からビッチだと思ってはいたし、覚悟はしていたけれど。自分1人のお姉ちゃんではないという事実に、心がざわついて締め付けられる

 けれどその好意を独占したいと思うし、チャンスをもらいながらもそれができなかった自分自身にも怒りと落胆がある。引け目がないとは言わない。

 

「でもね、お金もらっても、レオ君以外とはキスはしないしおちんちん舐めたりおまんこにおちんちん挿れさせてもしない。いろんな人が『挿れさせて!』『口でやって!』『精子飲んで!』って必死にお金や物で気を引いてお願いしてくるけど、やってあげない。高嶺の花なの」

「本当にやってないの?」

「本当だよ。だって気持ち悪いし、いろいろ危ないでしょ?」

「危ないならやめればいいのに」

「でもお姉ちゃんお金はほしいし」

「じゃあ、なんでお姉ちゃんは僕にはいろいろしてくれるの? お金ないよ?」

 

 お姉ちゃんの考えと行動の意味がわからない。

 僕はお金もないし繋がりも薄いのに、お金を払っている人たちよりもガードがゆるくて、なんでもしてくれる。

 もともと、なぜお姉ちゃんが僕と遊んでくれているのか、全くの謎。

 1日だけの気まぐれ、というわけでもないようなのだから。

 

「んーとね、たとえば、レストラン街に行くでしょ? ぶらぶら品定めしてたら『これはすごく美味しいものだ!絶対食べなきゃ!』ってなることない? そんな感じ」

「食べ物感覚……?」

「実際に食べてみたら美味しかったから、何度もそのお店に通ってる状態。だから、期待はずれの味だったら裏切られた感じしない?」

「お姉ちゃんの考えてることがわからないよ……」

「レオ君には女心はまだ難しかったかな?」

 

 食べ物扱いされたのはショックだけど、女心と言われると、なにも反論できなくなる。

 それは本当に女心なのかもわからない。

 

「しばらくは会えなくなるんだから、今この時間に全力全開必死にならないと。レオ君の存在をお姉ちゃんに刻みつけないといけないんだよ?」

「どうすればいいの?」

「それはレオ君が考えないといけないことでしょ?」

 

 そう言われても。

 負け癖のついた本能、残り少ない体力、打ち止めの精力、この有り様で頭が回るはずもない。

 存在を刻みつけられているのはこちらの方で、指先ひとつでいいように翻弄される。

 考えている間にも、お姉ちゃんの手は僕のお腹をさすり、腹筋を降伏させようとしている。

 

「……キスするから、唾飲んで」

 

 鈍くなった頭をせっついて出したのが、これ。

 少しでも、お姉ちゃんに体液を送り込みたい。

 

「いいよ、そうしたいなら。飲んであげるから、きて?」

 

 体の前後を入れ替えても、僕の口はお姉ちゃんに届かない。どうやってキスしようか悩んでいると、お姉ちゃんはぱたりとビニールマットに倒れ、両手を天に掲げた。

 

「悩まずに、もっとガッついて? さあ。唾飲ませてくれるんでしょ? たくさん飲んであげるよ?」

 

 両腕を掲げて僕を待ち受けるお姉ちゃんは、ハエトリソウのよう。

 捕食される側だとはわかっていても、その領域に沈みこみ、口の中に唾を溜め、艶めく唇に勝負を挑む。

 口を塞ぎ、息を交換し、舌で口の中の唾を集めて、とろり、送り込んでいく。

 

「は、ん、ん、ん、ふっ、んんっ、はあっ、あっ」

「んくっ、ふっ、ん、ん、ん、もっと、あっ、うん、はっ、ふぅ、んっ」

 

