……と、その前に報告があります。
えー、まだ前話で消えたイリスの今後の展開を私が考えられていないので、しばらく本編のストーリー更新はストップしますm(_ _)m
そのかわりと言ってはあれですが、久しぶりの番外編ストーリーをやります。
もちろん、番外編はイリス&ルイズ達に変わってキョウヤと怪獣連合が活躍します!
ビオランテ編以来となる強敵怪獣との“ガチバトル”です!(あっ、エロい意味じゃないですよww)
また、今回の番外編の章題名を見れば一目瞭然ですが……
平成モスラ三部作より、親モスラ、双子のモスラ・レオ&バトラ、そしてVSシリーズ最強のラスボス怪獣スペースゴジラが新たに登場確定!!
そしてついに……主人公キョウヤが覚醒……?
……正直、本編より番外編の方が書いてて楽しかったり(おい
番外編『ラグドリアン湖の結晶』
VSビオランテ戦の際に共闘したイリス、タバサ、シルフィードと別れてから数日後。
キョウヤ達はそれまで暮らしていたエギンハイム村を出て、次の新たな冒険に出た。そして現在、キョウヤ達はガリアとトリステインの境界線に位置するラグドリアン湖に向けて旅立っていた。
というのも……ゴジラ依存症のビオランテからゴジラの話題を持ち掛けられたキョウヤ達は、キョウヤの中に眠るゴジラ復活の鍵がハルケギニアに封印された護国三聖獣にあると睨んだ。
ハルケギニアに敵怪獣が侵攻し、モスラ、ギドラ、バラゴンの三大怪獣が復活する時、キョウヤの中に眠るゴジラもまた復活する……
となれば、黙っていないのが我らがビオランテ様。ある日、仕事を終えてエギンハイム村の宿屋に帰宅したキョウヤは、目をキラキラ輝かせたビオランテから一言だけ告げられた。
「この村捨ててお兄さま復活の旅に出ましょう!」
いつの間にかビオランテに言い含められていたらしいデストロイア、サイト、ハルナからも頼まれ、拒否権もなくキョウヤはその日のうちにエギンハイム村を旅立つ事となった。その際、上機嫌なビオランテと不機嫌なデストロイアに両腕を痛いほど掴まれ、キョウヤは渋い顔で二人の対応に追われるのだが。
(恨むぜ、ゴジラさんよ……)
とは、未だに不仲なデストロイアとビオランテのキョウヤ争奪戦に巻き込まれた苦労人の台詞である。
──そして数日後。
護国三聖獣が眠る場所で一番近かったラグドリアン湖に出発したキョウヤ一行。その道中、長閑な道をだらだらと歩いていたキョウヤがふと呟く。
「ところで、ラグドリアン湖ってとこにはどの怪獣がいるんだ?」
「はぁ? おいおいキョウヤ、そんなのモスラに決まってんじゃん。常識だぜ、常識」
と、サイトは呆れ顔でチッチッチと指を振る。そこにハルナが口を挟む。
「そうなの? サイトくん、ほんとは適当なこと言ってたりして」
「だぁ〜もうっ! とにかくそうなの! 湖なんだからモスラなの! ラグドリアン湖にはモスラがいるの! 見てな二人とも、きっとモスラの美白過ぎる女神級おっぱいが湖の真ん中にぷかぷか浮いて──」
「……サイト、お前ほんとブレないな」
「へぇ……ちょっと、頭冷やそうか」
唐突にモスラについて熱く語り出したサイトに、若干引き気味のキョウヤと黒い笑顔のハルナ。
一方、デストロイアとビオランテはその後ろを二人並んで歩いていた。
「モスラか……我の知らん怪獣だな」
「モスラねぇ……聞いた限り人間の味方みたいだけど」
目の前で始まったサイトとハルナの痴話喧嘩を慣れきった様子で見ながら、デストロイアとビオランテはモスラについて考察を始める。
「まぁ、仮にもしモスラが私たちの仲間になるとしても、私が現状通りキョウヤの正妻なのは変わらないわね。なんたって、キョウヤは私のお兄さまが認めた私のお兄さまだもの♪」
──その言葉がいけなかった。
「ほぅ……死にたいか、ビオランテ」
どこからか、デストロイアのイメージ通り重厚感溢れる恐ろしいBGMが聞こえてくるかのようだ。
「あら、嫉妬? やぁねぇ。先にキョウヤに手を付けたのは私でしょ? あなたまだ初キッスもしてないし、男の人のたくましいチンポも見たことないでしょう?」
などと、白昼堂々いきなり爆弾発言をかますビオランテ。
「ふふん♪ まだまだ処女(こども)ね」
