プレシア戦へ臨むにあたりずっと検討を重ねていた。
何かしらの要因でジュエルシードの暴走する力が強化されていた場合
登場人物の誰かが予期しない怪我などで離脱した場合
そしてプレシア自身が何かしらの要因で強化されていた場合 等
今回のパターンは一応、想定内ではあるのだ。
しかし、当たって欲しくない一つの可能性ではあったのだが……。
要因がジュエルシードの制御が出来てしまっていることで、プレシアが大幅なパワーアップに繋がっている。
その力は本来よりも育成のスピードが速かったなのはを上回っていた。
こちらの攻撃が全く通すことが出来ない以上、打破出来る可能性がグッと減ってしまうのは事実として認識しなければならない。
そして自分の手の内を検討している。
自分の能力を検討すればするほど現状、どう考えても持久戦には向かないのは分かっていた。
そして与えられている報酬能力もコピー出来る力は一度きりであり、これも持久戦としては向いていない。
出てくる結論としては、一撃で致命的なものを与えることが出来るのかを突き詰めていくしか無かった。
なので、それが出来るように準備を揃えていく必要がある。
なのはにお願いする内容もそれに伴う一環であった。
「なのは。いつも僕にしてくれていた防御魔法を貰っても大丈夫かな?」
なのはは、勿論なの! と言わんばかりに防御魔法を自分に与えてくれる。
ピンク色の魔力はこれでもう大丈夫と言わんばかりに、こちらに安心を与えるかのような強さを感じさせてくれた。
しかし、まだ自分の不安は隠せない。そしてさらにこう伝えるのであった。
「出来れば、更に重ねて防御をかけるって事は可能?」
その質問になのはは怪訝な表情を浮かべる。その困惑にも似た表情はこちらの意図を図り損ねているのだ。
しかし、馬鹿正直にこちらの内容を伝えるとなのははそんな事は絶対にさせないと言うであろう。
その誰にでも分け隔て無く与える優しさはなのはの魅力でもあるが、今は残念ながらそれに溺れている暇が無い。
だから、それを利用するかのように自分自身の都合として内容を伝えるのである。
「ここまで来ておいて言うのも何だけど、正直まだ不安なんだ……」
「なのはの魔法の力は勿論心配していないんだけど、それでもあの彼女……プレシアさんの力を目の前にして自分が
「だから無茶を言っているのは分かっている。けど、何人たりとも僕に触れさせる事は出来ないぐらい……彼女の攻撃を届かせられないように魔法で更に強化出来る事は出来るかな?」
まぁ……自分でも言っている事は情けなく自分勝手な内容なのは理解している。己の身の可愛さに彼女に力を貸して欲しいと泣きついているのだ。
間違いなくなのはからの好感度は下がるであろう。それ自体は覚悟している。
しかし、作戦が失敗すればそもそも世界が崩壊するし、少しでも作戦の成功をアップさせるためにはそう言ったものは惜しむ必要は無いと思っている。
勿論、成功出来れば後のフォローは沢山行う必要があるが……それは後で考えようと思っていた。
なのははその言葉を聞き、まるで後悔でもしてそうな表情を浮かべている。
ギッと歯を食いしばる音すら聞こえてきそうなくらい真剣にそして重い空気をこちらに感じさせてくる。
自分の泣き言のような言葉に怒りを覚えたのか、それとも情けない自分に呆れを覚えたのか分からない。
ただただ真剣にこちらに視線を向けてくるのだ。
その一瞬は永遠にも似た時間にも感じられる。しかし、その時を破ったのは第三者からの介入であった。
ピンク色の魔力とは別に金色の魔力が更に自分を包む。
なのはがそれを見て、慌てたかのように視線を自分からその魔法を掛けたフェイトへ勢いよく向けるのが分かった。
まるで先ほどの空気を受け継いているかのようにその視線はまるで睨むようにも感じられる。
しかし、フェイトはそのなのはの視線を軽く受け流す。そしてこう伝えるのであった。
「大丈夫。私も
正直、フェイトからの援護は少し予想外の展開だったが、落ち着いて考えるとあるに越した事は無いかなと改めて考え直した。
フェイトへありがとうと伝える。フェイトは満更でもない表情でその言葉を受け入れてくれた。
すると、自分が包んでくれていたピンク色の魔力が更に厚みを増したかのように見える。
しかし少しずつそれは圧縮され厚みは元に戻る。だけど、強さを増した状況を伝えるようにその色はピンクよりも少し赤く濃く感じられた。
