※この作品はR-18です。

ゼロの使い魔~レジェンド・オブ・モンスターズ~   作:聖夜竜

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お待たせしました! 最新話です!

前後編にしようと思ったのですが、まだまだビオランテ戦は続きそうです(^_^;)

それに伴い、サブタイトルを変更します。

あと、いきなりですが、この作品のタイトルを募集します。

何か良いタイトル案があれば、活動報告の方にてコメントしてくださると助かります。

では、タイトル案気長に待ってますm(_ _)m

今回の話は笑いあり涙ありエロあり!?

衝撃的な展開が二転三転と続きます!

ヒャッハー! ビオランテ様のターンだぜ!


番外編『目覚めろ、その魂』

 

前回、イリスとデストロイアのダブル攻撃でビオランテ(花獣形態)は炎上し、倒されたかに思えた。

 

だが……

 

「うぅ~ん……私の眠りを妨げるのは誰かしら……?」

 

ビオランテは死んでいなかった。

 

「私、無理やり起こされてとっても不機嫌なの。わかる? だからーー」

 

一度はその身を燃やされながら、ついに覚醒したビオランテ。

 

その彼女が見せる新たな形態。

 

その名もーー植人形態。

 

アルラウネのように、薔薇の花弁から上半身だけが生えている緑髪ツインテールの巨乳美少女。

 

「私を気持ち良くさせて……?」

 

薔薇のツタをイメージさせる緑色の触手を体に絡ませた危ない格好を見て、サイトは痛感していた。

 

(このビオランテ……絶対にやばい感じの奴だ!)

 

「ふふっ。あなた達は何分で壊れるかしら」

 

ーーいま、ビオランテとの戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

森の中で対峙する討伐隊とビオランテ。

 

ビオランテはゆっくりと地上に降り立つと、その薔薇の花弁から上半身だけでなく、下半身をも抜け出した。

 

やはり下半身も上半身と同じく緑色の触手が絡みつき、ビオランテのふくらはぎから膝、太もも、そして大事な女の子の秘部を際どく隠していた。

 

「久しぶりに人間の姿になって見たけど、案外いいものね。何より、あの姿でいるより身軽だわ」

 

言いつつ、ビオランテは自分が誇る魅力的な体を両手でなぞるように触り出す。

 

ビオランテの両手が豊満な胸、お腹、太ももを順番にいやらしい感じで撫でていく。

 

その度に、サイトはゴクリと唾を飲み込んでその箇所を一つ一つ凝視する。

 

(いいぞぉ! もっとだ! もっとやれ!)

 

……サイトの頭は既に煩悩で支配されているようだ。

 

サイトがしばらく見入っていると、ビオランテがサイトに冷たい視線を送る。

 

「……ねぇ、そこのあなた。さっきから鼻の下伸ばしているみたいだけど、私はこれでも植物の怪獣なのよ? いくら性別的に女の子だと言っても怪獣相手に欲情だなんて、あなた変態かしら」

 

サイトの全身をいやらしく撫でるようなビオランテの視線に、サイトの体が興奮を覚える。

 

「うおっ!? なっ、なんてドSに満ちた言葉責めなんだ……! ちくしょう、もっとやれ!」

 

サイトの叫びを聞き、顔をしかめたビオランテの眉がピクリと動く。

 

「……もっとやれ? そこは『やってください! ビオランテ様!』の間違いじゃないの?」

 

ビオランテが吐き捨てるように言うと、サイトはすぐさまビオランテに駆け寄ってーー

 

「やってください! ビオランテ様!」

 

ビオランテに向かって精一杯叫んだ。

 

それにしてもこの馬鹿犬、ノリノリである。

 

「ふふっ。あなた、こういうの好きでしょう?」

 

「はい! 我々の業界ではご褒美です!」

 

ビオランテの言葉責めであっさりと負けるサイトを見て、キョウヤは溜息混じりに呟く。

 

「ダメだこの才人、よく訓練されてやがる……」

 

改めてこの戦い、サイトは役に立ちそうにない。

 

こうなったら、対サイト用煩悩対策最終兵器ーー『KANOJO・高凪』に任せるしかないか。

 

「ヒ・ラ・ガ・く~ん!?」

 