 たびたび唾液を嚥下(えんげ)する喉の音、口許から弾けるピチャピチャとした水音。

 世界で最も尊いクッションを潰す薄い胸板から、徐々に早く強くなる心臓の音がダイレクトに伝わる。

 汗と涎に濡れて紅潮し始めたお姉ちゃんの顔は、いままで見た中で1番蠱惑的で挑発的な目をしていて。

 この程度かと言われているような気がして、短い鼻の下も、細い鼻梁も、長い睫毛とまぶたも、ぷるぷるで垂れ目な目尻も、固いひたいも、薄くてつやつやな眉毛も、もちもちのほっぺたも、みんなみんな舐めて、顔中たっぷりの涎で汚してやった。

 てらてらと汚れながらも、どこかうっとりした表情を見て、僕は満足することなくまた口に挑みかかる。

 

 

 

 

 

 

++++

 

 

 

 

 

 

 貪(むさぼ)っているのはどちらの方か。

 熱い息の交換と、上から下へ滴り落ちる邪(よこしま)な唾液。

 腹にのしかかり、足を割り入れて押し倒しているよう。腹に押しつけた未熟な陰茎で無意識に快感を得ようとしているがそれに気付く余裕はなく、ただ一心に、腹の中を唾液で満たしてやろうと唾液腺を鼓舞する。

 

 溺れているのはどちらの方か。

 必死に送り込まれる唾液を飲み続けるのも苦労はするが。

 激しい吐息を相互換気し続けるそれは、覆い被さる零緒(れお)少年にとって重要な拠点の肺腑(はいふ)をノーガードにして逆侵略されているに等しい。

 ただの童の唾液の侵攻力に比べてはるかに多く強力な、甘美で緩慢な毒気。胸を清福で色塗りし、マウントを取った少年をずぶずぶと精神的幸福に溺れさせている。

 

 肺腑より酸素と共に全身へ送り出されたそれは、足の指、手の指の末端まで、ほんとうに細かなさざなみのように、細胞や末梢神経や毛細血管ひとつひとつに快楽物質を送り届けて浸していく。

 唾液で腹の中から雌を征服しようとする意識が、少しづつ少しづつ、寝返った体によって目的を曲げられていく。

 陰茎を擦り付ける動きすら止まり、ただ口だけが動いて、惚けた唾液を垂れ流しながら、息を取り交わして肺源流の至福に浸ることが目的にすり替わる。

 

「ぁ〜、ぁ゛〜、あ゛〜」

 

 小匙一杯ほどの初志が、口に吸いつくという形で残る。舌はもうほとんど動かず、重力に従って唾液が落ちゆくに任せるのみ。それも頭の位置を手で固定してもらわないとできもしない。ゆえに呼気の交換から逃げることもできない。より深く至福の沼に沈められていくのみ。

 周囲の音はなにも聴こえていない、口の中からの音を捉えることが精一杯の聴覚。表情を溶かされた顔とIQの下がった頭。動くことすら億劫(おっくう)な体。緩み蕩(とろ)かされきった声色。

 

 水縁に日陰ながらも気温30℃は超える暑さも忘れて、なめくじのような絡み合いで少年の思考回路が鳥獣以下に落ちていく。

 口同士触れ合ったまま、覆い被さる形から並んで向かい合わせにされたことを意識することもできなかったし、愛液に濡れた生の指がなんの抵抗もしない肛門に滑り込んだことも気づかなかったし、その指が前立腺を探して蠢めいていても、それと判断する知力は残されてもいなかった。

 

「あっ、あ、あ」

 

 新たに侵入した異物の存在は、脳の片端にほんの少しだけ言語能力を目覚めさせる。

 まだ射精に追い立てようとはせずに、腹の中を均(なら)して性感点たる前立腺を探して捉えやすくするだけの、まったりとした指の動き。

 体内臓器のマッサージで薫(くゆ)るようなゆらり柔らかな性感が背筋を立ち昇り、少年の快楽中枢に絡みつく。

 洗体の際に尻肉共々マッサージで緩まされていた肛門は指の侵入を歓迎して快楽神経に接続。昨日一度その味を教えられていた頭はそれに疑問を持たずに細大漏らさず拾い上げ、性快楽として中枢へ招き入れる。

