※この作品はR-18です。

ゼロの使い魔~レジェンド・オブ・モンスターズ~   作:聖夜竜

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お待たせしました! 最新話です!

今回はいよいよ登場アンリエッタ姫!

使い魔品評会が迫る中、ルイズとイリスはどうするのか!?

そして、魔法学院にやって来たアンリエッタの目的とは……!?

今回より、VSフーケ編スタートです!


第13話『トリステインのお姫様』

 

モット伯の屋敷で起きたシエスタ拉致事件から翌日。

 

イリスがふと目を覚ますと、見覚えのある部屋のベッドの上で寝かされていた。

 

(そっか……わたし、あの後気絶して……)

 

身体を動かすと、微かにズキッとする痛みが残っている。

 

やはり人間の身体に慣れるのは大変だとイリスは思う。

 

何しろ、人間の身体は普段の身体と違って身軽な分、脆く壊れやすい。

 

キングコングに背骨を粉砕されただけであのザマである。

 

情けない……

 

イリスは自然と拳をキツく握りしめる。

 

と、その時ーー

 

「んぅ……イリスぅ……」

 

「お姉ちゃんが……守るから……すぅ」

 

むにゃむにゃという寝言が聞こえ、イリスがそちらに顔を向けると、ベッドに寄り添って仲良く眠るルイズとモンモランシーの姿が。

 

「あらあら」

 

思わず呆気に取られていると、不意に部屋の扉が開かれる。

 

「起きられたんですか、イリスさま」

 

扉の先に立っていたのは、真新しいメイド服に着替えたシエスタだった。

 

「シエスタ……わたしどのくらい寝てた?」

 

「えーっと……そんなに眠ってませんでしたよ? 私とミス・ツェルプストーたちであのゴリラと一緒に倒れていたイリスさま、それから屋敷の中でミイラに囲まれて失神していたミス・ヴァリエールとミス・モンモランシを運んだんです。その後、朝方にミス・ヴァリエールとミス・モンモランシが起きられて……」

 

そう言うと、ルイズとモンモランシーの寝顔を見つめるシエスタの表情が優しくなる。

 

「ふふっ♪ お二人とも、イリスさまを本当に心配していたんですよ。ミス・ツェルプストーが言っていたのですが、お二人ともイリスさまと私を助けようとミイラだらけの屋敷に入ってくれたみたいでーー」

 

「……そう。もういいわ」

 

暗い表情で呟き、イリスはベッドから起き上がってルイズから以前貰った予備の制服に着替える。

 

「あっ、あの……!」

 

下着が見当たらない為、仕方なく下着を着けずに着替えていると、シエスタが照れたように顔を赤らめて声を掛ける。

 

「ん? どうしたの?」

 

「あっ、いえ、そのぅ……その服、大人になられたイリスさまのサイズに合ってないみたいですけど……ぽっ」

 

シエスタに言われ、イリスは着替え終えた自分の服を確認してみる。

 

……なるほど。

 

確かに胸の辺りが異常にキツく、今にもボタンが弾け飛びそうな勢いで激しくおっぱいが自己主張している。

 

スカートも短く、太ももまでしかない。

 

これを着てみて、子供の自分やルイズがいかに未成熟な身体であるかを理解するイリス。

 

「……まぁ、いっか。別に」

 

しかしイリスは特に気にすることもなく、そのままルイズの部屋を出ていってしまう。

 

「あっ、だめですよ! その格好じゃ色々と危ないですぅ!」

 

「シエスタ。わたし、ちょっとオールド・オスマンに真面目な用があるから出掛けるわ」

 

何とかして引き止めようとしたシエスタにそう言い残し、いつになくシリアスな表情のイリスはオスマンのいる学院長室へと向かった。

 

 

 

 

 

そしてオスマンの学院長室。

 

イリスが学院長室を訪れると、ちょうど室内にはオスマンしかいなかった。

 

これはチャンスと思い、イリスは学院長席に腰掛けていたオスマンの前にやってくる。

 

「こんにちは、オールド・オスマン。お久しぶりね」

 

イリスがにこやかに挨拶すると、オスマンははて?と首を傾げる。

 

キュルケに匹敵するほどの色っぽい美貌を持つ大人な美女、この学院の生徒にいただろうか?