すると自分の出番と言わんばかりに、ハルナがサイトの背後で般若の如く怒りのオーラを出す。

 

「ひぃ!? た、高凪さん!? 待って! 違うんだ! ええと、これはだねぇーー」

 

哀れサイトはどこかのキザな二股野郎のように必死に弁明しようとするも……

 

「ええとはいらないわよぉ! 平賀くんのバカ~!」

 

「ぐぼあっ!?」

 

泣きながら繰り出すハルナの殺人パンチが右の頬に直撃し、勢いよく吹っ飛ばされたサイトはその辺を無様に転がっていった。

 

 

 

 

 

「さてと……馬鹿も消えたみたいだし、仕切り直しといきましょうか」

 

やれやれといった感じのビオランテが言う。

 

「……いいだろう。貴様から感じる強大な力……我はこの力を知っている気がする」

 

言って、デストロイアがビオランテの前に出てくる。

 

「貴様は何者だ? 我のことを知っている怪獣なのか……!?」

 

「私は私よ。それ以上でもそれ以下でもないわ。残念だけど、あなたのことはまったく知らないわね」

 

「なら何故……! 貴様はそれほどの力を隠し持っている! サイトから聞いた話では、貴様はまだ弱かった頃のゴジラに負けた弱い怪獣だと聞いたぞ!」

 

言った瞬間、デストロイアは自分の発言に対する違和感に気付く。

 

(ん……? まだ弱かった頃の……ゴジラ?)

 

……ゴジラ。

 

以前の記憶を失ったデストロイアはついにこの名前を知ってしまった。

 

サイトからゴジラという怪獣のことを聞いてから、デストロイアは少しずつではあるが、以前の記憶を取り戻しつつあった。

 

「……ゴジラ、ですって……?」

 

ゴジラの名前が出た途端、どういう訳かビオランテはいきなり俯いた。

 

ワナワナと震え出すビオランテの周りに恐ろしい力が集まっていく。

 

「……気が変わったわ。その名前を口にした以上、あなた達はお兄さまに代わって私が徹底的に壊してあげる!」

 

言うと同時にビオランテの緑髪のツインテールの先端が緑色の触手へと変化し、口がついた二本の触手がデストロイアとイリスをそれぞれ拘束する。

 

「ぐっ……!? しまった……!」

 

「なにこれぇ~、キツくて全然抜け出せないよぉ!」

 

「ふふっ。私の触手はどうかしら? もっとキツくしてあげるわよ」

 

ツインテールから伸びた緑色の触手がぎゅうっと締め付け、デストロイアとイリスをさらにキツく縛り上げる。

 

「あぁ……っ!」

 

「ん……んあああっ!? なに、これぇ……イリスの体に何か痛いのが……刺さって、いっくぅ! んっ、くっ……!」

 

薔薇の棘がついた触手から何とか抜け出そうと、必死にもがくデストロイアとイリス。

 

しかし両手両足が拘束された今、もがけばもがくほど二人の体に棘がブスッと刺さって食い込む。

 

それを滑稽と嘲笑い、勝ち誇ったようにイリスの顎をクイッと片手で持ち上げるビオランテ。

 

手も足も出せずにやられて悔しがるイリスの赤らめた顔を見て、ビオランテはゾクッとする笑みを浮かべる。

 

「ふふっ。この触手はただの触手じゃないの。薔薇は他人を寄せ付けない孤高の棘でその美しい体を飾る」

 

イリスを見て気を良くしたのか、ビオランテが楽しそうな口調で語り出す。

 

「あなた達の肌に刺さっているのは私の触手の棘よ。ねぇ痛い? 棘がチクチク刺さって痛い? イリスちゃん泣いちゃうのかしら? うふふ」

 

ドSな表情でイリスを煽っていくビオランテ。

 

「ぐすっ……イリス、泣かないもん!」

 

精神的苦痛を受け、イリスはついに悔し涙を流し始める。

 

イリスの泣き顔を見て、ビオランテの口元がさらに三日月の形に歪む。

 

「あら、イリスちゃん。かわいそうに、痛いのに誰も助けてくれないから悲しくて泣いているのねぇ。うふふっ、かわいい♪」

 

「うぅっ……うぇっ……イリスは……ひっぐ、ぐずっ……イリスはッ!! 泣いてなんかないもんっ!!」

 

