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正直に言うと私は怒っている。
フェイトちゃんの想いを否定したあの言葉に憤りを感じてしまう。
確かにあの時の勝負は私が勝利した。
だけどフェイトちゃんが見せたあの想いの力はどこまでも純粋に突き詰めていった願いの強さであったはずだ。
直接受けていた私は勿論のこと、私よりも魔法が詳しいであろうあの女性が分からない事は無いはずである。
だけど、あの女性はフェイトちゃんを偽物と言う。娘とは別人だと伝える。
確かにあの女性の近くで眠っているようにも見えたあの少女は、あの女性が言う娘である事は理解出来る。
だからこそ別人と言う言葉自体は最悪理解は出来るかもしれない。
しかし、私が憤っているのはフェイトちゃんが持っていた純粋な想いを否定する内容だ。
アリシアちゃんの記憶を移植されたからと言って、フェイトちゃんのあの持っている想いが偽物である訳ではない。
それこそフェイトちゃんが持っていて生まれている想いなのだ。
それを簡単に嫌いと言って切り捨てるあの女性は許せることが出来ない。
あり得ない仮定だとして私がもしも奏くんから嫌いなどと言われた時には……認めない。
それこそ世界を何もかも破壊してでもそれを言わせるようにした原因を潰したくなる。
……心の奥底で冷静な部分が指摘してくる。もしもその原因が私だったら? と。
それこそ
これだけの時間、一緒に二人きりで居てお互いが幸せに感じる時間を過ごしているのだ。
二人きりで完結している世界である。そこに何かあるとすれば外部的要因しかありえない。
だからこそ、その原因を迷いなく潰すのだ。
どちらにせよありえない仮定を突き詰めていくのは時間の無駄であるとして、フェイトちゃんの話に戻る。
フェイトちゃんの想いの強さを分からせる為、あの女性へとお話しに行こうと行動している。
クロノくん、ユーノくんと一緒にあの女性の拠点へと到着してその入り口の前に立っていた。
目の前にはロボットみたいなものが沢山いる。
クロノくんが言うには近くにいる相手を攻撃するだけの機械だと言う。
そう言いながらクロノくんはそのロボットたちに攻撃を行う。
クロノくんもやはり魔法戦の経験としては私よりも上なのであろう。
その流れるような動きは経験に基づいているようにも感じられ、入り口にいるロボット達を次々と粉砕していくのであった。
クロノくんから感じる魔法の想い。本人から出ている青の魔力色のせいかもしれないが、冷淡にも冷静にも感じられる。
ただ無理にも感情を抑えつけているようにも感じられた。その想いは私とはまた違った強さを見せてくる。
その強さを糧にしたい欲求に駆られるが、クロノくんは男性である。
ユーノくん同様、変に誤解させたく無いので彼らとは心の距離をしっかりと一線引く必要があった。
私はきちんと学習出来る女でもあるのだ。その辺りは私の信念に基づく行動を行うつもりである。
何かしらの模擬戦闘が出来るのならその時の機会にしようと考えて粉砕されたロボット達を後にして、入り口から中に入りこむ。
入り口から中に入ると部屋の地面に所々、穴が開いていた。
それを見てみると、どこまでも深く底が存在しないように見える。
クロノくんが言うにはその穴は虚数空間と言うものらしい。
そこに入るとあらゆる魔法が一切発動しなくなる空間であり、もしも落ちたら重力に従って底まで落下して二度と上がってこれないらしい。
だから決して近づいてはいけないと注意してくれるのであった。
虚数空間に注意しつつさらに奥へと進む。奥の部屋にはさらにロボットの集団が待ち構えていた。
その状況を見たクロノくんは二手に分かれる提案をしてきてくれた。
クロノくんはプレシアの元へ、私たちはジュエルシードがくべられている駆動炉の封印へと。
お互いそれに従おうとした際にエイミィさんから通信が入った。
通信内容としてはプレシアさんが移動を開始したとのこと。
その移動先は私達が移動しようとしていた駆動炉の場所であった。
それだったらみんなで一緒に向かおうと言う話になり、そのままみんなで駆動炉に向けて行動を開始する。
私は改めてちゃんとお話ししようと、むんっという感じで腕に力を込めるのであった。
だけど、そこで私は思い知ることになる。
自分の信念を貫き通す。想いを理解させるためにはそれに見合う力が必要であると。
力無き言葉はただの戯言であると思い知らされるのであった。
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母さんが私に言ってきた言葉を反芻する。
私はアリシアの偽物であり人形であると。
そして母さんは私のことが大嫌いであったと。
私の中にあった母さんへの愛情の心がひび割れる。
記憶の中では優しかった母さんの笑顔。
私もそれを見て嬉しい気持ちがあった記憶が残っている。
ただこれはアリシアの記憶なのだ。
それを除いた時、私の心は空白になってしまう。
目は開いているがその目に映る光景は何も見えない。
まるで光を失ったかのように周りの光景は何も見えなかった。
そして体の気力が失われたかのように何も力を伝えることが出来ない。
そのまま茫然とした姿でいるとふと誰かが近寄ってくる気配が感じられた。
ただ体を動かせる気力が私には無い。母さんの言葉がまだ頭の中で響いている。
私は何も無い人形だ。
このまま朽ち果てても誰も困らないだろうと言う投げやりな気持ちも湧き上がる。
そんな気持ちは知られないまま私に近づいてきた人は更に私に近づく。