「なっ……!? 馬鹿か貴様! 周りのみんなにいちいち誤解させるような言い方するな! この万年発情期! 淫乱ド変態植物が!」
「ちょっ!? ビオランテ様!? それ、俺が以前ビオランテ様に見せた平賀家直伝奥義『ガリバーチンポ』のことですか!? いやん、俺ってばあんなことして恥ずかしい(番外編参照)」
それを聞いたデストロイアとサイトから突っ込まれ、ビオランテはこの二人つまらないとばかりに肩をすくめる。
「ウブなのねぇ、あなたたち。だいたい、それ言えばハルナもハルナよ? キョウヤと違ってこんなつまらない童貞男を堕とすつもりなら、エッチなことにも慣れておいた方がいいわよぉ?」
ビオランテに女としての在り方を説かれ、サイトに説教していたハルナは見る見るうちに顔を真っ赤にして俯いてしまう。
「や、やめろビオランテ! 俺のハルナに変なこと吹き込むな! ハルナは俺がこれから変えていくんだからな!」
そんなサイトの真剣な言葉に、ますますハルナは顔を赤らめて恥じらう。だが、ビオランテは……
「……『やめろ』ですって? しかもあなた如きの奴隷が女王たる私を呼び捨て? 立場を弁えなさい、この犬が!」
言いながら、ひどく憤慨したビオランテは自分の髪である緑色のツインテールを触手のような薔薇のツタに変化させ、さながら鞭のようにビシッビシッとサイトをひっぱたく。
「アゥン! アゥン! キャイン! キャイン! クゥンクゥン、ワォ〜ン……!!(痛い! 痛い! 許してください! ビオランテ様! これ以上鞭打たれたら新たな性癖に目覚めそうですぅ……!!)」
もはやビオランテの犬と化したサイトは、叩かれて喜ぶだけの変態と化してしまう。
「サイトくん……どん引きかも」
そのプレイを間近で見せられ、先ほどまで恥じらいを見せていたハルナの態度は急激に冷え込み、自分の彼氏であるサイトを哀れそうな目で見据える。見かねたキョウヤはビオランテとサイトに視線を送り、しかめ面で言う。
「あ〜、ほどほどにしとけよ? サイトだって俺と同じでやる時はやる立派な男なんだからな。いざという時に使い物にならなきゃ困る」
「あら、そう? 私としてはもっと……」
言いつつ唇にそっと自分の右手の指を当て、残念そうな表情を見せるビオランテ。
「ってビオランテ様! もっとって何ですか!? もっとって!?」
ガバッと起き上がったサイトが犬の言葉を捨ててビオランテに叫ぶ。
「ふふふ、冗談よ。これ以上はあなたの大事なハルナが泣いちゃいそうだし、今日はこのくらいにしといてあげる」
ニヤニヤした顔のビオランテに対し、ハルナは頭をくらくらさせながら呟く。
「き、今日は……? ビオランテさん、まさか本当にサイトくんを奴隷に……?」
「ふふっ♪ 私は気まぐれなのよ♪」
うわぁ……こいつ絶対楽しんでるな。
相変わらず暴走気味のビオランテに、呆れ顔のキョウヤとデストロイアは内心突っ込んだ。
そして到着したラグドリアン湖。
しかしキョウヤ達を待っていたのは、変わり果てたラグドリアン湖の姿──
「湖が氾濫している……? それにこの結晶……」
驚いた事に、ラグドリアン湖の水嵩が増えて溢れ返っており、近くの砂利道まで水が来てしまっていた。さらに湖の中から柱状の結晶体が幾つも聳え立っており、ラグドリアン湖は明らかに異変を感じさせる状況となっている。
「キョウヤくん、これって……」
不安げに、結晶の柱が水面を突き破るように生えた湖の中心を見据えていたハルナが隣のキョウヤに顔を向ける。
「……ただの自然災害ってわけじゃなさそうだな」
言いながらも、キョウヤは湖の中から怪獣の気配をビシビシと感じ取る。その時、デストロイアがいち早く何かに気付いて声を張り上げる。
「!? おい、みんなあれを見ろ! 水面から何か出てきたぞ!」
デストロイアが指し示すは湖の中心。荒れ狂う水面から勢いよく“何か”が飛び跳ねると同時に大量の水飛沫が空に舞い、キラキラと輝く七色の水晶のように水が大地を潤す。その神秘的な光景を目の当たりにし、サイトが震え声で呟く。
「!? あれは──あの姿は!!」
遥か上空で幽かに見える人らしき小さな影。その姿はまるで白い翼を生やした人魚姫のように幻想的だった。
