ジュエルシード探索は順調に進んだ。
なのはの魔法に対する欲求は常に貪欲で、特訓もユーノに教わりつつ実施し始めている。
その成果なのかジュエルシードの思念体に対して憑依されて強化されていようがお構いなくという感じで続々と撃破していくのだった。
さすがに技術と言う点はまだまだなのだろう。相手の攻撃を被弾することも少なくないのだが、ダメージは全く受けることなくその余りあるピンク色の魔力で相手を瞬殺していく。
その様は、力とはなんぞや? それはパワーだ! と言わんばかりのゴリ押し具合だ。
そしてその有り余る魔力を持て余すかのようにこちらへの防御膜もしっかりと貼られていて、誰も怪我をすることなく順調にジュエルシードが回収されていく。
ただ、少し思ったのはこの段階でここまで強かったかな? と少し疑問に思った。
ユーノも「これは……凄すぎる才能だよ……」と言っていた。しかし、元々彼女自身魔法の才能の塊であったはずで、それがユーノを手伝う意識から魔法への欲求意識へのスライドの結果、そこに集中されていると言う点も考えれば多少の強化はされていてもおかしくはない。
多少強い分には問題無いだろうし、影響を考えても進めやすい所が多くなるだろうから、そこまで問題ないだろうと考えた。
そうして、今、自分は、
「奏くん? 二人で話したいことがあるってどうしたんだい?」
高町士郎と二人で話す所であった。
なのはとユーノは放課後になった後、少し予定がある旨を伝えて先にジュエルシード探索に出てもらっている。
そして高町家に伺い、今、士郎さんと二人で話をし始める所であった。
「まず、僕……私の件に関して、色々とご心配ご迷惑をおかけ致しまして申し訳御座いません」
そう言って頭をペコリと士郎さんへ下げる。それを見た士郎さんは、
「
「いえ、特に
そう伝えると士郎さんはふぅーと息を軽く吐いて、
「
「いえ……全く気づきませんでした……」
「では何故?」
「さすがになのは……さんの様子を伺っているだろうな……と考えていましたので……」
まぁ、これは先制みたいなものである。
なのはは内緒にしていると言っていたが、毎日こちらに伺っていることはさすがに様子を1回は見るだろうなと思っていた。
戦闘民族の集団である。そしてその動きは何回か道場でなのはと一緒に見学はして居たので向こうもそれは理解しているだろうと考えていた。
そしてその動きを使えば、なのはが朝どこに向かっているのかを調べるのは容易だろうなと。
料理の勉強をして、幼なじみの家に朝伺う。その様子を見れば愛娘が自分へ食事を作ってあげているんだろうなと言う想像を持つことも難しくないだろうなと思う。
そして中の様子も見られないのもあの存在による影響が働いているのだろう。元からなのはと遊んでいる信用度も積み上げてあるし、認識が無ければさすがにその行動を見ていれば判断出来るだろうし、狂信的な親バカでなければ中の様子までは見ることは無いだろうとも考えていた。
これはその辺りの謝罪である。とは言えこれが勘違いしている可能性もあったので、何であれどこかのタイミングでは自分の様子は見るだろうなと思っていたから、こちらからの限定される言葉は避けるようにして伝える。
どちらにせよ、相手がどこかで一度見ていれば引っかかるだろうし、先制として伝えたのだ。
その目的はこれから話をする内容に関して、こちらの真剣さを伝えるためとその本気度を上げる為である。
やはり親から見ると子供は子供であり、どうしてもこちらから伝える言葉というのは相手への温度感が伝わりづらい。
ただ、性格的にも士郎さんは相手側のことを子供とは言え真剣に聞いてくれることは理解していたが、こちらも子供の枠では無く一人の男の話として聞いて貰うくらい大人びた考えを伝えるためでもある。
とは言え、これは誰にでも通じる話でも無い。むしろ逆に怪しまれる可能性もあるだろう。だが恭也さんみたいに子供の時から年齢に見合わず老成した考えを持っていたはずなので、士郎さんには通じるだろうなとも考えて行っているのである。
「ふぅー。やっぱり子供というのは成長が早いものなのかな。なのはの背も高くなって来ているように日々感じるし。歳を実感しちゃうよ」
ハハハと士郎さんが茶化しつつも話は続き
「それで、これを伝えたい訳じゃないんだろ?」
と促してくれた。
はい。と伝えつつこちらは引き続き真剣な顔を継続して、
「なのは……と最初に会ったときですが、彼女は泣いていました」
「私は家族の役に立てないと。何も力になれないと涙を流していました」
士郎さんが苦い顔をする。それを見つつも話を続けた。
「いま、なのはは新しい道を見つけようとしています。出来ればそれを見守ってあげて欲しいというお願いです」
「そして彼女からその話があるまで、信じてあげて欲しいんです。おそらくは夜とか急に出かける可能性があったりと側から見て怪しく行動する時もあると思います。ですが、彼女の新しい道を見つけるためにそれを見守って欲しいのです」
「もちろん、なのはが道を外すとか本当に危ないことがないように、自分が守れるようにしたいと思っています」
「そしてこれは自分から言う事では無いと思いますが、彼女から話があった時に真剣に考えて答えてあげて欲しいんです」
「それが僕……私からのお願いです」
そうしてぺこりと頭を下げた。
士郎さんはこちらをじっと真剣に見つめてくる。
それに目を逸らさずこちらもじっと真剣に見つめ返す。
「僕が家族を信じないとでも言うのかな?」
