※この作品はR-18です。

ゼロの使い魔~レジェンド・オブ・モンスターズ~   作:聖夜竜

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長らくお待たせしました! 最新話です!

なお、今回は話が長過ぎたので前後編に分けます。

オリジナル展開で進んだ番外編も次回で終わりです!




番外編『イリスVSデストロイア』

 

キョウヤ達がビオランテ討伐に出発した後、少し遅れてタバサとシルフィードがエギンハイム村に到着した。

 

「おぉ! これは騎士さま。こんなつまらない村によく来てくださった。歓迎しましょう」

 

村民の手厚い歓迎を受けながら、タバサは村長の家で今回の任務の話を無表情で聞き流していた。

 

「騎士さまもここに来る時にご覧になったかと思われますが、我々の村はあの森に咲いた巨大な薔薇の植物に脅かされています」

 

「あの植物は日夜成長しては、その姿を大きく変えていき、今では森の上からでもはっきりと姿が捉えられるほどの巨大植物へと進化してしまいました」

 

村長や村民の話を聞きながら、タバサはテーブルの上に用意されたご馳走を淡々と食べていく。

 

「今朝、この村から我々が頼りにする平民の精鋭達が出発しました。どうか現場にいる彼らと協力して、あの厄介な植物を処分してもらいたい」

 

いつの間にか料理のフルコースを食べ終えていたタバサはコクンと頷くと、椅子から立ち上がる。

 

「……任せて」

 

 

 

 

 

一方、エギンハイム村近隣の上空。

 

四本ある内の二本のテンタクランサーを展開させ、両肩の翼から発生させた半透明の膜で軌道を調整。

 

さらに両肩にある突起の付け根部分からジェットを噴射させて低空飛行を続けるイリスは、シルフィードがエギンハイム村に降り立ったのを目撃している。

 

しかし、それよりもイリスには気になる事があった。

 

エギンハイム村を出て、森に向かってしばらく歩いたところに数人の若い男女の姿が微かに見える。

 

イリスはあの森から怪獣に似た嫌な気配を感じ取っており、シルフィードよりもそちらに興味を注いでいた。

 

その集団に接近しようと、イリスが爆発的な加速を発揮した直後。

 

「……!?」

 

イリスの背筋に悪寒が走る。

 

得体の知れない恐怖感がこの先から感じられる。

 

あの森に潜む怪獣ではない。

 

もっと近く、もっと恐ろしい悪魔的な力を感じる……

 

(なに、これ……? からだの震えが、止まらない……!?)

 

怖い。

 

理由はわからない。

 

しかしイリスは今、間違いなく未だかつて味わった事のない恐怖を感じ取っている。

 

自分の力に似た、世界に終焉を齎す圧倒的な破壊の力。

 

京都でガメラと戦った時でさえ、これほどの恐れは抱かなかった。

 

……いるのだ。

 

イリスを滅ぼしたガメラ以上の強さを持つ存在が……この先にいる。

 

(こわい……? この邪神イリスが、こわいと感じている……?)

 

イリスは自分の中に芽生えた感情を否定する。

 

(ありえない。そんなの……ありえない!)

 

ドクン……ドクン……

 

(イリスが誰より一番なの! イリス以外のイリスなんていないの! 邪神と呼ばれたイリスがどんな怪獣よりも最強なの!)

 

ドクン……ドクン……

 

「フフ……フフフフ……アハハハハハハ!! 認めないんだからぁ……イリスと同じ奴なんて認めない……フフ、アハハハハ……殺してやる!」

 

ーーいま、イリスが悪魔に挑む。

 

 

 

 

 

同時刻、イリスから放出される膨大な力を感じ取ったデストロイア。

 

「……っ!?」

 

ピクリと足を止め、背後へと振り返る。

 

「どうした? デストロイア」

 

キョウヤの呼び掛けに、デストロイアは冷や汗を流して遥か頭上を見上げる。

 

「……来るぞ」

 

「来るって……まさか、ビオランテか?」

 

「いや……違う。これは……ッ!?」

 

言い掛けた直後、見えない影がデストロイアを勢いよく上空に吹き飛ばし、デストロイアを連れて飛び去っていく。

 

「なっ!? デストロイア!」

 