だがその直後、空に舞う人魚姫を海底に落とそうと、キラキラと光り輝く結晶体が何本も柱のように水中から聳え立ち、無数に伸びた結晶体の一柱が無慈悲にもその小さな人形(ひとがた)を捉えた。
「あぁ、やられてる!?」
さながらミサイルのように空中を飛び交う柱状の結晶体に狙われるその人影を見てサイトが悲痛な叫びを上げる。
「おいおい、まさか敵怪獣のお出ましってか!?」
キョウヤも焦った表情でサイトに振り向くが、サイトはラグドリアン湖から空高く聳え立つ無数の結晶体を見て言葉を失っていた。
「あの結晶体、間違いない──“やつ”だ。ゴジラが戦った敵怪獣の中でも、デストロイアと並んで“とびっきり最悪の超大ボス怪獣”──!!」
その顔を恐怖と絶望に染め上げ、サイトが声を震わせてその名を告げる。
「──スペースゴジラ!!」
叫んだ直後、湖の海底から一際大きな結晶体の柱が空高く聳え立つ。
「………」
その結晶体の先端部にポツンと立った状態で、明るい水色のロングヘアーを靡かせた寡黙な女の子が現れた。
「あっ、あれが……スペースゴジラ?」
サイトの声が届いたのか、その少女はこちらを横目で見下ろす。その瞳は冷たく残忍な黄色で、両肩から背中に掛けて大きな2つの結晶体が皮膚を突き破るようにして飛び出している。
「……ゴジラ」
可愛らしい声でぽつり呟いたかと思えば、その少女は華奢な足を一歩空中に出す。
「あっ、危ない! 落ちるぞ!」
サイトが思わず叫ぶが、少女は無視してもう片方の足を空中に投げ出した。
「えっ……落ちてない?」
しかし少女は落下せずに宙を浮いている。
「ハッ!? そうか、ホバリング! スペースゴジラは宇宙から来た怪獣──数ある超能力の一つで重力を操るくらいわけないんだ!」
言った直後、ホバリングで空中に浮かぶスペースゴジラが擬人化したと思わしき少女が小さな口を開けてスペースゴジラそっくりな冷たく甲高い鳴き声を放つ。その鳴き声の凄まじいこと。地上にいるキョウヤやサイトの身体がビリビリと震え、湖の周辺部が揺れ動く。
「……見つけたの」
言って、スペースゴジラの黄色い目が地上にいるキョウヤをはっきりと睨み付ける。その少女の無表情な顔がキョウヤ達を倒すべき敵だと物語る。
「……やれやれ、ダンスパーティーのお誘いってわけじゃなさそうだ」
対するキョウヤもスペースゴジラを見上げ、デストロイアとビオランテに向き直る。
「お前ら、あのゴジラ倒さねぇか? 歴史に名が残るぞ?」
「任せろキョウヤ。我がスペースゴジラとやらを消し去ってやる」
キョウヤに言われ、やる気を見せるデストロイア。しかし……
「でもそれ、“やられちゃうフラグ”なのよねぇ」
余裕の態度を見せるビオランテはニヤニヤと笑みを浮かべ、デストロイアを横目で一瞥。途端に、デストロイアが不機嫌になる。
「ビオランテ……我を怒らせてそんなに死にたいか」
「やぁねぇ、言ってみただけじゃない。それよりほら、来たわよ」
状況のわりに楽しそうなビオランテが指差した先には、スペースゴジラがホバリング移動でゆっくりとこちらに降りてくる。
「……カイザーの命令……カザミキョウヤ、あなたを逮捕するの」
「逮捕だぁ? おいおい、物騒な嬢ちゃんだな。悪いが俺はこんなところで自分の物語を終わらせるつもりはねぇぜ」
と、キョウヤは冗談を交えて言うがスペースゴジラはふるふると首を横に振った。
「兄は妹の言うことを聞くの……ダメ、ゼッタイ……なの」
「知らねぇよ。だいたい、お前はいつから俺の妹になった」
そこでふと考え込む仕草を見せる可愛らしいスペースゴジラ。
「……じゃあ、いま」
「帰れ。お前今すぐ宇宙に帰れ」
言われて今度はしゅんとするスペースゴジラ。いったいこの少女は何者なのだろうか。
頭を抱えるキョウヤを尻目に、スペースゴジラが横目でビオランテをじーっと見つめる。ビオランテもにっこり微笑み、スペースゴジラに歩み寄る。
そして……
「えい♪ 鼻摘み♪」
なんと大胆にも、ビオランテはスペースゴジラの鼻を指先で摘まみ上げてしまったではないか。
((おいぃぃぃぃ!? ビオランテさんなにやってんのぉぉぉぉ!?))
