1話
白い世界から消えた後、そこにあったのは
黒い
黒い
闇と呼べるべき中に存在していた。
ただただ漂う感覚が続く
ゆら
ゆらゆら
ゆらゆらゆら
ゆらゆらゆらゆら……
思考が纏まらない。ただただ黒い闇の中をふわりふらりと漂っている
…………
一体どのくらい漂ったのだろう
5分? 1日? 1週間? 1ヶ月? 1年?
良く分からない時間感覚の中、急に浮上する感覚が出て来た。
ふと前を見てみると光が見える。そこに向かって身体が急スピードで突っ込んでいく。
光の中に入った瞬間
意識が途切れた……
ちゅんちゅんと小鳥の囀りが聞こえて来た。
微睡の中、意識が少しずつ覚醒しようと身体を動かす。
「ん……」
もぞもぞと布団の中で、身体を動かしているとだんだんと意識がはっきりとしはじめる。
覚醒しはじめた意識の中で、ふと思う。
今日は……
今日は?
がばっと身体をおこす。
「ここは……どこだ?」
辺りを見渡す。
部屋の広さは大体6畳くらいだろうか。窓もありそこから明るい光が飛び込んでいた。
机、椅子、そして今、寝ていただろうベッドと簡素な状態ではあるが、部屋の中にいると言う事実を認識できるが、どうにも視点が低く感じる。
自身の腕を見てみる。
小さい……
確か、記憶は曖昧だったが自分は青年と呼ばれるような年齢であったような気がする。
だが見てみる限りどう見ても年少の腕だ。
違和感を覚えつつもベッドから移動を行い、窓を見てみると記憶には無いが、他の住宅もたくさん見えここは住宅街だと思える。
高さ的にはここは2階だろうか。
ふとさらに周りを見渡してみると……机の上に紙が置いてある。
移動して、それを手に摑み見てみると
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転生おめでとー!!
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その最初の文を見たとき、思い出す。
そうだあの訳が分からない所で転生させられたんだ。
色々と情報も吸い出す事ができなかったことを悔やみつつその紙を読み進める。
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転生おめでとー!
これを読んでいると言うことは無事転生出来たってことだよー!
よかったね! ぱちぱちー。
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転生が失敗することもあり得るのかよ……。
若干背筋が寒くなるような文が書かれていたが、ひとまず読み進める。
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この世界は魔法少女リリカルなのはと言う名の世界なのです!!
よかったね!! 魔法があるよー!! にこにこ
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魔法少女リリカルなのは……
確かに知ってはいるが、中途半端にしか知らない……
斜め読み程度しかしていないので、主要人物や起こり得ることは分かるけど、細かいところはさっぱりだ……
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とは言っても、原作と呼ばれる世界とは別物なんだよねー。
あ、別物とは言っても人物とか魔法とかその辺りはちゃんとしているよー。
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……別物?
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別物と言うのは、その世界ではストーリー上、世界がヤバイ! って時に失敗しちゃった世界なんだよね。
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……? と言うことは……
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で、君にはその世界がヤバイ! って時には手助けをしつつ、ハーレムを作ってもらいます!!
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まじかよ……
そんなの言ってない! まぁ、そんなのは聞きようも無いだろうけど……
早速の暴露に憂鬱になりながら読み進める。
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世界を救いながらハーレムを作る。まさにロマンも含めた男の夢がぎっしり!! やったね!!
ちなみに何もしないと君も一緒に世界が滅んで終わっちゃうので、ファイト!!
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クソが……
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そういえば転生前にお話しして上げたけど、能力の使い方を記載しておくね!!
君に与えたのは催眠能力と呼ばれるもので、催眠をかけるには、人差し指を催眠したい相手に1分以上差した上で、相手のフルネームを言い相手から返事を受けると催眠状態に入るよ!
催眠状態に入ってから解除するには、人差し指で解除したい相手を差した上で「終了」と言えば大丈夫!!
催眠中にはいろんなことを命令する事ができるよ!!
この辺りは実際にやってみるといいかなー。
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大体、転生前に聞いていた通りだな。
けど、確か注意事項があると言っていたが……
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そうそう。注意事項としては
催眠状態を見られる。
催眠を仕込んだ後で、その人が催眠がかかっている事がバレる。
君が催眠をかけているのと催眠手順がバレる。
上記が発覚しちゃうとペナルティが発生しちゃうから注意だね!! ドキドキ
あ、後、男性には催眠がかからないから注意!! (だってハーレムを作るためだもん)
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まじかよ……
と思わず突っ込みを入れたくなるくらい面倒な事が記載されていた。
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まぁ、チートと呼ばれる能力を貰う以上、対価が発生するのは当然だね!! ドヤっ
ちなみにペナルティは発覚した時に教えるよ!! (どうやって教えてもらえるかは秘密♡)
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……と言うか、一々イラッとくる文章だな。
選ばれたんじゃ無いのかよ……と一昔前に自分が考えたことを棚に上げて叫びたくなる。
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さて、先ほども記載したけど、君には世界を救いながらハーレムを作ってもらうんだけど、
ハーレムのメンバーは俗にいう原作で名前が存在する中心的メンバーだね!!
