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プレシア・テスタロッサは愛しの愛娘アリシアと共に現在、駆動炉に来ていた。
彼女はここに来る予定はなかった。だが、頭の中に声が聞こえたような気がしたのだ。
「願いを叶えたければ、ジュエルシードの所に来い」と。
その声は少女のような声でもあり老成している女性の声のようでもあり更に男性にも聞こえるかも知れない。その声は様々な音が重なりあっているように感じられた。
病気の進行により幻聴が聞こえたのかも知れない。ただ、次元の狭間にあると言われているアルハザードへ行ける可能性はゼロでは無いが限りなく薄い。
藁にも掴む思いで、彼女はここジュエルシードが共鳴稼働している駆動炉へ足を運んでいたのだ。
プレシア・テスタロッサは駆動炉の状態を確認している。それぞれが力を発揮して無差別に力を溢れさせ次元震を引き起こしているが、やはり個数が不足していることもありまだパワーが足りていない。
もどかしい気持ちが彼女を支配する。後、もう少し開放の力が強ければ達成出来るかも知れないと。アルハザードに行ければアリシアを蘇させることも可能であるはずだ。
彼女はその鋭い眼差しで駆動炉を見続けている。
すると頭の中に声が再度聞こえてくるのであった。
「あなたの願いはなに?」
その質問に彼女はこう応えた。
「アリシアを蘇らせて欲しい」と。
ジュエルシード。「願いが叶う宝石」と呼ばれる石。
古今東西、願いを叶える伝説などあり触れているであろう。
そしてその叶え方も様々であった。
例えば、
所有者の望む通りに願いを叶えたり
所有者の望む展開では無いが、結果として願いを叶えたり
所有者を代価として願いを叶えたり
望みの意味を悪意に変え実現させたり
等、語り継がれる話はそれこそ千差万別である。
ジュエルシードはどんな形で願いを叶えるのか、それはジュエルシードのみが知る事実でもあるはず。
しかし、そこに手を入れる存在が居た。
世界は基本的に異物を許さない。
世界を存続させていくにあたり構築された意思とも呼べるシステム。
それは世界の存続に影響を及ぼす存在を間引くために力を発揮することもある。
何か歴史を変えようとして手を入れても、まるで辻褄を合わせるかのように本来の道筋に戻す力が働いたりする場合もあったりするのだ。
しかし、それは新、旧両方の歴史を観測出来る存在が居てこそ分かる内容でもあるので、それを実感出来る人間は存在しないであろう。
ただ、世界の意志を超える存在が居た。
本来逆らうことすら許さない星の意思、宇宙の意思すら子供のような気持ちで弄び屈服させる存在。
今この世界にある宇宙。そして星を創造している存在。
この世界において神と呼ばれてもおかしくないその存在は気まぐれのように見えない手でプレシアの願いを叶えるため力を与えるのであった。
ジュエルシードの力に手を入れる。本来の力と合わせて願いの方向性をコントロールされる。
次元干渉型のエネルギー結晶体はその外部の強制を得てプレシアの願い叶えるために彼女へ力を与えるのであった。
それは死人を蘇らせられるために必要な魔力。
しかし、それを使う魔法技術が存在しない。ただ、ジュエルシードはそれにあたって必要な魔力を与え続けるのだ。
その願いを持つ限りこの力を与えて、それを突き詰めていけば叶うと言わんばかりに。
そしてプレシアの頭の中に声が響く。
「それじゃ、頑張ってねー」と。
先ほどとはうってかわり、気軽にも聞こえるその声に戸惑ってしまう。
しかし、その声の後、プレシアが今まで感じたことが無いような魔力に包まれる。
そしてその魔力から感じるのだ。これを使って己の願いを叶えろと。
確かにこの魔力の量をもってすれば様々な試行をすることが出来るであろう。
自ら次元震を引き起こせそうなその膨大な魔力はアルハザードを探知して発見することすら可能かもしれない。