ビオランテの空気を読まないトンデモ行動でキョウヤとサイトの緊張感が急激に高まる中、スペースゴジラは顔をふるふると震わせる。そして……
「……くしゅん」
スペースゴジラは可愛らしいくしゃみをした。
「あらかわいい」
「むぅ……ばかにされてる……!」
みんなの前で弄られたスペースゴジラは恨めしい涙目でビオランテを睨み付けるが、ニコニコと眩しい笑顔を見せるビオランテはまるで気にもしていない。
「うふふ♪ かわいいからあなたのこと、『スペちゃん』って呼ぶわね」
「……スペちゃんってなに?」
未だに不機嫌なスペースゴジラがビオランテに聞き返す。
「もちろん、あなたの名前よ。ゴジラじゃお兄様と被るし、スペースじゃ女の子らしくないでしょう?」
言われて納得。スペースゴジラはスペちゃん(命名はビオランテ)と名付けられた。
「──って、ちょっと待て! さっきまでのシリアスな雰囲気はどうした!」
ちゃっかりスペースゴジラを手懐けているビオランテを見て、キョウヤが我慢できずに突っ込む。
「そうだよ! それに、さっきホーミング・ミサイルに襲われて空を飛んでいた人影は──」
「──それは私のことですね」
キョウヤに続いてサイトまでもが言い掛けた時、全員の背後から静かな女性の声がした。
振り返ると、清楚な雰囲気を漂わせる巨乳美女が立っているではないか。
その背中には黒と黄色、オレンジを基調とする蛾を彷彿とさせる模様付きの大きな羽が生えており、その姿を見たサイトが思わず叫んだ。
「モスラ!? あなたが本物のモスラ!?」
「はい、私はモスラ──ラグドリアン湖に棲む海の守護神です」
穏やかな口調で言いつつ、女性はスペースゴジラを一瞥する。
「私は突如宇宙からやって来たこのスペースゴジラからモスラとバトラ──私が産んだ双子の怪獣を守ろうと戦い続けていました」
「なるほど、だからラグドリアン湖がこんな状態になってたってわけか」
キョウヤの呟きに頷く親モスラ。
「スペースゴジラはゴジラの力を宿したあなたを捕まえる為に人質を用意する必要があると言い、私の双子──モスラとバトラを奪おうとラグドリアン湖を結晶のフィールドで埋め尽くしたのです」
悲しげに目を瞑り、親モスラはその当時を振り返る。
「私はもちろん抵抗しました。するとスペースゴジラは無慈悲にも湖を破壊し始め、ついには私を攻撃してきたのです」
気まずい沈黙が流れる中、スペースゴジラは氷のように冷たい目で親モスラを見る。
「もうどうでもいいの……キョウヤの方から現れたから……人質は必要なくなったの」
言い放ち、スペースゴジラは宙に浮かび上がる。
「キョウヤ……一緒にくるの」
そう宣言した瞬間、スペースゴジラの両肩に突き出た大きな2つの結晶体から雪玉のように小さな結晶針が猛吹雪のごとく乱れ飛ぶ。どうやらスペースゴジラは何が何でもキョウヤを逃がさない覚悟らしい。
「──ふっ。悪いがそういうわけにはいかねぇな」
「おいキョウヤ、まさかスペースゴジラと戦うつもりか!?」
戦闘態勢を取るキョウヤに驚くサイト。無理だ、あまりにも無謀過ぎる。
「サイト、お前はハルナを連れて避難してろ」
とその時、いつになくキョウヤがシリアスモード全開で呟く。それに対し、我慢ならないのは当然サイトとハルナだ。
「何言ってんだよキョウヤ! 相手はゴジラですら苦戦したスペースゴジラだぞ! いくら擬人化してるとは言え、怪獣の姿にでもなられたりしたら……!」
「そうだよ! キョウヤくん死ぬ気っ!?」
「うるせぇ! 言う通りにしろ! ここからは遊びじゃねぇんだ!」
嫌だと言うサイトとハルナに負けじとキョウヤが怒りを帯びた口調で怒鳴る。それにデストロイアが続く。