 

それに……

 

「やぁね、もう。さっきからどこ見てるの?」

 

オスマンの眼前まで迫り来る豊満な胸。

 

清純な白いトリステイン魔法学院の制服の上からでもはっきりと大きさがわかる。

 

しかもオスマンの鍛え抜かれた美少女観察眼から察するに、この娘……ノーブラである。

 

「おっ、おっ、おぉ~!」

 

ボタンは今にも弾け飛びそうで、オスマンは鼻血を噴射しながらイリスの胸に釘付けだ。

 

「モットと同じ変態ね。エッチ」

 

イリスが冷たく見下ろして告げると、オスマンは急に慌てた様子で咳き込み、鼻血をポタポタと垂らしたシリアスな顔でイリスを見つめた。

 

「よもや……君はイリスかね?」

 

「えぇ、ご名答。お化け屋敷で遊んでたらちょっと大人になっちゃったの♪」

 

「うむ、その姿も素晴らしい! っと、いかんいかんーー」

 

溢れて来る鼻血を手で抑えつつ、オスマンはイリスに何かあったのかと問い掛ける。

 

「たしかオスマンはモットとは仲の良い変態仲間だったそうね? なら、モットが巨大化したゴリラに変身した理由を知っているんじゃないかって思ったんだけど」

 

「何じゃと!? モットがゴリラになったというのか!?」

 

イリスの報告に驚愕するオスマン。

 

とその時、学院長室の扉の外が騒がしくなったかと思えば、いきなり勢いよく開かれる。

 

「「イリス!!」」

 

「イリスさま!!」

 

そして制服に着替えたルイズ、モンモランシー、その後ろからシエスタがぞろぞろと部屋に入ってくる。

 

「なんだ。やっぱりみんな来ちゃったの?」

 

やれやれと言った感じで呟くイリス。

 

すると、涙目になっているルイズはつかつかとイリスに歩み寄りーー

 

「ちょっ、ちょっとルイズってばーー」

 

モンモランシーが言い掛けた直後、ぱぁんという音が室内に響き渡る。

 

「えっ……?」

 

ルイズがイリスの頬を思いっきりひっぱたいたのだ。

 

「る、ルイズ……?」

 

ルイズの突然の行動に驚きを隠せないイリス。

 

赤くなった頬を右手で押さえつつ、イリスはルイズを見つめる。

 

一方のルイズは目に大粒の涙を浮かべながらイリスを睨み付けている。

 

「わたしが……わたしやモンモランシーがどれだけ心配したと思っているのよ!!」

 

ルイズの物凄い迫力に怯み、イリスはその場で固まったままルイズを見返すしかできない。

 

「そりゃあんたは確かに強いし、メイジ相手でも勝てるでしょうね! でもモット伯がもし、シエスタから勾玉を奪い取ってあんたをコントロールできるようになったらどうするつもりだったの!? モット伯にエッチなことされちゃったシエスタだけじゃなくて、イリスまでもモット伯の汚い手に堕ちていたかもしれないのよ!? そこのところ考えなさいよ馬鹿!」

 

激昂したままイリスに説教を聞かせるルイズ。

 

「ご、ごめんねルイズ……わたし、どうしてもシエスタを助けたかったの……それで気付いたら考える前に身体が動いていて……」

 

「……まぁ、あんたがシエスタを助けたことは特別に褒めてあげるわ。でもね? イリスはわたしの使い魔なの! シエスタの使い魔じゃない、わたしの使い魔なの!」

 

わたしを強調してイリスに怒鳴るルイズ。

 

「だからイリス、約束して。これからはもうこんな真似しちゃダメよ。あなたはわたしの使い魔なんだから、これからはずーっとわたしの傍にいなさい」

 

「わかったわ……ルイズ、モンモランシー……心配かけてごめんなさい」

 

ルイズたちに頭を下げて謝罪するイリス。

 

しかしその表情は複雑そうだ。

 

「あ~、そろそろ話を再開して良いかの?」

 

気まずい空気の中、鼻血を拭き終えたオスマンが口を開いた。

 

ルイズたちが慌てて頷くと、オスマンは厳しい顔付きでイリスを見据えた。

 

「さて……イリス。君はわしとの約束を破ったようじゃな?」

 

そう言い出したオスマンの表情は優しくない。

 

ちなみに約束とは、オスマンが以前ルイズとイリスに学院長室で話したイリスの正体に関する内容である。

 

「……否定はしないわ」

 

オスマンから顔を逸らすイリスの表情は暗い。

 

「ふむ。確かにモットは色々とやり過ぎたようじゃな。まさか、モットが怪獣になってしまうとはのぅ」

 

