※この作品はR-18です。

催眠パワーでいけるのか!?   作:ヒミノまろ

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39話

 __

 

 

 

 色々と心が限界だった……。

 

 フェイトのお母さんには想いを弾かれてしまい伝えることが出来ない。

 いかに自分の力に自惚れていたのか理解させられてしまう。

 

 自分のこの想いを伝えられないもどかしさは勿論のこと私が抱えているこの想いはこんなものではないと言うジレンマを抱えてしまう。

 

 そしてそれを成すことが出来ないのはただ単純に私が未熟なせいだと思ってしまう。

 伝えることが出来ない言葉は相手に届く事はない。それはただ独り言を喋っているのと変わらない。

 想いを見せる事が出来ないのは見せたい相手にそんなものかと侮られてしまう。

 

 それらは何もかも私の力が足りないからだ。

 

 そしてフェイトちゃんの匂いを付けられた彼の匂い。

 どうしてもその匂いを私は許せないでいた。彼からその匂いを感じた瞬間、苛立ちと共に歯軋りしてしまう。

 すぐ彼の匂いを私の匂いと共に上書きして保存したい衝動に駆られてしまったが、それは流石に自重した。

 あくまであれは二人っきりで行う神聖なものだ。誰にも邪魔される事はされたくない。

 

 だからこそ私の心はまだ晴れる事はなかった。

 そして奏くんのあの言葉は私の心に突き刺さる。

 

 私が護っている力が不安であると……。

 

 確かにその通りであると思う。だって私は彼に何も見せる事は出来なかったのだから。

 そしてそれは二人の世界に罅を入れた。

 

 フェイトちゃんも奏くんに包み込むような魔法をかけてあげた事。

 

 私がもっとしっかりとしていれば、そんな事はないはずであった。

 ちゃんと彼が安心出来る空間を作り私の想いを見てもらうことが出来たはずである。

 

 それを受け取った奏くんがフェイトちゃんへお礼を言う。

 ズキリと心が痛む。それは奏くんが悪い訳ではない。全て私が未熟なせいであった。

 

 そして更にそこから行われた展開は更に心に痛感させてくる。

 

 奏くんがフェイトちゃんのお母さんの元に向かっていったのだ。

 

 魔法が使えたの!? と言う驚きはあったが、それよりも危険な場所へ向かうその行動は私の心を完膚なきまでに恐怖を叩き込む。

 

 彼を失ってしまうかも知れない恐怖。

 

 絶対にどんなことがあってもそんな事があってはいけないのに可能性が生まれただけで私の心は恐怖に支配される。

 そしてそれをさせてしまったのは何よりも私の力が足りないせいであった。

 私にもっと力があればそんな危険な事はせずとも、安心して彼を包み込めて私を見せることが出来たのだから。

 

 しかし彼はそんな私の想いに気づかないままフェイトちゃんのお母さんへ向かっていく。

 

 そして成功させてしまうのだ。彼が放った光は彼女の防御に穴を開ける。

 それは私には力が足りなくて出来なかった成果であった。

 

 私が本来護るべき人が危険な場所に向かい私が出来なかったことを達成する。

 それは称賛すべきことなのかも知れない。その姿はカッコいいと感じてしまったのも事実であった。

 

 だけど、私の心は更に蝕まれてしまう。力の弱い私は彼にとって要らないのでは無いかと気分が更に塞ぎ込む。

 

 

 そして彼の一言が私の心を抉ってしまうのだ。

 

 

「フェイト! 頑張れ!」と。

 

 

 

 どうして? 

 

 どうして? どうして? どうして? どうして? 

 

 どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? 

 

 

 

 ねぇ……。どうして? 私じゃないの? 

 

 

 

 心が叫ぶ。彼の優しく語りかけてくれる言葉を求めて身体が渇望してしまう。

 

 

 

 そしてやはり出てくる答えは一つであった。

 

 

 そっか……。私の()()が足りないからだ。

 想いの力がまだまだ足りない。だから彼は私に不安を抱いてしまうのだ。

 

 

 だからこそ私は証明しないといけない。

 

 彼を想う心。彼と一緒の世界を過ごしたいこの想い。

 過去を積み重ねただけでは無い。未来永劫。それこそ死の概念すら超越して一緒に時を過ごしたい。

 

 心に根付いている決して枯れることのなく溢れ続けるこの想いを私は何もかも表現して彼に伝えないといけないのだ。

 そうでないと彼を安心させる事は出来ない。

 だからこそ求める。私の想いを表現出来る力。魔法の力の強さを求め続ける。

 

 この想いに果ては無い。だからこそ、この私の魔法の力の限界も無い。

 今それを出せないのであればそれは私の力不足である。

 

 しかし、まだ私はとっておきを残してある。

 使用すればレイジングハートは修復モードに移行してしまうが、まだ全然私の想いを見せられてない彼には伝えないといけない。

 

 これから撃つ想いですら私はまだ満足していない。もっともっと強くなる。そして安心して一緒にいようねと。

 

 

 レイジングハート。私はこの燃え上がる心が折れる事は絶対にあり得ない。

 だからこそ今よりも、もっともっと護れる力が欲しい。協力してくれる? 

