寝起きの微睡は、ある種特別なものだと思っている。
意識が覚醒するに合わせて思考が少しずつ加速していく感覚。
シーツから感じる温もりの幸福感。そして、何故かどの季節であっても、朝特有の澄んで冷えたような空気を顔に感じさせてくる。
冷ややかな感覚と暖かい感覚。
何故かその温度感は幸福を呼び、いつまでも無限に感じてしまいたいと錯覚させてしまうほどだ。
しかし、脳内に鞭を打ち、思考は覚醒を促して、頭の歯車を回していく。
だが、耐え難い魅力の環境下の威力は強力であった。
それらの葛藤は……この後に二通りの道が見えてくる。
要するに
早く起きたいのか
それとも起きることを拒絶したいのか
この二つの道はその後の未来を想定することで大体決まるだろう。
良いことがあるのなら起きる。
悪いことがあるのなら逃避する。
前者ならむしろ誘惑を振り切る力も強く、起床するのだが、
後者だと、最終的には逃げられないことを悟り、覚醒することを決断する迄、至福に感じる時間をギリギリまで堪能するであろう。
まぁ……どちらにせよ起床と言う事象からは逃れられない。
勿論、怠惰の悪魔に唆されることで道を外すことは簡単であることも理解しているが、それを行うほど自身は幸せの環境下に居ない。
怠惰を貪った結果は、敗北感をイヤでも植え付けられた上で、肉体のみならず魂すら消滅されるであろう。
<<アレ>>は転生すら容易に出来る存在である。それが目的を持って行動しているのだ。その事実だけで、怠惰を貪った後に訪れる終末は容易に想像出来る。
目的にそぐわなければ別にいらない。
目的に近づくのであれば道は準備をしてあげる。
この別にいらないと言うのは、相手の価値観にのみに活きる内容だろう。
要するに自分だけなのか、そもそもこの世界すらなのか。
その大事な価値観は相手だけによって決められる。
まぁ、対象の世界すら騙せるであろうことを考えれば、自然と辿り着いてしまう。
相手にとってみれば、世界すら一つのボードゲームであろうと言うことを。
トランプというカード(世界)を利用してポーカーというルールを縛り、ゲームを行う。
そのくらいの感覚だと思っている。
なら飽きたら(目的にそぐわない場合)は、手仕舞うことも簡単だ。
カード(世界)を纏めて箱に詰めればいい。
勿論、トランプならばその後、再度利用される可能性は高いだろう。
それはカードの中身が、【それぞれが数字と絵柄によって役割を作ること出来る】という一定の効果を持っているからだ。
それを元にポーカーなりブラックジャックなり、再度プレイすることは当たり前であろう。
だが、次に開封したとしても、役割が無いカードしか無い。そして開いたとしても何のゲームにも使えないカードなら、開封は決してされないであろうことも容易に想像がつく。
カードの中身(人というコマ)が役割を持って、プレイしたいゲーム(目的)が出来ると言う、状況下が作れない限り、再度開いてもやる意味がないと判断されているからだ。
ある意味使えないと言う烙印を押されたとすれば、当人は否定したいだろう。
必ず正解を引き続ける人なんてものは、ある種の人智を超えた存在と言っても差し支えないかも知れない。
なら、尚の事、人である存在であるならば、2度目のチャンスが欲しいと言いたいのも当たり前である。
だが、ある意味では、全てを見通せる上位の存在は基本的にそれを認めないはずだ。
2度目でその意図を達することが出来るのであれば、1度目を何故ベスト……限界までやり切らなかったのか? と。
そう。結果がどうやっても見えないものであれば、やる意味なんぞ皆無であろうと。
『頑張る』と言う見えない保証は、行動を伴って初めて具現化する。
そこで、怠惰の悪魔の存在が浮き彫りになるのだ。
怠惰は常に脳に働きかける。魅惑的で甘美でもある。そしてそれを身で味わっている時は悩みも無く至福であろう。
だからこそ、それに溺れてはいけない。
溺れて良いのは、寿命を全う出来るその日まで、何もかも心配することが無い幸せの環境を得た特権である。
少なくとも己はその環境下にはない。だから、常に溺れないように精神を律していくのだ。
段々と頭の歯車に潤滑油が入り、回転されて暖まり始めた思考を回し続ける。
考え始めた内容は、今後のことである。
すなわち2作目。A's編のことだ。
