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なんでだろう。
頭の隅に疑問が住みつく。
フェイトちゃんからの攻撃を防御する。その攻撃は私の体に届く事はない。防御魔法できちんと防げているのだ。
そして私はフェイトちゃん対策の戦闘パターン訓練を思い出しつつも、そのイメージ通りに体を動かしていく。ディバインシューターを使い魔法攻撃の数をどんどん増やしていった。一つ一つの制御は少なく簡素にして小さな固定砲台を作り上げていく。
それらはあくまで通り道を作る為のものだ。更に完全に制御しているディバインシューターでフェイトちゃんの行動の幅を狭めるように攻撃を開始した。
ただ、やはりフェイトちゃんはそれを上回るスピードでこちらの攻撃を当たらせない。
そして合間を縫って、小さな金色に纏う魔力の塊を複数こちらに撃ってくるのだ。
私は何個かは回避出来ずそのまま受け止めてしまう。
だがそれらの攻撃は決してこちらの防御を抜く事はなかった。
攻撃を受けるたびに疑問の大きさが少しずつ膨れてくる。
フェイトちゃんの動き。射撃の緻密さ、そしてこの青い空をどこまでも自由に早く駆けるその姿は私が体験したかったものであるのは間違いない。
だけど、フェイトちゃんとの魔法の語り合いはもっと重かったイメージが残る。
攻撃の一つ一つが私の想いを打ち破るかのようにもっと鋭く重いものであったはずだ。
だけど今の攻撃は受けて分かってしまう。この攻撃では私の想いを含めている防御を抜く事は決してないと。
私が強くなったの……?
……確かに魔法の特訓は続けており成長出来ている実感はある。
ただこの感覚はこれで済ませていいものだろうかと悩んでしまうのだ。
確かにフェイトちゃんの動きは私の糧になってくれる。それは求めていた経験でもあり、その鋭利な攻撃は私よりも戦闘経験が上であることを伝えてくる。
だけど、これでは私が負ける事は決して無いだろうという事も理解してしまう。
どうしても攻撃から感じられる想いが軽いのだ。
下手をすれば防御魔法に触れた瞬間、霧散してしまいそうな攻撃。
フェイトちゃんときちんと戦った回数は少ないけれどそれでも以前受けた時とは比較にならないくらい弱く感じてしまう。
お母さんを想うその力はその程度なのか……と残念な気持ちすら湧き上がってしまう。
段々とその呼応に合わせるかのようにこちらの戦意も萎んでくるような感覚に陥ってしまった。
フェイトちゃんを改めて見てみる。
体から湧き上がるその魔力は以前と変わらない。むしろもっと鋭く重く研ぎ澄まされているようにも感じられる。
ただ、そこから繰り出される攻撃は感じられた魔力よりも数段落ちていた。
本人が疲れていることを誤魔化すようにこちらに見せているのだろうか。見た目の魔力と攻撃される魔力との差異にどうしても違和感を覚えてしまう。
けど、フェイトちゃん自身も攻撃して分かるはずだ。これではこちらに届く事は無いという事を。
お互いの視線を交わし合う。
フェイトちゃんは決して諦めている瞳をしていない。むしろどこまでも真っ直ぐキラキラと輝いている。
だからこそ頭の中が困惑してしまうのだ。戦闘中でもある為、そう言った感情は読まれないように顔に出す事は勿論無いが、ちぐはぐにも感じられる意思と攻撃は動きを少しずつ鈍化させていく。
だけど、ふと思った。
それが狙いなの……?
ドキリと心臓の音が跳ねたようにも感じられた。
まるでそれに答えを与えるかのように、私の片足に丸い輪っかのようなものが絡みつき動きが止まってしまった。
その瞬間、あっと声を上げ失敗したと感じてしまう。
そしてフェイトちゃんがその隙を待っていたかのように高速で目前に迫りデバイスを振り下ろしてくるのであった。
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今っ!!