歓喜がプレシアの身を包む。己の病気すら乗り越える可能性すら見えてくるその力はプレシアの身を酔わすのであった。
しばらく魔力に酔いしれていると高町なのは、クロノ・ハラオウン達がここへ乗り込んでくる。
そしてプレシア・テスタロッサは散々邪魔をしてくれた人物を見てこう思うのだ。
まずはこの魔力を試すと同時に落ち着く環境を作るため、彼らには居なくなってもらおうと。
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フェイトと一緒に中の様子を伺う。
こちらが大きな動きをしていない為、こちらにはまだ気づいていない。
なのは、クロノ、ユーノ、アルフの相手をしている状態だ。
その人数を相手にしていてもプレシアは余裕の表情に見える。
プレシアから湧き上がる魔力は空間全部を侵食させようとするくらい溢れ続けている。
フェイトにプレシアはあそこまで魔力を持っていたか念のため確認する。
答えは否であった。あんな魔力は見たことも無いという返答である。
そして魔力の元を手繰ると駆動炉にあるジュエルシードと繋がっているかもしれないとのことであった。
それを聞いて考えを進める。
プレシアは何故だか分からないがジュエルシードを使いこなせており、それを使ってなのは達と対峙していると。
インチキ! インチキ! そんなんチートだ! と突っ込みを入れたくなる。
何が世界がヤバイ時に失敗するだ。ある意味、制御成功しているじゃないかと叫びたい。
ジュエルシードの制御が成功しているからなのは達の行動が失敗して世界が滅ぶ? という考えたくない状況はあの存在に文句を言いたくなる。
とは言え、状況が状況なのでこれをクリアする必要があるのも事実であった。
口の中に含んでいる薬を舌で感じて思う。
実際、何度か考えていたけど、この薬は力が強すぎると思っていた。
多少の失敗ならこれで十分カバー出来て問題無くクリア出来てしまうと楽観的に感じられてしまう。
ただこうも考えていた。本当にこの薬だけで
あの存在のことである。これだけで容易にクリアさせてくれないようにしてくるのは確信に近い感情を持っていた。
与えられる力のみで解決出来るようにするのなら、失敗するという道を作る必要がない。
ただ単に力に酔わせたいなら別だがそれだったらいくらでも違う方法がある。
あくまであの存在は己が出した結論によって感情を揺らしたいと思っているはずである。
考えた行為で成功させる感情。または失敗したときの後悔を埋め込むのが目的であれば、この薬だけで解決させることは出来ないだろうと思っていた。
とは言え、ここまで行われると手段が中々ない状況である。
この力が使えるのも1回だけなので、使い所が限られてしまうのも事実であった。
楽な考えでは相手と同じ力をコピーして相殺し、他の人達で攻撃やカバーを行うことで解決するという方法。
これは今の状況下だと難しい。
例えば今のプレシアの最大の魔力砲をコピーして、プレシアの力を相殺したとする。
なのは達の攻撃で一回で終わらせることが出来るかは不明だ。
もし、防御魔法も同時展開出来ていたらそれだけで相手に攻撃は届かないであろう。
そしてお互いの極大な攻撃の余波はどう考えても時の庭園が持ちそうにない。
恐らく制御出来る前の影響はまだ残っており、地面に穴は開いたままである。
耐久度的には下がっているであろう。そしてそんな中であの膨大な魔力の全開を行うのは全員終了する可能性が高い。
どう見てもプレシアは攻撃に全力を出している感じはない。プレシアもそれは分かっているはずである。
ただなのは達の攻撃は一切通らないので、チマチマと攻撃して楽しんでいる感じだ。
そうなるとやっぱりこの方法しか無いかなぁ……と考える。
実際、これから行おうとする行為は側から見ると自殺行為に見えるだろう。
