「本日0時をもって本艦全クルーの任務はロストロギア ジュエルシードの捜索と回収に変更されます」
「また本件において特例として、件のロストロギアの発見者であり結界魔導士でもあるこちら」
リンディさんがそう宣言を行った後、こちら側への紹介を誘導させてくる。
「はい。ユーノ・スクライアです!」とそれに応えるように元気よく立ち上がって挨拶を行った。
「それから彼の協力者でもある。現地の魔導士さんとそれの補佐さん」
リンディさんがにっこりと笑顔を向けながら、こちらへの誘導を行う。
「高町なのはです……」「鏡音奏です」となのははこう言った機会は初めてだろう。戸惑いつつも立ち上がり挨拶を行う。
そして、こちらも立ち上がり挨拶を行うのであった。
「以上、三名が臨時職員の扱いで事態にあたってくれます」
とリンディさんが締めた所で、よろしくお願いします。と三者改めて挨拶を行った。
クロノはむーとした納得出来ない表情を浮かべつつこちらを見ている。恐らくは本人の責任感もあり自分が行うべき仕事だと思っているのであろう。
ただ、さすがに艦長へ反対出来る内容ではないためあくまで不服です程度の可愛い反応を示す程度で終わっている。
恐らく、こちらはなのはがきっちり仕事を進めていければ問題ないだろう。その辺りは真面目に受け取れる分、ある意味好感すら覚える。
さて、自分は補佐と言う立場で組み入れることができた。
魔力は少しあるかもしれないが戦闘魔法は使えない。直接的絡みは出来ないのに何故彼を協力者にと言う所をカバーするためにこの枠組みにしている。
もし艦長へ彼が何故? と誰かに聞かれた場合、こう答えられる予定である。「高町なのはのメンタルケア要員である」と。
高町なのは自身は戦闘力として申し分無いはず。ただ、現地人であり、どうしても年齢的に幼いため彼女を一人にし過ぎると不安や暴走する可能性があり得る。
そこで事情を知っていて、同じ現地人でもありなのはが信頼を置いている彼を補佐役としてつけることでコントロールすると言うことである。
彼と話を行なってみると年齢以上に成熟しており、大人な事情的にも受け入れやすい性格面もあったため、それを考慮して彼女の補佐につけるという流れであった。
と言う設定である。
ユーノもそれの候補となり得るが、ユーノ自身も戦闘に参加することが多い。そして大人な事情への考慮はまだ浅く、更に現地人の細かい所に気づかないのも考慮した為である。
彼にフォローも含めた仕事を沢山させるよりも、適材要員がいるのであればそれを使いユーノ自身は戦闘へ集中させて上げた方が良いだろうと判断した流れだ。
まぁ、それでも何かあれば上手くリンディさんがフォローしてくれるはず。
一応、戦闘に直接参加出来ない非戦闘員が一人増えた所でアースラ的にはほとんど影響は無いだろうし、戦闘要員の精神的フォローが他で行われるのであればアースラ側の負担も減るので何か言われることは少ないはずだ。
自分がポカをやらかさない限りと注釈はつくが……とはいえ作戦自体にも直接口を出すわけでも無いし、戦闘に参加するわけでも無いのでポカをやらかす場面が無いのも事実であった。
あとは普通になのはと仲良くしている部分を見せていけば話の整合性はあっていくので、よっぽど怪しい行動をしない限り問題はないだろうと考えている。
ちなみにクロノはアースラの切り札と言うことで温存される。事態が緊急になった場合の要員である為、アースラの戦力自体は使わずに進められることはある意味の安心を他の人員達へ伝えることが出来るはず。
そうしてアースラ主導のジュエルシード探索が開始されるのであった。
アースラにて割り当てられた一人部屋にて今後を検討し始める。
この部屋自体は監視が入らないようにリンディさんにしっかりとお願いしてあった。
そのお願いに勿論、分かっているわよ〜。と言わんばかりに、きちんと鍵もありそして防音処理も魔法でフォローしてくれている。リンディさんの手腕はやはりしっかりとしていると感じられるのであった。
まぁ……なのはが普通に来襲してきたりするのでずっと一人で居ることは中々無いのだが……それでもアースラ内部にて無事拠点を確保出来たのは安心出来る。
なのははこちらに来るにあたって問題無く親御さんと話をして許可を得ることが出来ていた。
根回し自体は無くても纏まる話だったはずなので、そこまで深く心配はしていなかったがそれでも問題無く進行出来ている所は良かったと思う。
ただ、なのはが今までよりもこちらの近くに居ることが増えているようにも感じられる。
アースラ内に居る以上、なのはと絡む機会は多いのでそれで近くに居ることが多く感じられてしまうのかも知れないとも思っていた。
自分がアースラに居る設定のフォローにもなるし、特に支障もないので次に検討を進める。
まずはズボンのポケットから小さいピルケースを取り出す。
その中には薬の錠剤のサイズで黒色の薬のようなものが一粒入っている。
それを手に取り見つめる。黒色でまるで磨かれた小さな石のようにも見える。
恐らく口の中に入れても溶けないものであろうとも推測出来る。
これは五人目の報酬であった。アースラから家に戻ったあとに置いてあったものである。
書いてあった紙の内容を思い出す。
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とうとう五人目の達成おめでとー!!
