※この作品はR-18です。

ゼロの使い魔~レジェンド・オブ・モンスターズ~   作:聖夜竜

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長らくお待たせしました! 最新話です!

今回は久しぶりにイリス登場!

そしてついに、出会ってはいけない怪獣同士が出会う……?


番外編『黒い森に咲いた薔薇』

 

ギーシュの決闘騒動から数日が経過したある日のこと。

 

トリステイン魔法学院の中庭をルイズと同じ格好をしたイリスが独りきりでとぼとぼと寂しげに歩いている。

 

頬をぷくっと膨らませた顔から察するに、不機嫌真っ最中らしい。

 

「もうっ! ルイズとモンモランシーお姉ちゃんのいじわる! 今日は二人とも授業で出た宿題を一緒にやるとか言って部屋から出てきてくれない! イリスはどっかで遊んでてって言うし、イリスプンプンなんだから!」

 

ブツブツと二人への文句を言いながら中庭を歩いていくイリス。

 

すると……

 

「あっ、怪獣みーつけた♪」

 

イリスの視線の先、中庭を囲む学院の白い壁に隠れてイリスを恐る恐る覗き込んでいる青色のドラゴン。

 

イリスと視線が合うと慌てた様子で顔を引っ込めては、またしばらくしてそーっとイリスを覗き見るのを繰り返す。

 

……何がしたいのだろうか。

 

「独りで退屈だったし、今日はアレで遊ぼっと」

 

イリスはその青いドラゴンに興味を抱き、トテトテと歩いてドラゴンの方に進み寄る。

 

「きゅい! 怖いのがこっち来るのね! 食べられちゃうのね!」

 

きゅいきゅいと鳴き声を出し、そのドラゴンはイリスから逃げようと大きな翼を広げーー

 

「残念♪ 逃げられると思った?」

 

と、同時にイリスも両肩の皮を突き破るように飛び出した四本のテンタクランサーをゆらゆらと怪しげに動かし、ドラゴンを牽制。

 

きゅいきゅいと鳴き喚く怯え顔のドラゴンは上空へと飛び立とうとしてーー

 

「ウフフ……イリスからは誰も逃げられないんだから♪」

 

……あっさりと触手に捕まった。

 

 

 

 

 

そして現在、イリスは暇潰しがてらにテンタクランサーで捕らえた青いドラゴンーーシルフィードと中庭に座って会話中。

 

ちなみに、シルフィードは逃げられないようにテンタクランサーでしっかりと拘束してある。

 

「へぇ〜。シルフィって怪獣じゃないんだね〜」

 

「イリスみたいな怖いのと一緒にしてほしくないのね! きゅいきゅい!」

 

イリスの物言いに憤慨したシルフィードが口を尖らす。

 

「わたしは韻竜っていう、とってもすごいドラゴンなのね! えっへん!」

 

「ふ〜ん。じゃあ、他のドラゴンってみんなシルフィみたいにうるさく喋るものなの?」

 

イリスからの鋭い指摘に、シルフィードは押し黙ってしまう。

 

そして……

 

「う〜! わたしたち竜族でも人語を理解する頭のすっごくいいドラゴンはそういないのね! 竜族みんなの憧れの『千年竜王』さまだって六千年前に活動していた当時はわたしみたいなお喋りだったらしいのね! わたしと同じなのね!」

 

シルフィードも竜族のプライドからか、意地になって負けじとイリスに張り合おうとする。

 

「ふ〜ん。そうなんだ。イリスみたいに特別な怪獣は人語を喋れるけど、ギャオスみたいな普通の怪獣は喋れないもんね」

 

「イリスもやっとわたしの凄さがわかったようね! ところで、ギャオスって何なの?」

 

「気にしないでいいよ。こっちにはいないから」

 

そう答えるイリスに、シルフィードはとりあえず頷いておく。

 

……と、その時だった。

 

唐突に首を伸ばし、キョロキョロと周囲を見渡すシルフィード。

 

「お姉さまが呼んでるみたい。任務の時間なのね」

 

シルフィードはそれだけ言うと、女子寮の方角に飛んでいく。

 

「お姉さま? 任務?」

 

残されたイリスはきょとんとした表情で首を傾げ、飛び去ったシルフィードを見送る。

 

やがて……

 

「何だか面白そう!」

 

嬉々とした表情で目をキラキラと輝かせ、イリスはテンタクランサーを両肩の中に収納してからシルフィードの後をこっそりと追跡するのだった。

 

