遠足は家に帰るまでが遠足である。
よくある言葉の一つではあるが、改めてそれを思い知らされた。
確かに無印編における山場は超えた……だが、色々と後に反省するべき所が多いのも事実である。
時の庭園における最後の攻撃もそうだが、アースラにいる現段階でも軽率な行動を起こしすぎである。
お互いの体についている汗と様々な液体。そして男女が絡み合った濃密な匂いが充満した部屋をどうにかしないといけなかった。
フェイトはそもそも知識が不足している以上、後始末をしないといけないと言う所の意識は強くないだろう。
いまだに笑顔を浮かべて裸のままぴったりとくっついてきている。
お互いの体温の温もりは安らぎを与えてくれるがそう言う事態ではないのも頭では理解している。
色々と死活問題である。
確かに部屋自体は密室として安全かも知れない。だが、あくまで部屋だけであり、そこから先はある意味で敵陣地である。
下手に人と遭遇すると色々と怪しまれ終了する可能性が高い。
最低でも人が来ても怪しまれない程度まで片付けを行わないといけないのが色々と厄介である……。
特に怪我で意識を失っていた自分が目覚めたとなると……人が絶対に来るはずである……。
この惨状をなんとかすべく対応を行うのであった。
部屋の換気を行いつつ、お互いの体についている様々な体液を拭っていく。
フェイトはその拭う対応で何故か少し不満の表情を見せてきたが……終わりの合図を告げると共に今回過ごした時間のことは絶対に誰にも話さないようにお願いする。
体液を拭ったゴミなどに関しては、別途の袋に詰めて自分の荷物の中にしまいこむ。
そして、ベッドのシーツなども替えを行い、それらも荷物の中にしまう。
まぁ……シーツなどはこちらで洗濯した後、戻すのも忘れないようにしないといけない。
この辺りはどちらにせよリンディさんに調整を行う必要があると考えた。
……どちらにせよこれからリンディさんに調整をお願いすることになるのだが。
ひとまずお互い服を着て、フェイトに自分が倒れた後のことを伺う。
自分が気絶した後、全員無事に時の庭園から脱出を行うことが出来ており、そのまま自分は容体の確認をされたみたいである。
診察結果としては打撲などの怪我程度であり、意識もそのうち戻るだろうと言うことで自室にて休ませることになったらしい。
しかし、なのはとフェイトはそのまま自分のそばにずっといる状態であったため、流石に戦闘の後と言うこともあり各自休ませないといけないと判断したのかリンディさんが交代交代で看病するように話を行ったらしい。
それでも反発しそうな雰囲気があったみたいだけど、そこは彼女の手腕でうまく取りなしたらしい。
そうして自分が目覚めた時はフェイトの看病の時間だったみたいだ。
となると、そのうち交代の時間が来る……?
焦りが心に生まれてしまうのを隠しつつ、フェイトに交代時間の確認をする。
だが、交代の時間は朝まで無いので、現状はまだ余裕であるらしい。
それを聞いて一安心しつつ、今は深夜であると言うことに改めて気がついた。
部屋の空気は換気のおかげで大分落ち着いてはきたが、体に染みついている匂いはまだまだ消えないだろう。
これは洗い流す必要があるので、その辺りの対処をしないといけない。
だが、深夜でもあるため、こっそりと浴びるように対応を進めて行った。
深夜帯でも出撃は24時間ありえるため、シャワー等は普通に使える。
フェイトにも身体を洗うように伝えて、自分の身体を洗い流すためにシャワー室へと進んだ。
そして、一人になった時にリンディさんとの通信を起動させて連絡をとる。
無事目が覚めたこと。そして今は戦闘もあったため、寝汗も含め洗い流すためにシャワーを浴びている旨を伝える。
目が覚めた話をした時には凄く安心した声でリンディさんが応えてくれたのだが、シャワーの話の時には何故かリンディさんから返事は無く、無言の状態であった。
何か気まずい空気が生まれそうな時に、リンディさんから「後できちんと二人っきりで説明をお願いね♪」と言われてしまった……。
……流石に色々と言い訳が厳しかったか……それともリンディさんの勘なのか何か引っかかってしまったのかは分からないが何か察知されたことは確実である。
フォロー案も考えつつ、いざとなれば命令でなんとかしないといけないなと考えて取り敢えず身体を洗い部屋に戻った。
部屋に戻り、中の匂いを確認して完全に落ち着いたのを確認してから一息ついていると急に扉が開いてなのはが中に飛び込んで来た。
そしてこちらを確認して「よかったの〜!!」と涙目になりつつこちらの胸へ飛び込んでくるのであった。
胸に飛び込んで来たなのはの頭をよしよしと撫でてあげて離れないことを確認しつつ、なのはの気持ちを落ち着けさせる。
なのはは最初、頭を撫でられたまま胸に顔を擦り付けてきたのだが、スリスリとしつつも何か違ったのか「……?お風呂入ったの?」と聞いてくるのであった。
一応、戦闘の後でもあったので、さっぱりしたかったんだと伝える。
その言葉にむーとした表情を浮かべたなのはは、そのまま自分の匂いを擦り付けるかのように更に強く顔を胸に押し付けてくるのであった。
しばらく時間が経過した後、顔を擦り付けていたなのははようやく満足出来たのか、少し顔を離して辺りを見渡す。
そしてすんすんと鼻が動く動きを見せた後、「そういえば……フェイトちゃんは?」と聞いてくるのであった。
君は犬並みの嗅覚を持っているのかと言わんばかりのその仕草に戦々恐々しつつも一先ず目が覚めたから落ち着くために席を外してもらったと伝える。
その言葉に改めて気がついたのか「……体は大丈夫なの?」と心配した声がなのはから聞こえてきた。
