月村すずかが目を虚空に向け光を失い催眠状態に入る。
催眠状態に入ったことを確認し、周りを一瞬見渡すが特に景色に変化はなく、どこから吹いているか分からない風すら頬に感じることが出来る。
今回は時間停止は無し……。
こう言う時こそ考える時間が欲しいのに、期待していた現象が起きずにちきしょうとぼやくが時間は待ってくれない。
すると、右手の方に硬い物質のようなものが握らされる。
元々左手を右手で無理に持っており開いた状態ではなかった為、その硬い物質のようなものは落とすことなく右手の中に存在していた。
改めて感触を探ると恐らくはサイコロであろう。
とりあえず急ぎ見えないままそのサイコロを手放す。
どの目が出たか知らないが、床に落ちると目の前に紙が落ちる。
拾い上げることは出来ないのでそれは置いておき、すずかへの催眠命令を仕込む。
時間がない。
アリサが起きても終了だし、他の誰かが手助けに来ても終了なので、急ぎ大きく内容を設定する。
・鏡音奏から「月村すずか」とフルネームを呼ばれると「はい」と返事をする
・鏡音奏からの質問には全て素直に答える
・鏡音奏からの命令に関しては全てよろこんで引き受ける
終了のサインを送り、すずかの瞳に光が戻るのを見る。
すずかの方も改めてこちらを見て来るが、彼女が動く前に声を発した。
「すずか。まずこの縛られている紐を解いてくれないかな?」
すると、体を一瞬震わせた後に、
「分かったよ!!」
すごく綺麗な笑顔で、すずかが近づいてきた。
すずかのおかげで無事、椅子から開放されるとアリサの様子を伺おうとアリサへ近づく。
すずかは縄を解いた後は、にこにことそのまま立っている。
攻撃はされないだろうな……と若干、検討したがその時にはすぐ止めろと言えば終わるはずなので、まずはアリサの状況を確認することを優先した。
アリサの様子は……
顔に涙の跡があり、服装も汚れ若干乱れてはいたが、怪我などは無く息も問題ない。
ひとまずの無事と起きていないことに安堵して、次は現状の状態をすずかに問う。
そこで分かったことは、襲ってきたあの覆面男たちは無力化されており、それをすずか一人で行ったことであった。
緊急事態だと判断して一人で強襲した為、まだ家族とかそちらの方には伝えていない状況だと言う。
とりあえず追加でさらに夜の一族がこないことに安堵するが、まだアリサ側の救出部隊とすずかが今のこの遅い時間まで帰宅してないことを心配に思う家族がいれば、近く何か起こり得る可能性があるので油断はせず早々にことを運ぼうと考えた。
どうすべきかと考え、本来どうする予定だったのかをすずかに聞いてみる。
あの後、自分を寝かしつけて、家の方に協力を求める予定だったらしい。
家族の方に、記憶を操作出来る人がいる為、すずかが助けたことを消して貰おうとお願いする予定だったみたいだ。
……記憶操作。やっぱりあるんじゃないか。
危ない。危ないと思いつつ、話が破綻しないようにそれに調整を入れて乗っかっておこうと思う。
助けにきた時には二名とも寝ていたと言うことにし、すずかに助けられたことは誰も見ていないこと。
二名をそのまま家に持ち帰ってしまうとバレてしまうので、そのまま残してすずかの家に戻り家族に協力してもらって、アリサの家族に連絡をとってもらうこと。
後は、それに救出される二人と言う流れで行こうと考えた。
すずかにその旨を伝えると、笑顔で「うん! 分かった!」と返事をしてくれた。
一応、もしすずかの家族が何かこちらに能力を使用しそうなら絶対に自分に伝えるように命令する。
すずかはその内容も上気した表情で了承し、家の方に協力を求めるためそこから移動を開始した。
すずかが居なくなった後に思う。
いやいや命令をこなされては、遂行中にバレる可能性もあったのでよろこんでと言う内容を盛り込んだが、少し過剰にも感じる。
ただ、元々のすずかの気性も分からないので、内気な子が家では元気な子供というのもよくある話である。
それが喜びとして見せてきたのであれば、元気であるのも頷けるため、まぁ現状は特に大きな支障はないだろうと判断した。
と言うかそんな考えの前に確認すべき内容があるため、サイコロがあっただろう位置に向かった。
そうして確認したサイコロの目は「5」であった。
サイコロの目を確認した後、落ちていた紙を拾う。
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サブのメンバー追加おめでとー。君も中々好きものですな!! ウリウリ
サイコロの目は「5」なので、継続設定を記載するね。
「1週間に1回。催眠実行者の精液を飲ませる」
きゃー♡これも男の甲斐性だね!! それじゃー頑張って!!
