それと、この話は途中でエロ描写入りますので苦手な方は注意してください。
ちなみに、タグにあるガールズラブやエロいは主にこのようなプレイです(笑)
イリスのこともだんだん明らかに……?
朝の食堂で起きた悲劇の後、ルイズがいなくなったイリスを探し回っている頃。
場所は変わって学院長室。
そこに、一人の仙人みたいな老体が髭を撫でて考え事をしていた。
彼の名はオールド・オスマン。
トリステイン魔法学院の学院長である。
「……イリス。あのミス・ヴァリエールが卵の状態で召喚したという使い魔。カタツムリに似ているようで違う、このハルケギニアのどこにも生息していない未知の生き物、か……」
朝の食堂でルイズが異形の姿をした使い魔ーーイリスを連れて現れたという。
その現場にいた何人かの教師から報告を受けたオスマンは、遠見の鏡を使ってルイズの部屋へと向かってのそのそと歩くイリスの姿を注意深く監視していた。
「体中から触手を生やし、その触手の先にある爪を突き刺して食事を摂る生き物とはのぅ」
とそこに、血相を変えたコルベールが騒がしく部屋に入ってきた。
「大変ですぞ、オールド・オスマン!!」
「なんじゃ騒々しい……それと、もう少し静かに入って来んか」
オスマンに注意され、コルベールは慌てて謝罪する。
その代わりと言ってはあれだが、分厚い書籍と数枚の紙をオスマンに差し出す。
「ミス・ヴァリエールの使い魔に現れたルーンですが、とんでもないことが判りましたぞ!!」
興奮状態で話すコルベールに、オスマンは困惑の表情で首を傾げる。
「何が判ったんじゃ? ゴル兄さん」
「誰がゴルベーザですか! 私はコルベールです! ……そうじゃなくて、あの使い魔はガンダールヴです!」
オスマンが拝見する紙には、イリスに刻まれたルーンの模様をスケッチした紙が。
「なんと!?」
「それしか考えられません。ルーンの形は完全に一致します」
差し出された紙に描かれたスケッチと、本の図に描かれたルーンは完全に一致していた。
「いつ調べたのかね?」
「今から少し前、食堂から出てきたミス・ヴァリエールの使い魔と遭遇したのです」
呼吸を整えながら、コルベールは話し出す。
「その時、イリスに刻まれていたルーンが珍しい形だったので、スケッチさせてもらったんです」
「ほぅ。それがガンダールヴだったと?」
「えぇ。私もスケッチを終えてすぐに図書室に走りましたよ。何せ、どこか見覚えのあるルーンだったので……ですが、その勘は当たりでした。あの使い魔はガンダールヴに違いありません!」
「ふむ……」
コルベールが持ち出してきた書籍に目を通し、しばらく考え込む仕草を見せた後、オスマンは重苦しく口を開いた。
「これは他言してはならん」
「何故です?」
馬鹿者といった表情でコルベールに睨みを利かせるオスマン。
「これ以上無駄な騒ぎは起きん方が生徒達にもよい。それと王室やアカデミーへの報告も駄目じゃ」
オスマンの真剣な口調に、コルベールも真面目な表情で肯定する。
「調査は引き続き頼むぞ。ルーンについてもじゃが、あの使い魔についても密かに調べておいて欲しいのじゃ」
その声が、この話はこれで打ち切りだと言っている。
「判りました」
コルベールが去った後、オスマンは学院長席に腰を下ろす。
「……イリス。ハルケギニアに災厄を齎す邪神となるか、それともハルケギニアの守護神となるか……すべてはミス・ヴァリエールの育て方次第じゃな」
あの後、ルイズは部屋のベッドで殻に丸まって眠っていたイリスを叩き起こしし、その場で説教した。
イリスもさすがにあの場で目立ってしまった事はマズかったと思う節があるらしい。
ルイズに怒られると、イリスは慌ててもうあんなことはしないと約束したのだ。
生前にイリスが進化する過程で非常に都合の良い人間として利用していた比良坂綾奈に裏切られたという前例がある以上、ルイズの知る範囲内で人間を殺したりして、せっかく自分を育ててくれるルイズの信用を落とす訳にはいかない。
だからそう……今はまだ、行動を起こす時ではない。
イリスはそう自分に言い聞かせ、ルイズの前では今まで通り無邪気で可愛らしい人畜無害の使い魔を演じる事にした。
(……ルイズ。イリスが成体に進化する時まで、もう少し待っててね)
……さて、どうやら午前の授業が行われるという事で、先陣を切るルイズの後ろについて教室に向かう途中、イリスは心の中で密かに考え事をしていた。
(そしたら、今度こそイリスの傍にいてもらうんだから)
そう呟き、イリスは前方を歩いているルイズを見据える。
(いよいよ授業ね……でも大丈夫よルイズ。私はちゃんとイリスを召喚した。これでもう、私を『ゼロ』と馬鹿にする奴はいなくなるんだから……!)