 

 

 

 

……さて、こんな書簡がタバサのもとに届いた。

 

 

 

アルデラ地方 通称“黒い森”にて

突然発生した巨大な薔薇の花を咲かせた奇怪な植物が森の一角を占拠

現在、その植物は日夜成長しており

いつ、森を覆い尽くすか見当もつかない

エギンハイム村の村民より

同民の生活と秩序を脅かすとして

処分の要請 有り

至急 向かわれたし

 

 

 

ガリアの花壇騎士であるタバサに与えられた今回の任務内容である。

 

その書簡をシルフィードの背中に乗って黙読するタバサ。

 

「まったく! イザベラって本当に人使い荒いのね! お姉さまにこんな低レベルの任務を寄越すなんて! 育ち過ぎた植物くらい、自分たちでどうにかすればいいのよ!」

 

ガリアの遥か上空を飛行しながら、大声でガリア王女であるイザベラの悪口を言うシルフィード。

 

あの後、イリスと別れたシルフィードはタバサと合流し、現在は任務先のエギンハイム村へと飛んでいるところだ。

 

「偉い人だからっていつもお姉さまにいじわるばかり! シルフィあの女大っきらい!!」

 

「……うるさい」

 

未だ憤慨し続けるシルフィードに、タバサは溜息混じりに呟いた。

 

二人が目指すエギンハイム村はもうすぐそこだ。

 

そして……

 

白い雲の中から、小さな人影が勢いよく姿を現した。

 

「任務ってどんなことするんだろ……楽しみだな♪」

 

虹色に光り輝く翼を背中から生やしたイリスがシルフィードを追う。

 

近過ぎず、離れ過ぎずの絶妙な距離感を維持しつつ、イリスはぴったりとシルフィードの風にも勝る速度について来ている。

 

「シルフィだけ楽しませないよ。イリスもシルフィたちと一緒に遊ぶんだから……仲間外れは嫌だもんね」

 

凄まじい風圧でボサボサになった銀髪のロングヘアを乱暴に靡かせ、イリスは見えてきたエギンハイム村を見て、邪神らしくニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。

 

その同時刻、エギンハイム村では……

 

 

 

 

 

日本で鳴らしたキョウヤたち現役高校生は村を壊滅させた罪を背負い、追っ手の騎士から逃亡し、森を脱出し他国に向かった。

 

しかし、こんなところでくすぶっているようなキョウヤ達じゃあない。

 

筋さえ通れば金次第で何でもやってのける命知らず。

 

不可能を可能にし、巨大な怪獣に立ち向かうーー

 

「おい。いつから俺達は特攻野郎になったんだ?」

 

誰にという訳でもなく、キョウヤが言った。

 

「風見くん、どうかしましたか?」

 

キョウヤの後ろを歩くハルナが聞いてくる。

 

「あ〜、いや、何でもない。ただの独り言だ」

 

言いつつ、キョウヤは本物のタバコの紙箱からお気に入り兼大好物のシュガレットを一本取り出し、口に咥えて一服。

 

「あの村を出てから数日、デストロイアが怪獣の姿に変身して俺達を運んだおかげで一気にここまで来たが……」

 

思い出すのは、あの日の逃亡劇。

 

追っ手の騎士から逃げ、逮捕されそうというところでデストロイアが人間の姿から巨大な怪獣の姿へと変身。

 

怪獣の姿に戻ったデストロイアの背中に乗って逃亡したキョウヤ達は、トリステインの隣に位置する国『ガリア』のアルデラ地方、エギンハイム村という場所に身を潜めている。

 

人当たりの良い村長からこの村の宿屋の一室を借り受け、現在はここを拠点としてみんなで逃亡生活の資金を稼いでいる。

 

キョウヤ達はそれぞれが多種多様に仕事を引き受けていた為、今ではエギンハイム村の村民から頼られる存在となった。

 

そして今日もまた、キョウヤ達のもとに仕事の話が持ち込まれようとしていた。

 

 

 

 

 

「頼む! あんた達が頼りだ! 森に咲いた巨大な植物を何とかしてくれ!」

 

その話は突然舞い込んできた。

 

何でも、エギンハイム村から少し離れた場所に黒い森と呼ばれる森があり、そこを突然発生した巨大な植物に占拠されてしまったのだという。

 

その巨大植物は日夜成長しており、いつ森を覆い尽くすかわからない。

 

