お待たせしました! 最新話です!
やっと長かった番外編が終わった……(^_^;)
綺麗な夕焼け空のエギンハイム村。
そこに、遠くの方から村に向かって歩いてくる一団があった。
ボロボロになりながらも、それぞれが無事に元気な姿を見せている。
「おぉ! 帰って来た! 騎士さま達が帰って来たぞぉ!」
村長の歓喜の叫びを聞き、家から飛び出してきた村の人達が総出でタバサ達を迎え入れる。
……だが、サイトとハルナ以外の全員が傷だらけになった今回のビオランテ討伐という任務を遂行したタバサ達の表情は何故か暗い。
「あの森にはもう二度とビオランテ……あの巨大植物は現れない」
言葉少なにそれだけを村長に報告し、タバサはさっさと帰り支度を始める。
その後ろでは、シルフィードがある一点を睨み付けている。
その視線の先には……
「「「………」」」
三つ巴の状態で睨み合うイリス、デストロイア、ビオランテがいた。
(ここに来てからはじめて負けた……しかもガメラより弱い怪獣に負けた……力ならイリスの方が絶対に上なのに……あんな恐ろしい怪獣がまだいたなんて……)
じわっと目に悔し涙を浮かべながら、イリスはビオランテをぼんやりと眺めている。
(まさか完全生命体たる我が格下の植物如きに負かされるとは……今なら負けはしないだろうが、さすがにキョウヤの前でこいつと争う訳にはいかん……くっ)
悔しげに呟き、デストロイアはビオランテを憎々しげに見つめる。
あの後、イリスとデストロイアは何とか動けるくらいにまで回復し、起き上がってすぐにビオランテへと報復しようとしたのだが……
「お兄さま、大丈夫? 街まで行ったら背中の傷を治してもらえるか街の人達を脅しーー聞いてくるわ。だから、それまでの辛抱よ」
「ぐっ……あ、あぁ……サンキューな」
全身から滝のような汗を流し、真っ赤に腫れて傷だらけの背中を容赦なく襲う激痛に苦悶の表情を浮かべているキョウヤ。
(くそっ、ビオランテェ……! 我のキョウヤに馴れ馴れしくしおって……!)
(うぅっ……さっきまでと全然態度が変わってるのにぃ……からだの震えが止まらない……ビオランテこわいよぉ……)
ーー自分よりも力の弱い怪獣によって喫した初めての敗北。
それが数ある怪獣の中でも最強に近いデストロイアとイリスの慢心を粉々に打ち破り、二人に強さというのを改めて考えさせる切っ掛けとなる。
デストロイアとイリスはこの敗北より何かを学んだ。
そしてそれをしかと胸に刻み、二人は生まれ変わろうとしている。
デストロイアとイリスが成長するのはーーもう少し先の未来なのかもしれない。
……それから時間は経過し、村での盛大な宴会も終わりを迎えた頃。
傷だらけの上半身を包帯でぐるぐる巻きにされたキョウヤは村長から少しばかりの報酬金を貰って歓喜の雄叫びを上げ、そこに仲間入りしたビオランテーー
さらには初めてお酒を飲んでスーパーハイテンション状態(酒乱状態)になったデストロイアとイリス、みんな楽しそうという理由とノリで付き合うシルフィードまでもが加わって村長宅はもうお祭り騒ぎ。
そんな中、タバサは酒を飲んで馬鹿騒ぎするキョウヤ達を後目に黙々と独りでご馳走を食べ、サイトとハルナは未成年だからときっぱりお酒を断り、二人で夜のデートと洒落込んだ。
そしてサイトとハルナが仲良く手を繋いで帰って来た頃には宴会はお開きとなっており、村長宅の居間に寝転がるキョウヤ、デストロイア、イリス、ビオランテのだらしない姿を見て二人揃って溜息を漏らしていたとか。
とまぁ……そんなこともあった翌朝。
「……そろそろ帰る」
村の外で待機中のシルフィードの傍で、タバサがキョウヤ達に言った。
「……そうか。お前さんには色々と世話になったな」
しんみりとした表情でタバサに向き直るキョウヤ。
昨日あれだけ騒いでいたキョウヤだったが、意外にも二日酔いになっていない辺り、さすがに大人である。
「……あの二人、大丈夫?」
タバサがキョウヤを見つめながら、デストロイアとイリスを心配して訊いてくる。
「ん? あぁ、あいつらはなんて言うかーー」
髪の毛をポリポリと掻きながら、キョウヤは自分のすぐ後ろをふらふらと怪しげに歩いてくるデストロイアとイリスへと向き直る。
「ただの二日酔いだ。心配すんな」
そして昨日、ビオランテとワイン飲み比べ勝負をしたデストロイアとイリスはというと……
