※この作品はR-18です。

ゼロの使い魔~レジェンド・オブ・モンスターズ~   作:聖夜竜

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お待たせしました! 最新話です!

今回はかなり長い文字数です!

これでモット伯編は完結!

モットの身に何が……!?

連れ去られるイリス、そして現れる謎の黒騎士……!?

予想の斜め上を行く急展開!!


第12話『誰かを愛するということ』

 

そしてここはモットの部屋。

 

「ええい! 衛兵たちは何をやっているのだ!? 金で雇ってやったというのに侵入者ひとり捕まえられないとは! あの役立たずどもめ!」

 

全裸のモットは自分の部屋を行ったり来たりしながら憤慨していた。

 

その間にも、衛兵たちの叫び声がだんだんと近付いてくる。

 

……こちらに来るのだ。

 

どこの誰かもわからない、たった一人の侵入者が、ベッドの上でぐったりと倒れているシエスタという平民のメイドを助けに……

 

まるで、悪い魔法使いに囚われたお姫様を助けにやって来た王子様のように。

 

そんな王道のラブストーリーがあってたまるものか。

 

モットはしばらく部屋の中を歩き回っていたが、やがてベッドの上にいる全裸のシエスタを睨み付ける。

 

そうだ……ならば、今からやってくる馬鹿で命知らずの王子様に、肉体と肉体が一つに繋がったお姫様の淫らに犯された淫乱で卑猥な姿を目の前で見せつけてやればいい。

 

そして絶望させてやるのだ。

 

愛する女を目の前で失った悲しみは想像を絶する不幸だということを……

 

そう、かつてモットの愛する妻が亡くなったように……

 

 

 

 

 

全裸のモットは同じく全裸になっているシエスタの横たわるベッドの上に体重を乗せると、ゆっくりとその両腕でシエスタの火照った身体をいやらしく触って抱き起こしてやる。

 

「ふぁぁ……やぁ……」

 

その間、シエスタは光を失った虚ろな瞳を見せてぼんやりとしており、もはやモットにされるがままだ。

 

「よしよし、いい子だ。これから君を助けに来るという王子気取りの馬鹿な侵入者に教えてやる」

 

それを見て気分を良くしたモットはベッドの上で堂々と胡座をかき、自分の太ももの上にシエスタのお尻を乗せて座らせる。

 

「私たちが一つに繋がって淫らに愛し合っているところを見せつけてやろうではないか」

 

ニヤニヤ顔で言いながら、モットは自分の肉棒を愛液でぐっしょり濡れたシエスタのつるつるで艶やかな秘部にあてがう。

 

……これですべての準備は整った。

 

「さぁ、来い! 貴様が扉を開けてこの部屋に入ってきた瞬間、私の固く太い肉棒がこの娘の処女を奪うのだ!」

 

自分でそう言うなり、モットは悪役のような高笑いをしてみせる。

 

この後のお楽しみの瞬間を想像して思わず涎を垂らしてしまい、顎を伝う涎を自分の手で拭うと、モットは部屋の扉を睨み付けてニヤリと笑う。

 

「おっと、いかんいかん。自他共に認める私のような変態中年がセックス経験の無い可愛いメイドの美少女と愛し合えるかと思ったら、つい涎が……フフフ、これだから貴族はやめられん!」

 

真っ赤に発情したエッチな顔でぐったりとしているシエスタの豊満な胸を両手で揉みし抱きながら、そんな独り言をブツブツと呟くモット。

 

しかしモットは知らない。

 

それを世間では露骨なフラグ立てという。

 

「……遅いッ! 何をもたもたしているのだ! エッチがしたくて我慢できないのは私だけではないのだぞ! 貴族の私を待たせるな馬鹿めッ!」

 

モットが扉に向かって怒鳴り散らし始めたその瞬間ーー

 

このタイミングを待ってましたと言わんばかりに、部屋の扉が勢いよく蹴り飛ばされた。

 

そして扉の先に立っていたのは……

 

『ここにいたのね。随分と探し回ったわ』

 

どことなく伝説の朱雀を彷彿とさせる血塗れた朱い怪獣だった。

 

 

 

 

 

いきなり現れた正体不明の怪獣に対し、声も出せずに驚愕するモットとシエスタ。

 

しばらくして我に返り、モットが怪獣に向かって叫んだ。

 

「なっ、なんだ貴様は!?」

 