あと、サブメンバー追加の報酬は家においておいたので見てね♪
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相変わらずぶん殴りたくなるような内容だ。
気分を落ち着けるため、内容を考える。
今回の設定に関して、今のなのはにしている事とあんまり変わらないと思うなら間違いだと思う。
なのはの最初の設定は「1週間に1回、催眠実行者の匂いを嗅がせる」だ。
直接的に性的なものでは無く、間接的なものであったが今回は1回目から直接的な設定に思える。
となるともう一段進行した場合、さらに直接的な重しが加えられるだろう。
そして、前回は「2」今回は「5」となったので、完全にランダムでないかぎり、数値が大きいほどより直接的になるだろう。
後、もう一つ程度の目の内容を見てみないとなんとも言えないが心構えとしてそう想定は付けておくべきだ。
そう考えて、今後すずかへとどう催眠をつけようか考えようと思ったが、ひとまずそれは後まわしにして、アリサの方へと向かう。
さすがにそのまま汚い床に寝かせておくのは可哀想だと思い、アリサをゆっくりと起こすようにした。
あくまでよく分からないまま誰も居なくなった体なので、それを忘れずに。
優しく揺すって声をかけ続けていると、アリサがうめき声を上げてゆっくりと目を開き始めた。
自分の顔をボーっと見た後、意識が覚醒したのか、ひっ! と怯えた表情を見せてきたので、落ち着いて。大丈夫、奏だよ。と優しく体を抱きしめる。
子供をあやすように背中をぽんぽんと撫でながら、安心させようとするこちら側を理解したのか安心してタガが外れたのかのようにシクシクと泣き始めた。
そのままゆっくりと背中を撫でているとようやく落ち着いたのか涙を落ち着けさせ、辺りを見回し始めた。
アリサがここはどこ? と問いかけてきたが僕にも分からない旨を伝えお互い何も分からないと言う状況をすり合わせていく。
そして、とりあえずは助けが来るまで待とうと言う話に落ち着きお互い体を抱き合いつつ待つのであった。
その後は概ね予定通りである。
そのまま待っているとアリサ救出部隊が到着した。
あまりにもその強靭そうなその部隊はこちらが逆に引くくらいであったが、ひとまず安心である。
そのままアリサの豪邸に連れていかれ、汚れた服なども綺麗に一新してくれた。
向こうの両親からの謝罪もあり、てんやわんやの騒ぎではあったがこうして無事に家に戻ることが出来た。
警察などの調書などは無く、恐らくは全てアリサの両親が握るのであろう。
これ以上、向こうの裏事情を突いてもロクなことが無いので、無事に戻れただけでよしとしよう。
そうして家に戻った後、居間の机に器具みたいのが置かれているのを発見した。
見た目はストップウォッチではあり手のひらに収まるサイズである。
そして、本来タイムを表示される液晶部分には何も表示されていない。
これがおそらく記載されていたサブ報酬なのだろう。
そのストップウォッチの上部分にスイッチがあったが何も知らずに押す行為は蛮勇だと考え、裏を見てみると折り畳まれた紙が貼られている。
それを剥がして中を見てみると
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視線チェックウォッチ
なんと! スイッチを押すと「今、君を見ている人」の人数が表示されるよ!!
使用回数は合計5回! 合計分使っちゃうと消えちゃいますー。
身嗜みは意識しよう!
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余計なお世話だと言いたい気持ちを堪え、機器を見て考える。
文はともかくその効果が本物なら使えるなと判断する。
催眠をかける時には、どうしても他の視線を意識しておく必要がある。
周りを見て見た目的に居ない状況であっても望遠などによる視線は分からない。
そう言ったリスクを排除出来るのはありがたい。
報酬はちゃんと報酬でホント良かった……。
と一安心して、それを持ち自室へと向かった。