意地悪なビオランテに負けじと、溢れてくる大粒の涙を堪えつつイリスが叫ぶ。

 

泣き声混じりのイリスの大声に、ビリビリと周囲の大気が震える。

 

しかしビオランテは恐ろしい笑顔を浮かべたまま、涙に濡れたイリスの左右の頬を両手を使って張り倒す。

 

「うっ、あっ……あぁ……!」

 

ビオランテにビンタされたイリスの頬は赤く腫れ上がり、イリスはまたしてもぼろぼろと涙を零してしまう。

 

「くぅっ……んあっ! やぁ、めぇ、ろぉ……!」

 

それと同時に触手の棘はさらにイリスの全身から体内へと侵入していく。

 

「ふふっ……ねぇ、イリスちゃん。あなたは『鉄の処女』って知ってるかしら?」

 

ビオランテの口から唐突に出た言葉。

 

ーー鉄の処女(アイアン・メイデン)。

 

地球の中世ヨーロッパで実際に使用されたという悪魔の拷問用具であり、その中でもとくに有名なのがーー鉄の処女。

 

「ふふっ。私の触手、まさに鉄の処女を体現していると思わない?」

 

ビオランテは興奮しているのか、うっとりとした甘い表情でイリスを熱っぽく見ている。

 

イリスの中で、まさか……という恐ろしい予感が頭の中を駆け巡る。

 

未だかつて、イリスが味わったことのない圧倒的な恐怖。

 

逃げ出そうと無理に体を動かせば、その度に棘がイリスに深く突き刺さる。

 

こんなの……どうしようもない。

 

「ふふっ。哀れな小娘ね。ビオランテという、ドM歓喜の袋小路の鳥籠に閉じ込められた今、逃げ場なんてありはしないというのに」

 

もう……イリスは逃げられない。

 

「いやっ、やだやだぁ! これ以上イリスのナカに変なの入って来ちゃやだぁ! もう痛いのいやなのぉ……!」

 

手足も動かせなければ両肩からテンタクランサーも出せず、触手に縛られたままビオランテに喰われるのを黙って見ているだけ。

 

今のイリスは鳥籠に囚われてただ泣き喚くだけの非力な雛鳥に過ぎない。

 

「ふふっ。安心なさい。殺しはしないわ。あなたが壊れるまでは奴隷として飼い慣らしてあげる」

 

そう言うなり、ビオランテは恐怖のあまりガタガタと震え上がり、いつの間にか失禁までしてしまっている泣き顔でぐちゃぐちゃになったイリスを優しく抱き締める。

 

「ふふっ、可愛い娘ね。ゆっくり、たっぷり時間を掛けて気持ち良い初体験をさせてあ・げ・る♪」

 

この絶望的な状況は、いつも強がっていたイリスを戦意喪失させるには充分過ぎるほどのトラウマを植え付けた。

 

「堕ちなさいーー薔薇の処女(ローゼン・メイデン)!」

 

ビオランテが技名を宣言すると同時に、ズンッという何かが突き刺さるような音が数回に渡って響き渡る。

 

全身の中を無数の薔薇の棘が駆け巡り、体の至る所を口のついた触手に食い破られ、突き破られたイリスは想像を絶する痛みに悶え、声にもならない叫び声を上げる。

 

緑色の触手に縛り上げられたイリスの足元からは、ぽたぽたと血生臭い匂いのする鮮血混じりの黄色い液体がシャワーの如く垂れ流れている。

 

「ほら、血と狂気に犯される快楽に浸りなさい。全身を駆ける痛みに悶えるのよ。その自信に満ちた瞳が恐怖と絶望に染まる時こそ、あなたという、最高のワインを味わえるのだから」

 

ビオランテはイリスの盛大な絶頂を見届けると、光の消えた虚ろな瞳のイリスのへなへなになったイキ顔を見てクスッと微笑む。

 

「ゆっ、ゆるひぃて……くだしゃい……いっ、いりしゅの……負けでいいからぁ……いりしゅはもうっ、血も体液も……おっ、おしっこも出ないからぁ……ぃ、痛くしにゃいでぇ……」

 