自慢の髭を手で撫でながら、オスマンは席から立ち上がって学院長席の後ろに位置する窓際に立つ。

 

「君はモットが怪獣になってしまった原因を知りたいが為にわしのもとを訪れたようじゃがーー」

 

「それだけじゃないわ。モットと関係のある黒騎士を知っているかしら?」

 

そう、黒騎士……

 

それこそがイリスの一番知りたい情報である。

 

「黒騎士……ふむ。わしは知らんのぅ」

 

しかしオスマンは黒騎士については何も知らないようだ。

 

「その黒騎士とかいう人物がモットを怪獣にしたのかね?」

 

「それはまだわからないけど……たぶん、そうでしょうね」

 

モットは死ぬ前、イリスとシエスタに言っていた。

 

『エックス様』という謎の人物にキングコングにしてもらったのだと……

 

そしてそのエックスという人物は『宇宙暗黒四天王』と呼ばれる四人いるうちの一人、黒騎士と仲間の関係らしい。

 

(わたしを助けてくれた黒騎士……あいつはきっと怪獣が擬人化した姿だわ)

 

イリスには確信があった。

 

同じ擬人化できる怪獣としての勘が、黒騎士の正体を怪獣だと告げている。

 

しかしガメラやギャオスといった、イリスも知っている怪獣ではない。

 

あれはもっと、どこか別世界の邪悪な存在だ。

 

遥か遠い銀河系の宇宙で生まれたような……

 

イリスにはそんな確信があった。

 

「しかし何故、黒騎士はモットを怪獣にしたのじゃ?」

 

「さぁ? エックス様っていう宇宙怪獣たちの大ボスが黒騎士に命令したんじゃない? その理由は直接会って聞いてみないとわからないけれど」

 

オスマンからは有力な情報が得られない。

 

そう思ったイリスは、これからどうするかを考えることに……

 

「ところで……先ほどの話を聞いている限り、君は自分のご主人様を置き去りにして平民のメイドを助けに行ったそうじゃがーー」

 

刹那、オスマンの眼が鋭く光る。

 

「何故そうしたのじゃ?」

 

「……そうねぇ」

 

イリスはふと考える。

 

気付いたら考えるよりも行動していたーーというのが正しいのかもしれない。

 

しかしそれ以上に、イリスはあることを想っていたのだ。

 

「……守りたかったのよね」

 

ぽつり、イリスが呟いた。

 

「わたしはわたしのやり方で守りたいと思った人間を守りたい。シエスタはわたしが心から守りたいと思った大切な人に含まれているから」

 

「ふむ。ならば君は、人間の命に優先順位を付けるというのじゃな?」

 

オスマンの鋭い指摘に対し、イリスはかつて守るものの為に自分と戦った守護神ガメラを思い出していた。

 

……今なら、京都で戦ったガメラの気持ちがわかる。

 

「……すべての人間を守れるほど怪獣って優しくないし、お人好しでもなければ人間の味方でもないの」

 

俯いたまま、イリスは静かに呟く。

 

「ならば君は、ハルケギニアの人間すべてを守るつもりはないというのかね?」

 

「そうなるね。人間はルイズ達しか守らないし、オスマンやこの魔法学院のみんなのことは守るつもりなんてないから、これから先トリステインに怪獣が来ても容赦なく見捨てるわ」

 

イリスがそう言った瞬間、オスマンは自分の杖を取り出してイリスの眼前へと突き付ける。

 

「ちょっ、学院長!?」

 

不穏な事態に驚くルイズたち。

 

そんな中、イリスとオスマンは互いに一歩も譲らずに睨み合う。

 

「やはり邪神じゃな、お主は。今のイリスならハルケギニアの守護神になってくれると思っておったのじゃがーー」

 

「あら、がっかりさせちゃった? でもね、オールド・オスマンーー地球とかハルケギニアの生態系を守るだとか、国や人間すべてを守るとか言っているような『守護神』って呼ばれてる怪獣たちってね? みんな愛を知らない怪獣なのよ」

 

ガメラを思い出しながら、どこか悲しげに言うイリス。

 

「愛を本当に知った怪獣なら、人間すべてとは言わないで、本当に大切で好きな人を優先して守ろうと思うはずでしょ?」

 

……それは、イリスがこのハルケギニアという世界で辿り着いた一つの確信でもあった。

 

「どの人間の命もまったく等しいと思っている大多数の怪獣たちは、人間ひとりひとりの尊く気高い姿を何も知らないし見ていない。はっきり言って『誰も愛してなどいない』ーーわたしはそう思ってるわ」

