やはり原作の詠唱は素晴らしいと感じてしまう。
幻想的な表現で合わせて高町なのはの心を、短くけど強く感じるその言葉は胸にきた。
なのはの変身した姿は記憶している通り原作そのままの姿である。
学校の制服のようなものを基調としたその白い姿は、その後においてよく言われるあの通称を全く感じさせない。
莫大なピンク色の魔力と共に光り輝くその白色の姿は天使のように見えた。
ただ本人はいきなり変身したため「えぇ……!?」と戸惑ってはいるが。
だがそこに先ほどの存在が追いついて襲って来た。
その速さは一瞬で、本能で察知したのか一番危険な存在を消すと言わんばかりになのはの元へ飛び込む。
しかしなのはは壁のようなピンク色の薄い幕を張り、相手を逆に木っ端微塵に吹っ飛ばしてしまう。
その衝撃は防御魔法であるにも拘らず相手側に致命傷を負わせ、周りの道路や壁、電柱を破壊し、破片が辺りに飛び散るのであった。
すげぇ。なのはさんと思いつつも、慌ててこちらも被害に遭わないように少し離れつつ物陰に隠れるように避難を行う。
そこからユーノの説明が始まった。
魔法と呼ばれるその存在は僕らの世界では発動体と呼ばれるプログラムを実行することである。
それは精神エネルギーによって発動し、効果を発揮する。
攻撃は防御などの基本的な動作は心に願うだけで発動する。
より強い攻撃は呪文が必要であり、それは意識することで心の中に呪文が浮かぶはず。
今の敵は思念体と呼ばれる存在であり、その中核はジュエルシードという名の忌まわしき器である。
それを封印することが必要。
ということであった。
そうしてひとまず状況が理解出来たなのはは行動を行う。
そこからは圧巻であった。
木っ端微塵に吹っ飛ばされた思念体はなんとか形を取り戻すことは出来たみたいだが、死に体に見えるほど弱まったみたいに見える。
圧倒的に湧き上がるそのピンク色の魔力で、もはや可哀想になるくらいに思念体を縛り捕らえた後、粉砕する。
その後にはジュエルシードと呼ばれる綺麗な石が転がっていた。
そうしてそのままジュエルシードがレイジングハートへと吸い込まれ無事封印されるのであった。
そうして無事にことが終わるとなのはの変身が解ける。
先ほどの私服姿に戻り一息つく。
とりあえずこれで当初の最初から魔法枠の枠組みに入れたこととジュエルシードの現物を見ることが出来た。
それとなのはが魔法に触れる事が出来たので、それに伴う理解が出来た。
後は、なのはがユーノと言う名前を認識させる事だろう。
その様子を見つつ被害に遭わないように物陰からそう考えていると、ユーノが体力の限界がきたのかその場で倒れてしまった。
そして残されたのは先ほどの魔力で思念体が粉砕された影響による周りの被害である。
道の一部分は粉々。電柱も更に倒れているときた。
あれ? 結界の効果が無かった……? それともユーノ自身が途中で力尽きたのかよく分からない。
結果としては最後でも良かったっぽいがとりあえずは入りこむことが出来たので、よしとしよう。
二人で顔を見合わせつつここに居てはいけないという結論になり、そのまま移動を開始した。
そうしてユーノを抱えつつ、人気のない公園まで移動して、一緒にベンチに座る。
とりあえずは今日はここまでかなと考える。
その後すぐにユーノが目覚めそこで初めてユーノの名前が伝えられた。
そこでお互いに名前を名乗り合った後、明日詳細を教えて欲しいということで解散となる。
さすがにここでレイジングハートを持っているなのはと一緒にしないのは不自然に当たるだろうと考え、ユーノはひとまずそのままなのはの方へ預ける形だ。
大きな怪我も無く無事にホッとして明日の朝、自分の家にて話そうということにして話は終わった。
去り際にちゃんと呼び鈴を鳴らしてね。と小声で伝えるとしょぼんとした顔になったが、流石に状況と二人きりではないことは理解していた為か素直に頷いた。