などとルイズが自分に言い聞かせている中、イリスはというと……
(ふふふ……綾奈みたいには逃がさないからね? お姉ちゃん♪)
ニヤリと、その愛らしい顔に似つかない邪悪な笑みを心の中で浮かべていた。
ルイズとイリスが教室に入ると、周囲の視線という視線が注がれる。
どうやら教室に入って来たのはルイズとイリスが最後のようで、他の同級生達は席に座って各々の使い魔と戯れていた。
バグベアやバシリスク、目玉が一つしかない生物など、教室は一種のカオス空間となっていた。
しかしその中でルイズのようにハルケギニアでも知られていない未知の生物を召喚した者は誰一人としていなかった。
一番後ろの席に向かう途中、イリスは興味津々といった目付きで他の使い魔を観察する。
とそこに、今朝出会った赤髪の少女キュルケがイリスに向かって「はぁい」と笑顔で手を振っているのが視界に入る。
どこにいても相変わらずなキュルケの隣では、眼鏡を掛けた青髪の少女が静かに本を読んでいる。
「無視。とにかく無視よ」
ルイズに言われ、イリスもキュルケの方を見るのを止める。
二人が席に着くと、タイミングよく中年の女性メイジが教室に入って来た。
恐らくこの女性が教師なのだろう。
騒がしかった教室が一瞬で静かになる。
教壇に上がると、中年の女性教師は教室全体を見渡す。
「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。この『赤土』のシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔達を見るのがとても楽しみなのですよ」
満足そうに生徒と使い魔を眺めていくシュヴルーズ。
「あらあら、中々変わった使い魔を召喚したようね、ミス・ヴァリエール」
教室の後ろ、ルイズの隣に座るイリスを見て、シュヴルーズの表情が緩む。
シュヴルーズが興味深い目でイリスを観察していると、数人の同級生がルイズを非難し始める。
「『ゼロ』のルイズ! 召喚に失敗したからってその辺歩いていたグロテスクな生き物連れて来るなよ!」
笑い声と共に小太りの男子生徒、マリコルヌが野次を飛ばす。
そうだそうだと言わんばかりに笑い声が広がる。
「違うわよ! きちんと召喚したもの! この子があの卵から生まれたのよ!」
「嘘付け! 『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろ?」
「うるさいわよ! 風邪っ引きのマリコルヌ!」
負けじと怒鳴るルイズに、マリコルヌは怒りのあまり顔を真っ赤にして憤慨する。
「誰が風邪っ引きだ! 僕の二つ名は『風上』! 風邪っ引きじゃない!」
「あんたの声がガラガラで、風邪引いてるみたいに聞こえるのよ!」
「何だと!?」
「そこまでです、お二人とも。今は授業中です。それと、お友達を侮辱するのは止めなさい」
シュヴルーズの抑制の言葉に、自然と静まり返る教室。
「自己紹介が遅れましたが、私は今年度からこの学院に赴任しました、ミセス・シュヴルーズです。属性は『土』。二つ名は『赤土』のシュヴルーズ。これから一年、皆さんに『土』系統の魔法を講義します」
シュヴルーズの自己紹介が終わると、ようやく授業はスタートする。
「では早速ですが、一年の復習です。魔法の四大系統はご存知ですね?」
教室を見渡しながら、講義を始めるシュヴルーズ。
「火水土風の四つの基本系統、そして今は失われた伝説の系統魔法『虚無』を合わせて全部で五つの系統があることは、皆さんも知っての通りです」
ではここで、シュヴルーズと共に魔法の基礎をおさらいしよう。
属性とは、メイジが生まれつき持つ力の傾向のことである。
一方で系統は、魔法自体が属する力の傾向のことをいう。
実際にはどちらも同じ意味で扱われている為、メイジはその違いを意識することはほとんどないという。
コモン・マジックは系統に関係なく、メイジなら誰でも使える基本的な魔法のこと。
『アンロック』や『レビテーション』といった魔法の他、召喚魔法『サモン・サーヴァント』や契約魔法『コントラクト・サーヴァント』もコモン・マジックの一種である。
また、四系統の魔法は魔法語(ルーン)の呪文を詠唱する必要があるのに対し、コモン・マジックは一般的な口語(コモン)の詠唱によって発動する。
『火』系統は生活の上でなくてはならない火を操る魔法であり、戦闘に最も適した系統でもある。
『水』系統は生命の生存に不可欠な水を操る魔法であり、傷や病気の治療といった魔法はこの系統に属する。
『風』系統は風や空気を操る魔法であり、他の系統と組み合わせて使うことでより力を発揮するので、最も汎用性が高い系統とされている。