突然の襲撃に驚くキョウヤ達だが、既にデストロイアの姿は肉眼では見えないところにあった。

 

 

 

 

 

その一方、デストロイアはというと……

 

「くっ……! こいつ……!」

 

デストロイアは子供らしい小さな手に顔面を掴まれ、風を超えた超スピードで遥か上空へと連れ去られていた。

 

「アハハハハハ!! おまえがイリスに似ている力を持つ存在だね!? フフ、どっちの力が最強か勝負だよ!!」

 

邪悪に光り輝く赤色の目がギラギラとデストロイアを睨み付けて離さない。

 

「くっ……目障りだ……我から離れろ!」

 

デストロイアが叫ぶと同時に、自由になっている足でイリスの腹部を蹴り上げ、拘束を無理やり解く。

 

しかしイリスは空中で一旦受け身を取ると、すぐにまたデストロイアへと突撃。

 

右腕をスピア・アブソーバへと変化させ、デストロイア目掛けて射殺すように放つ。

 

それを辛うじて回避し、デストロイアはイリスがいた方向に急いで向き直るが、既にイリスの姿は視界から消えている。

 

「くっ……スピードは奴の方が上か……ならば、ヴァリブル・スライサーで切り開く……!」

 

デストロイアは両手を前方に突き出し、『ヴァリブル・スライサー』と呼ばれる黄色の剣圧を立て続けに飛ばしていく。

 

「へぇ、そんなこともできるんだ!」

 

風を凌駕するスピードで上空を飛び交い、踊るような華麗さでイリスはヴァリブル・スライサーを回避。

 

「ならイリスだって……超音波メス!」

 

お返しと言わんばかりに、両肩から生えた二本のテンタクランサーの先端から高出力の超音波メスを放つ。

 

「アハッ! ほらほらどうしちゃったの? こっちはまだ手加減してあげてるんだけどなぁ」

 

「幼い小娘ごときが、随分とこの悪魔を舐めてくれる……いいだろう。ならば我も本気で貴様を迎え撃つ」

 

黒い森の上空で激しく衝突し合う超音波メスとヴァリブル・スライサー。

 

両者共に一歩も譲らない攻防。

 

「一つ聞こう……何故、我を狙う?」

 

「理由? わたし達が戦うのに理由なんていらないよ! 一目見た瞬間、おまえから感じた『悪魔の力』が、イリスの『邪悪な力』と相容れないってだけだよッ!」

 

「なるほど……同族嫌悪という奴か」

 

納得したという感じで頷くデストロイア。

 

「奇遇だな……我も貴様を見て気に食わない奴だと感じていた」

 

「やっぱり! わたし達は同じだね!」

 

「一緒にするな……我と貴様の力では天と地が乖離する差だと知れ」

 

言ってデストロイアは空中で姿勢を正し、イリスを睨み付ける。

 

「我が紅い悪魔と呼ばれる所以……貴様に見せてやろう」

 

宣言と共にデストロイアの全身からガスのような蒸気が発生し、それがデストロイアの全身をオーラの如く包み込む。

 

「そんなことで何をするつもり?」

 

馬鹿にしたように聞くイリスに対し、デストロイアは不敵に笑う。

 

「この世のありとあらゆる存在を無に帰す『オキシジェン・デストロイヤー』の力……その身を以て味わうがいい!」

 

 

 

 

 

一方その頃、タバサとシルフィードはビオランテの支配下となった黒い森へと飛んでいた。

 

「お姉さま、あそこを見るのね!」

 

不意に、シルフィードが前方を見て叫ぶ。

 

タバサが目を細めると、下の道に何人かの小さい人影がある。

 

……間違いない。

 

あの場所にいるのが、タバサより先にビオランテ討伐を任されたエギンハイム村の精鋭部隊に違いない。

 

しかし……何故彼らは道の真ん中で立ち止まっているのだろうか。

 

……トラブルでも発生したか。

 

そう考えるタバサはシルフィードから飛び降りると、その者達のもとへと急いだ。

 

 

 

 

 

一方、地上にいるキョウヤ達は呆然とイリスとデストロイアの空中戦を見上げる事しかできないでいた。

 

そこに舞い降りるタバサ。

 

タバサがキョウヤ達の前に降り立つと、サイトとハルナが驚きの声を上げる。

 