「うぅぅ……ビオランテとイリスに付き合って飲み過ぎてしまったようだ……まだ酔いが覚めん……」
「うぇぇ……イリスも気持ち悪いの……頭もガンガン響いて痛いし……」
二日酔いになりながらも、デストロイアとイリスはタバサを見送る為にふらついた足取りで出てきたようだ。
その後ろからはビオランテ、サイト、ハルナが続いている。
「あらあら。あなたたち、調子に乗って飲むからよ。まぁ、私も飲んだのは初めてだったけれど」
一方のビオランテは同じ怪獣でも酒に強い体質なのか、二人以上にかなり飲んだというのにまるで酔っている素振りを見せていない。
それが悔しいのか、デストロイアとイリスはがっくりと肩を落として項垂れている。
すると、二人の近くを歩いていたハルナが咎めるような視線をキョウヤへと投げかける。
「まったく! 風見くんは私たちと同じ未成年なんだからお酒は飲んじゃだめって昨日言ったのに……もうっ!」
「なぁに、俺はお前ら二人と違ってちゃんと大人してるからいいのさ」
と、キョウヤは言うが……
「どこが大人だよ……俺やハルナとそんなに変わらないくせに」
すかさずサイトが突っ込む。
しかしキョウヤはフッ……と大人っぽく微笑を浮かべ、サイトとハルナに堂々と告げる。
「俺はな? 心が大人なのさ」
決まったと言わんばかりに、キョウヤはサイトとハルナの肩を片手でそれぞれ軽く叩いた。
「わかったか? お若いカップルさん」
「またそれかよ。煙草じゃなくてシュガレット愛好家のくせに」
「はっはっはーーほっとけ。吸いたくても煙草が吸えない理由があるんだよ」
キョウヤの精神年齢は前世からを含めると20代後半である為、『心が大人』という台詞はあながち間違いでもないのだが、サイトとハルナはその事実を知らない為、いつものキョウヤらしい冗談と思っているようだ。
……今は、それでいい。
キョウヤは心の中でぽつり呟く。
(秘密にしておきたい過去ってのもあるしな)
そう思うキョウヤの視線は、タバサの姿をはっきりと捉えていた。
そして訪れる別れの時間。
タバサは慣れた動作でシルフィードの背中に素早く乗ると、すぐ下に集まるキョウヤ達を見下ろす。
タバサの視線の先ではイリス、デストロイア、ビオランテが互いに見つめ合っていた。
「イリス、やっぱりタバサやシルフィードと一緒に帰るのね……」
今朝、タバサと一緒にトリステイン魔法学院に帰ると言い出したイリスに対し、ビオランテは寂しそうな顔でイリスを見ている。
「うん。だってデストロイアとビオランテと一緒にいたら、イリスも大変な目に遭うってよ~くわかったからね。それに、ルイズたちと一緒の方が安全で落ち着くし」
「そう……あなたが決めたのなら引き止めはしないわ。私も二人に残酷なことしてごめんなさい。もう二度としないと約束するわ」
昨日の戦いでのことを素直に謝罪するビオランテに、被害者となったイリスとデストロイアは思わずビオランテを見返してしまう。
「な、なによ二人して……私がちゃんと謝るのがおかしいの?」
不貞腐れたように呟くビオランテを見て、デストロイアとイリスは慌てて首を横に振った。
「しかし意外だな……戦っていた時の貴様とは別人のようだぞ。それに何というか、こうーー今の貴様からは人間らしい、優しくて温かい心を感じる」
「ほんとだねぇ。拷問していた時はあんなに怖かったのに、今は何だかイリスたち怪獣のお母さんみたい」
口を揃えて変わったと言う二人に対し、ビオランテはツンとした態度で顔を背けつつ答える。
「人はーーいえ、怪獣は誰でも何かしらの切っ掛けで変われるということよ」
意味ありげに告げると、ビオランテはうっとりとした表情でキョウヤを熱っぽく見つめる。
「ねぇ? 私のお兄さま……ふふっ♪」
その一方、キョウヤはタバサと会話していた。
「俺達、また何処かで会えるか?」
キョウヤからの問い掛けに、タバサはしばらく考える仕草を見せる。
そして……
「私達とあなた達の歩く道が何処かでまた巡り合えば……きっと」
タバサはそれだけ言うと、シルフィードに飛翔するよう指示を出す。
「ふっ……そうだな」
満足そうに頷き、キョウヤは翼を大きく広げたシルフィードから離れて距離を取る。
そこにイリスが駆け付け、タバサの後ろに飛び乗って笑顔でキョウヤ達に手を振る。
「みんな、また会おうね!」
「それじゃあ、出発するのね!」
イリスとタバサを乗せたシルフィードが飛翔していく。