 

イリスの独白を聞いて、厳しい顔でイリスを睨み付けていたオスマンはやがて自分の杖を下ろす。

 

「ふむ……言うようになったのぅ。この前ここで話した時は自分のことしか考えていない幼子にしか見えんかったが、確かに心も身体も立派な大人に成長しているようじゃな」

 

にこやかに微笑み、オスマンはイリスを真剣な眼差しで見つめる。

 

「イリスーー君は自分が守りたいと思った大切な人をこれからも守りなさい。もちろん、君も彼女達に守られているということを忘れてはならんぞ?」

 

オスマンからの温かい言葉に、イリスは笑顔で頷く。

 

一方、イリスの後ろにいるルイズたちも少し照れているのか、ほんのりと顔を赤らめている。

 

「それとーーシエスタだったかな?」

 

「は、はい!」

 

オスマンから不意に名前を呼ばれ、シエスタは驚きながら名乗り出る。

 

オスマンはしばらくシエスタをじっと見つめた後、目を瞑って謝罪した。

 

「君をモットに渡すような真似をして本当にすまなんだ。これからは学院のメイドではなくミス・ヴァリエール専属のメイドになって、末永くイリスやミス・ヴァリエール、ミス・モンモランシの傍にいてあげなさい」

 

「は、はい! ありがとうございます!」

 

オスマンからの言葉に、シエスタは心から嬉しそうに返事をする。

 

見れば、ちょっと涙目になっている。

 

「それからミス・ヴァリエールとミス・モンモランシの退学処分についてじゃがーー」

 

ギクッと反応し、ルイズとモンモランシーの顔が見る見るうちに真っ青になっていく。

 

「退学は当然無しじゃ。モットに関することも今頃は王宮の騎士が屋敷を立ち入り調査しているじゃろうが、恐らくすべては闇に葬られるじゃろう。だから君達は安心してイリスと今まで通りの学院生活に戻りなさい」

 

「「あっ……ありがとうございます!!」」

 

寛大なオスマンに対し、何度も頭を下げるルイズとモンモランシー。

 

それを見ながら、イリスとシエスタは面白おかしく笑ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

ーーそして数日後。

 

魔法学院では毎年恒例の使い魔品評会が近付いていた。

 

使い魔品評会とは、生徒達が召喚した使い魔を学院のみんなに、そして毎年招かれるゲストに御披露目するという、ちょっとした催しである。

 

生徒は使い魔に得意の芸をやらせ、その使い魔がどれだけ優れているかを見せる。

 

一番素晴らしい芸を見せた使い魔が優勝となり、優勝者は豪華特典が貰えるという訳だ。

 

今年は例年と違い、生徒達で唯一ドラゴンを召喚したタバサ、同じく生徒達で唯一の例外を召喚したルイズが注目株とされている。

 

ルイズとタバサーーどちらが優勝するかを賭ける者も多い中、肝心のルイズはというと……

 

「はぁ……どうしよ……」

 

自分の部屋で思い悩んでいた。

 

今頃、学院の中庭ではモンモランシー、タバサ、キュルケ、ギーシュなどの生徒達が品評会に備えて自分の使い魔と芸の練習をしている頃だろう。

 

「品評会……そういえば、すっかり忘れてたわ」

 

ルイズが品評会のことを思い出したのは、モンモランシーとシエスタからイリスも参加するのか?と聞かれたからだ。

 

まさか自分の使い魔が怪獣で、しかも人間の姿になれて、そのくせ子供と大人の姿に自由自在に変身できるという、なかなかのハイスペック使い魔が召喚されるなど思ってもみなかったルイズ。

 

そんな自分の使い魔であるイリスが他人の見せ物にされるのが嫌なルイズは、何度か棄権しようか考えた。

 

しかしトリステイン魔法学院では二年生から使い魔を召喚できるようになる為、新しい使い魔の御披露目も兼ねて当然ルイズたち二年生は全員強制参加となっている。

 

ゆえに棄権は許されない。

 

「まぁ、なんとかなるでしょ」

 

ルイズは仕方ないと思い、イリスに品評会のことを話してみることにした。

 

 

 

 

 

その頃、イリスはというと……

 

「使い魔品評会……へぇ」

 

中庭にテーブルを持ってきて、シエスタと二人で午後のお茶会をしている最中だった。

 

「だからみんな頑張ってるのね」

 

中庭で使い魔達が練習中の芸を見渡しながら呟く。

 