いっぱいムフフな事を楽しんでいるかな? (キャッ♡
これは五人目の報酬だよー。「コピーお薬」なのです!!
「今いる世界にて、現段階において存在している能力、魔法、力など何か一つ同様の力をコピーして1回だけ使用することができる」
「ただし、使用した力の大きさによって体にフィードバックが発生する」
これで君も憧れの戦士や魔法使いになれるかも!! (ドキドキ
過去に失われている力や未来の力は利用出来ないから注意してねー!! その時は無駄使いになっちゃうよー。
あと、フィードバック自体はそれで直接的に死んじゃうことはないから安心だね!! (さすが出来る子!!
それじゃ、頑張ってー!!
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なんとも使いたくない報酬である。そして直接的では無く、間接的に死ぬ可能性があると言うことにも使用を躊躇うには十分であった。
忌々しげにそれを見ていたが、どうにもならないので手で持っていたそれをピルケースに仕舞い込む。
そして、首からぶら下げているペンダントにも目を通した。
これはリンディさんのサブ報酬である。
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サブ三人目だね!! 着々とハーレムを楽しんでますなー!!
これは「名前教えてペンダント」だよ。ペンダントの宝石部分を触って相手を見るとあら不思議。
その相手のフルネームが頭の中に浮かんじゃうんだ!! (スゴイ!!
度忘れしても大丈夫だよー。
ただ、使用回数は合計「1回」だけ。使っちゃうと消えちゃいます!
それじゃ、頑張ってー!!
▲▲
首にかかっているペンダントを見る。装飾自体はシンプルでシルバーを基調として付けていても特に違和感は無い。
ぶら下がっている宝石部分は小さな赤いルビーのようなものがはめ込まれている。
これを触ってみれば使えるのであろう。試すにしても1回だけなのでここぞと言う時にしか使えない。
けど、使う機会があり得るのか? と言う疑問もあるが保険として持っているぐらいの気持ちで居ようと思う。
ただメイン報酬、サブ報酬を貰ってみて大体の方向性が見えてきたかもしれない。
合計人数によるメインの報酬はどちらかと言えば身体にプラス出来るような感じなのでは無いかと。
英雄と言う名に近づける為のストーリー攻略要素を軽減する報酬の形である。
サブ報酬は催眠能力自体の補佐をする為の報酬では無いかと推測している。
メインの報酬をもう一個貰えばさらに確信的になるだろうが、現段階では難しいだろう。
実際、報酬目当てで人数を増やすと普通に首が締まってそもそもが回らなくなってしまう。
基本的に報酬目当てはやらないべきであろうと考えるのであった。
そして、途中途中で内緒で家に戻れるようにもリンディさんと話をしてある。
すずかであったり、フェイト、アルフの方にも継続対応を実施出来るようにするためだ。
この辺りは適時必要に応じて非戦闘要員の立場を活かしつつ夜間とか隠れて対応を進める予定である。
そして、ジュエルシードの回収が実施されていくのであった。
なのは、ユーノそれぞれが出撃して問題無くジュエルシードを回収していった。
基本的に相手はなのはの攻撃で瞬殺されるのだが、なのははいつもよりも不満げな表情を浮かべている。
自分の防御魔法に回す魔力も無い為か攻撃自体はいつもよりも大きく感じられた。
その魔力の大きさにアースラ内の観測している人達は驚きの声を上げて改めて脱帽しているようにも見える。
クロノくんよりも魔力が全然大きいねと弄ってきている女性が見えた。恐らくあれがエイミィなのであろう。
クロノは「魔法は魔力値の大きさだけじゃない。状況に合わせた応用力と的確に使用できる判断力が必要だ」と言ってはいるが何故か覇気があまり感じられなかった。