消え入るような泣き声で呟き、全身から致死量の体液を抜かれたイリスは触手に絡め取られたままガクッと頭を下げ、やがて力無く地面に倒れ伏した。

 

イリスが着ていたルイズとお揃いの制服及び下着は触手によってビリビリに破かれ、見るも無惨な状態になっている。

 

「馬鹿な!? ビオランテを相手にイリスが負けるだと……!?」

 

イリスーートラウマを植え付けられて戦意喪失した上で全身を触手で貫通され、死ぬ限界まで体液を抜き取られて戦闘不能。

 

その事実は、イリスの隣で触手に縛られているデストロイアをも動揺させる。

 

「ふふっ。イリスは私の手に堕ちたわ。次はデストロイアーーあなたよ」

 

自分の唇を舌でいやらしくなぞり、ビオランテはデストロイアをじっくりと眺め回す。

 

「くっ……我はイリスのようにはいかんぞ!」

 

足元でピクピクと痙攣しながらうつ伏せで倒れているイリスを見下ろし、デストロイアが叫ぶ。

 

しかし、その瞳の奥にはビオランテに対する若干の不安と恐怖が見え隠れしている。

 

それを知ってか知らずか、ビオランテはただ妖艶に微笑むだけ。

 

とその時、イリスがあっという間に倒されるのを近くで見入っていたキョウヤ、ハルナ、タバサ、シルフィードがビオランテと対峙する形に。

 

チラッとキョウヤ達の方を睥睨しながらも、ビオランテはつまらなそうに溜息を漏らしてデストロイアにもう一度向き直る。

 

……悔しいことに、キョウヤ達は完全に相手にされていない。

 

怪獣のビオランテからすれば、下等生物であるキョウヤ達など取るに足らない相手なのだろう。

 

「まずいな……イリスとデストロイアを押さえられた今、ビオランテに勝てるのはこの中にいない」

 

何もできない自分の不甲斐なさに奥歯を噛み締め、キョウヤは俯いて呟く。

 

「風見くん、戦いましょう! 私達でイリスちゃんとデストロイアさんを助けましょう!」

 

悔し涙を浮かべるハルナがキョウヤに向かって叫ぶも、キョウヤは力無く空を仰ぐだけ。

 

「無理だって……実力差を考えろ。俺達がビオランテに挑んでも、あの触手で返り討ちにされるだけだ」

 

「っ!? それじゃあデストロイアさんがイリスちゃんみたいにやられるところをこのまま黙って見ていろって言うの!?」

 

「しょうがねぇだろッ! 俺達はスーパーヒーローでも怪獣でもないんだぞッ!」

 

怒鳴り散らすハルナだが、キョウヤも負けじと大声で叫ぶ。

 

「どこまでも人間なんだよ、俺達は……」

 

ーーと、キョウヤがぽつり言った時。

 

「だったら、シルフィがいくのね!」

 

そう言うなり、シルフィードは勇ましくビオランテへと前進する。

 

「……私もいく」

 

その後に、タバサまでもが続く。

 

「なっ!? お前ら死ぬ気か!?」

 

キョウヤはタバサとシルフィードの行動が理解できない。

 

勝てないとわかっていながら、ビオランテに挑もうというのか。

 

「この状況……誰かが戦わないといけない」

 

「それがお前らだって言うのか!? 」

 

ぽつり呟いたタバサに、キョウヤが後ろから叫ぶ。

 

「そう。私はメイジ。だから戦える」

 

「だからってーー!」

 

「私は騎士。私の任務はビオランテに勝つか、負けて死ぬか」

 

キョウヤの叫びに対し、タバサは何も言わないで杖を構え、単身でビオランテに立ち向かう。

 

「タバサ……ッ!!」

 

「……お姉さまはね、駒なの。ひとたび命令されたら絶対に任務を果たさなくちゃいけない。自分じゃどうにもできないーーそれが『騎士』なの」

 

複雑な表情でタバサの後ろ姿を見つめるキョウヤに、シルフィードが悲しい口調でぽつり言う。

 

「何だよそれ……ッ! あんな小さい子供に無理やり戦わせて、大人のお偉方はみんな高みの見物なのかよ……ッ!」

 

……だからこそ、キョウヤは許せなかった。

 

「現場にいもしねぇ奴が、戦場で戦ってる人様の命を好きに弄ぶってか……!」

 

震え出すキョウヤの心。

 

そして燃え上がるはたった一つの想い。

 

「許せねぇ……!!」

 

拳を握り締め、キョウヤが何かに目覚めようとしていた時……

 

『……力が欲しいか?』

 

ーー誰だ!? どこにいる!?

