※この作品はR-18です。

催眠パワーでいけるのか!?   作:ヒミノまろ

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32話

 

 深くは考えないようにしていたが、これからの流れである意味決着するのだ。

 この世界が滅ぶか生き残るか。

 

 

 世界が滅ぶと言うあまりにも壮大すぎなその出来事は、正直最初はそこまでピンと来ることが無く心が追い込まれていく事もなかったのだが、改めてこれからの最終局面を迎えるに辺り心へと重くのしかかってくる。

 あの存在が言うには何もしなければこの世界は無くなるだけであろう。

 それに手を加え崩壊を防ぐと言うところはマイナスからゼロへと戻るのである意味プラスしかないはずと思えるが、そう言ったことではないのが肌で感じられてしまう。

 

 

 自分の失策でこの世界の人たちが消え失せてしまうのだ。

 勿論、自身が死ぬのはイヤであるし全力で回避するつもりだが、最悪はある意味覚悟しなければならない。

 自分自身の失敗は自分自身で償うだけであればまだ救いがあるが、そういう話ですまないところが心の隙を突いてくるのだ。

 それを考えてしまうと各々が生きて生活しているこの世界が己の失策で全て消え失せてしまう事実はプレッシャーを確実に与えてくる。

 

 自分が知らない人たちでもそのプレッシャーを受けるのに、今まで知り合い、話し、触れ合っている人たちが失策によって消え失せると言う重さはとてつもない心の緊張を招くのであった。

 

 

 自分は英雄や主人公的資質は無いのは理解している。

 どこまでも熱く燃え上がるような心は持ち得ないし、催眠能力という与えられた能力以外、特筆すべき力を持っている訳でも無い。

 何もかも全てを救うという夢物語に憧憬する事はあるが、それが現実的にどこまで行ってもあり得ないという事も理解している。

 ただ、そう言った資質が無い事を悲観している訳でもない。それこそそんな資質があったら逆に潰れて廃人になってしまうであろう。

 それほど救うという行為は難しく道は果てしなく遠い。そして重いのであった。

 

 

 相対している二人を見る。

 彼女ら二人はそれこそ物語の主人公として存在している。更にそれに見合う精神や強さを持ち合わせていた。

 なのはは、どこまでも真っ直ぐに熱く己の信念を貫き通す。そして泣いている子を当たり前のように助けてあげるのだ。なのはが持つ心の強さと優しさはどこまでも真っ直ぐあり続ける。

 フェイトは、儚くも感じられるその心を震い立たせ、強い心に成長させてどこまでも進み続ける。そして敵対する相手のことすら心配出来るその優しさはどこまで進んでも心の曇りを感じさせない。

 

 勿論、二人だけではない。他の人たちもそれぞれの心。信念を持ち己の信じる道を進み続けているその姿はとても魅力的に感じさせる。

 それらがなかったことのように失い全て消えるのは許せない感情と共にプレッシャーを与え心が潰れそうになる。

 

 

 だが、やるしか無いのだ。

 

 

 自分が世界を救うなど傲慢も良いところであろう。何もかも助けるという高潔な心は持ち合わせていない。

 自分が生き残る為、その結果がついてくるだけである。そしてせめて自分の見える範囲で不幸にならない人を少しでも増やしたいだけである。

 そう考えつつ心の位置を改めて置き直す。

 まぁ……催眠で色々と致してしまっている時点で問題があるかもしれないが……不幸にはさせたくないのは事実であった。

 

 だからこそ、自分は何もかも飲み込み続け常に思考を回して実践を行う。

 所詮このくらいしか出来る事はないと自虐しつつも、決して自分の心から逃げぬよう目を逸らさず進むのだ。

 恐らくはこの状況や感情すらケタケタと笑いながら見ているであろうあの存在。

 それに少しでも届かせるよう心を引き締め、行動を開始するのであった。

 

 

 

 __

 

 

 

 

 ……フェイトちゃん。

 

 目の前に映る少女。フェイトちゃんを見て私は以前とは違う感情が湧き出している。

 

 以前は私の魔法を打ち破るという個人的にものすごく許せない内容を伝えられてしまったので感情のままに行動をしてしまった。

 奏くんに言われるまで、衝動のままに行動していたらジュエルシードの被害は酷かっただろうと考えてしまう。

 勿論、リンディさんにも怒られて反省している。あの衝動自体、後悔は少しも無いけどそれでも頭の中は冷静にするべきだったと思った。

 

 何故ならフェイトちゃんのその発言の意味を全く考えてなかった。

 ジュエルシードを集める意味。フェイトちゃんのお母さんに渡す為、彼女は体を酷使して集め続けていた。

 恐らく私が封印して守っているジュエルシードも欲しかったのだろう。

 そう言った意味で彼女はあのような発言をしてきたのではないかと考えていた。

 

 私は相手の事情も考えず行動してしまった点を反省しなければならない。

 どんな時でも相手の行動を考えないと相手の先を読めない。それは後手に周り負ける可能性が高くなってしまう。

 そう言った浅い考えでは絶対に負けられない状況で負けることがあり得てしまうのだ。

 その事実だけでも私自身到底許せる事は出来ない内容であった。

 もっと私は全力全開で成長しなければならない。成長した姿を奏くんに見てもらうのと同時に彼をどこまでも優しく包み護る必要がある。

 どんな状況でも護るためには力は必要である。思考する力も付けなければならないと改めて心に誓った。

 