 

 返ってくる言葉はいつも通りの信頼出来る言葉であった。

 

 

 

「マスターの望みのままに」

 

 

 

 そしてレイジングハートはこれからの行動を理解したかのようにシューティングモードを維持してくれる。

 

 これから撃つ魔法は私の想いを表す。

 足りない想いは周囲から集める。本来は私個人での想いを表現をしたいのだけど、力不足を痛感していることもあり個人的感傷はこの際割り切るしかない。

 

 だけど、それでも私の想いはまだまだ足りていない。

 少しでも多く表現出来るように自身に気合を入れる。大声を出し限界まで魔力を振り絞るのだ。

 

 そしてレイジングハートへ魔力をどんどん圧縮させていく。

 強力に圧縮された魔力は器のギリギリまで溢れ今か今かと飛び出しそうなくらい硬くなる。

 

 そして目標に向かって全力全開で放つのだ。

 

 私のこの想いは幾多の星にも届き、その光は彼を安心させるように何もかも打ち砕くのだと。

 

 

 そして撃ち終わった後にこう思うのだ。

 

 フェイトちゃんとの関係をしっかりと彼にお話して貰わなければと。

 

 

 __

 

 

 

 

 スターライトブレイカー。

 

 

 なのはが大声を叫んだ後に撃ち込んだ魔法である。

 桜色の魔力と周辺に散らばっていた魔力がそれぞれ収束され圧縮される。

 レイジングハートから放たれるその光はどこまでも一直線に突き進むのであった。

 

 

 その強さは主人公高町なのはの代名詞と誰もが言えるくらい折り紙付きの威力である。

 撃ち込まれる光は桁違いの強さを誇っていた。

 

 

 それは暴走していたジュエルシードの魔力に風穴を開ける。

 恐らくそれだけで何個かは普通にあれで消滅しただろう。一気にジュエルシードの魔力が縮小され落ちてくるのが分かった。

 

 しかしその余波で更に時の庭園は崩壊を進める。

 だが、なのは以外のメンバーもそれに続き更に吹き飛ばすようにそれぞれ魔力を撃ち続けるのであった。

 

 そこから暴走した魔力が完全に霧散するまで時間はそう必要無く終わりを告げる。

 

 消滅した魔力を確認した後、崩壊に巻き込まれるのを防ぐため、早々に脱出を開始する。

 そして自分もそれに続こうと思った瞬間、ふと先ほどの消滅されたジュエルシードがあった所に目を向けた。

 

 

 

 そこには1個のジュエルシードが静かに浮かんで佇んでいた。

 

 

 何故? どうして? という思いが浮かび上がる。先ほどは()()()()。まるで蘇ったかのように静かにジュエルシードが静かに浮かんで佇んでいる。

 そして何故か見えてしまう。そのジュエルシードに黒いモヤのようなものが纏わり付くのが。

 

 イヤな予感が膨れ上がる。その予感を他に伝える前にジュエルシードは行動を開始した。

 ジュエルシードからレーザーのような魔力が圧縮された攻撃が走る。

 それはどこまでも速く一直線にまっすぐ自分の元に到着してしまう。

 

 まだ彼女らの防御魔法が活きていたので、そこで一瞬の停滞が生じていた。

 しかしその光は少しずつ削るようにあのプレシアの攻撃すら防いだ防御魔法を突破しようとしてくるのだ。

 まるでそれはプレシアが記憶を無くす前に最後に思っていただろう「あのクソガキ。殺してやる」といった想いを引き継いでいるようにも感じられる。

 

 その削られるような音に他の人も異変に気づく。

 攻撃されている自分を防ぐため、助けに入ろうとするがそれでもこちらに来るまでのタイムラグは致命的であった。

 

 倒したときの油断を誘い一撃入れてくる。

 ある意味定番でもあり、心の隙をついたそれは実際に行われるとどこまでも厄介である攻撃である。

 その手腕は意地悪を煮詰めたあの存在を彷彿とさせる。

 

 どんどん防御魔法が削られていく。そして自分に到達するまでもはや時間は無い。

 しかし、やはり彼女らの防御魔法は優秀であったのだろう。自分に届く頃には威力も大分減衰しているのが分かった。

 

 そしてその攻撃が身体に触れる前に自身の体を守る最後の切り札を起動させる。

 それはリンディさんの魔力を使用した防御機構である。

 この攻撃は想定外であったが、元々事前に備えるべきところは出来る限り備えようとしていた性分が活かされる。

 

 これは受けるをメインにしていない。受け止められる耐久さを捨てどちらかと言えば致命傷を避けるために逸らすを重点に置いてあった。

 本当に切り札の一つであった為、対プレシア用で緊急避難用として準備していたものである。

 大きく開いた傘のように円錐のような形で防御が展開され先ほどの攻撃の光を逸らすように機能を発揮してくれた。

 

 だがそれも一瞬で破壊されるが、弱まったその攻撃を逸らす目的は達成出来てくれた。

 しかしその砕かれた衝撃はこちらの体をふき飛ばしてくる。

 

 吹き飛ばされた体は宙に浮き上がり、勢いよくどこかの壁にぶつかった。

 カハッとぶつかった衝撃で自分の体から空気が漏れる。そして衝撃の痛みに耐え切る事は出来なく、そのまま地面に倒れてしまう。

 

 

 

 あいつ……殺意高すぎだろ……と思いながら少しずつ意識が薄れていくのを感じ、駆け寄ってくる足音が大きくなってくると同時に意識を落とすのであった。

 

 

 

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