 

『お前の傍にいるだろうが』

 

ーーなんだと?

 

『それで? お前は力が欲しくないのか? あいつらを助けたいんだろ?』

 

ーー助けたい! けど、俺は力なんざ……

 

『力はいらないってか。なら、俺がお前の代わりにビオランテを止めてやろうか?』

 

ーーそんなことができるのか?

 

『お前、俺を誰だと思ってやがる』

 

ーー誰、なんだ……?

 

『……時間がない。キョウヤ、お前の体を少しばかり借りるぞ』

 

キョウヤの心の声がそう告げた時、その場で立ち尽くしている事しかできなかったキョウヤは、既にビオランテを不敵な笑みで見つめていた。

 

「さて……しばらく見ない間に随分と成長したようだな、ビオランテ!」

 

そう言うと同時に、キョウヤの全身から強大な力が黒色のオーラとなって放出される。

 

「この感じ……お兄さま!?」

 

キョウヤから感じるどこか懐かしい力に、ビオランテはハッとしてキョウヤを見つめてしまう。

 

それがビオランテの隙を生む。

 

「お姉さま、今のうちね! 一緒に攻撃するのね!」

 

「わかった。援護して」

 

魔力という風が吹き上がり、タバサの魔法詠唱が始まる。

 

その間に前衛のシルフィードが口から勢いよく火炎放射を放つ。

 

「デストロイアを放すのね!」

 

「やあん、乱暴ね。か弱い植物に火を吐くなんていけないわ」

 

隙を突かれたにも関わらず、気軽な口調で話すビオランテはデストロイアを触手から解放して火炎放射を回避。

 

だが、その隙を見逃すタバサではない。

 

「エア・ハンマー」

 

すぐさまタバサが魔法を放つ。

 

杖から放たれた風の鉄槌がビオランテ目掛けて飛んでいく。

 

「そんな攻撃、避けるまでもないわ」

 

ニヤリと笑い、ビオランテは自らの髪を変化させたツインテールの触手をタバサへと向ける。

 

触手の先端部分にある口が大きく開かれ、そこに強大な熱エネルギーを集束していく。

 

「ほぅ……お前がその技を使うか」

 

その様子を離れて傍観していたキョウヤは、ビオランテに対して面白いと笑う。

 

「これが私の熱線よ! お兄さまと同じ存在なら、私でもちゃんと撃てるのよ!」

 

力強いビオランテの宣言と共に、ツインテールの触手の口から青色のダブル熱線が勢いよく放射される。

 

「お兄さまのほど太くはないけれど、私のは特別仕様で二本なのよ。どう? たまらないでしょう?」

 

などと言いながら、ビオランテは足が竦んで動けないでいるタバサを見やる。

 

「大丈夫。痛みなんてないわ。一瞬でイかせてあげるから」

 

ーーと、その時。

 

「お姉さま、危ないのねッ!」

 

なんと、いきなりシルフィードがタバサの前に立ち、タバサをダブル熱線から守る身代わりとなったのだ。

 

シルフィードの登場に驚くタバサだが、シルフィードはチラッと背後のタバサに顔を向けて言う。

 

「怖がらないでーーお姉さまは、シルフィが必ず守るのね」

 

優しく喋り掛けるシルフィードの背後で、青色の閃光がついにシルフィードを包み込む。

 

直後に凄まじい爆発音が響き、シルフィードはぐらりと揺れて重い体を横向きに倒した。

 

「へぇ……あれを喰らって爆死しないなんて。この世界の怪獣も意外とやるじゃない」

 

ビオランテがシルフィードの捨て身の行動を褒めていると、いきなりビオランテ目掛けて小さな氷の欠片が無数に飛んでくるではないか。

 

飛んできた方向を見ると、無表情ながらも相当の怒りを纏わせているタバサが杖を構え、氷のように冷たい瞳でビオランテを睨み付けていた。

 

「……あなたを殺す」

 