「うわっ!? 空から女の子が降ってきた!?」

 

「はぁ……なんか、すごいね。こういうの見ると、本当に異世界って感じがしちゃうなぁ」

 

「そうだな。ラピュタでも似たようなシーンあったしな」

 

いきなり空から現れたタバサを見ても、平然とした様子のキョウヤ。

 

さすがにこの世界に来てから非常識な事ばかりだった為、もうこの程度では驚かなくなっているようだ。

 

「……異世界? ラピュタ?」

 

ハルナとキョウヤの発言に首を傾げるタバサ。

 

「あぁ、いや。忘れてくれ。それで、お前さんはいったいどこの誰だ?」

 

「……タバサ。ガリア花壇騎士」

 

無表情のままキョウヤ達に騎士であると名乗るタバサを見て、キョウヤはピンと来たようだ。

 

「なるほど。お前さんが村の奴らが話していたガリアから送られてくるはずの騎士って奴か」

 

「そう。村長からはあなた達と協力して森の植物を退治してほしいと頼まれた」

 

「そうか。短い間だが、よろしくな」

 

キョウヤが真面目な表情で言うと、タバサはそれを無視して不意に頭上を見上げる。

 

その遥か上空では、二つの小さな人影が互いに火花を散らしてぶつかっている。

 

「……何があった?」

 

「ん? あぁ、実はな……」

 

そして、キョウヤ達はタバサにこのような事態になった要因を手短に話した。

 

 

 

 

 

「……事情はわかった。私が何とかする」

 

キョウヤ達の話を聞くと、タバサは自分の指を口元に持っていき、小さく口笛を吹く。

 

すると、上空を飛んでいたシルフィードがタバサの傍に降り立つ。

 

すると……

 

「お姉さま、こんなところにいたのね! 急に飛び降りるからシルフィ探したのね!」

 

「……ばか」

 

キョウヤ達が見ている前でいきなり喋り出したシルフィードに、思わず溜息を漏らすタバサ。

 

これでは何の為に伝説の韻竜であるシルフィードの正体を隠し、風竜という扱いにしているというのか。

 

しかし、キョウヤ達はとくに驚く事もなく、むしろうっかり喋ってしまったシルフィードに興奮した様子。

 

「すっげぇ! さすがファンタジー! ドラゴンが喋るのは異世界共通だな!」

 

サイトは目を輝かせてシルフィードを見上げては、シルフィードを熱っぽく見つめる。

 

「へぇ~。意外と声は可愛いんですね。女の子かな?」

 

「そうなのね! シルフィはこう見えて200歳生きてる韻竜なのね! すっごく偉いドラゴンなのね!」

 

ハルナがシルフィードに話し掛けると、シルフィードは嬉しそうにべらべらと秘密を喋り始める。

 

「韻竜?」

 

聞いた事もない単語に関心を抱くキョウヤ。

 

「……忘れて」

 

すると、その隣でタバサがぽつり呟いた。

 

「忘れてって……秘密にしてなきゃいけないことなのか?」

 

キョウヤの問いにタバサはコクンと頷く。

 

「そうか……あんたも大変なんだな」

 

呟き、キョウヤは懐からシュガレットを取り出して口元に咥える。

 

それを見ていたタバサは興味深そうな表情でキョウヤの手にするシュガレットの紙箱を見つめる。

 

「地球の食べ物だ。食うか? 美味いぞ?」

 

ニヤリと笑い、キョウヤはタバサに一本のシュガレットを手渡す。

 

タバサは手渡されたシュガレットをしばらく見つめていたが、やがてキョウヤの方を困惑顔で見る。

 

「食べ方がわからない」

 

「あぁ……こいつはな? こうやって口元に咥えてから、じっくりと味わうのさ。噛み砕いてそのまま食べるってのもありだな」

 

言って、キョウヤはタバサに笑い掛ける。

 

タバサはそんなキョウヤをしばらく見つめていたが、やがてキョウヤの見様見真似でパンを頬張る仕草でシュガレットをはむっと口元に咥える。

 

その瞬間、タバサの口内に苦味のある甘くて深い大人の味わいが広がる。

 

「………っ!?」

 

