今回の番外編は一応、オリキャラの御披露目です。
また、プロローグを意識して一人称に挑戦してみました。
番外編は急展開ですのでご注意をm(_ _)m
番外編『その男、この物語の主人公』
……俺は今日という日を忘れはしない。
生まれてこの方、人並み以上には壮絶な人生を送ってきたと自分では思っている俺が、初めて天に愛されたと確信した今日という日の事を……
ーー俺の名前は風見 恭哉(カザミ キョウヤ)。
今年で22歳になる、ただのしがない男だ。
職業は……まぁ色々と勤めては退職を繰り返してきたが、現在はタクシーの運ちゃんをしている。
高校時代に付き合っていた女から一方的に別れ話を切り出されてからというもの、今この時まで腐っていった情けない野郎さ。
でだ。
それはともかくとして、俺は今、深夜のコンビニで眠気覚ましの缶コーヒー(ブラック)を買い、タクシーの運転席に戻ってきたところだ。
車内ラジオから流れてくる軽快なトークをBGMに、俺はぼんやりとコンビニを眺めつつ缶コーヒーを一口飲む。
「……何やってんだろうな、俺」
ぽつり呟いてみる。
思えばこれという刺激も事件ない、あまりに退屈過ぎる日常。
ただ、時間だけが過ぎ去っていく平凡な毎日。
そう……俺はこの世界に絶望していた。
ただ、刺激が欲しかったのだ。
生きているという実感がーー
「……さて、いくとするか」
ーー欲しかった。
俺はタクシーを走らせ、何処へという宛もなく、ただ無意識に深夜の街を走っていた。
……そんな時だった。
「なっ!? おいーー!?」
前から突然、白い衣服の老人が現れ、俺はその老人を思いっきり轢いてしまった。
俺は人を轢いたという出来事に動揺し、対向車線から迫り来る大型トラックに気付かなかった。
そして……
目が覚めると、俺は真っ白な空間にいた。
「ここは……何処だ?」
辺りを見渡していると目の前が突然光り輝き、俺の前に先程の老人が現れた。
「なっ、あんたは……!?」
「すまんのぅ。お主を観察していてどうしても一度会ってみたくなったのじゃ」
老人はそう言うと、どういう訳か俺に頭を下げて謝罪してきた。
「俺は……死んだのか?」
ここが明らかにおかしな場所だというのは分かる。
加えて先程の事故を考えると、どう見たってこの真っ白な空間は死後の世界になる。
「結果的にはそうなるかのぅ」
やはりな……
「そうか……悪いな、死出の旅路にあんたを付き合わせちまって」
「お主、何か勘違いしておらんか? わしはこの世界の神じゃ。初めから死んでおらんし、お主が轢き殺した訳でもない」
……ん? ちょっと待て。
「どういう……ことだ?」
「つまりあんたはこの世界の神様で、俺の人生を観察してたらどういう訳だか俺という存在に興味を抱き、神の力で意図的に俺を殺してまで俺と会って話がしたかったと……」
俺は神様と名乗る老人から、俺がこの空間にやって来る事となった経緯を聞いた。
「そうじゃ。それと、改めてお主を殺してすまんかった」
「いや、その事はもういいさ。あのまま生きてたって、これほどの刺激は得られなかっただろうしな。おかげで今は生き生きとした気分だぜ」
「死んだというのに生き生きとはな……ふっ、やはりお主は興味深い奴じゃのぅ」
そこまで言うと、神様は何かを考え込むような仕草をした後、思い付いたように口を開いた。
「お主をこのまま成仏させるのはわしとしても非常に惜しい。そこでどうじゃ? 今までの世界とは何もかもが違う新しい世界で、刺激に満ちた第二の人生を送ってみたくはないか?」
神様の言葉を聞いた瞬間、俺の体はピクッと反応する。
「しかも今回は特別に、お主が望む願いを叶えてやろう」
ほぅ……俺が望む願いねぇ。
そうだな、じゃあ……
「……いらねぇよ、そんなもん」
俺ははっきりと神様に告げる。
「なっ、なんじゃと!? 普通、転生する際はほとんどの者がチート能力やら最強の武器やらを望むというのに、よりにもよってお主はそれをいらぬと申すのか!?」
なに? チート能力に最強の武器だと?
おいおい、その新しい世界とやらは随分とファンタジーな世界なんだな。
しかしなるほど……そいつは確かに刺激がありそうだ。
「あぁ。そんなもん無くたって人間生きていけるんでね。俺の生きる場所がどこだろうと関係ねぇ。俺は俺らしく自由に生きていくさ」
そう言ってやると、神様はいきなり震え始めーー
「素晴らしい!」
顔を輝かせて嬉しそうに叫んだ。
「まさかお主のような人間がいるとはわしも驚きじゃよ」
そいつはどうも。
「しかし……これからお主が行く世界で何も能力や武器を用意しないというのはさすがにいかん」
なんだ? そんな危険な世界に俺を転生させるつもりなのか?
「よし……お主にはわしが特別に贈り物を与えてやろう」
なぁ、あんた……俺の話聞いてたか?
「せっかくのご好意は有り難いんだが、俺はデータ引き継いだりして強くてニューゲームってのは好きじゃねぇんだ。ゲーム始めてどんどん強くなっていくっていうなら話は別だが」
「安心せい。別にお主にチート能力を持たせたりする訳じゃない。なぁに、神様からのちょっとしたプレゼントじゃ」
ならいいが……
すると神様はブツブツと何やら呟いた。
「ふむ、その代わり……ちと狂暴過ぎるが上手く飼い慣らすと非常に頼もしい『最強の魔神』なら手に入れさせる機会を与えてやるがのぅ」
どういう訳か神様の声がやけに小さかった為、ここは何て言ったのか聞き取れなかった。
「ん、何か言ったか?」
「いや、何も言っとらんぞ。では風見恭哉、お主を転生させてやるとしよう」
そう言うと、神様の周りに光が集まっていく。
「お主が転生する世界は『ゼロの使い魔』という世界じゃ。お主は何も知らんじゃろうが、なかなか楽しめる世界じゃぞ」
その言葉を最後に、神様が作り出した光は俺の体を包み込む。
「神様、ありがとうな。わざわざここまでしてもらって」
「気にするでない。わしもお主が新しい世界でどう生きていくか興味あるのでのぅ。お主の活躍ぶりをここから見届けさせてもらうつもりじゃ」
「そうかい……じゃあな、神様」
そこで俺の意識は途絶えた。
風見恭哉がいなくなった後、神様はというと……
「ふむ。『ゼロの使い魔』と言えど、ゴジラシリーズとガメラシリーズ、モスラシリーズの怪獣がわんさか控えているカオスな世界じゃからのぅ。原作の敵や怪獣連中に負けて殺されんように、『アレ』を別の世界から連れて来た訳じゃが……」
そこまで言うと、不安な表情を見せる神様。
「人選、いや怪獣選をまずったかもしれん……風見恭哉が『アレ』に殺されなければいいが……まぁ、あやつならわしの試練も上手いこと切り抜けるじゃろう……多分」
もう少し長くても良かったかも……(^_^;)
次回も番外編が続きます!
次回、キョウヤの相棒となる怪獣が登場!?