 そうでないと奏くんを堪能出来るあの作戦すら遂行することすら出来ないだろうと考えてしまう。

 アリサちゃんと二人っきりで一緒に居たなんて…………私にとって到底許しがたいその状況は己の力不足を感じてしまう。

 だからこそ、それを聞いた時に利用して、奏くんと特訓の約束をしたのだ。あらゆる作戦をここで遂行するつもりである。

 

 

 ぽやーと妄想に走りそうになる。だけど状況が状況なので、それを惜しみつつも慌てて振り払う。

 

 

 ふぅーっと考えを落ち着けさせて、改めてフェイトちゃんを見るのであった。

 

 今回、こちらに現れているのは前回同様こちらのジュエルシードを狙っているためだと思う。

 そして……思っていたよりもフェイトちゃんの気力が充実しているように感じられた。

 アルフさんの話を聞いた限りでは、お母さんのためにほとんど休むことなくジュエルシードを集めていたはずなのでもっと疲れた様子があってもおかしくないはずであった。

 

 しかし見たかぎりでは、万全の状態にも感じられる。その姿は海の上で会った時と変わらない凛々しく強い印象をこちらに与えてきた。

 アルフさんがフェイトちゃんに声をかける。だけどそのアルフさんの悲壮にも聞こえる声でもフェイトちゃんの動きに影響はなかった。

 その様子を見て現段階で言葉の説得は難しいと感じさせる。

 

 フェイトちゃんが纏う魔力の大きさはその想いの強さを表しているように感じてしまう。こちらも想いの強さで負けるつもりは全然無いけど、話し合う事は今は無理かなと思うのには十分であった。

 こういう時でもお互いの意思の確認の仕方はお兄ちゃんやお姉ちゃんに聞いたことがある。

 

 

 そう、これは……拳(魔法)で語るってやつなの! 

 

 

 そう考えてワクワクする心を胸に持ちつつ、手に持っていたレイジングハートへ魔力を込めるのであった。

 

 

 

 __

 

 

 

 

 フェイト、なのは両方ともに魔力を纏い戦闘体制に移行した。

 

 フェイトには複数命令を行っている。まずはこの段階の命令として、

 アースラ合流前にこちらが全員集合しているこの場に居合わせ、お互いのジュエルシードをかけるようになのはと戦闘を行うこと。

 なのはとの戦闘では全力を出す必要はなく、全力で戦闘している()()をして怪我や魔力消費を極力抑えるようにすること。

 そして程々の時間が経ったらなのはに負けるふりをすること。

 

 負けた時にジュエルシードをなのはの方に引き渡すようにする流れも伝えてある。

 

 実際、ストーリーをなぞる事は必要であるが、それが必要なのは予測外の行動を防ぐためである。

 そのため、完全にストーリーの通りに進める必要はないと考えていた。

 予想外の行動を防ぐための目的がストーリーをなぞりつつ進めるという手段である為、目的と手段が入れ替わら合いように注意しつつ今回の流れを組み込んでいく。

 フェイトが全力を出してそれが負けた後、ジュエルシードを差し出すそぶりを見せればストーリーと同様に間違いなくプレシアが手を出してくるはずである。

 そうすればアースラ側でプレシアの居所を掴むことが出来るので、対プレシア戦へと移行するのだ。

 

 フェイトにはここでの戦闘の消費を抑えてもらうようにしたい。その後のプレシア戦に向けて少しでも力を残しておくべきだと考えているからだ。

 

 勿論、フリでもそれなりの魔力を使う事は必要であろう。だから消費を抑えるにしても加減しすぎて怪しまれないように注意するようフェイトにも伝えていた。

 中々違った意味で難しい任務であるが……フェイトは自信満々に「大丈夫!! 任せて!!」と言ってくれていたのでその言葉を信じている。

 

 実際、多少の消耗は入るのはしょうがないとしても、ここでなのはさんの魔力砲撃の代名詞でもある巨大な砲撃のマトになる必要はないと考えていた。

 非殺傷設定があるとは言え、近距離であの砲撃を受ければ消費というよりもトラウマになりそうだし……。

 

 またその後に関しても命令を行なっているが、プレシアの独白に対しての対策は何も伝えていない。

 これはフェイトには一旦アースラに留まってもらうことで、後に自分がプレシア戦に参加する流れを作る必要な措置であるため割り切るつもりである。

 とは言え、それに対して心が痛み続ける事は間違いない。だが、それを彼女に謝って逃げる事は出来ない。その罪をしっかりと飲み込むしかないのだ。

 勿論、彼女の心のフォローは出来る限り早急に行うつもりではある。ただ、こういう事は今後も判断することが多いだろうから覚悟を決めるしかない。

 

 

 そう考えながら二人を見ているとなのはとフェイトの戦闘体制からそれぞれ行動が開始される。

 その二人が持つピンクと金とそれぞれが色を伴う膨大な魔力はまるでこちらに見せつけるように展開されるのであった。

 

 

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