「そういうことだ。我とビオランテ、それにゴジラの力を持つキョウヤすら震えるほどの強大な力を持つ敵だ……お前達がいては足手纏いにしかならん」
「なっ──!?」
デストロイアの言葉に何も言い返せないサイトとハルナ。そんな二人にビオランテがいつになく真剣な表情で言う。
「そうね……サイトとハルナは大人しく引っ込んでいた方がいいわ。なにせ今からここは人間侵入禁止領域──そう、怪獣たちのバトルフィールドになるんだから!」
常にふざけていた“あの”ビオランテからもそう言われ、サイトとハルナはようやく事の重大さに気付く。
キョウヤ達が相手にするスペースゴジラはそれほどの相手なのだ。
その戦闘力は……宇宙の如く無限大。生きる為に闘い、闘う為だけに生きる事を許された哀しき存在。言わば──『戦闘生命』。
「……わかった。スペースゴジラはみんなに任せて行こう、ハルナちゃん……悔しいけど、俺達がここに残ってても邪魔になるだけだ」
悔しそうに──本当に悔しそうに、俯いたサイトはギュッと拳を強く固く握り締める。自分の無力さを痛感させられてしまうが故の──。
「で、でも……っ!」
「うぐっ……俺、だって……俺だってほんとは嫌だよ! でも仕方ないじゃないか……! 相手は怪獣で俺達は人間……俺達に神様の力でもない限り、勝てっこねぇ……!」
──男らしい、悔し涙だった。
「サイト、お前……地球からこのハルケギニアに来て、色んな意味でいい男になったよ」
だからこそ、キョウヤはそんなサイトの気持ちを理解した上で諭す。
「えっ……?」
驚いて顔を上げるサイト。その目には大粒の涙が溢れている。そんなサイトの両肩にそっと自分の両手を乗せ、キョウヤはかっこよく言った。
「確かに“怪獣と戦える”男ってのは“すごい”かもしれねぇ。だがな、サイト──」
言って、キョウヤはニッと笑みを浮かべてサイトをまっすぐに見つめる。
「──“惚れた女を命懸けで守る”ってのも……それと同じくらい“すごい”ことなんじゃねぇか?」
「うぅ、ぐずっ……キョウヤぁ、俺、俺……っ!」
もはやどうしようもない。溢れる涙が止まらない。
「ばーか、彼女の前で泣いてんじゃねぇよ。お前も男なら、こういう時くらい自分で自分にかっこつけてみな。それが物語の主人公になる条件ってヤツなのさ」
「ふぅ~ん。まぁ、それでもお兄様の場合はちょっと恥ずかしいくらいにかっこつけ過ぎだと思うけれどね」
ふふふと微笑み、傍にいたビオランテが余計な一言をキョウヤに突っ込んだ。
「……うるせぇ、ほっとけ。生憎こういう生き方しかできない奴なんだよ、俺は」
「だ、だが……我は、その……そんなキョウヤもかっこいいと思う……ぞ」
すると、デストロイアまでもが恥じらいながらキョウヤに呟く。
「へぇ」
デストロイアの不意打ち過ぎる告白を聞いて、ニヤニヤとドSな笑みを浮かべるビオランテ。
「わっ、笑うな馬鹿者……!」
「ふふっ、かわいいわぁ♪」
「はぁ……やれやれ、この状況だってのに……お前ら、あんまり敵さんを待たせるなよ」
キョウヤ達の和やかな雰囲気に釣られてか、今までキョウヤ達の会話を黙って聞いていた親モスラがクスクスと堪え切れない笑い声を漏らし始めた。
「カザミキョウヤ、あなたは人間でありながら私達怪獣に何かしらの影響を及ぼす本当に面白い人。きっとあなただから、デストロイアとビオランテはあなたの傍にいつまでも寄り添うことを望んだのでしょう」
親モスラの可愛らしくもやんわりとした物言いに、デストロイアとビオランテはほぼ同時に顔を赤らめてキョウヤから視線を逸らした。
「それと……サイトさん、ハルナさん」
次に親モスラはサイトとハルナに向き直って穏やかな口調で喋り掛けた。
「この湖から先を進んで森に出たら、まっすぐ道を行きなさい。そうすれば、きっと私達の頼もしい力になってくれる人間の少女と怪獣に巡り会えるでしょう」