 ついに指が前立腺を捕まえて優しく撫で回し始めると、すぐに口と肺由来の快楽とも結びついて脳内麻薬の蛇口が大きく開き、指に愛焦がれる前立腺からの弱火の刺激は脳細胞を炒り煮にして、弾けて噴きこぼれぬように脳だけを甘イキさせる。

 少年の目がいっそう曖昧で陶酔したものに変わり、その反応を見てとった彼女は口を塞ぐのを止めて問いかけた。

 

「おしりなでなでされるの好き?」

「すきぃ……」

 

 グリグリと強く押しこねて追い立てるようだった昨日の指の動きとは違う、前立腺を養生させるような慰労の撫でさすり。感度も幸福度も高く、しっかり快楽中枢に絡み根付いている今回は、長く長く続く安楽の高みへ少年を押し上げて降ろさせない。

 圧迫の弱いそれは刺激に乏しいが、的確に効くポイントだけを按摩し、決壊点ギリギリに高止まりさせたまま持続させる。切れ味の鈍い性快楽のせいで大きな爆発を起こせず、甘イキ状態から降りれない。

 脳内麻薬(エンドルフィン・ドーパミン)や幸福物質(オキシトシン・セロトニン)の大量垂れ流しでぐじゅぐじゅに犯されて、芯のない勃ちかたをしている成長途上な陰茎の先端からは透明な前立腺液がだらしなく断続的に出続け、締まりなく開かれた口元からは吸い取られていない唾液が小さな滝を作る。

 

「お姉ちゃんは好き?」

「だひしゅき……」

「もう頑張らなくていいよ。レオ君の勝ち」

「ん……」

 

 その勝利肯定は、現実に意識を残す最後の一糸であった、かすかな戦いの意思と意地を切り離した。

 恍惚とした表情で、体の内側から腰を溶かす指の動きにより身を委ね、改めて情熱的な愛のくちづけを重ねる少年。

 ほどなくして、安堵で無意識の防波堤が消失した股間に、休みなく興奮成分に浴していた脳が歓喜に溺れて射精命令を下す。

 

「はゅっ」

 

 半勃ちのまま、陰茎への刺激もなく、内なる刺激と達成感が出させた絶頂(メスイキ)の嬉射(噴きこぼれ)。

 勢いも量もなく、ゆっくり尿道を進み鈴口から飛ばず垂れ出る僅かな精子。

 静かで不完全な射精運動は全てを出し切らず、絶頂によって体内で締められた指が前立腺を強く援護して排出活動を持続させ、残余を追い出していく。

 限界点を通り越して脳の甘イキが鎮静化。急速なシャットダウンが始まり、猛烈な睡魔が少年の意識に闇の毛布をかけていく。

 

「いいよ、ゆっくりおやすみ」

 

 鮫澤少年は返事もできず、最後に少し動いた体を丸め、豊かな乳房に頭を埋(うず)め、所有物だと誇示するよう足を絡めて、満足げな表情で深い眠りの海へ沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

++++

 

 

 

 

 

 

「勝負に勝って、試合に負けたんだよ、レオ君」

 

 寝静まった少年には届かない呟き。

 勝ちは譲った。

 確かに少年の唾液は大挙して雌の胃に攻め込んで、一時占領することに成功したが、そのカウンターで受けた代償は大きい。

 

 前立腺快楽は完全に性感回路と紐付けされ、性感帯として目覚めた。

 脳はどろどろぐちゃぐちゃのハッピーなトリップ逝きを知ってしまった。

 肺腑を犯した媚毒の息はあらゆる性感栓を開き、次回以降の感度の上昇を容易にさせた。

 