『土』系統は万物の組成を司る重要な魔法であり、重要な金属を作り出したり加工すること、造形による建物の建造、農作物の収穫にも密接に関係する為、ある意味最も重要な魔法と呼べる。
「では、土の基礎である錬金をおさらいしてみましょう」
そう言ってシュヴルーズが杖を振ると、ただの石ころは一瞬にしてピカピカと光る金属に変化した。
「ゴゴ、ゴールドですか!? ミセス・シュヴルーズ!!」
キュルケが驚きの声で叫ぶ。
「違います。これはただの真鍮です。ゴールドを錬金できるのは『スクウェア』クラスのメイジだけです。私はただの『トライアングル』ですから……」
……さて、ここでメイジのレベルについても教えておこう。
レベルはメイジが足せる系統の数を示し、その数によってメイジのレベルが決まる。
つまりこういうことだ。
一系統しか使えないメイジは『ドット』メイジ、『火』+『土』のように二系統を足せる者は『ライン』メイジ、そして『火』+『土』+『水』のように三系統を足せる者は『トライアングル』メイジと呼ばれる。
そして四系統を足せる『スクウェア』メイジが、ハルケギニアで最高クラスのメイジなのだ。
シュヴルーズの講義によれば、同じ系統を足すとその系統の魔法がより強力になるということだ。
更にもう一つ。
例えば『土』系統の魔法は単体でももちろんちゃんと使えるが、そこに別の系統を足すことで新しい魔法になるのだという。
ルイズの隣に座ってシュヴルーズの講義を聞いていたイリスは、その話である考えを抱いた。
(普通の人間とは違う人間……それがメイジ。それを遺伝子吸収したらどうなっちゃうんだろ……?)
メイジは種族的には地球の人間と変わらないが、唯一違うところで魔法という不思議な力が使える。
ならば、その人間のDNAを吸収したら自分もメイジと同じ魔法が使えるようになるのでは……?
イリスはそんなことをぼんやりと考えていた。
(……でも、魔法なんてそもそもイリスには必要ないけど)
そこでふと、隣で真剣に授業を受けているルイズを一瞥する。
(イリスを見捨てないでいてくれるルイズさえいれば……)
ルイズへの欲に満ちたイリスは、無意識に触手をルイズのスカートの中に忍び込ませる。
(欲しい……ルイズが欲しいよぉ……)
別の触手がスカートを捲り上げ、もう一本の触手がルイズの履いているピンク色の可愛らしいパンツを優しく撫でる。
ピクッと体を揺らして反応するルイズだが、未だにシュヴルーズの講義をきちんとノートに書き込んでいるルイズは何事もなかったように気にしてない。
(切ないよぉ……ルイズ……ルイズぅ!!)
ルイズへの想いがーー爆発した。
イリスは触手の先にある爪でルイズのパンツをビリッと破いてしまう。
まだ毛の生えていない、綺麗でつるつるの割れ目が露出される。
(ルイズにはまだバレてない……大丈夫。あと、少し……ちょっと吸うだけなら)
女の子の大事なところを前に、興奮気味の触手をゆらゆらと揺らす。
今のイリスの心境としては、健全な人間の男が自分の目の前で無防備になっている美少女の体を触ろうとしている状況に近いか。
我慢できずに触手をルイズの秘部にあてがい、体液を吸うようにちゅうちゅうと吸い付く。
「ひゃんっ!?」
すると、さすがにルイズも体の異変に気付いたのか、顔を真っ赤にして自分の下半身を見る。
「なっーー!? 何よこれぇぇぇ!?」
触手がスカートを捲り、別の触手がルイズの丸見えになった秘部と密着しているではないか。
(もうっ! またイリスの仕業ね! あっ……こら! だめっ! んっ、私の『何か』が触手に吸われて……)
ガタガタと机を揺らし、ルイズは小刻みに震え出す。
「ミス・ヴァリエール!! 授業中に大きな声を出すとは何事ですか!!」
「えっ……? あっ、す、すいません! ち、違うんです! これは、その……」
シュヴルーズに怒鳴られ、耳まで真っ赤になったルイズはスカートで触手と秘部を必死に隠しながら慌てて謝罪する。
「まったく! ……では、私の講義を妨害した罰です。貴方にやってもらいましょうか」
「えっ……? あの、すいません……何をするんですか?」
ルイズは恐る恐るといった様子でシュヴルーズに訊く。
そんなルイズを見て、シュヴルーズは呆れたように溜息混じりに告げる。
「貴方はとても優秀な生徒だと聞いていましたが……まぁ、いいでしょう。ミス・ヴァリエール、これから錬金をやってもらいます」
シュヴルーズに言われ、ルイズは周囲を見渡しつつ慎重に立ち上がる。
(ふぅ……とりあえず先生やみんなにはバレてないみたいね……もうっ! あのバカイリス! 主人にあんな……あんなエッチな……恥をかかせるなんて! あ、あとで絶対にお仕置きしてやるんだから!)