侵入者は勇者気取りで相手が貴族だろうと関係ない、シエスタと同じ平民で青いパーカーを着た黒髪の少年だと思っていたモットだが、まさか人外だとは思わなかった。

 

(えっ……私、なにして……)

 

一方のシエスタは先ほど扉が蹴り飛ばされた衝撃で意識を取り戻したのか、ようやく自分の置かれている状況を知ることができた。

 

(やだ私ったら……こんな気持ち悪い男に抱かれちゃってる……私のエッチで恥ずかしいところも全部触られて見られちゃってるよぅ……)

 

顔を真っ赤に染め、モットに抱かれているという状況から来る嫌悪感と羞恥心、そして恐怖に怯え震えながら、シエスタは部屋に入ってきた怪獣を見つめる。

 

(怖いけど、この胸が温かくなる感じ……もしかしてイリスさま……?)

 

シエスタと怪獣の視線が交差する。

 

すると、モットとシエスタが見ている前で怪獣は虹色の閃光に包まれていく。

 

最後にふうう~んと鳴いたかと思えば、2メイルほどの大きさだったその姿は小さくなっていき、やがて人間の形に変身した。

 

幼少期とまったく変わらない、背中まで伸びた綺麗な銀髪。

 

見る者に邪悪な印象を与える、血のように赤く染まった眼。

 

それらはシエスタもよく知るイリス人間態の特徴だ。

 

しかし明らかに幼少期と異なる点がある。

 

まずはシエスタに負けず劣らずな大きさを持つ発育の良い胸。

 

推定でもEカップはあるだろう。

 

あの言わずと知れた巨乳組であるデストロイアとビオランテすら上回る見事なおっぱいだ。

 

そして幼く可愛かった童顔は対照的に大人っぽく美しい顔立ちに。

 

身長もかなり伸び、シエスタより少し大きいくらいにまで成長している。

 

シエスタとモットが見ている前だというのに、女神の如く神聖さすら感じられる生まれたままの姿を隠そうとしない辺りは、やはりイリスという感じなのだが。

 

「ふぅ~ん……はじめてこの姿に変身したけれど、これはこれでなかなかね」

 

などと言いながら、大人になったイリスは自分の身体を確かめるようにあちこち触り始める。

 

「ふ、ふつくしい……エロスの女神が降臨した!」

 

そんなイリスの、まさしく虹の女神というに値する神々しい姿を見て、モットはシエスタを抱いている事も忘れてイリスの美しい裸体に見惚れてしまう。

 

女として完全に負けたと思い、イリスとモットに対してちょっとムッとくるシエスタだが、同時に今がこの変態中年男から逃亡するチャンスだという事に気付く。

 

シエスタは首と上半身だけを動かしてすぐ後ろにいるモットに振り向き、だらしないスケベ顔でイリスを見つめるモットに強烈なビンタを与えてやると同時に、ベッドの上に立ち上がって逃げ出す際、モットのギンギンになっている肉棒を思いっきり足蹴りしてやった。

 

「おぉっ……!? おっ、うぉっ……ふっ、ふっ、ふぅ……ふぅ……うぅぅ……!!」

 

あそこを抑えて丸くなり、ベッドの上で悶絶するモット。

 

モットの情けない声を背後から聞き流したシエスタは、イリスの胸に向かって思いっきり抱きついた。

 

そして……

 

「イリスさまぁ! 私、とっても怖かったですぅ……!」

 

ぼろぼろと大粒の涙を流しながら、シエスタはイリスを両腕で逃がさないようにぎゅっと抱きしめる。

 

「怖かったでしょ? もう大丈夫。これからはわたしが傍にいるから」

 

……きっと、台詞だけを聞けば感動的な場面に違いないのだろう。

 

……が、イリスもシエスタも全裸のままお互いのおっぱいを潰し合う勢いで激しく抱き合っている為、端から見ればそれがシュールな場面に見えなくもない。

 

しばらく二人で抱き合っていると、我に返ったモットが叫ぶ。

 

「貴様、私の女に触るな! シエスタは私のメイドなのだ!」

 

「……下がってて、シエスタ。わたしはこいつに話があるから」

 

イリスの右腕にしがみついて離れないシエスタを後ろに退かせ、恐ろしいまでに無表情のイリスがベッドの上から降りてきたモットと真っ正面から対峙する。

 

モットは自分の腰にシエスタのつけていたバスタオルを巻いており、それで自分の股間を隠している。

 