リリカルなのはA's編
なのは達がプレシア・テスタロッサ事件(P.T事件)を経て、精神的、肉体的に少し成長した後に発生する事件を描く物語。
そこで紡ぎ出される物語は恐らくシリーズTOPの人気を誇り、根付いているファンも多いであろう。
キャラクターの魅力も上昇を続け、色んな意味で歴史に名を入れてしまう程でもあった。
簡単に物語を頭に描く。
八神はやてという足に障害を持っている少女が、闇の書と呼ばれるロストロギアを覚醒させヴォルケンリッターと呼ばれる守護騎士を呼び出す。
そして、足の障害が身体全体に影響を及ぼしていくのを察知した守護騎士達が、はやてを救うために闇の書に力を蓄えるために事件を起こす。
そうしてなのはとフェイトがその事件に参加していくのだ。
最終的にプレシア事件と同様で全てが全て救われるということはないのだが、それぞれが更なる大人へと成長を遂げていくお話でもある。
実際のストーリーの流れは、流石に人気の作品でもあるため頭に入っている内容は多い。
それらを元にしつつ動く行動指針を纏めていく。
まずは相手の行動を想定した。
恐らくはストーリーを破綻させなければ、あの存在が手を入れてくるのは闇の書の暴走時だろうと予測する。
それを考えると結局は手を入れるポイントを想定できるようにストーリーを破綻させないことは必須であろう。
そして、仮定ではあるがリリカルなのはシリーズを無印〜A's〜StSと言う形で三部作としてみた場合、作る側はどういう内容を考え作っていくだろうか。
よくある構図としては、
1作目 オーソドックス(その作品の基礎となるもの)
2作目 オーソドックスを進化させたもの
3作目 進化されたオーソドックスの中に新たな機能を取り入れて更に進化をさせる
そして4作目にあたる所で、経営する側が既存ユーザーの数の限界が見えたように感じてしまい、新規を取り込もうとして、その作品のオーソドックスを取り払い新たな道を取り入れようとする。
それが大体、失敗してしまうのも、よくある出来事と言われるくらいにざらにある。
4作目までいける大作と呼んでもいいくらいのものであれば、長い期間もあるはずで作る人も変わっているだろう。
最初の製作している人の意図がどんどんとずれることもあるだろうし、もっともっとと高い売り上げを望む大人の柵が、つまづく石ころを大きくさせてしまうのだ。
勿論4作目以降も成功している事例も多い。その事例が夢を生み出すのだ。
その結果、夢破れるか、それとも成就するかは、どちらにせよ手腕次第であろう。
これらはあくまで積み上げていく作品の内容であって、勿論違う気風の内容もあるだろう。
例えば……
1作目 オーソドックス(その作品の基礎)
2作目 そこから風呂敷を広げる
3作目 さらに風呂敷を広げる
4作目 宇宙に行く(畳めない風呂敷を気にせず別世界へ)
ぐらいに細かいことは気にすんな的にシリーズを拡大していくのもあるはずだ。
これは生まれ育った文化的思考もあるだろうし、その気風がそれぞれに影響しているんじゃないかなと思ってはいるが、どれが好みかは人によって違うだろう。
少し話が外れてしまったが、要するにどんな形であっても普通に考えれば、二作目に突入するA’s編では難易度が上がるはずなのだ。
それが相手の力の増量なのか環境なのかは現段階で判断は出来ないのだが、間違いなく無印編より低いことはあり得ないと想定する。
それらを加味して大枠な指針を決めて行く必要がある。
そして……リンディさんと共に検証した強化された【家】の状況も加味する。
検証して得た内容を簡単に頭の中で纏めてみた。
①家の強度がとんでもない強度になっていた(リンディさんの全力攻撃ですら傷一つ付かない)
②新しく作られた扉はミッドチルダの新しい家に繋がっていた
③そして、家の存在が恐らくではあるが、かなり希薄な存在となっている
①は単純である。家の強度がとんでもない位に上がっていた。
恐らくは地球が崩壊しても家だけは残りそうな感じである。
勿論、地球が崩壊すれば重力や空気も無くなり、中に居ても助からないことは確実ではあるだろう……取り敢えずはそんな感じである。
②は想像通りと言うか分かっていた結論ではあった。
新しく作られた扉を開くとミッドチルダ(リンディさん曰く)に移動することが出来た。