やっぱり生身では活躍出来るのは無理だよなぁ。と気を軽く落としつつも今日の一日が終わるのであった。
そうして次の日の早朝。
なのはとユーノが自分の家にやってくる。
居間の部屋に案内し昨夜の件を軽く話をすると、なのははお兄ちゃん、お姉ちゃんにこってりと絞られたようだった。
そしてユーノは普通に向こうの家族と馴染んだ後、寝床を居間に作られたのでそこで寝たらしい。
……今後のことを考えると、一度向こうの親と話す必要があるだろうな。と面倒な気持ちになってしまう。
とはいえ、下地を利用すればそこそこ上手くいくんじゃないかなとも思っているので、これは後回しにしようと思う。
そのまま、ユーノの話が続く。
ジュエルシードは僕らの世界の古代遺産。
それは、手にした者の願いを叶える魔法の石。
ただ力の発現が不安定らしく使用者を求め周りに危害が出る時がある。
動物や人が間違って使用して暴走する時もあるらしい。
ユーノは遺跡発掘を仕事にしている。そこでジュエルシードを発見した。
それを調査団に調べてもらうために保管してその移動中に人為的事故にあった。
その結果21個のジュエルシードがこの世界へ散らばってしまったらしい。
今まで見つかったのはこれで2つ。
それを全部見つけてあるべき場所へと返したい。
けど、怪我をしていたので探すことが出来なくなってしまった。
そこで怪我が治るまで、居させてほしいと。
そうして怪我が治った後は、また一人で探し出すと。
そうして昨日は迷惑をかけてごめんなさいとこちら側に謝ってきた。
淫獣なんて言ってごめんなさい……と言いたくなるぐらいの健気な姿勢だ。
話を聞いている間に軽く左の手のひらをレイジングハートへ向けたが特に反応はなかった。
そして話を聞き、なのはが何か聞きたそうにうずうずしていたが、そちらを軽く遮るようにこちらから質問を投げかける。
あのなのはの姿は借り受けていた赤い宝石のようなものはレイジングハートと言っていたがそれを利用するのか?
そしてそれは自分にも使用が可能なのか?
話を聞く限り事故の原因は直接ユーノ君に関係ないはずだけど、それでも集めるのは何故か?
後、純粋な疑問で失礼にあたるか分からないのだけど、君のような動物の姿で喋るのはそう言った種族でありそちらの世界では普通のことなのか?
と言う点をひとまずの質問としてユーノへ伺う。
ユーノが答えてきた内容としては、
この赤い宝石はレイジングハートと呼ばれるデバイスである。
デバイスを使用して魔法を行使するため、あのなのはの姿はレイジングハートを使用して魔法を使用する時の姿である。
そして君に使用できるかどうかはまだ分からない。僕の声が聞こえたのなら、魔力適性があるはずなので多分利用は可能かもしれない。
ただ今は分からないと言うことでその話は終わる。
事故にあったとしてもジュエルシードを最初に見つけたのは自分だから、それをちゃんとあるべき所へ戻したい。
そして最後の質問には本人もハッとしたのか、ごめんなさい。本当の姿を見せてませんでした。と注釈を付け変身を行う。
そこに現れたのは先ほどのフェレットの毛と同じベージュに近い色をした髪色を持ち、緑色の瞳を持った少年が佇んでいた。
なのはが大層驚き、こちらもその姿を見て驚いたように目を見開く動作を行う。
今は怪我をしている状態なので、フェレットの姿の方が回復が早いから、そちらの姿になっていたらしい。
そして、この人の姿の方が本来の姿であると告げてくる。
そうして質問が終わった後、回復が早いフェレットの姿へ戻った方が良いと伝え、姿が再度フェレットへ変化する。
その姿を見て、更になのはが動く前に話を行った。
ちょっと、今までの話を纏めるため、なのはと二人きりで相談したいけど大丈夫かな?