このままでは森の木はもちろん、エギンハイム村も蹂躙されてしまう。

 

何とかしてもらいたい村民は相談した結果、余所者のキョウヤ達に今回の事件を解決してほしいと頼んできたのだ。

 

「育ち過ぎた巨大植物ねぇ……」

 

詳細を聞いたキョウヤがシュガレットを口に咥えたまま、ぽつり呟く。

 

「うちの村は材木が財源なんだ。このままじゃ……」

 

「村の大切な木があの植物に全部ダメにされてしまう!!」

 

頼むと頭を下げる村民に、キョウヤは答える代わりに口に咥えたシュガレットをパキッと前歯で折った。

 

「金次第でやってやるよ。いくら出せる?」

 

キョウヤの言葉を聞いた村民が顔色を変えて叫ぶ。

 

「申し訳ないが、あまり多くは出せん……だが、金ならちゃんと払う! だから頼む! 村を助けてくれ!」

 

村民達の必死さを受け、キョウヤはいつになく真剣な顔で承諾する。

 

「任せときな。俺達がその植物を何とかして来てやるよ」

 

 

 

 

 

「……で、風見くんは私達に相談もしないでまた勝手に依頼を引き受けたという訳ですか?」

 

森へと続く長閑な道を歩きながら、ハルナが冷静な口調で言う。

 

「みんなに言わないで承諾したのは悪かったさ。だが、俺達も生きることに必死なんだ。こういう時はお互い様だろう?」

 

キョウヤの弁解を聞き流し、ハルナは溜息混じりに口を開く。

 

「仕方ないか……私達にはデストロイアさんがいるから大丈夫だと思うし」

 

そう言うハルナの隣では、何やらサイトが腕組みしてブツブツと呟く。

 

「デストロイア……巨大な植物……まさか……?」

 

いやいや、そんなはずはないとサイトは頭をぶんぶんと横に振る。

 

それを聞いていたデストロイアがサイトに問い出す。

 

「サイト……貴様は知っているのか?」

 

エギンハイム村の村民から譲り受けた平民らしいボロボロの服を着たデストロイアがサイトに顔を向ける。

 

「えっ? あっ、いや…知っているというか、何と言うか」

 

「答えろ」

 

デストロイアに怖い顔で睨まれ、サイトはおずおずとその名前を口にする。

 

「……ビオランテだ」

 

「ビオランテ?」

 

二人の会話を聞いていたハルナがサイトに聞き返す。

 

「あぁ……ビオランテ。巨大な植物と聞いて、何故だかその名前と姿が浮かんだ」

 

そう告げるサイトの表情は暗い。

 

「でも、ビオランテは映画のラストでーー」

 

黄金の粒子となって宇宙へと消えた。

 

そう……架空の怪獣でありながらも、ビオランテという存在は既にこの世に存在しない。

 

もしそれがデストロイアと同じようにこの世界に現れたというのなら……

 

(まさか、他にも怪獣が来ているのか……?)

 

わからない。

 

何故かはわからないが、サイトは不思議と確信できる。

 

(いるんだ……ここに。この世界にも、伝説の怪獣王……ゴジラが!)

 

夢にまで見たゴジラがこの世界のどこかにいるかもしれない。

 

ゴジラがいるという事は、ゴジラを狙う敵の怪獣もいる可能性があるということ。

 

期待と興奮、そして恐怖が、サイトの心を揺れ動かす。

 

「ビオランテ……いったい何を考えているんだ」

 

果たしてこの道の先に待つビオランテは人類の敵か、それとも味方か……

 

願わくば、ビオランテが人間の心を取り戻した優しい怪獣であることを……

 

 




次回予告(ウソ予告)

それぞれが抱く想いを胸にーー

イリス「わたしにそっくりな力を持った魔神デストロイア! おまえにだけは負けたくない!」

デストロイア「……来るか、別世界の邪神イリス!」

ビオランテ「どうしようかしら……ひょっとして、私またみんなを勘違いさせちゃったの? 嘘でしょ……私、本当は戦いたくないんですけど」

シルフィード「次回の話のタイトル、シルフィの名前が入ってないのね!? わたしの扱いだけ酷いのね! わたしはどこかの咬ませ犬ポジションじゃないのね!」

次回、『イリスVSデストロイアVSビオランテ』

ーーいま、擬人化怪獣たちの戦いが始まる。

 

……どうしてこうなったww
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