「あなたがモットね? 他人からはメイド好きの変態とか呼ばれている貴族のクズ」

 

イリスが睨み付けて話し始める。

 

「ふん。だとしたら何だ。貴様に私の愛がわかるのかね!? 私はメイドたちと共に失った夫婦の愛をもう一度取り戻すのだ!」

 

ーーモットはその昔、最愛の妻を亡くしてしまっており、それが原因でモットの人生は狂い始めた。

 

アンリエッタをはじめとしたトリステインの上級貴族たちに煙たがられ、だんだんとその地位は怪しいものとなっていた。

 

子供もいないモットは家族への愛に飢え、やがて我慢の限界に達したモットは愛が欲しいとメイドの娘に手を出した。

 

それで得られた熱い感情を愛と信じ込み、モットは次々とメイドたちを金で集めては犯し、奪い、支配してきた。

 

モットから無理やり愛され、泣き喚くメイドたちを一方的に従えてきたモットは、かつて妻と愛し合っていた時に感じていた幸福感を得ようとしたのだ。

 

「なるほど……だからあなたはメイドに手を出したという訳……へぇ」

 

そんなモットの境遇を聞かされ、冷ややかな表情でモットを見つめるイリス。

 

「私は大切な人からの愛が欲しかっただけだ! 亡くなった妻の代わりに女を抱けば私はもう一度あの頃の愛が得られる! だから私はこれからもたくさんの女を抱くのだ!」

 

モットは信じていた。

 

自分が愛を与えてやれば、メイドたちは自分を愛してくれるのだと……

 

しかし……

 

「哀れなモット……愛深きゆえに愛を捨てた男」

 

モットの愛の叫びをイリスは一蹴する。

 

「あそこにいたメイドたち……可哀想なことしちゃったわね」

 

独り言のようにぽつり言うなり、イリスは真剣な表情でモットを睨み付ける。

 

「モット、あなたは間違っているわ。そんなものを人は『愛』とは呼ばない……今のあなたは子供の時のわたしと同じよッ!!」

 

……今だからこそわかる。

 

イリスは子供から大人へと精神的に成長した事ですべてを理解したのだ。

 

勾玉から感じられるシエスタの想いを知り、ようやくイリスは自分の愛が間違っていたのだと理解した。

 

かつての綾奈の時、そしてルイズやモンモランシーの時もそう……

 

イリスの愛は一方的に自分の想いを相手に押し付けているだけに過ぎなかった。

 

……しかしそれは間違いだった。

 

「……モット、人を大切に想う心っていうのはね。一方的に相手に向けるものじゃない」

 

自分は愛しているつもりでも……それはやはり相手への依存に過ぎない。

 

自分がいて、相手がいて……

 

「お互いがお互いをちゃんと愛し合い、想い合っていくことで真実の愛が得られるの……わたしはそれを知った」

 

相手を想うことはーー押し付けることじゃない。

 

相手を愛することはーー縛ることじゃない。

 

それをイリスは今になってようやく理解した。

 

「だからわたしはーーわたしが信じる『愛』を信じる!!」

 

何よりも気高く、揺るぎない想い。

 

「モット! あなたの心を捕らえて縛る歪んだ愛をわたしが解放してあげる!」

 

「ふざけるなぁッ! わたしがメイドたちを愛して何が悪い!? 相手を愛してやることこそが本当の愛なのだ!!」

 

いいえモット、あなたはーー

 

言い掛け、イリスはその言葉を口にするのを止めた。

 

「……いいわ、モット。そこまで妻やメイドを愛しているあなたの痛く切ない想いをわたしが受け止めてあげる」

 

……これ以上の言葉など、もう必要ない。

 

「そしてあなたに伝える! わたしとシエスタの愛を!」

 

今はただ……戦う時だ。

 

「シエスタ、わたしはあなたを守りたい。あなたはこれから先、戦いがある度にわたしに守られたい?」

 

イリスの問い掛けに、シエスタは首を横に振って拒否する。

 

「嫌です……! もう私の為に、イリスさまやミス・ヴァリエールには戦ってほしくないんです……大切な人に守られるなんて……自分で何もできないでただ見ているだけなんて……そんなのもう嫌なんです!!」

 

それは……シエスタからイリスへと送られる勾玉越しの想い。

 

だからイリスはシエスタの想いをしっかりと受け止めることにした。

 