 小学生にしては開発され過ぎた性感。これらは全て、1人では絶対に再現できないもの。

 自慰をして得られる刹那の快楽では決して満足できなくなるほどの、多感で未成熟な少年には過ぎた代物である、長くて強い快楽の存在を知ってしまったのだ。

 これは誰かに性欲処理してもらうことでも再現できない。ただ1個体しか存在しない「お姉ちゃん」にやってもらわないと再現されない依存性。

 それ以外の者が触ろうとも、たとえ少年本人が触ろうとも、全てのスイッチはONにならず、多少楽になれど煩悶とした満たされない余韻が残るだろう。

 

「認めないだろうけど、もうレオ君の体は完全にお姉ちゃんに白旗なの」

 

 一度タガが外れた脳からは快楽物質が流れやすくなる。けれどそれでは足りない。

 全てはきっかけに過ぎないが、知ってしまうことそのものが罪深い。

 もう一回、もう一回を繰り返して、人生が歪む。

 取り返しは、もうつかない。

 

 

 

 

 

 

++++

 

 

 

 

 

 

 

 激しい雨の音と水の匂い。

 押しては引く波。

 何度も何度も岸壁に打ちつけては飛沫(しぶき)をあげる。

 一際大きな高波がそれに押し寄せ、弾け、それを飲み込んで壁を乗り越える。

 

「あぁっ!」

 

 漏らした、そんな感覚と共に目が覚めて、目の前の見慣れぬ暗い肉の壁に目を白黒させ、吸い込んだ汗と女の匂いが状況判断を混乱させる。

 そして、ちんちんを覆う、ねちょりとした感触と、冷たくなっていく体。

 

「おはよう。夢精すると起きるんだね。夢精ってほど精子出てないけど」

「え……?」

「1時間ちょっと寝てたかな? 暇だったからおちんちんとお尻の中さわさわして遊んでた」

 

 意識を向けると、お姉ちゃんの手に包まれたちんちんと、未だ肛門に居座られている指。

 

「それじゃ、指抜くね」

「あちょっ、待っ――」

 

 心の準備なく抜かれた指と、逆に流入する冷たい空気。

 支えを失ってくぱくぱとうまく閉じられない。得体のしれない喪失感と冷感で肌が粟立つ。

 

「うーん! 雨きもちー! レオくんも来なよー!」

 

 ゲリラ豪雨と呼称してもいいだろう猛烈な夕立。

 僕がひくひくしている間に、裸のお姉ちゃんはその中に踊り出して、天然のシャワーで体を流していた。

 もう体力が戻っていた僕は、それに誘われて橋の下から豪雨の中へ。

 

「川の水冷たくなるからもう入らないほうがいいよ」

 

 轟々と靡く河川敷の松や柳や丈の長い雑草。上から横から吹き付ける生温い烈水。

 あっという間のずぶ濡れねずみ、その体をお姉ちゃんの手がまた洗い、こびりついた性臭を雨の匂いで塗り替えていく。

 ひとしきり流し終えて橋の下に戻ると、お姉ちゃんはバスタオルをカバンから引っ張り出して僕の体を拭き始める。どこまでも準備がいい。

 

「お姉ちゃんはさ、吸血鬼なの。他の人には内緒だよ」

「嘘でしょ?」

「信じるかどうかはレオ君次第。実は危険なんだよ、お姉ちゃんと遊ぶのは」

 

 頭を拭かれながらされた告白。まさかまさか。

 

「淫魔(サキュバス)の間違いじゃないの?」

「あんな頭の中ピンク色の下級悪魔と一緒にしたら怒るよ!」

「じゃあ吸血鬼の証拠は?」

「血吸ってあげようか?」

「痛そうだからやらなくていい」

「むー」

 

 事あるごとにあらゆる手段で精液を搾り取ってくる。淫魔じゃなくてなんなのだ。

 

「それに、お姉ちゃん吸血鬼なのに昼間動いてるじゃん」

「それはドラキュラのイメージのせいです。お姉ちゃんには関係ありません」

 

 すっかり水気を拭いてもらって、服を着る。

 その間に今度はお姉ちゃんが自分の体を拭くが、視線を感じてか、逆にからかうような目でガッツリとこちらを見返され、妙な気恥ずかしさがあった。

 