成功した後も言い訳が色々と面倒だなと思いつつ、楽な方向だったとしても言い訳は面倒なのは変わりないなと思い直して行動を開始した。
まずはフェイトに抱えられながら、なのは達に合流を行う。
なのははフェイトの姿を見て「フェイトちゃん!!」と声を上げ、嬉しそうな表情を浮かべる。
こんな状況でも立ち直ったフェイトを見て嬉しかったのだろう。
笑顔を浮かべてこちらに飛んで近づいてくる。そして改めてこちらの状況を見てある場所に視線が向くと、その笑顔がピシッと言うように固まってしまった。
フェイトに抱えられている自分を見て。
何でお前がここに居るんだよ! と言わんばかりで伝えてくる驚きの表情である。
確かに非戦闘要員でもある自分が流れで合流しているので、多少の説明が必要だろうと思い口を開こうとする。
しかし、なのはは先ほどの笑顔から無表情に切り替わり静かに怒気を伝えるかのようなオーラを感じさせてきた。
危険なところに来ている自分に怒りを感じてしまっている状況は支障が出るので慌てて説明しようとする。
だけど、フェイトがそのなのはの様子を見て抱えている自分を守るかのようにギュッと強く抱きしめてきた。
なのはが無表情からより冷たい無表情に切り替わる。
自分でも何を言っているかよく分からないが、怒りのゲージが更に溜まったようにも感じられてしまう。
いや。色々とまずいから。言い訳がさらに混迷しちゃうから。とフェイトにおろして欲しいと視線を向けてもフェイトはこちらを見てこない……。
しょうがなく「ありがとう。フェイト。一旦おろして欲しい」と伝える。
フェイトはその言葉を聞いてようやくこちらを下ろしてくれるのであった。
下ろしてもらっている最中もなのははずっと無表情のままである。
流石になのはに謝っておこうと考えて「ごめん。こんな危険なところまで来ちゃって……」と伝える。
なのはは無表情のまま両手をこちらに広げる。その仕草は抱っこ! と言わんばかりの仕草だ。
え……抱っこするの? この場面で? と言う感情が湧き上がるが、ひとまずなのはを落ち着けようとしてハグする形でその両手に応えた。
するとなのははこちらの胸に顔を埋める。まだ怒っているのだろう。一瞬ギリッと言うような何かを耐える仕草を見せてきたが、段々とこちらの匂いを嗅いだのか落ち着いてくるのが分かった。
多少、無表情から戻り始めたなのはを見て改めて「ごめん……」と伝える。
なのはは、その言葉を聞いて首をフルフルと振ってこう伝えてくるのであった。
「ううん。それは
先ほどのフェイトの様子を説明して欲しいと言うことであろう……ずっと話しかけて立ち直る様子を見ていたから多少仲良くなった旨を後で説明しようと考え了解の意を伝える。
けど、先ほどの様子といい、なのはさん意外とまだ余裕っすね。と思ってしまった。
そしてクロノ、ユーノの様子を見る。まぁ……二人とも呆れた視線を向けてきていた。
向けられる感情はともかく、君たちも余裕だね。と心で思ってしまった。
とりあえず二人にもフェイトに付き従ってこちらに来てしまったことを説明する。
クロノはその説明を聞いて段々と表情が曇っている。「君は死にたいのか? 危険なんだよここは!」と言わんばかりの表情であった。
もちろん二人にも勝手についてきてしまったことを謝罪する。ただ、リンディさんから頼まれごとをされていることもさりげなく伝えておいた。
プレシアはそんな様子は気にして無く、フェイトの方をずっと見ているのであった。
「フェイト。あなたも来たのね」
「……」
フェイトはそれに対して無言である。そのままプレシアへ対応出来るようにデバイスを構える。
プレシアはその動きを見て、何かを悟ったのかそこからフェイトに語りかける言葉は無かった。
一度、仕切り直しと言う場面から戦闘が開始されそうになる。
開始される前に行動を起こす為、自分はなのはの所に改めて近づき語りかけた。
「なのは。お願いがあるんだけど、聞いて欲しい」と。