「私も一緒に戦いたい。イリスさまに一方的に守られるんじゃなくてーー私がイリスさまを頼るんじゃなくて、これからは寄り添うように自分たちの足でちゃんと立って、二人でお互いを守り合えるようになって、どんな時でも対等な関係でいたい……!!」

 

シエスタの叫びを黙って聞いているイリス。

 

そんなイリスの表情には、いつの間にかニヤリとした満足げな笑みが。

 

「その為に私、巫女の力を使いますーー!!」

 

シエスタの覚悟は決まった。

 

「わかったわ。本来、イリスと勾玉の所持者は融合して一心同体でなくてはならないもの……だけど、わたしとシエスタの通じ合った『想い』の前に融合なんて必要ない!」

 

……さぁ、いこう。

 

「勝負よ、モット!」

 

「ゆくぞ! 私の二つ名は『波涛』! 『波涛』のモットだ! トライアングルの我が水の魔法を受けてみよ!」

 

名乗りの宣言と同時に、モットが呼び出した水が竜のような荒々しい姿となってイリスとシエスタに襲い掛かる。

 

「イリスさま! 私に構わず戦ってください!」

 

荒れ狂う水の竜が文字通り波涛となってイリスに迫り来る中、イリスの後ろにしがみついていたシエスタは掴んでいたイリスの右腕を放す。

 

先ほどまでの震えていた弱いシエスタとは違う……

 

イリスの影響を受けて変わり始めたシエスタの言葉を聞いてイリスは短く頷き、荒れ狂う波へと自ら突っ込んでいく。

 

「ははは! 私の魔法で溺死するのだな!」

 

瞬間、イリスの姿は波の中へと消えた……

 

「信じなきゃ……! 今の私にできることはイリスさまに想いの力を送り込むこと……!」

 

シエスタは床に落ちていた緑色に光り輝く勾玉を素早く拾い上げ、祈るようにぎゅっと握り締めて力を送り込む。

 

しかしその瞬間、シエスタはイリスと同じように波に飲み込まれてしまう。

 

(あっ、くぅっ……!)

 

物凄い水圧に襲われ、シエスタの身体が波の中でぐるぐると回転する。

 

(苦しっ、息が、できな……)

 

意識朦朧とする中、全身の力が抜けたシエスタの手から勾玉が放れていく……

 

(イリスさま……)

 

溺れる寸前、シエスタに向かって泳いでくるイリスの姿が視界に映り込む。

 

イリスはシエスタが手放した勾玉を自分の手で掴み取り、それをしっかりとシエスタの両手に握らせる。

 

そして次の瞬間、イリスはシエスタの唇に自分の唇を強引に押し当てーー

 

(うそみたい……私、イリスさまにキスされてる……私のファーストキスがイリスさま……)

 

消え掛かっていたシエスタの意識が回復していく。

 

同時に、イリスを通して酸素が肺へと送られてくる。

 

(もう大丈夫ね。まったく、人間なのに無理しちゃって……でも、ありがとね)

 

イリスはシエスタを抱き締め、そのまま優しいキスを交わす。

 

そしてイリスは気付いた。

 

自分の左手に、使い魔のルーンが激しく輝いている。

 

ギーシュとの決闘でも、いきなりこのルーンは光り出してイリスに力を与えていた……

 

イリスの心が震えた時、イリスの中から無限に力が湧き上がってくる。

 

このルーンが何を意味するのかはまだわからない……

 

だけど……

 

(イリスの心が震えてる! モットと戦えと叫んでる!)

 

今はただ、この力がありがたい。

 

瞬間、イリスの両肩から勢いよく突き破って展開される四本のテンタクランサー。

 

それらは幼少時の時よりも大きく強化されている。

 

イリスは四本のテンタクランサーを部屋の床に突き刺し、シエスタを抱きかかえたままエレベーターのように上昇。

 

モットの大津波から脱出した。

 

「馬鹿な!? 生きているだと!?」

 

やがて大量の水は流され、床が水浸しとなったモットの部屋では以前と変わらず三人だけが立っていた。

 

「勝手に人を殺さないでよ。わたしもシエスタもこの通り無事よ」

 

そう言って床に突き刺したテンタクランサーを引き抜き、それらの先端をモットに向ける。

 

「その異形な姿……貴様、何者だ……!?」

 

モットが杖を突き付けながらイリスに問い掛ける。

 