可愛い娘が沢山!! やったね!!
とは言っても詳しすぎない世界だと思うから誰が対象者か分からないと思うので、
そこを判別する機能もつけたんだよ(私って出来る子!!)
対象者かどうかは左の手のひらを向けると分かるようになります!!
腕にある五芒星の紋章が赤く光れば対象者、青く光ればサブ対象者です!!
あ、ちなみにその腕についてるものは他の人から見えないから安心してね!
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サブ対象者?
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対象者を沢山ハーレムメンバーにするとご褒美が貰えるんだけど、
サブ対象者もハーレムにするとさらに追加でご褒美が貰えちゃうんだ!! (スゴい!!
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ご褒美って……この流れだと怪しそうだな……。
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ご褒美は貰える時になったら説明するね!!
ちなみにその家は君専用に作ったんだ! 主人公が居る海鳴市だね!! その家にあるものは自由に使っていいよー。
両親も居なくても違和感をわかないように調整したのでハーレムの巣にすることも可能だよ!! やったー!!
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……中途半端に気が利くのも腹が立つな……
色々とイライラしながら最後まで読み進める。
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ではでは、ハーレム作り頑張ってね!!
ちなみに催眠にかけた時点で、ハーレムメンバーに組み込まれるから、
その能力を使うなら、ハーレムは必ず出来ちゃうから安心してね!!
※ここまで読み進めると自動的にこの手紙は消去されます(ビーガガ……
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ボッ!
「うおっ……」
最後まで読み進めた瞬間、手に持っていた紙が一瞬で燃えはじめて消えた。
熱は感じなかったが、唐突な展開にびっくりした声を上げてしまう。
紙があった空間を見つつ、とりあえず、ふうっと一息入れる。
とりあえず、書いてあったことをまとめると。
・ここは魔法少女リリカルなのはの世界
・ただしストーリー的に大きな出来事があった時に失敗する予定の世界
・なので世界を崩壊しないように手助けする必要がある
・手助けする上で、能力を使う必要があるならハーレムを作ることになってしまう
……現状、記載されていた通りだとすれば主人公が居る海鳴市からのスタートみたいなので、朧げながらも知っている知識とあわせてもデバイスとか手に入る可能性は薄いだろうから能力を使わざるを得ない感が強いな……。
デバイスがあっても魔力があるかどうかも不明だし……
異世界転生ってこんな大変なの……?
と軽く現実逃避をしたいぐらいの状況だが、何日後に何かが起きる動物の物語よりかは、まだ自分の中で何が起きるのが分かるのは救いだと思い直す。
とりあえずはこの家を調べるか……
寝ていた部屋から移動して、他の部屋を確認しはじめる。
2階…………自身が寝ていた部屋、他同じくらいの大きさの部屋が2つ
1階…………居間、キッチンフロア、浴室、客室と思われる部屋
大まかに部屋を調べた感じ上記のような感じだった。
そして、1階2階ともにトイレがあるのは良かった。
まぁ、よくある一軒家って所か……。
ガス、水道、電気全て利用できることを確認しつつ移動していると、ふと居間のテーブルに紙が置かれているのが見えた。
それを手に取ってみてみると
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そうそう。細かい所になっちゃうけど、この世界の君の名前を記載しておくね。
君の今世における名前は
鏡音 奏(かがみね かえで)だよ!
後、お金とかは寝ていた部屋の机の中にカードが入っているよー。
適当に使ってオーケー!!
インフラの費用とかも全部そこから引かれているから安心だよ!! (出来る子って辛いね!
それじゃ、ファイトー!!
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そこまで見ると紙はまた燃えたように一瞬で消え去っていった。
こっちの行動を見ているんじゃないか……?
まさかとは思いつつ考えてしまうが、どうせ分からないから考えてもしょうがないと切り替え今後のことを考える。
とりあえず今後の動きを考えよう。
まずは、魔法少女リリカルなのはの世界として、どのシリーズから開始されているかを確認する必要がある。
俗に言う無印、A's、StrikerS からその後が確かあったはず。
あの紙に書かれていた主人公が居る海鳴市からと言うことであれば、恐らく無印またはA's辺りが無難と考えるべきかなぁ。
これは登場人物を見てみないと分からないので、後に確認しに動こう。
そして自分の能力だよなぁ……。
そう考えながら左腕を見てみる。
左手首の辺りに腕時計のような刺青が入っている。
リストバンドの部分は特に気になりそうな部分は無いが時計部分に関しては、中央の円の部分に五芒星のような形が入っており円の周りには4つの羽のような紋様が入っている。
よくよくその部分を見てみるとイメージ的には蝶の羽みたいな感じだ。
それ自体が合っているかどうかは分からないが、とりあえずはこれを使って能力が使えるはず。
どちらにせよどこまで利用できるか試す必要があるな。
ひとまずの今後の動きとしては、
周囲状況の確認
能力の把握
登場人物の調査
を行うようにしよう。
そう決めて、行動を開始した。