未だに顔を赤らめてドキドキしながら、内心ではイリスにブチ切れるルイズ。
その時、何かを悟ったのか、教室が騒然となり、同時に珍しく焦った様子のキュルケが椅子から立ち上がる。
「先生!! 止めといた方がいいと思いますけど……」
ルイズの方を恐る恐る見ながら、懇願するように言う。
「どうしてですか?」
「危険だからです! ルイズだけは、ルイズだけは……!」
キュルケの必死の言葉に同調した教室の全員が頷いた。
「……やります! やらせてください!」
イリスへの怒りか、あるいは周囲の否定が逆にルイズの背を押したのか。
ルイズは破かれたパンツが見えないように、両手でスカートを抑えながら前に歩き出す。
シュヴルーズが見守る中、ルイズは杖を振り上げる。
その一方、今回のルイズは本気だと悟った同級生達は、全員が一斉に机の下に隠れ始める。
目の前で起きる奇妙な光景を目の当たりにし、イリスは頭に?マークを浮かべて首を傾げる。
(……嫌な予感がする。ルイズから力が溢れてるみたい)
とりあえず、何か予期せぬ事態が起きることだけはイリスも理解した。
教壇に立つルイズを一瞥すると、彼女の周囲に異常なほどの強大な力が集まっていくのを感じる。
その間にも、ルイズは呪文の詠唱を終えて杖を力の限り振り上げる。
(見てなさい! 必ず成功させてあのエロイリスにご主人様のすごさを教えてやるんだから!)
ーーその瞬間、机が爆発した。
炸裂する爆発音に使い魔達は怯え怒り、我を忘れて暴走する。
シュヴルーズはわりと至近距離にいた為、爆発の衝撃と爆風によって吹き飛ばされ、盛大に黒板へと叩き付けられた。
ありとあらゆるガラスが割れ、悲鳴が響き、怒号が飛び交う。
それら全てが一種の旋律を奏でるかのように、ありとあらゆる音源が教室内に反響する。
(すごい……)
一番後ろにいた為か、あまり被害が来なかったイリス。
(まさかルイズにこんな力があるなんてね……)
イリスは教壇の上でシュヴルーズと仲良く気絶しているルイズを見つめる。
(ルイズ……本当に不思議な人間。最初この世界に来た時は何とも思っていなかったのに……いつの間にかイリスの中で綾奈と同じくらい……ううん。それ以上にイリスを惑わす存在になってる)
自然とルイズの前に歩み寄っていたイリスは、倒れたルイズを触手でペチペチ叩きながら助け起こす。
(でも、わからない……綾奈の時にも感じた、ルイズを想うこの気持ちはなに……? なんでただ利用してただけの餌でしかない綾奈とルイズを食べれないの……?)
一番近くにいたにも関わらず、ルイズの体は特に目立った外傷はなかった。
それを見て、ルイズに傷がなくて良かったと心から思うイリス。
おかしい。
人間なんて、最初は進化していく為に食べる餌という認識だったのに。
『やめてよ! 怯えるから』
いずれ食べられる運命だというのに、幼体の自分に優しく接してくれた。
『この子は私が育てるから』
人間の敵であり邪神と呼ばれる自分を大切に育ててくれた。
『ごめんね……私を探してたんだよね……もう離れないから』
独りで寂しく泣いていた自分を探して見つけて、また一緒にいてあげると約束してくれた。
『イリス、熱いよ……』
そして彼女は邪神に心と体を捧げ、一つの生命になろうとしてくれた。
なのに……
それなのにーー!!
(誰か、教えて……イリスのこの気持ちは……なんなの?)
イリスにはわからない。
それが何を意味するのか……
イリスが思い悩んでいる中、ようやく復活したルイズは教卓の上に顔を出して呟く。
「……ちょっと失敗しちゃったみたいね」
その瞬間、机の下から顔を出した生徒達から一斉に怒号が飛んだ。