と告げた。
ユーノをそのまま居間に止めレイジングハートもそのままユーノの元へ置いておく。
なのはは先ほどの質問を行った以降、ソワソワしていたその姿をピタリと動きを止め素直に付いてくる。
そうして自分の自室のドアを開けてなのはと一緒に入った。
なのはが自室のドアを閉めた後、そのままなのはから背を向けた状態でボーっと立っていると、なのはが背中に抱きついてくる。
深呼吸をしているから、そのまま匂いを嗅いでいるのだろう。
その柔らかい感触は精神を高揚させるが、そうではないと思い直し、視線チェックウォッチを取り出す。
そしてスイッチを押すと「1」と表示されていた。
まぁ、話の流れ的にも自然に行えたと思うし、本人の性格的な面を考慮しても怪しまれる要素はないはずだが、その最終的確認も込めてと言う感じだ。
残りは後「3回」だと思いつつ、左人差し指を自分の腹部の方からなのは側へと向け続ける。
そして名前を呼び催眠をかけるのであった。
そこまで時間をかけるわけにも行かないので、基本的には追加対応を行う予定であった。
今回追加した部分は
・鏡音奏と二人っきりで会う時にはレイジングハート等も含めデバイスを持ち込まないように意識する。
・鏡音奏と二人っきりで会っている時に、もしレイジングハート等のデバイスを持っている場合は二人っきりではない事を認識する。
・鏡音奏と二人っきりで会っている時に、もしレイジングハート等のデバイスを持っている場合、鏡音奏から頭を撫でられると嬉し恥ずかしくなり優しく鏡音奏から離れる。
・ユーノ・スクライアに対し、友達ではあるが異性である事を認識し、好意を持たれないように行動を慎む事を意識する。
最初の3つはレイジングハート対策。若干弱い設定にしているのはレイジングハート側に会っている時に必ず持って行かないと言う状況を怪しまれないようにするためである。
そして行動部分に関しては、レイジングハート自身が客観的に見てこちらに好意を持っているであろうと言うことを知ってもらうと同時にこちらもレイジングハートを持っていることを確認出来るため設定してみた。
ユーノ部分に関しては、知っている分、大変心苦しく感じてしまうのだがその気持ちには蓋をする。
恐らくユーノはなのはへの好感度が高くなるはず。好意と言うのは良い面もあり悪い面もより強く浮き出やすい。
例えば自然にその姿を目で追い多少曖昧なところでも突っ込まれやすくなってしまう。
とは言っても、興味がないとかにすると絡みが全く出ないだろうし、絡ませないことにはストーリーも進まないのでなのは側からの行動による好意が生まれないようにすることで多少は抑えられるだろうと考えた。
ユーノが一目惚れでもしない限りこれで自然とお互い距離感を持って接してくれればと思い設定する。
そうして設定を行った後、催眠を解除する。
なのはの瞳に光が戻った後、こちらを認識したのか普通にまた抱きつこうとして来たので、それを一旦堰き止める。
ムーっと拗ねた可愛い顔を見せてくるが、それに気にせず話を振り始めた。
「なのははさっきの話を聞いてどうしたい?」
そこでハッと先ほどの話を思い出したかのような顔をした後、考え込みつつ少しずつ喋り始めた。
「私は……ユーノ君のことは手伝ってあげたいとは……思うの。ただ、それよりも……あの魔法の力にもっと触れてみたい!」
……大体妥当なところだろうか。
恐らくはなのははお節介の意識は強かったはずなので、あの健気な話を聞くと本来は手伝いたいの方が強いはずだろうと推測される。
それが先ほどの効果と合わせてと言った感じだろう。
元々、魔法の方にも興味が強いはずでもあったので大体妥当な線だろうなと思い、返事を行う。
「そっか。僕も彼のことは手伝ってあげたい。だから僕ら二人で少しでも協力してあげよう」
そう言うとなのはは笑顔を浮かべて「うん!!」と伝えてくれるのであった。
そうして、話が纏まりユーノの元へ向かう。
そこで、もし力になれるのであればこちらも手伝いたい。と言う事をユーノへと伝える。
最初は遠慮がちに断っていたが、本人も一人では難しいのは重々に理解できていたのであろう。説得するのにそこまで時間は掛からなかった。
ひとまずはレイジングハートは、実績もあるなのはが使用することにして、放課後や空いている時間を使い一緒にジュエルシードを探すようになるのであった。
まぁ、自分はデバイスも無いし一緒に行動しながら怪しそうな場所を探す人手がかかる部分を手伝うよ。とか補佐をするよと言うポジションに落ち着けさせる。
実際レイジングハートを渡されても使える気は一切ないので近寄らないようにしようと心に決めた。
そうしてジュエルシードの探索がスタートする。