未だ味わった事のない未知の味に驚き、タバサはキョウヤをまじまじと見つめてしまう。

 

「ちょっと大人のココア味だ。気に入ったか?」

 

言いつつ、キョウヤがシュガレットを指に挟んで口元から離すと、息を深く吐き出す。

 

それが妙に様になっていて、タバサはキョウヤから目が離せない。

 

……不思議な感じがする人だ。

 

まるで、自分を偽って『キョウヤ』というキャラを演じているかのような……

 

タバサはキョウヤに親近感に似た何かを感じていた。

 

「俺はこれが大好きでな。ほんとはシュガレットよりも煙草が吸いたいんだが、ハルナから『高校生が煙草なんて吸うんじゃありません!』って説教されちまった」

 

だから煙草が恋しくなるんだと言って、ふざけたように笑って見せるキョウヤ。

 

しかしタバサは笑ったりしない。

 

相変わらずの無表情だ。

 

それを見て、キョウヤはシュガレットをパキッと歯で噛み砕いてから静かに口を開く。

 

「……なぁ、タバサ。お前はさーー」

 

「お姉さま! あそこを見るのね! デストロイアっていう怪獣の女の子と戦っているのーーひょっとしなくてもイリスなのね!」

 

いつになくシリアスな雰囲気でキョウヤが言い掛けた時、近くでサイトとハルナと楽しそうに話していたシルフィードが大きな声で突然叫んだ。

 

タバサはキョウヤの言った言葉に何も言えないでいたが、シルフィードの言葉を聞いて我に返る。

 

「……あの二人を止めてきて」

 

タバサがシルフィードに命令する。

 

シルフィードは力強く頷くと、翼を広げて急いでその場から飛翔。

 

デストロイアとイリスが戦う空中へと飛んだ。

 

「………」

 

シルフィードが飛び去ったのを見届け、タバサは暗い表情で考え事をしていた。

 

タバサが思い出すは、先ほどキョウヤが咄嗟に呟いた言葉ーー

 

『……なぁ、タバサ。お前はさーー今の人生、心から楽しいってーー怒ったり、泣いたり悲しんだり、嬉しいって思ったりーーそんな人間らしい感情って持ったこと……あるか?』

 

それは……キョウヤが自分に向けて言った言葉なのかもしれない。

 

(私は……)

 

タバサにはその答えが見つからない。

 

チラッと、キョウヤがサイトとハルナと話している光景をぼんやりと見つめる。

 

「すごかったよな~、シルフィード! 俺もあんなドラゴンに乗ってみたいぜ!」

 

「ははっ、才人には無理ってもんだ。せいぜい、でかい鳥か飛行機辺りがお似合いだろ」

 

サイトとは本当に親しくーー

 

「もう、風見くんってばタバサさんにも煙草のお菓子勧めて……ダメって言ったでしょう?」

 

「まぁ、いいじゃねぇか。本物じゃねぇんだし」

 

ハルナとは些細なことで喧嘩したり笑い合ったりーー

 

「……カザミ・キョウヤ……」

 

ぽつり、キョウヤの名前を呟くタバサ。

 

これは推測に過ぎないが……

 

もしかしたら、キョウヤは何となく感じ取ったのかもしれない。

 

タバサが未だ、残酷で悲しい運命に囚われた悲劇のお姫様であることを……

 

 

 

 

 

ーー同時刻、村近隣の上空。

 

「受けよ……我が破壊の光を」

 

デストロイアは息を深く吸い込むように口を開き、そこに自身の力を収束していく。

 

『オキシジェン・デストロイヤー・レイ』と呼ばれるそれは、デストロイアの体内に蓄えられたオキシジェン・デストロイヤーを光線として最大出力で放射するデストロイア最強の必殺技。

 

これを直撃したが最後、相手はオキシジェン・デストロイヤーの効果で物体が分解して溶け出し、骨も残さずにこの世から消滅する事となる。

 

さらにデストロイアはミクロオキシゲンで溶かした相手の細胞を吸収する事ができ、その者の細胞を取り込む事で無限に進化し続ける。

 

今のデストロイアは人間態の姿でミクロオキシゲンの力を最小限にまで抑えてはいるが、その進化に終わりはない。

 