「いえ、そんなことはないです。なのは……さんの普段の姿を見ていれば家族から愛情を沢山貰っているだろうと言うのは理解しているつもりです」
「では、何故君が今回のお話をしてくるのかな?」
「これは自己満足かも知れません。ただ、やはり自分がこの件を知っている以上、これをお話ししないと今まで信頼して貰っていたのに失礼にあたると考えたのと、やはりどうしても少しでも一人の男としてなのはの手助けをしてあげたかったんです」
ですので、よろしくお願いします。と頭を再度下げたのであった……。
話し合いで向こうからの答えは逆に聞かないまま終了させた。
多少話を誇張してはいるがそれは向こうには分からない部分でもあるし、元々気持ちはその通りであったはずなので特に問題は無いかなと思っている。
やり方は善意を盾にしているし最低な部類だとは思う。そして素直に相談出来無い罪悪感は積み重なるがそれにはどこまでも蓋をしていくしかない。
これに関しては、正直根回しの部類だ。原作でも確か余計な茶々は入らなかったはずだが、念を入れておく形でもある。
そして、これを理由に状況が危なくても反対意見を生み出せ無いように参加出来るようにするためでもあった。
なのはの親と見守る事を約束しているとユーノにさりげなく伝えておけば、ユーノ側から危ないから参加しない方が良いと言われるのを防ぐためだ。
自分から宣言した形ではあるが、決して否定されなかった内容は決して嘘では無いと言う真実を纏う。
まぁ、あの後、娘はやらんぞ! と言う親バカっぷりを見せつけられたので、ある程度は効果はあるだろうと思いたい。
そんな事を考えつつ、なのは達との合流を目指して移動を開始するのであった。
本日は、すずかの家でお茶会である。
アリサ、なのはと共にすずかの家に招待されたのだ。
そこで出会ったのは、月村忍、ノエル・K・エーアリヒカイト、ファリン・K・エーアリヒカイトである。
前もってすずかから情報は聞いていたので、会うのは初であったが特に混乱はなく話は進んでいった。
そして月村忍は早々に恭也と一緒に消え、メイド達に関してもお茶の準備などで今は居なくなっている。
ひとまず各々チェックは済ませておいた。三名とも青く光、サブ対象者である事を確認した。
ホント節操無しに感じてしまうが、まぁ、そうだろうなとも思っていたのでひとまずは記憶はしておくレベルに止めておく。
その後は他愛の無い話をしつつ時は進む。
ペット枠のユーノはアリサに弄られつつ、猫と一緒に追いかけっこをして遊んでいた。
本人は遊んでいるかは疑問だけど、気にしてもしょうがないのでそう思っておく。
穏やかに過ごす一時は心を落ち着けさせる。
そうしてお茶の準備が整う前に、すずかは一旦席を外しお茶の準備が出来た時には何故かメイド姿で現れた。
アリサは何? 何? どうしたの? とすずかに聞いていたが、すずかは私もみんなに持て成してあげたかったんだとてへっとした笑顔で伝えてくる。
ちょっとした悪戯心を持ったその仕草とメイド姿の彼女はより魅力を一段と輝かせるのだった。
すずか直々にお茶を注ぎ始める。
そうしてアリサ、なのはと終わり自分の番になった時にすずかは注ぐのを一旦ストップしてこちらをにこりと笑顔で見て来た。
……すずかは時々こう言う事を仕掛けてくる。あのプレイを気に入ったのか時々バレないように命令が欲しいとお願いしてくるのだ。
ほんのお茶目な部分ということもあり得るが、そう言った姿勢にも魅力を感じてしまうのはさすが登場人物の一人だと感心もした。
とりあえずこちらも極力自然に僕にもお茶をくれるかな? と伝える。
そうするとすずかは笑顔を輝かせたようにお茶を注いでくれるのであった。
それを見たアリサはご主人さま気取りのつもり? とか茶化して来たりしたが、こちらはあはは。そんなんじゃ無いよと笑顔でスルーした。
すずかはずっとニコニコし続けている。なのははずっと何か考えているようにこちら側を見ていたが、ふと何かを感じたようにそわそわし始めるのであった。
念話で話をして居たのであろう。それに合わせてユーノが動き出し始め、急に居なくなるフリをし始めた。そしてなのははそれに合わせる形でユーノくんをちょっと探してくるねー。すぐ戻るから。と言った後、こちらに目を向けて動き始める。
ちなみにこちらは現段階では念話出来ないことは特訓時に確認済みであるし、ユーノ、なのははそれを了解済みである。デバイスが無い為なのか結局魔力が足りないからなのかは判断が出来無いので一旦はそれで保留になっていた。
それはさておき今のなのはの動きはジュエルシード関連だろうなと思い、アリサ、すずか共になのはの事を心配そうに見送って居たので、僕もちょっと手伝ってくるよ。心配しないで待って居て欲しいと伝えてなのはの後を追いかけるのであった。
そうしてなのはと合流を果たした時に見えたのは、巨大な猫である。
ジュエルシードの影響なのか願いの結果なのかよくは分からないが、巨大な猫はそのままの姿で寛いでいる。
なのは、ユーノ共にポカーンとした表情でいたが、こちらから声を掛けて気を取り直したので、そのまま封印に向けて動き始める。
そうしてなのはの変身を終えて、いざその力を持って封印を実行する直前に、大きな猫へ別の角度から電撃のような黄金色の魔力が走り攻撃が行われるのだった。
その攻撃が行われた先を慌ててみんなで見てみると、そこには金色の髪をツインテールにしてその髪を靡かせつつ黒の衣装を纏った少女が立っていた。