「あら、自分のペットを倒されて怒っちゃったのかしら?」

 

そう言うや否や、タバサはまたしても魔法を放つ。

 

「ジャベリン!!」

 

タバサの前方に氷で出来た槍が作られ、それをビオランテ目掛けて投擲。

 

しかしビオランテは……

 

「あら、私にくれるの?」

 

余裕の表情で飛んでくる氷の槍を見つめているだけ。

 

その間にもビオランテはツインテールの触手のうち、片方の触手でタバサのジャベリンに巻き付いて掴み取ってしまう。

 

「ふふっ。素敵な槍、ありがとう。それじゃあ、さっそくお返しするわね」

 

そう言うなり、ビオランテはくるりとジャベリンの向きをタバサへと向けて投擲。

 

タバサは紙一重のところでジャベリンを回避するも、それが僅かの隙となってしまう。

 

「ほらほら、余所見してる暇があるの? あなたの敵はすぐ目の前まで来ているのよ」

 

ビオランテはツインテールの触手でタバサを絡め取ると、ニヤリと笑みを浮かべた。

 

「あなた、人間の子供にしてはなかなか強いけれど、怪獣との戦いに慣れていないようね。それじゃあこの先、私よりも強い怪獣が敵として現れた時、あなたやペットのドラゴンは死んじゃうかもしれないわねぇ」

 

わざわざ親切に忠告してあげると、ビオランテは触手に捕まったタバサを近くの木へと思いっきり叩き付ける。

 

その衝撃の凄まじいこと。

 

森の木々が震え、森に生息していた小さな鳥達が慌てて空へと飛び去っていく。

 

「私の触手がとっても熱くて濃いのを吐いてあげたんだもの。これでイかない奴はいないわ。女の子なら尚更かしら」

 

ダブル熱線の直撃でそのまま戦闘不能となったシルフィードをチラッと見た後、ビオランテはゆっくりとした足取りでタバサに歩み寄る。

 

「ふふっ。頭が真っ白になるほどの衝撃だったんだから、そこでしばらく余韻に浸ってなさい」

 

杖と共に意識を手放し、ずるずると木の根元に崩れ落ちるタバサの顔に唇を近付け、ビオランテはその耳元で甘い声で囁いた。

 

しかし当然タバサの返事はない。

 

邪魔者を蹴散らして満足したビオランテは、次にデストロイアへと顔を向ける。

 

「ーーさてと、次はあなたを堕としましょうか」

 

「くっ……!」

 

一方、ビオランテの触手から解放され、ボロボロの衣服に無数の穴が空き、体内の血液を抜かれたデストロイアは立ち上がろうと全身に力を入れるも、力無くよろよろとその場に倒れ込む。

 

そこに血相を変えたハルナが駆け寄り、デストロイアを抱き締める。

 

「デストロイアさん、大丈夫!?」

 

「んっ……あぁ……だい、じょう、ぶ……だ」

 

口ではそう言うが、デストロイアは自分の体を満足に動かせずにいた。

 

「ふふっ。動こうとしても無駄よ。イリスとデストロイアの体内には、触手の口から溶解液を流し込んでおいたもの」

 

イリスの隣で倒れ伏すデストロイアを残酷な表情で見下ろし、ビオランテが恐ろしいことを平然と言う。

 

「あなた達の体内は溶解液でグチャグチャのドロドロ。元通りに肉体が再生するまで、どのくらい時間が掛かるかしらねぇ? クスクス」

 

全身を駆け巡る絶え間ない苦痛に脅かされるデストロイアを冷たく嘲笑い、ビオランテはデストロイアの頭を容赦なく足で踏みつける。

 

「ぐがっ!? あっ……あああああああッ!!」

 

「ねぇ、格下怪獣の私に無様にやられて悔しい? 泣き叫びたくなるほど痛くて苦しいの? ふふっ、ふふふふふふ!」

 

デストロイアの顔が地面とキスをし、そのままズボッと頭が土の中にめり込んでいく。

 

と、その時……

 

「その辺にしておけ。暴れ過ぎだ」

 

今まで傍観に徹していたキョウヤがビオランテに向かって歩き出す。

 

「あら、誰かと思えば臆病風に吹かれて何もできないでただ震えていた人間じゃない」

 