まさに人類が創り出した悪魔の兵器『オキシジェン・デストロイヤー』の化身と呼ぶに相応しい最強の怪獣なのだ。

 

「イリスだって……負けない!」

 

こちらも負けじと力を収束していく。

 

イリスにも、デストロイアと似て非なる最強の力がある。

 

触手から他者の体液を吸収し、その者の遺伝子情報を取り込む事でイリスは無限に進化し続ける。

 

怪獣を相手にした場合、遺伝子吸収された怪獣が使っていた技も自分なりにコピーして使えるようになり、その強さに終わりはない。

 

イリスがデストロイアに使おうとしている技は、かつて敵として戦ったガメラから手に入れた技。

 

「いくよ! オーバーブーストーー!!」

 

二本のテンタクランサーの展開した先端に火球が作られ、今まさに発射されようとする『オーバーブースト・プラズマ』。

 

と、その時ーー

 

「スト~~~~ップ!!」

 

どこからか突然聞こえてくる声。

 

イリスとデストロイアが力を収束しつつ、その声がした方向を睨み付ける。

 

「えっ、シルフィ!? なんでここに……」

 

「ほぅ……竜族の怪獣か」

 

対峙していたイリスとデストロイアが怪獣同士の戦いに乱入してきたシルフィードへと向き直る。

 

「ケンカはダメなの~~!!」

 

シルフィードが怒って叫ぶも、イリスとデストロイアはまるで受け付けようとしない。

 

「ケンカじゃないよ! ただの殺し合いだもん!」

 

「そうだ……部外者は引っ込んでいろ。死にたいのなら別だが……?」

 

などと言って、イリスとデストロイアはまたしても攻撃を再開しようとするが……

 

「いい加減にしなさ~~い!!」

 

ビリビリと響く怒声で、シルフィードは二人を怒鳴り散らす。

 

「今はこんなことしてる場合じゃないでしょう! ケンカなんてよくないの! 同じ怪獣なら、仲良くしなくちゃダメなの!」

 

それでも未だに戦おうとするイリスとデストロイアに対し、ついにシルフィードの怒りの説教が爆発する。

 

「もう、シルフィ本気で怒ってるんだから! 二人とも、なんでケンカなんてしてたの!?」

 

「「……こいつの存在が気に食わないんだ(もん)」」

 

互いに顔を背け、バツが悪そうにブツブツと理由を話すイリスとデストロイア。

 

「そんな理由でケンカなんてして、あなた達はバカなの!? 死ぬの!? 今は仲間同士で争うより、ビオランテの方が先でしょう!」

 

「そ、それは……」

 

「と・に・か・く! 二人とも、仲直りの握手! 早くするのね!」

 

シルフィードの迫力に圧倒され、イリスとデストロイアは慌てて握手を交わす。

 

「よろしい! それから、ごめんなさいって謝る!」

 

「えっ、あっ、あの、その……ご、ごめんなさい。うぅ……シルフィ怖い……」

 

「あ、あぁ……我の方こそ悪かった」

 

二人がちゃんと謝罪して仲直りしたのを見届け、シルフィードはうんうんと頷く。

 

「じゃあ、お姉さまのところに行くのね。今からみんなでビオランテを退治するのね!」

 

一人で張り切るシルフィードの後ろで、イリスとデストロイアは渋い顔でお互いを見やる。

 

「ちっ」

 

「……ちっ」

 

互いに舌打ち、イリスとデストロイアはふんっ!と顔を背けるのだった。

 

 

 

 

 

イリスとデストロイアの喧嘩(という名の殺し合い)を止めたシルフィードが、二人を引き連れて戻ってくる。

 

すると、心配した様子のサイトとハルナがすぐさまデストロイアに歩み寄る。

 

「デストロイア、大丈夫だったか!?」

 

「すごく心配してたんだよ?」

 

「サイト、ハルナ……問題ない。我なら大丈夫だ……」

 

言いつつ、デストロイアはキョウヤとタバサに囲まれたイリスを睨み付ける。

 

「ーーで、この銀髪ロリちゃんがデストロイアに喧嘩をふっかけたって言う勇気あるおチビさんか」

 

先ほどからイリスの頭を撫でていたキョウヤがニヤニヤ顔で言う。

 