とは言え、クロノが言っていることは自分も賛成できる。
持っている力の大きさと力の使い方はそれぞれが必要であると思うからだ。
比重があまりにも突出していれば話はさらに変わってくるが、バランスが取れてる方が手の出し方の幅が広く様々なシーンに活用できると思っている。
ただ、魔法戦闘自体はこちらも理解出来ない為、なんとも言えないので特にそれには触れないようにしていた。
回収は無事終了して、なのは達がこちらに帰還する。
そしてそれを迎えにいくと、なのはは気づいた瞬間に自分の所までぶつかるような感じで近づいてくる。
先ほどの不満顔はどこへ行ったのかと言うくらいの笑顔を向けてきた。褒めて褒めてーと言わんばかりのその無邪気な笑顔はまたなのはの魅力を感じさせるのであった。
他の人達は暖かくその様子を見守ってくれている。設定通りに進んでいることを安心しつつそのままなのはを労るのであった。
ただ、ジュエルシードの回収状況を聞くとフェイト側もアースラ側の監視の目を掻い潜り何個か集めているとのことである。
そうしている内に舞台が海鳴市の海へと移る。
フェイトの存在が観測された。海鳴市の海上で魔法を唱えようとしている状況であるらしい。
来たなと思い、その状況を確認するために状況報告に耳を澄ます。
この辺りは普通にジュエルシードを集める所を聞いていたのとプレシアが手助けに入るはずなので怪しまれないように命令は行っていない。
ただこのイベントが終わるとフェイトやアルフが更に追い込まれてしまうはずなので、そこのフォローは必要だと考えていた。
ここでの対応はフェイトが一斉にジュエルシードを発動させてなのはが助けにいく流れになるだろうと予測していた。
ただ、入ってきている報告があれ? と思ってしまう。
フェイトは少しずつ範囲を選択しているかのように魔法を発動しているらしく、ジュエルシードを一斉に強制覚醒をしていないらしい。
もちろんそれを行うに辺り時間がかかるが危険は減る。そしてこちら側でもそれを捕捉されるのだが、まるで誰かを待っているかのように海上で探索を続けている。
あれ……? フェイトさん冷静すぎじゃない……?
そんな気持ちは向こうに伝わらないだろう。フェイトはそのまま海上での探索を続けている。
さすがに疲弊を待つとかそう言う場面では無く、普通に対応するため、なのはが出撃していくのであった。
そしてクロノやユーノも他の危険性を考慮していつでも出撃出来るように待機する。フェイトの名前から過去に居た魔導工学の研究開発者プレシア・テスタロッサとの関連性が疑われるためフェイト以外の敵対者に対応するためだ。
フェイトとなのはが海上で向かいあう。お互い正面に向き合いデバイスを構えているが、会話をしているような感じで各々が口が動いていた。
その内容は恐らくアルフが貼っているであろう妨害魔法で聞き取ることが出来無い。
元々お互い興味があるはずだし、そして最後にはお友達になるだろうから何故こんなことをしているのか? とかの疑問を話しているのだろうと推測している。
そしてフェイトが口を動かしてなのはに何かを伝えたのか、なのはは表情を一変させ、何かに怒ったような大声をあげる様子が見えた。
こちらに伝わらない声を伝えるかのようになのはの体から巨大で膨大な魔力が噴き出すのであった。
その余波は広大な海を揺らすようにも感じられる。
そしてその膨大な魔力に応えるかのようにフェイトからも金色の魔力が体から噴き出す。
正直、なのはと比べると大きさは弱いが、それは逆に集中することで圧縮され磨かれた刀のように洗練されてる黄金の魔力のようにも感じられる。
こちらの余波も本人の魔力資質である雷を伴って海上から空へ影響を及ぼすのであった。
それらを観測している人達が魔力の量に驚き叫ぶ。慌てふためく様子を見ながら思うのだ。
なのはさん。フェイトさん。一体、何があったの……? と。