「そうですよ。それに今年のゲストはこの国のお姫様なんです!」

 

そうなのだ。

 

何を思ってか、たかだか生徒達の行う学芸会レベルの品評会がどうしても見たいと言い出したトリステインのお姫様が特別ゲストに招かれたのだ。

 

当然、ただの品評会に国を代表するお姫様が見に来るとあれば、生徒達や教師の気合いも相当なものになる。

 

誰も彼もが、お姫様の前で良い格好したいというのがバレバレだ。

 

「ふ~ん」

 

ところがイリスはたいして思ってなどいなかった。

 

お姫様が来ようが、別に知ったことではない。

 

だが……

 

「面白そうじゃない。せっかく使い魔やってるんだから、わたしもルイズと参加するわ。ちょうどいい退屈しのぎになりそうだし」

 

イリスは参加の決意を表明すると、さっそくシエスタに協力を頼んで芸の練習を開始することに。

 

さてさて、問題児イリスの参加とお姫様の来訪で今年の使い魔品評会はどうなることやら……

 

 

 

 

 

同時刻、トリステイン魔法学院に向かって進み続ける馬車と、その後ろに続く馬に乗った騎士の一団があった。

 

「ねぇ、魔法学院にはまだ到着しませんの?」

 

「あぁ。この橋を渡った先にあるようだ。今少し待たれよ、姫」

 

馬車に乗って目の前の人物に話し掛ける、純白のお姫様ドレスを着た紫色のショートヘアーがとてもよく似合う巨乳美少女。

 

「まぁ! ほら、あそこ見て! 美しい花がたくさん咲いていますわよ! 川の水もとっても綺麗だわ!」

 

この美少女こそ、トリステインが誇る王族のお姫様にして次期女王様候補ーーアンリエッタ・ド・トリステインである。

 

そしてそのアンリエッタの前に座っているのは……

 

「やれやれ、姫の可愛いわがままに付き合うのも従者として苦労させられる」

 

ーーなんと、キングコングになったモットを殺害し、イリスを助けた『あの』黒騎士だった。

 

「むっーー言いましたね? でも、それを言うならあなたも共犯者ですよ?」

 

馬車に付けられた窓の外から景色を見つめるアンリエッタが頬杖を突きつつ言う。

 

「いつも独りぼっちな私のわがままを許してくれるのは、いつだってあなただけですから……」

 

そう呟くアンリエッタの表情は暗い。

 

「ふっ……私はただ、年若い乙女であられるアンリエッタ姫に幸せになってもらいたいと願っているだけに過ぎんよ。その為なら、私は喜んで姫に仇なす者すべてと戦い、この剣で倒しましょう」

 

「まぁ、あなたったら。そんなこと、私の前以外で言ってはいけませんよ?」

 

クスクスと、嬉しそうに笑うアンリエッタ。

 

「御意。私は姫殿下の懐刀ゆえ」

 

頭を軽く下げてアンリエッタに忠誠心を見せる黒騎士。

 

しかし素顔を隠したその黒い鉄仮面からは一切の表情が読み取れない。

 

しかしアンリエッタは気にしていないのか、黒騎士の方にお尻を突き出すようなちょっとエッチな体勢で窓の外に身を乗り出しては、束の間の自由を楽しんではしゃいでいる。

 

「ふふふ。今から楽しみだわ。だって今日は特別な日……懐かしき心の友に会えるのですから! わたくしのお友達、ルイズ・フランソワーズ!」

 

多忙であるアンリエッタがわざわざ一般的な魔法学院で行われる大してつまらない使い魔品評会などを見学しにやって来た理由……

 

それは他ならぬ、幼馴染みのルイズと再会したいが為だった。

 

一方、黒騎士はアンリエッタの言葉を聞き流しながら、内心ほくそ笑んでいた。

 

(……ルイズ、か。確かめてみるか)

 

 




次回予告(ウソ予告)

いよいよ明日に迫る使い魔品評会。

ルイズはイリスにどんな芸をやるのかしつこく聞き出すも、イリスはニヤリと笑うだけで教えない。

イリス「わたしにいい考えがある」

何故かドヤ顔のイリスとシエスタ。

どう見ても失敗フラグにしか見えないイリスの芸とやらに頭を抱えてしまうルイズ。

そんな中、ルイズの部屋に謎の訪問者が現れて……?

次回、『使い魔品評会』

ルイズとアンリエッタの関係とは!?

そしてどうなる品評会!?

次回もまた見てね!
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