馬鹿にした態度でキョウヤを見つめるビオランテ。

 

「今更出てきたところで無駄よ」

 

そう言うなり、ビオランテは自分がこの短時間でダメージを受ける事なく無傷で倒してきた相手ーー

 

自分が流した大量の血とおしっこの水溜まりの中で倒れ伏し、未だに痙攣したままうつ伏せで気絶しているイリスーー

 

頭を地面の中に突っ込んだまま、うつ伏せで弱々しくもがいているデストロイアーー

 

焦げ目のついた傷だらけの体で倒れ伏したシルフィードーー

 

木に寄り掛かって力無く気を失っているタバサーー

 

それぞれの無惨な敗北姿を見渡し、ニヤリとドSな笑みを浮かべる。

 

「あなた一人がのこのこと出てきたところで、ここで無様に転がっている敗者たちと同じ目に遭うだけよ」

 

「……かもしれないな」

 

キョウヤがそう言うと、ビオランテはピクッと反応を示す。

 

「ふぅ~ん……気になる言い方ね。私を倒せる秘策、何か思いついたのかしら?」

 

「さあな」

 

ビオランテの問い掛けに対し、またしてもはぐらかすキョウヤ。

 

「か、風見くん……」

 

とその時、目の前でビオランテの戦いの一部始終を見て恐怖に震えていたハルナがキョウヤの傍に歩み寄ってきた。

 

「……女。あのガキはどうした」

 

「あっ、あのガキ……? もしかして、平賀くんのこと? ーーていうか、女って何ですか!?」

 

自分を女呼ばわりされて憤慨したハルナは、キョウヤに抗議しようと口を開くが……

 

「平賀か……よし。一か八かの賭け、試してみるか」

 

どこか自信に満ちた口調で言うと、キョウヤは後ろで震えているハルナを庇うようにしてビオランテの前に対峙する。

 

「おい、ビオランテ。ずっとお前の戦いを見てたが、あの様子だと相変わらず兄離れできてないみたいだな」

 

今度はキョウヤがビオランテを馬鹿にした態度でニヤリと笑ってみせる。

 

「~~ッ!? なっ、なっ、なんであなたがそんなこと知ってーー!?」

 

挑発のつもりで言ったのだろうが、どういう訳かビオランテには効果覿面だった。

 

「だってそうだろ。せっかく触手という、俺にはない自慢の武器があるんだ。にも関わらず、お前は未だにゴジラの熱線を好んで使っているようだからな」

 

キョウヤに指摘され、見る見るうちに顔が真っ赤になっていくビオランテ。

 

「あっ、あなたには関係ないじゃない! 私はお兄さまを誰よりも愛しているの! そのお兄さまともう二度と会えない以上ーー私がこの世界でお兄さまの代わりに新しい『怪獣王』ゴジラとなるのよ!!」

 

愛するゴジラを受け継ぎ、新たなゴジラとなるーー

 

それこそが、地球とは違う異世界ハルケギニアに現れたビオランテの野望であった。

 

「ビオランテがゴジラになる、か……嫌でもあのスペースゴジラを思い出すな」

 

キョウヤはそんなことをふと呟くが、ビオランテとハルナには何のことを言っているのかわからない。

 

「そこまでしてゴジラにーーお前の愛するお兄さまになりたいか! ビオランテ!」

 

「黙れ人間風情のくせに! あなたなんて私の熱線で葬り去ってあげるわ!」

 

「ビオランテのじゃないだろ! それはゴジラの熱線だ!」

 

「知らない知らない知らない! 私だってG細胞から作られた怪獣なのよ!? ゴジラの分身であって、お兄さまの妹でもあるのよ!?」

 

ヒステリックに叫ぶと、ビオランテは怒り狂った様子でキョウヤとハルナに向かってツインテールの触手を向ける。

 

「ふふっ、ふふふふふ……そうよ。私はお兄さまと一つになるのよ。それなら、妹の私がお兄さまの熱線を使っても問題ないーーそうよねぇ!?」

 

狂った笑い声と共に、ビオランテは触手から再びダブル熱線を放射する。

 

「ちっ……これだからビオランテとは戦いたくないんだ。くそっ、面倒くさい……!」

 

ビオランテに苛立ちを感じるキョウヤ。

 