なのはが更に強化してくれたのだと感じ、改めてなのはに視線を向ける。
そしてなのはへありがとう。と伝える。なのはは先ほどとは違い少し俯いた顔を見せて顔を横にフルフルと振るわせて構わないと言った言葉を無言で伝えてくる。
なのはが俯いているので細かく顔の表情を見る事は出来なかったが、恐らくは先ほどの自分の言葉を何とか消化して力を貸してくれたのであろう。
ひとまずは目標に達せられるぐらいの防御を得たことで、次に速く移行しようと考え行動を進めてしまうのであった。
この段階で作戦を優先するにあたり色々と焦りすぎていたのかもしれない。もう少しこの時点でフォローを重ねておけばと後悔していた。
自分はまだ知らなかったのだ……。なのはがこちらの体力、気力を満遍なく搾り取って来る今までのあの行動は
防御魔法を得たことで他を邪魔しないように存在が悟られないように少しずつ隅の方へ向かう。
なのはとフェイトは自分が移動するのを見て改めてプレシアの方に向き直り攻撃を再開するのであった。
しかしその二人が加わってもプレシアの防御を抜く事はやはり出来ていない。
プレシアはあくまで一方的にこちらに攻撃するだけであった。
次元震は制御状態になったせいなのか、影響を広げていない。
これならばと考え、誰もがプレシアに向いていることを確認しつつ、まずは一つ機器をこそこそと準備をして使い始める。
そしてそれが完了した後、次に仕込むべく準備を行う。
さりげなく腰部分に縛り付けていた機器。ある一つの目的を行うためのデバイスである。
それは大きく重くは無い。単一機能しかないそれは魔力を与えることである効果を発揮するように設計されていた。
それを背中の腰部分にセットする。
あとは、タイミングを見計らうため、プレシアの戦いを見続けるのであった。
コピー能力をどう使うのか考えていた。
巨大な魔法の力……先ほど考えた通り拮抗状態からの余波で終了するであろう。
強靭な戦士の力……例えば高町家における剣術の力。暗殺にも使えそうなその技は確かに嵌れば有効である。しかし、物理防御魔法がもしあればその技すら届かない。
ならばどうすべきか……自分はそれを突き詰めていくしか無かった。
初見必殺。言うは簡単だが破られた時点で自分に為す術は無い。だからこそ念入りに少しでも成功率を上げるための労力を惜しむつもりは無かった。
そしてそのタイミングが訪れる。
プレシアの方も細かい攻撃ではなのは達が倒れないのを理解したのであろう。
少しずつ攻撃の強さが上がってきていた。そして意識は彼女らにより集中していく。
攻撃の強さに応じてプレシアの動きは大きくなりそして集中する時間も長くなる。
そしてタイミングを見計らって自分は行動を行うのであった。
腰のデバイスに魔力を込めるため持っていた機器を腰のデバイスに嵌め込む。
カートリッジシステム。A's編から主力になるシステムでもある。
これはそのプロトタイプのプロトタイプと言ったところか。リンディさんと相談しつつ作ってもらった一品である
元々、デバイスが壊れる原因となりうるそれは現在ではあまり採用されている技術ではなかったが魔力がほぼ無い自分には助かるアイテムでもある。
勿論、魔力を込めて貰ったのはリンディさんである。
そして今回、単一機能に絞りつつ自動発動させるようにしてある。使用したあとは壊れても構わないのであくまで今回の作戦のみに使用出来るデバイスであった。
その機能は目標に向かって真っ直ぐ速く飛ぶだけである。
要するにロケットだ。腰から爆発的な魔力を噴出させて飛ぶ。腰の位置を変えれば飛ぶ方向は変えられるが細かい制御は出来ない。
勿論、それに伴う体への負荷は軽減出来るように設計はされているがあくまでおまけ程度である。
目標に向かって特攻するを主目的としているので、無駄な機能はほとんど無い。
自分が行おうとしているのは人間ロケットである。
側から見れば魔力のない自分がそれを行うのは自殺にしか見えないであろう。
ただ、そうでもしないと自分は太刀打ちすら出来ないと考えていた。
だからこそ、気力を改めて体に挿入して行動を行う。
魔力を込められたデバイスはその力を発揮させた。
自分の体が浮き上がるのが分かる。そしてカウントダウンは無く身体を勢いよく真っ直ぐ推進させていく。
そして自分が真っ直ぐ向かう先は、プレシアが傍で大事に防御しているアリシアのカプセルであった。