20メイル……40メイル……60メイル……
空へと向かうシルフィードの姿がどんどん小さくなっていく。
「イリス……まだ貴様とは決着がついていない。次に会う時まで、ライバルである我以外の相手に負けたりするなよ……」
「さようなら、イリス……あなたは私から見てもどこか不安定で不思議な印象を与える怪獣だったわ。願わくば、イリスも私のように人間らしく変われることを」
遠ざかるシルフィードを見上げ、デストロイアとビオランテがぽつり呟く。
「あいつら、行っちゃったな……」
肉眼で見えなくなったシルフィードの後ろ姿を目で追い掛けながら、サイトが口を開いた。
「また会えるよ。私、そんな気がするもの」
サイトに続いてハルナも言う。
「だよね? 風見くん」
にっこりと微笑むハルナに、しばらく独りでぼーっと空を仰いでいたキョウヤがニヤリと笑う。
「あぁ。見事なくらいに晴れ渡る青空がどこまでも続く世界なら、いつだって自由気ままな風に乗って会いに行けるさ」
そう言うと、キョウヤはいつの間にポケットから取り出していたのか、一本のシュガレットを口に咥えていた。
「……そうだろう?」
誰にという訳でもなく、キョウヤはそんな独り言を呟くのだった。
次回予告(ウソ予告)
トリステイン魔法学院は虚無の曜日で休み。
せっかくの休日なので、ルイズはイリス、モンモランシー、シエスタを連れて街に出掛けることに。
しかしシエスタの姿がどこにも見えない。
コック長のマルトーの話によると、シエスタはとある貴族の個人的な理由で引き抜かれ、問答無用で屋敷へと連れ去られたらしい。
しかし連れ去られてから時間がだいぶ経過してしまっており、シエスタは既に貴族のご奉仕をさせられている可能性が高い。
それを知った我らが守護神イリスはブチ切れ、ルイズたちの制止を無視してシエスタ奪還作戦を開始した!
イリス「見知らぬ男なんぞにわたしのシエスタを寝取られてたまるかぁ~!!」
巫女と通じ合えるイリスが勾玉を所持するシエスタの居場所を感じ取ると、シエスタは乱れたメイド服を半脱ぎにされてキモいおっさんと一緒にベッドの上にいて……?
シエスタ「うんっ……あっ……あんっ……んあっ……ふぁっ……うぅん……そっ、そこぉ……あぁん、気持ち良いですぅ! モットさまぁ……ふああっ、ああっ、ああんっ! はひゃあんっ、あんっ、はあんっ! もっ、もうだめぇ……イリスさん、ミス・ヴァリエール……シエスタはもう……ごめんなさい」
快楽堕ちして寝取られ間近のシエスタに迫るモット伯爵の卑猥な魔の手!
盗られたものを取り返す為、怒り爆発の奪還者イリスが現場に突撃する!
イリス「ここが囚われメイドたちの地獄って……? ふぅ~ん、ならよく見てなよ……本物の地獄はここにあるから!」
ーーついに人間から怪獣の姿へと変身を遂げ、邪神イリスは屋敷の中で災厄を撒き散らしていく。
そこで襲い掛かるミイラ化した死体の群れ。
響き渡る番兵たちの断末魔、泣き叫ぶメイドたちの悲鳴。
ルイズ&モンモン「もういやああああああああ!!」
二つ名『洪水』を手に入れたルイズとモンモランシーがそこで見た地獄とは!?
イリス「モット、おまえは簡単には死なせないからね。真の絶望というものを思い知らせてあげる」
次回はこわ~いお化け屋敷でルイズたちが肝試し!?
小便は済ませたか? 神様にお祈りは?
部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はOK?
……よろしい、ならば肝試しだ。
次回、地獄開始!目覚めた朱き邪神イリス!~シエスタはどっちのモノ?~
イリス「モット……おまえは今までに食べてきた女の子たちの愛を感じたことがあるか?」
モット「こ、ここからが本当の地獄だ……」
ーーみんなの記憶から消えた頃に、トラウマは突然やってくる……
原作やアニメの『ゼロの使い魔』同様にお色気シーン担当のシエスタが本格的に本編ストーリーに絡んできました。
この次回予告を見ればわかる通り、次回はアニメオリジナルの回です。
正直なところ、最初はモット伯爵の話を入れようか迷ってたんですが、イリスを成長させる上で必要不可欠なエピソードだと考え、投稿する事に決めました。
シエスタが酷い目に遭いますので、シエスタ好きな人は閲覧注意(かく言う作者もシエスタ好きですが……
次回はエロい意味でもグロい意味でも、子供は見ちゃいけません!