と、その時ーー

 

「風見くんッ!! ビオランテの触手が動き出したわ!!」

 

ハルナがいきなり大声で叫ぶ。

 

見ると、ビオランテの裸体に際どく巻き付いていた緑色の触手が完全に解かれ、エロスを感じさせる美しい裸体を惜しみなく露出したビオランテが無数の触手をハルナへと向けて飛ばした。

 

「ふふっ! まずはその小娘から死なせてあげるわ!」

 

触手の見た目をしたビオランテの緑髪ツインテールが先端部分の口からダブル熱線を放ち、その横を無数の触手が縫うように飛び交う。

 

「くっ……! この体だと熱線を喰らったら一撃死だ……!」

 

絶対絶命の危機に焦りを見せるキョウヤは、やむを得ず傍にいたハルナをお姫様抱っこで軽々と抱きかかえ、紙一重で飛んできたダブル熱線を緊急回避。

 

ダブル熱線が森の木々に直撃した事で凄まじい爆風がキョウヤとハルナを襲い、二人を簡単に吹っ飛ばした。

 

「ぐっ……!」

 

「きゃっ!」

 

ハルナをお姫様抱っこで抱きかかえたまま、爆風で吹き飛ばされたキョウヤはタバサの時と同じように近くの木へと背中から叩き付けられてしまう。

 

その衝撃で木は真っ二つに折れ、キョウヤは激しい苦痛のあまりハルナを放してその場に倒れ伏す。

 

「……ハル……ナ……逃げ……ろ……」

 

頭から血を流し、意識朦朧としているキョウヤは震える両手でハルナの肩を掴む。

 

「風見くんッ!? 風見くん! 起きてよ! いや……そんなのいやだよっ!! お願いだから起きて! 目を覚まして!! 風見くんッ!!」

 

ハルナは泣きながらキョウヤの体にしがみついて離れない。

 

しかしその背後では、全裸のビオランテから伸びた無数の触手がハルナを捕まえようとゆらゆらと動いて待機している。

 

「ふふっーーチェックメイトね」

 

キョウヤまでもが倒され、サイトがいない今、残るのはこの中で一番弱いハルナただ一人……

 

「いや……いやっ……!」

 

「残念ねぇ。あなたを守る騎士さまはもうおねんねの時間だそうよ」

 

素晴らしく気持ちのいい笑顔で、ビオランテはハルナの右肩に自分の顎をちょこんと乗せてきた。

 

「あっ……あぁ……あぁ……!」

 

二人の頬が触れ合うくらいの超至近距離で、ハルナとビオランテの目が合ってしまう。

 

途端にハルナの体が恐怖にガタガタと震え、怯えきった泣き顔からは大粒の涙が零れ落ちる。

 

見ると、腰を抜かして地面にぺたんと座り込むハルナのスカートはぐっしょりと濡れており、はっきりとわかるくらいに染みが広がっている。

 

「クスクス。かわいそうに。ハルナったら、お漏らししちゃったのね? 泣かなくても大丈夫よ。今度はお漏らしじゃなくて本当にあなたの女の子ちゃんをイかせてあげるから」

 

ゾクッとする笑顔でビオランテが告げた瞬間、ハルナを包囲していた無数の触手が一斉にハルナの体へと伸びていく……

 

「いやあああああああっ!!」

 

森の中で響き渡るハルナの悲鳴。

 

この時、ビオランテは自分の勝利を確信した。

 

 

 

 

 

……ところが。

 

(泣いてる……? 誰だ……? この声……ハルナ、か……?)

 

ビオランテ戦の序盤、ハルナのお仕置きパンチで無様に吹き飛ばされ、茂みの向こうで今の今まで気絶していたサイトがついに目覚めた。

 

「ハルナ……待ってろよ! ハルナは俺が守ってやる!」

 

この瞬間、サイトは復活した。

 

 




次回予告(ウソ予告)

ついに復活したサイト!

ハルナを守る為にビオランテに挑むが、そこでサイトが見たのは……!?

そして強敵ビオランテとの決着は意外な展開に……!?

次回、男の意地!サイトの恥ずかしい必殺技!?

次回でついに番外編シリーズ完結なるか!?

そしてビオランテはどうなる!?

次回もまた見てね!
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