「むぅ~、イリスはチビじゃないもん! あと、イリスのお気に入り以外が気安くイリスの頭を撫でるなぁ~!」

 

ポカポカとキョウヤの腹辺りを両手で叩きながら、イリスが頬を膨らませて憤慨する。

 

それを見て、思わず一言。

 

「ははっ、こいつ可愛いなぁ」

 

そう呟いた瞬間、キョウヤとサイト以外の女の子達が一斉にキョウヤを注目した。

 

「ほぅ……キョウヤ。貴様、我よりもそんな胸無し小娘を選ぶのか」

 

「やだ、風見くん……ひょっとしてロリコンだったんですか? ちょっとキモいかも……」

 

ぷるぷると怒りに震えるデストロイアとジト目のハルナに睨まれ、キョウヤは頭を撫でられて涙目になっているイリスをーー

 

次に、その隣でじーっとキョウヤを見つめているタバサを交互に見返す。

 

そして……

 

「ばっーー! 俺はロリコンじゃねぇ!」

 

哀れキョウヤは女性陣に胡散臭い目でじーっと見られながら、慌ててロリコン疑惑を否定するのだった。

 

 

 

 

 

その後、イリスがタバサの知り合いの使い魔だとシルフィードから説明され、普段はそんなに悪い子ではないと証明された。

 

イリスはエギンハイム村に向かうタバサとシルフィードが気になって後をついて来ただけで、最初からデストロイアを狙っていた訳ではなかった。

 

それらを話し終えると、何故だかサイトがイリスを見て恐怖に震えていた為、サイトを落ち着かせること数分。

 

未だ怯えた様子のサイトの口から出たのは、イリスがデストロイアやビオランテと同様、サイトの世界で有名な特撮映画に出てくる怪獣という話。

 

イリスは自分が映画の中に出てくる怪獣と知って最初こそ驚いたものの、今は別に気にもしていなかった。

 

イリス曰く、『だって、イリスは今ここにいるじゃん』とのこと。

 

イリスからすれば、今この時こそがイリスにとっての現実なのであって、そこに架空の怪獣だとか、創り物の世界だとかは関係ないのだ。

 

イリスにとってはルイズと並ぶ大切な存在である綾奈も架空の人物だと知って、イリスはそれだけがショックだったようである。

 

しかしハルケギニアに転生した今となってはそれも終わったこと。

 

今ここにいるイリスは映画の中の『邪神』と呼ばれる怪獣イリスではなく、人間の心を手に入れた『守護神』のイリスなのだから……

 

そして一通りの会話も終わり、森の中に入り込んだ一行。

 

これからビオランテのもとに向かおうかというところでーーそれは起きた。

 

「なんだろう、この感じ……なんか、他の怪獣とはちょっと違う変な感じがする……これがビオランテなの……?」

 

「いよいよ戦う意思を見せるか、ビオランテ……!」

 

「シルフィもこの先からビオランテを感じるのね!」

 

イリス、デストロイア、シルフィード。

 

それぞれが自分達なりにビオランテの気配を察知する。

 

「さてと、ついにビオランテとご対面ってか」

 

先頭に立つキョウヤは、森の奥深くで静かに咲き誇る巨大な薔薇の花を咲かせた植物を見上げる。

 

「すげぇよ……! このビオランテ、映画よりもかなりサイズが小さいけど、間違いなく本物の花獣ビオランテだよ!」

 

「すごく……大きいです」

 

ハルケギニアの世界で言うと、20メイルを超える巨大植物ビオランテを前にして、素直な感想を述べるサイトとハルナを横目に、イリスが一番前に飛び出す。

 

「先手必勝だよ! ビオランテって植物だから火が弱点だよねぇ! ならーー」

 

言いつつ、イリスは両肩から展開された四本のテンタクランサーの先端にプラズマ火球を形成。

 

「オーバーブースト・プラズマ!!」

 

イリスの宣言と同時に、テンタクランサーから発射されるプラズマ火球。

 

それらはビオランテを包み込むと、あっという間にビオランテを炎上させる。

 

「アッハハハハハハ! そのまま何もできずに燃えちゃえ!」

 

喜々とした表情で邪悪な高笑いをして見せるイリスは、轟々と燃え上がるビオランテを見上げる。

 