心の中で声を上げてなのはの目の前に移動する。
奏から言われている命令は忠実に行う予定だ。
元々魔力をおさえる長期戦闘の訓練は行っているので、それ自体は大きな問題は無いと思っている。
だけど、やはりこの一点は行うべきだと常々思っていた。
なのはの防御魔法の破壊。
奏からも本気のフリを行う必要性はしっかりと言われており、それに伴って魔力の使用の許可は得ている。
言われた命令をこなすに辺り自分も行うべき内容を考え行動を実践している。
本気のフリを行いつつも、なのはの防御魔法を抜く為、魔力節約も兼ねて行う作戦である。
恐らくなのはは戸惑ったのであろう。こちらの攻撃の薄さにいつもと違う感触を得ていたはずだ。
それはやはり戦闘経験の薄さが浮き彫りになってしまう。
だからこそ、そんな中で仕掛けたバインドに気づく事が遅れてしまった。
その隙を私は自身の為に活用する。
ずっとあれから考えていたシールド破壊魔法である。
シールド破壊だけを目的として私の今ある全勢力を注ぎ込んだ魔法だ。
演算処理もただ破壊するだけを目的としており、それに合わせるように魔力も圧縮をどんどん捻り重ねてどこまでも硬くしている。
イメージは勿論、剣の錬成である。
鋼鉄を熱で溶かしつつ叩いて固めそして更に鋼鉄を重ねて硬く鋭くさせていく。
それをイメージして魔力の硬度を高めていくのであった。
バルディッシュ自体は戦斧から発展させている構造のため、現段階ではあくまでその刃としての活用となる。
それでもその刃の強度は私がイメージしている通りの硬さと強さを持っていた。
そして私の想い。
奏を自由にさせて上げられるその想い。檻で守るのではない。彼が私に願ってくれる通りに動いてずっと尽くすことこそが私の幸福なのだ。
だからこそその楔を解き放ちいつでも自由にすることが可能であると彼へ示したい。
その想いを受け取ったかのようにバルディッシュも魔力の刃を更により強く出力させて応えてくれる。
だから私もそれに応えるように、ここだけは本気の全力でなのはへ私の想いを伝えるのであった。
この想いは……他の誰にも負ける事は無いと!
そしてその想いは届く。
パリンとなのはが纏っている桃色のシールドが割れた。ガラスが割れたような音が周りに響きわたりシールドが虚空へと消える。シールドを破壊することに無事成功したと思った。
やった! という喜びの感情が出てくる。これで奏をいつでも自由にすることが可能になるのだ。後は彼の命令次第でいつでも助けることが出来るだろうと更に心が喜びに溢れてしまう。
だけど、まだ任務の遂行中であることを忘れてはいけない。目的をほぼ達成出来た以上、後は消耗を避けるようにして負けるだけだと考えていた。
まずはなのはから距離を置くため、手に雷撃系の魔法を準備する。これでなのはのバリアジャケットを抜かないように軽く吹き飛ばして距離を取ろうと思っていた。
そして距離が出来たらなのはからの攻撃が行われるであろう。それを少しずつ受けて負ければ一つの任務は完了である。
そう考え片手に込められた魔法をなのはへ向ける為、視線をそちらへ向けた。
その光景を見た瞬間……私の頭の中は真っ白になってしまう。
なのはの前に先ほど砕いたはずのシールドが更に
その光景を見て呆然としてしまう。
そしてその呆然とした表情を見たのか分からないが、少女の声が耳に入ってくる。
「フェイトちゃん……」
「なんで、シールドが
当たり前だ。あんな硬いシールドが1枚あるだけでも魔力の消費が尋常ではないはずである。
それが複数となると……消費魔力もそうだが、その壁の厚さは想像外であった。
慌ててこちらからなのはとの距離を取る。設置されている攻撃を避けつつ距離を取る行動はなのはの予想パターンに嵌ってしまった。
彼女が仕掛けている通り道を通ってしまい、体にバインドが巻き付けられてしまう。
慌てて解除を試みるがなのはの方はそれで十分だったのだろう。彼女のデバイスから急激に魔力が高まるのが分かってしまった。
恐らくは砲撃魔法。
防ぐ間も無くデバイスから発射するその魔力の奔流はこちらの意識を刈り取るのであった。
薄くなっていく意識の中で思う。
必ずその檻を打ち破って見せると。
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やっぱりフェイトちゃんは凄い!!
改めてそう思った。
私の防御魔法を破ってきたのだ。このどこまでも持っている果てない想いにちゃんと応えてくれた。
だけど私の想いは積み重なる事はあっても無くなる事なんて微塵もない。
だって大切なものを護るのだ。1枚だけなんて心細くてしょうがない。何枚も何枚も大事に包みこんであげる必要がある。
世界から全て護り二人で一緒に過ごすのだ。それこそ何枚あっても良いものだと思っている。
ただ破られてしまった……まだまだ改良の余地はあると思わせてくれたのは朗報である。
私はまだまだ成長する必要があると改めて思ってしまった。
フェイトちゃんが先ほどの距離から離れてしまう。
恐らくは慌てて飛び出してしまったのだろう。私が仕掛けていた道を通ってくれるのであった。
そして思った。
フェイトちゃんも私と同じように考えてくれてたんだね……と。
今度は私が仕掛けたバインドにフェイトちゃんが引っかかってしまう。
本当の意味の
修復に時間がかかってしまうため、まだ使用するには早いと考えていた。
そして本当は更にその上を準備してから切り札を使用すべきとお兄ちゃんに教わっている。
とはいえ使う時は躊躇わずにという事も教えられているので、もっともっと特訓する必要があると思うのであった。
そう考えつつも自身から湧き立つ魔力をレイジングハートへ伝えて砲撃の準備が完了する。
そしてフェイトちゃんに撃ち込むのだ。
これが私の全力のディバインバスターだと。
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