「わたし? わたしは邪神イリス……シエスタを助けに来た愛と正義の邪神ってところね」

 

ふざけたように答えるイリスだが、それを聞いたモットの表情が驚愕に変わる。

 

「邪神だと!? そうか、貴様が『あの男』の言っていた邪神という怪獣か!!」

 

「あの男? 誰のこと?」

 

モットの口から出てきた『あの男』という人物……

 

「知らないか、あの男は私に素晴らしい力を与えてくれたエックス様の仲間で、『宇宙暗黒四天王』の一人なのだ!」

 

「エックス? 宇宙暗黒四天王? そいつらがあなたに力を与えたの?」

 

イリスもシエスタも何の事だかわからない。

 

だが……

 

「はっはっは! ちょうどいい! 冥土の土産だ! エックス様の力で生まれ変わったジュール・ド・モットの真の姿を見せてやろう!」

 

モットが高らかに宣言した瞬間、モットの身体に異変が起きる。

 

贅沢三昧の貴族らしく、無駄な脂肪を付けた身体が見る見るうちに獣の姿へと変貌していく。

 

顔付きも醜悪なものに変わり、その毛むくじゃらな姿はまさしく獣と呼ぶに相応しい。

 

「見たか! これが私の進化した姿! その名も偉大な怪獣『キングコング』だ!」

 

モット改めキングコングーー

 

それがモットの正体だったのだ。

 

「キングコング!?」

 

モットの変貌ぶりに、水に濡れてびしょびしょになったイリスもシエスタも驚愕したまま動けない。

 

「どうだ? シエスタ、このたくましい身体に抱かれてみたくはないか?」

 

そう言って、モット改めキングコングはシエスタに向かって自分の手を伸ばす。

 

「ぜっっったいに嫌です!! あなたみたいな変態ゴリラ、全力でお断りします!」

 

生理的に受け付けないのだろう。

 

シエスタはキングコングの誘いを全力で拒絶。

 

その代わりなのか、キングコングの前で見せ付けるようにイリスの身体にぎゅっと抱きつく。

 

「残念ねぇ、モット。あなたの可愛い妾ちゃんはわたしが寝取っちゃった♪」

 

クスクスと笑い、イリスはシエスタの頬にチュッとキスをしてやる。

 

「あっ、い、イリスさま……こんな人目があるところで……いけないですぅ、恥ずかしいですぅ」

 

もじもじとしながら顔を赤らめ、シエスタは言葉と裏腹に嬉しそうだ。

 

「ふふっ、可愛い♪ シエスタ、この続きはあとでたっぷりね。とにかく、今はこの変態ゴリラをどうにかしなきゃ」

 

イチャイチャしてくるシエスタを名残惜しそうに離し、イリスは改めてキングコングと対峙する。

 

しばらく無言で睨み合う両者。

 

やがて……

 

「……気が変わったぞ、我が女神エロス。貴様も私と同じなかなかの変態ではないか。それだけのエロい身体、性欲も凄まじいのだろう?」

 

……先に口を開いたのはキングコング。

 

「ーー喜べ、貴様はシエスタと一緒にこのキングコング様に無期限肉体奉仕だ!」

 

そう言うや否や、キングコングはその毛むくじゃらの豪腕を大きく振り上げ、全裸のイリスとシエスタに突撃。

 

どう見てもただの変態である。

 

「……呆れた。結局、あなたの求めていた愛ってのはその程度だったのね」

 

溜息を漏らし、イリスはテンタクランサーをキングコングに向けて射出。

 

「相手を見ないで自分のこと優先で考えてる奴はクズよ! あなたに愛を語る資格なんかない!」

 

怒りに震え、イリスのテンタクランサーがキングコングの身体を刺し貫くーー

 

「避けた!?」

 

ーーことは叶わず、キングコングは身軽な身体を利用してジャンプ。

 

四本あるうちの二本のテンタクランサーの上に両足を乗せて立つ。

 

「ははは! 愛しの女神を捕まえるぞぉ?」

 

そのままの体勢でキングコングは自分目掛けて飛んできた二本のテンタクランサーを両脇にがっしりと挟む。

 

「挟まれた!?」

 

「ほれ、もっと私に近こう寄れ!」

 

言いつつ、キングコングは綱引きの要領でテンタクランサーを強引に引っ張る。

 

「えっ? あっ……きゃんっ!」

 