すると、イリスの隣からデストロイアが前に出てくる。

 

「消え去れ……オキシジェン・デストロイヤー・レイ!!」

 

宣言と同時にデストロイアの口から放射された破壊光線がビオランテを支える薔薇のツタを次々と破壊していく。

 

「おいおい、お前ら。少しは手加減っていうのをだな……」

 

さすがのキョウヤもビオランテが何もしないで燃え上がる光景を見て、呆気に取られながらイリスとデストロイアにもう少し自重しろと促す。

 

「手加減? 手加減ってなんだ……? フッ、フハハ!」

 

「アハッ♪ アハハハハ!」

 

燃え盛る森の中で二人仲良く高笑いするデストロイアとイリス。

 

「フハハハハハ!」

 

「アハハハハハ!」

 

本人達からすれば勝利の咆哮のようなものなのだろうが、キョウヤ達の目には弱いものイジメをした後の悪役の残酷な高笑いにしか見えない。

 

さすがは二大怪獣映画の平成シリーズラスボス怪獣同士。

 

こういうところは気が合うのだった。

 

「フッ、フフフ……しかしビオランテ……つまらんな。この程度で怪獣とは……笑わせてくれる」

 

あっさりとやられたビオランテを見て、どこか落胆した様子で吐き捨てるデストロイア。

 

他のみんなも、サイトからはそこそこ強い怪獣と聞いていたビオランテの呆気ない最期を見て、ただ呆然とその場に立ち尽くしてビオランテを見上げていた。

 

(これで終わり……? 確かに20メートルくらいしかないから弱く感じるけど、本当にこれでビオランテが負けたのか?)

 

……だが、ビオランテを知識で知っているサイトだけは様子が違った。

 

その時、サイトは見た。

 

燃え上がるビオランテが黄金の光に包まれていくのを……

 

(この展開……まさか!)

 

ハッと気付いたサイトが急いで前方を睨み付ける。

 

現在ビオランテに一番近いのはイリスで、次にデストロイアがイリスのすぐ後ろにいる。

 

この距離ーーかなり危険だ。

 

「みんな、まだだ! まだビオランテは死んでない! その形態は花獣形態なんだ! 植獣形態をまだ隠している! ビオランテから離れろ!」

 

必死に叫ぶサイトだが、時既に遅し。

 

燃え上がるビオランテの頭部に位置する巨大な薔薇の花弁がゆっくりと開かれていく。

 

そして……

 

「えっ!? 嘘だろ、植獣じゃない……!?」

 

薔薇の花弁の中心から上半身だけが抜け出たように現れる一人の美少女。

 

生まれたままの姿を露出する上半身を薔薇のツタが触手のように伸びて美少女の豊満な胸の谷間やへそ、両腕に絡みついている。

 

はっきり言って、かなり際どい危険な格好をしている。

 

「うぅ~ん……私の眠りを妨げるのは誰かしら……?」

 

薔薇のツタをイメージさせる所々に棘のある緑色の触手と同じ色合いの緑髪のツインテールを揺らし、美少女姿となったビオランテは真下にいるサイト達を見下ろした。

 

「ねぇ……そこのあなた達」

 

瞬間、ゾクッとする悪寒がサイト達を震わせる。

 

「私、無理やり起こされてとっても不機嫌なの。わかる? だからーー」

 

言って、ビオランテはドSな笑みを浮かべて言った。

 

「あなた達で私を気持ちよくさせて……?」

 

このビオランテは……明らかにやばい感じの奴だ。

 

イリスとデストロイアに目を付けたビオランテがじゅるりと唇から涎を垂らしたのを見て、サイトはそう確信した。

 

 

 




次回予告(ウソ予告)

ついに姿を現したビオランテ!

イリス、デストロイア、シルフィードが協力してビオランテに挑む!

しかし、ビオランテは一人、また一人とその触手で仲間を捕まえていき……!?

残されたキョウヤとサイト!

ビオランテに捕まった女の子達を救えるのは野郎二人だけだ!

次回、ビオランテの触手攻め!堕とされたイリス!

イリス「ごめん、ルイズ……イリス、触手には勝てなかったよ……」

ーー作者はいま、R17限界ギリギリの描写に挑む(おい

次回もまた見てね!
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