「それじゃ、連絡先交換しよう。スマホかなにかあるよね?」

「あるよ」

「ちょっと貸してね」

 

 着替え終わったお姉ちゃんにパスワードを解除してスマートフォンを渡すと、慣れた手つきでなにかを入力されていく。

 

「はい、連絡先のアプリにお姉ちゃん情報入力しておいたから。これからトークアプリでもメッセージ送るから承認よろしくね」

「うん、わかった」

 

 待つことしばし、ポコンと通知音が鳴る。セツリと名のついたユーザーから《お姉ちゃんの名前は上倉摂理(かみくらせつり)って言いまーす》というメッセージが届いた。

 

「摂理お姉ちゃんっていうの?」

「そうです。摂理ちゃんです。よろしくね?」

「うん」

 

 ようやく知ったお姉ちゃんの名前。

 その感慨に浸っていると、また通知音が鳴る。

 見ると、あられもない姿の自撮りを何枚も送ってきていた。

 顔は見えないようになっているがその体はまぎれもなく摂理お姉ちゃん本人のもの。

 

「お、お姉ちゃん!?」

「しばらく会えなくなるから、その間に忘れられないようにね」

「忘れないよ! ていうか忘れられないよ!」

「えっろい写真や動画送るかもだから、バレないように気をつけてね?」

「が、がんばる……」

 

 そのままビニールマットを片付けながら他愛のない会話に興じているとゲリラ豪雨は過ぎ去り、西陽が差し始めた。セミの声が戻ってくる。

 

「次は秋の連休ぐらいに遊びに来るかな? いっぱい連絡してね。暇だったら、電話越しにオナニー手伝ってあげるから」

 

 そこまでしなくても、という思いと、声だけでも身近に感じられることに期待する思いが交差する。

 それを大きく上回り、寂しさと喪失感が胸に大穴を空けている。

 

「本当に行っちゃうの?」

「飛行機使わないといけないぐらい遠いところには引っ越さないよ。お姉ちゃんも来れなくなるから」

「行っちゃダメ」

「女々しいぞレオ君。今生の別れじゃないんだから、男ならスパッと諦めなさい。第一、ラストチャンスで負けるのが悪い」

 

 それを言われるとなにも言えなくなる。

 あれだけハンデがあっても、ほとんど自滅のせいで負けてしまったのだから。

 

「レオ君がもっと『摂理お姉ちゃん好き好き大好き絶対倒すメスにしないと爆発する!』って感じになったら、中出し孕ませおセックスもやぶさかではないんだけど。まだレオ君が気持ちよくして欲しいって受け身だもんね」

「う……」

「じゃあ、お別れのキス。腰抜かしたらダメだよ?」

 

 いきなり、お姉ちゃんは僕のズボンとパンツを引きずり下ろした。

 そして、しなだれたちんちんの先を口に含むと、チュッチュと強く吸った。

 

「な、なに!?」

「もう1人のレオ君にキスマークつけてあげたの。心配しなくても、一週間もしないうちに消えるから」

 

 唾液に濡れたちんちんをそのままに、ズボンとパンツが持ち上げられる。

 そのポケットが不自然に膨らんでいた。

 

「摂理お姉ちゃん成分たっぷり染み込んだ新しいプレゼント。親にバレないように使ってね」

 

 最後にぎゅっと、摂理お姉ちゃんは僕の顔を柔らかい胸で押し潰し、バイバイと雨上がりの道を去っていく。

 ポケットに入っていたのは、今日履いていたものとは別の、黒に淡いピンクリボンがついた、ゴスロリ風のパンツだった。

 

 

 時は8月の2日。お姉ちゃんが言っていた秋の連休まで、3ヶ月はあると思っていた。

 しかしお姉ちゃんとの再会は、夏のうちに早くも果たされることとなる。















幕間の続き↓
https://syosetu.org/novel/225366/32.html


ちなみにこの話はジャスト10000字ほど。
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