テンタクランサーに引っ張られたイリスは引力に引かれてキングコングの露出されたたくましい胸にダイブしてしまう。

 

「イリスさまッ!!」

 

シエスタの悲痛な叫びが響く。

 

「ぐふふ……やった! やったぞぉ! 私は愛しのエロ女神を手に入れた! もう離さん! これは私のものだぁ!」

 

「いやぁ! 放して! 放しなさいよ、この変態ゴリラ!」

 

じたばたと抵抗して自分のEカップおっぱいをキングコングの胸板に擦り付けるイリスをニヤニヤと見下ろしながら、キングコングは勝利の雄叫びを上げる。

 

イリスは逃げようとするも、キングコングの腕力は凄まじく、完全に拘束されてしまっている。

 

「うるさい女だ! 大人しくなれ!」

 

キングコングはイリスの背中に毛むくじゃらの両腕を回し、そのまま力強く抱きしめる。

 

「うぐぁっ!? がはっ……!?」

 

瞬間、イリスは激しい痛みと圧迫感に襲われ、背骨がバキバキと派手な音を立てて破壊されていく。

 

プロレス技で言うベアハッグならぬゴリラハッグにより、イリスの身体は大きなダメージを受けてしまう。

 

「あがっ……! 馬鹿、な……ぐぅっ、こんな雑魚怪獣にこのわたしがしてやられるなんて……!!」

 

テンタクランサーで綱引きという、相手の予想外の行動に驚いてしまったとはいえ、イリスの今の強さはキングコングなど瞬殺できるものだ。

 

ビオランテと戦った時もそう……

 

本来であれば、怪獣の強さでも上位に位置するイリスとデストロイアが格下のビオランテに負けることなどありえない。

 

……イリスはきっと慢心していたのだろう。

 

それがイリスに余計な自信を与え、結果としてビオランテとキングコングに予想外の攻撃を貰って戦闘不能へと繋がる。

 

その辺り、イリスはまだ戦闘慣れしていないのだろう。

 

ハルケギニアに来るまでは日本の自衛隊とガメラしか戦闘経験のなかったイリス。

 

ここはイリスの乏しい戦闘知識が通用するような世界じゃないことをイリスは嫌というほど思い知る。

 

「ははははは! 愛しい女神よ! 私と一緒に夜の露出散歩と洒落込もうではないか!」

 

キングコングの左腕に抱かれてぐったりとしているイリスを連れてキングコングは部屋の窓ガラスを空いていた右腕で叩き割る。

 

「そんな……いやっ! イリスさま!」

 

シエスタの声も虚しく、キングコングはイリスを抱いて屋敷の外に飛び出してしまった。

 

後に残されたのは絶望感に震える全裸のシエスタがただ一人……

 

 

 

 

 

イリスを抱いたまま、屋敷の屋根の上に登ったキングコング。

 

キングコングはそこで、一人佇んで夜空に浮かぶ双月を眺めている謎の人物と出会う。

 

「ふむ……君の屋敷は随分と騒々しいのだなーーモットよ」

 

落ち着いた口調で言いつつ、夜闇を纏ったその人物はキングコングへと向き直る。

 

「なっ!? き、貴様はーー!?」

 

危うく名前を言い掛けるキングコング。

 

しかしその人物の真っ赤に発光したサングラスのような機械化された眼で睨まれ、慌てて口を閉じる。

 

「口に気をつけてたまえ。どこに目や口がついているかわからんのだぞ? よもやモット、私の表の立場を忘れた訳ではあるまいな?」

 

「ぐぅ……わ、わかった」

 

とその時、夜闇に隠れていた謎の人物の姿が青と赤の月明かりに照らし出される。

 

「ふむ。それで? その娘はどうしたのだ?」

 

ーー次第にその姿が明かされていく。

 

大柄でがっちりとした体型、騎士の鎧を思わせる黒ずくめの戦闘服。

 

騎士が頭につけるような黒い兜でその素顔を隠し、夜闇の中で真っ赤に発光しているサングラスのような機械化された眼だけが漆黒のフルフェイスマスクから覗かせている。

 

口元を隠している為なのだろうか。

 

時折、コホー、コホーという不気味な呼吸音が聞こえてくる。

 

肩からは黒いマントを羽織り、その腰には鉤爪のように先端部が曲がった二刀流の剣がクロスして差してある。

 

見る者すべてに強烈な印象を与える圧倒的なまでに邪悪な存在感。

 