「はいっ! ありがとうございます!」
サイトとハルナは親モスラに頭を下げてから、急いでラグドリアン湖を駆けていく。
──と、しばらく走ったところで不意にサイトが立ち止まってキョウヤ達がいる湖へと振り返った。
「キョウヤ! お前がこの物語の主人公っていうなら、絶対死ぬんじゃねーぞ!」
ただそれだけを叫び、サイトはハルナの手を繋いで今度こそ消えて行った。
「サイト……ふっ。ああ、俺は死なねぇよ。夢を叶えるまではな」
空を見上げて何気なく呟いたその言葉を合図に、キョウヤ、デストロイア、ビオランテからなる怪獣チームと最強の敵スペースゴジラによる無言の睨み合いが始まる。そして──。
「……キョウヤさん、私もあなた側に立ってスペースゴジラと戦います。もうこれ以上、この美しい湖が荒れ果てないよう、悲しみで無力な者が涙を流さなくていいよう──『海の守護神』モスラ、全力で参ります!」
──鳴った。闘いのゴングが。
「うふふふふふ……だぁれも遠慮なんてしなくていいの……ひとりずつ、ひとりずつ……わたしが操る結晶領域の中で……サクサク、サクサク殺してあげるの」
──鳴った。生命の鼓動が。
「よし……こっからは気合い入れていくぞ、お前ら!」
──鳴った。怪獣たちの咆哮が。
次回予告(ウソ予告)
──ついに鳴ってしまった闘いのゴング。
“戦闘生命”スペースゴジラとキョウヤ、デストロイア、ビオランテ、親モスラからなる怪獣連合チームが結晶フィールドに包まれたラグドリアン湖を舞台にガチバトル!!
デストロイア「フン……ようやく我らの出番だ。スペースゴジラ、貴様とのゴジラ怪獣最強対決はこの“完全生命体”デストロイアが制す!!」
スペースゴジラ「……こっちも、負けない」
親モスラ「も、もうやめてください! ラグドリアン湖のライフは0です! ラグドリアン湖そのものが!」
モスラ「おかあさま……かわいそうです」
バトラ「あっ、あんなやつ……あたしが母さんのかわりに戦ってやってもいいんだぜ?」
モスラ「わぁ~、バトラすご~い!」
親モスラ「こ、こらっ! あなた達はまだ出てきちゃいけません! 次回まで待ちなさい!」
ビオランテ「親と子供、か……いいわね♪」
キョウヤ「……おい、ビオランテ。そう言いながら頬赤くして俺の顔を見つめてくるんじゃねぇよ」
ビオランテ「この闘いが終わったら、私とお兄様も子作りしてゴジラジュニアの親に……うふっ♪」
キョウヤ「やめろ。それだけは絶対やめろ」
ビオランテ「やぁねぇ、冗談よ♪ ……でもいつかはお兄様との赤ちゃん……♪」
キョウヤ「……なぁ、サイト。悪いが俺は今から……逃げるぜ?」
サイト&ハルナ「「うわぁ……主人公うわぁ」」
キョウヤ「ぐっ……仕方ねぇだろ! だから、頼む。誰か、ビオランテの独壇場を止めてくれ」
ビオランテ「あら、この女王様に勝てる擬人化怪獣なんているわけないじゃない♪」
カイザーギドラ「………」
ビオランテ「あっ、ラスボス皇帝は帰ってどうぞ」
というわけで次回、『怪獣舞踏伝Gビオランテ、暁に死す! ラグドリアン湖は結晶で凍り付いているぅぅぅぅ!!』
キョウヤ「おい。ちょっと待てタイトル」
ビオランテ「あら、これでもいいじゃない」
キョウヤ「いやいや、タイトルおかしいだろ」
ビオランテ「ん~……じゃあ、次回、黒薔薇女王ビオランテ、『美少女怪獣の修羅場』ってことで♪」
キョウヤ「キョウヤと怪獣達の修羅場が見れるぞ──って、だから違うだろうが!」
ビオランテ「はいはい、それじゃあ冗談はここまでね。それと次回だけれど、この私がシリアスモード全開で大活躍する話みたいだから、私に惚れちゃったマゾ奴隷のみんなは要チェックよ?」
キョウヤ「はぁ……頭痛がしそうだな」
次回もまた見てね!