本当は全然大丈夫では無い出来事があったのだが……「うん。大丈夫だよ。少し整理したかっただけだから」と伝えてその出来事は何も無かったかのように振る舞う。
なのははその言葉を聞き、「本当によかったの!!」と改めて無事に喜びまた顔を胸に埋めてくる。
そうしてなんとかやり過ごしつつその日は過ぎていくのであった。
プレシア・テスタロッサが起こした事件は解決され事態は一先ずの終息を迎える。
フェイトは今回おこした事件の重要参考人。そして……アリシア・テスタロッサは証拠品として状態を維持させるようにしっかりと保管されている。
フェイト自身は主導で無いのは関係者には分かっているが、手続きは踏む必要があるので、それに向けて準備を進行させていく。
リンディさんとはあの件とは別にフェイト達の待遇も含め色々と相談しつつ進めていく。
そしてミッドチルダに戻る期間も含め色々と調整していく。
山場をクリアしたことにより、改めてある推測への確信が深まるが、その辺りも含め別途に纏めるとしても……それらが正しければ絶対にある行動が差し込まれてくるはず。
とはいえ、それに頼るだけでは無く、外れたとしてもセーフティは必要なのでその辺りの調整はリンディさんと念入りに行っていった。
そうしてリンディさん達が帰還のために自分達がアースラから下船する時が近づく。
一旦離れることについて、フェイト達と話を行う。
リンディさんの話には従うようにすること等、それぞれ注意すべき内容をぼかしつつ改めて伝えておく。
自分とフェイトが何故仲良くなったのかに関しても、フェイトが心折れた時に付き従っていた時に仲良くなった状況を布教するのも忘れていない。
そうしてそれぞれ話が終わった後、なのはとフェイトの二人の会話がこちらから離れて行われる。
ここで二人が友達になる関係を築き上げていくのだ。
さすがにこの辺りの言葉を拾っていくのは無粋であろう。
元々知っていることでもあるし、そのまま他の人たちと一緒に見守る姿勢で二人を見る。
そうして二人は何回か言葉を交わした後、握手をしてなのはとフェイトは別れたのであった。
__
「フェイトちゃん……」
「フェイトちゃんのお母さんのことに関しては……私に言えることは何も無いかもしれない」
「だけど、フェイトちゃんがそれを乗り越えて前を見てくれたことは凄く嬉しかった」
「フェイトちゃんは何故前を向けることが出来たの?」
「なのは。私は何も変わっていないかも知れない」
「母さんに見捨てられた時、彼が私を励ましてくれた」
「こんな私でも必要としてくれる人がいる」
「だから私はそれに応えたい」
「そっか……」
「フェイトちゃん。友達の作り方って知ってる?」
「…………分からない……友達は居なかったから……」
「フェイトちゃん。手を出して」
「なのは?」
「フェイトちゃん。友達ってね。お互いの名前を呼べば友達になれるんだよ」
だからこれでフェイトちゃんと私は友達だね。
そうなのはは告げ二人の手が重なり合う。
フェイトはなのはと重なった手をじっと見ている。
そのフェイトの様子を見ながらなのはは本来の目的であった言葉を伝えるのだ。
「そして、友達だから本当に言いたいことも言えるよね」
「なのは……?」
「教えて欲しいの」
「なんでそんなにもフェイトちゃんから奏くんの匂いがするのか教えて欲しいの」
__
アースラが航海を開始して、自分達はいつもの街に戻る。
なのはとは約束した特訓?の日程のことも話をしつつ別れて自分の家へと戻った。
少し離れて居ただけだけど、こうやって戻ってくると無事終えた感が改めて心へと染み渡る。
無事かどうかはさておき、クリア出来たという事実は心の安寧を持たせてくれる。
玄関から居間に移動して、ソファに腰をかける。
ふー。と今までに感じていた疲れを言葉に出しつつ目を閉じた。
何とか最初の話をクリアすることが出来た。本当に一人になったことで、改めて達成感が体を包み込んでくれる。
しかし、これからのことを考えると問題は山積みである。そしてクリアできる見込みもまだ立っていない。
考えも整理しないといけないし、することは沢山あるな……と思って改めて気を持つ必要がある。
だが、少しは休憩したいと思って気を抜いてソファへ体を深く預ける。
そして、体の力を抜き目を開けると……。
何も無かったはずの今のテーブルの上に白い紙が置かれていたのだった。
いや……少しぐらい気を抜かせてよ。とそれを見なかったことにしたい誘惑に駆られるが、そういうことをするともっと面倒な展開にしてきそうな気配も感じられてしまうため、泣く泣くその紙を取る。
そして目に飛び込んできた紙にはこう書いてあった。
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ではでは『中間評価』はっじめるよ〜〜!!!
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無印編はこれにて終了となります。
ここまで読んで頂き本当にありがとうございます。
色々と考えた結果、更新頻度は少し落としつつ掲載を続ける予定です。
無印編後に関して、少し幕間と言う形で短編を記載したいと考えておりましたが、ニーズが分からない為、アンケートを取れればと思っています。
もし、興味があれば回答のご協力をお願い致します。
7/23追記:アンケートのご協力本当にありがとうございました。色々と参考に致します。
下記で読みたい短編(R-18)はありますか?
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