この黒騎士こそ、モットをキングコングへと進化させた『あの男』である。

 

「ふん。この女が貴様の言っていた邪神だそうだ」

 

キングコングからの報告を聞き、黒騎士はほぅ……と興味深げにイリスを一瞥。

 

そのイリスはと言えばキングコングに抱かれて弱々しく泣いており、時折抵抗しようとしているようだが、背中の骨を砕かれて身動きが取れない為、キングコングに触られるがままだ。

 

「ところで……別にこの女を貰ってしまっても構わんのだろう?」

 

顔を赤らめて涙目になっているイリスのおっぱいを揉みながら、キングコングがゲス顔で黒騎士に問い掛ける。

 

「……駄目だな、モット」

 

しかし黒騎士は静かに首を横に振る。

 

「お前のような下品な男にイリスはやれん」

 

吐き捨てるように言い、黒騎士はくるりと背を向ける。

 

「なんだとぉ!?」

 

怒りに震えるキングコングが黒騎士に言い返そうとするがーー

 

「別れの時間だ」

 

その瞬間、黒騎士は黒いマントを翻し、踊るような見事な回転と同時に帯剣していた鉤爪状の双剣『ブラディ・トリガー』を見えない速さで引き抜く。

 

「……さらばだ」

 

「……えっ?」

 

呆然としていたイリスの顔が突如として真っ赤な鮮血に染まる。

 

イリスがふとキングコングを見上げると、そこにキングコングの顔はなく、かわりに夥しい鮮血がシャワーのごとく降り注いでいた。

 

「お前のアホ面には心底うんざりしていたよ」

 

吐き捨て、黒騎士は再びキングコングから背を向けて歩き出す。

 

やがてキングコングの死体はぐらりと揺れ、イリスのおっぱいを掴んだ状態でイリスを巻き込み、二人で屋根の上に倒れ伏した。

 

「あうっ……っ!」

 

キングコングの体重がイリスにのし掛かり、イリスは激しい苦痛に顔を歪める。

 

そんなイリスをまったく見向きもせず、少し離れた場所で黒騎士は夜空に浮かぶ双月を見上げている。

 

「……いい月だな」

 

月明かりに照らされ、ぽつり呟く。

 

「そうは思わんか?」

 

とここで、黒騎士ははじめてイリスをまともに見つめた。

 

「あなた……っ、は……?」

 

息も絶え絶えに、キングコングの下敷きとなったイリスが黒騎士を見上げる。

 

「私か? 私はーー」

 

黒騎士が名乗ろうとしたその時ーー

 

「ちょっと~! 誰だか知らないけど、大丈夫なの~!?」

 

きゅいきゅいという鳴き声と共に、シルフィードに乗ったタバサとキュルケが屋根での騒動を聞きつけて飛んでくる。

 

大きな声を出しているのはキュルケのようだ。

 

黒騎士もイリスも、こちらに向かって飛んでくるシルフィードを一瞥する。

 

「……今夜の任務は完了した。関係ない者は早急に立ち去るとしよう」

 

興が削がれたと言わんばかりに、黒騎士は黒いマントを翻して立ち去ろうとする。

 

「待って……! お願い、行かないで!」

 

しかし涙を流したイリスが黒騎士を切なく呼び止める。

 

「……また会おう、イリス」

 

最後にそれだけを言い残し、黒騎士は夜闇の中へと一瞬で消えてしまった。

 

「……あなたは、いったい……?」

 

消えゆく意識の中、イリスは脳裏に深く強く刻まれた黒騎士のことを想い浮かべ、涙を流したままそこで意識を手放すのだった……

 




次回予告(ウソ予告)

この想いは何でしょうか……

私は、あなたを想うと夜も眠れずに妄想オナニーに耽ってしまいます。

小さかったあなた、大きくなったあなた、可愛いあなた、エッチなあなたーー

ああ、愛しのあなた……!

私はあなたが欲しくて欲しくてたまらないのです!

私には婚約者がいます。

そう、私はいけない女です……でもそれくらいに好きなんです……!

この想い……これが恋なのでしょうか?

次回、『トリステインのお姫様』

イリス「なっ!? わ、わたしがこ、ここ恋なんて……っ!!」

アンリエッタ「あぁん、素敵ですわ! そうーー私はあなたに恋しているのです!」

ルイズ「い、いい加減にしなさ~い!!」

次回もまた見てね!
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