接触しそうな距離まで来た時に、あることが感じられた。
それは彼の匂い。
それを認識した瞬間、私の心は別次元の安心感に包まれる。
先ほどの感じている大きな悲壮感も少しずつ削られ薄れていくのが感じられた。
少しずつではあるが気力が戻ってくる。そうすると少しずつではあるが目に入ってくる光景が認識でき始める。
改めて私の瞳に飛び込んできた光景は、彼の心配そうな顔であった。
その顔を見て私も心が再度痛んでしまう。
彼にそんな顔をして欲しかった訳では無い。私は彼の笑っている優しい笑顔を見たかった。
それが私の心を幸せに包んでくれる。けど、今はそれが無い。心に後悔が湧き上がる。
しかし、彼はそんな私の心の葛藤に気づかず言葉をかけてくれた。
「大丈夫。フェイト。君は人形では無いよ」
「だってこんなにも悲しい顔をしている。それはフェイト自身が思い感じている感情だ」
「だけど、フェイトには悲しい顔をして欲しく無い。君の可愛い笑顔を見たいんだ」
「だから僕とプレシア……フェイトのお母さんとの未練を断ち切るため一緒に行動して欲しい」
彼の言葉が私の心に染み込む。優しい声で励ましの言葉は消えかっていた私の勇気の心を震わせる。
そして彼からのお願いは私の心を幸福で満たしてくる。その期待に応えたいと体の気力が漲り、心が強さを求めてくるのだ。
私はそれらを身体で心で受けて感じてしまう。
この想いこそアリシアにない
そしてそれは誰にも侵食する事なく持つことができる、私が私であるための証であると。
奏と最初にあったときから今までの記憶は私だけのもの。それは誰にも奪う事は出来ない。
だからこそ私はそれを礎にして、フェイトとしての存在を確立するのだ。
私はフェイト。奏だけの想いを叶えるべく行動する少女である。
ここから私の人生は始まり、どこまでも奏と一緒に居て何もかも叶えていく。
そう心に誓う。そして身体を起こし改めてバルディッシュを手にとった。
手に持っているバルディッシュはひび割れて故障しているようにも見える。
けど私は問いかけた。
私は何でも叶える強い力が欲しい。バルディッシュは付いてきてくれる? と。
Yes sir
といつもの事のように、そしてそんな事は聞くまでも無いと言わんばわりに伝えてくる短くも頼もしい言葉。
私はバルディッシュに魔力を込める。その魔力に応えバルティッシュの修復機能が動き本来の姿を取り戻す。
そうして私はバリアジャケットに着替え、彼に改めて向き直る。
彼の好んでいる笑顔を浮かべ、これから私のするべきことを教えて貰うのだ。
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フェイトの居る部屋に戻る。そして部屋に入りフェイトの様子を確認してみた。
やはり先ほどのプレシアの言葉は心に響いているのであろう。
瞳に力はなく体も力が入っていない茫然自失の状態である。
まずはアルフに先行してなのはたちと合流して欲しいと伝える。
強い戦闘要員は一人でも多い方が良い。そして消耗を少しでも避けるには集団でいた方が良いだろうと考えていた。
アルフは了解の旨を伝えてきていたが、それでもフェイトの事は心配なのであろう。
チラチラと伺ってくる様子だったので、フェイトの事は僕が何とかすると伝えて改めて送り出す。
そうしてフェイトと二人きりになる。多少恥ずかしい言葉でも何とか言えそうかなと思いつつフェイトへ励ましの言葉を伝えるのであった。
フェイトと話をして様子を見る。先ほどとは違い気力も戻りつつあるその姿はいつもの調子を取り戻したかのように見えた。
まずは復調したことに一安心しつつ次へ向けて行動を開始する。
フェイトの方もバリアジャケットに着替えが完了しており、いつでも出撃準備が出来ていた。
まずは一緒に時の庭園へ向かうように話を行う。
最初から自分が参加する事は反対される可能性が高いため、ここで参戦するのだ。
要するに流れで一緒に来ちゃいました的なやつである。
勿論、後で怒られるであろう。そしてクロノとかは嫌味をさりげなく言うに違いない。
その辺りはリンディさんと一緒に適当にこなせるレベルだと思っている。
まぁ、クロノにはちゃんと謝って蟠りは無いようにする予定だ。
エイミィさん達に何か言われたらリンディさんの指示のもとでと伝える感じだ。
まぁ、実際、リンディさんには事前に乗り込む予定は伝えてあるので、上手くこなしてくれると思う。
そうしてフェイトと一緒に時の庭園に潜り込むのであった。
現在、自分はフェイトに抱えられたままどんどん部屋の奥に進んでいる。
歩くより飛んだ方が速いとの事なので、それに従っているが今の体勢は自分としては微妙な気持ちである。
今、自分の体勢は逆お姫様抱っこの状態である。男としての敗北感に苛まれている真っ最中であった。
まぁ……こればっかりは自分は役に立たないのは理解しているので……甘んじて受け入れるしかないと心を落ち着けさせる。
フェイトはプレシアの居場所を探ってもらいつつ進んでいる。
話を聞く限り、今は最上階の駆動炉にいるみたいだ。
駆動炉……? 彼女ってそこが最後に居た場所だったか……?
時の庭園の内部なんて流石に分かるはずもなくさっぱりな状況であるが、彼女が最後虚数空間に落ちた時はそこであったかはいまいち判断しづらい。
少し嫌な予感が頭を掠める。しかしそこに居るのであれば向かうしかないと判断して最上階目指して進み続ける。
そして最上階の駆動炉についた時に衝撃展開を目にしてしまう。
そこには一方的に蹂躙を開始しているプレシアの姿があった……。