扉の先の部屋は今の住んでいる家と同様に誰も居ない一室であった為、これも恐らくはあの存在が新しく作り出したものであろうと言うのが想像に難しくなかった。
③これはまだあくまで仮説レベルではあるが、恐らくこうなっているだろうと言う想定である。
何故これに気づけたかというと、リンディさんのあの長い長い一日のひととき……によって理解したのが……ちょっと悲しいのだけれど……。
要するに邪魔が全く無かったのだ。
リンディさんはアースラ艦の艦長であり提督でもある。有能な手腕を発揮した上で、1日アースラ艦の人員をこの家に近寄らせる事無くする……ということも可能ではあると思うが、
それでも有事の際における定期連絡等を取らないと普通に問題になるであろう。
もし、それらがない状態でも問題が無いような形でリンディさんが手をうったとしても、軽く探りを入れられることもあり得る。
特に鋼鉄な頭を持っている息子が居るのだ。リンディさん本人の意図とは別に何かしらのアクションがあっても可笑しくは無いはずである。
だが、それらの心配は全く要らない位の状態であったのだ。
要するにリンディさんが【この家】に居たと言うことが、彼らの頭の中で深く意識を行うことがされていなかった。
それらの状況を加味すると、似たような状況を得た時を思い出す。
そう。【両親が居なくても問題ないという認識】だ。
自分という子供が、大人が必要となる手続きをしたとしても問題認識をすり抜ける。
恐らくそれに近い状況が【家】に与えられているのだと思っている。
何故これが与えられたのかということは、恐らくではあるがストーリーの先を考えると仮説が成り立つ。
とは言え、これはまだ検証時間が短いので、ある程度更に深堀りしておくことが必要だろうということを頭の中にメモしておく。
それと手元の所持品を確認する。
持っているものは3点
指輪式タイマー
名前を確認するペンダント
そして交換券である。
指輪とペンダントは正直、合ってもなくてもどうにかなりそうだと思ってはいるが、それでも裏を考えれば持っていたい気持ちもある。
ただ、後一つで交換券を利用出来ると思うと、選択肢が狭まるのも避けたいのも事実であった。
色々と考えたが、取り敢えずは必要に応じてと言う臨機応変な対応と言う結論に至るしかなかったので、保留事項として頭の中を整理する。
そんなことを材料にしつつ、動いていく行動の指針を頭の中で描いていった。
八神はやて
A'sストーリの根幹でもある少女。間違いなくメイン対象であることは間違いないであろう。
ということは、彼女を手の中に置くことは必須であろう。
だが、事件前に彼女と一緒にいることは色々と問題も多い可能性が高い。
まず、彼女はある人物から監視対象に入っているはずである。
はやてと繋がっていて、なのは達と繋がっていることがバレると、こちらに制限がかかる可能性が高い。
事件後半、大体の問題が露わになっている時に合流することで違和感を無くすようにしたい。
しかし、彼女との接点は事件前に持っておく必要がある。
その辺りの行動方法を考えていった。
そして……ヴォルケンリッターの存在。
果たして、催眠能力が対象なのかが試してみないことには分からない。
デバイスとして見ればかなり怪しく思えてしまうが、色んな意味で考えると継続対応であったりと能力対応自体は恐らく可能なので出来るだろうという予測も経つ。
他のデバイスで試そうにも、もし成功してしまった場合、継続対応が出来ないため終了である。
ある意味そんな危ない橋は渡ることは出来ない。
まぁ、仮に出来たら出来たで問題は無い。出来なかったら出来なかったで一歩進んだとしてポジティブに考えようと思う。
だが成功する可能性があり得る以上、細心の注意で望もうと思う。
守護騎士の中には男性も1名いるので……色んな意味で下地を整えないと危険だろう。
ストーリーの組み立て方と試す順序は念入りに検討していく。
そしてまだまだ問題はある。
はやてを監視している人物の対処。
なのは、フェイトの動きかたの誘導。
リンディさん達の立ち回りの相談。
そして……
StS編の布石対応。
無印編では正直そこまで考えるより、そもそもクリア自体出来るのかが分からなかった為、そこは欄外に置いていたが、クリア出来た以上、A's以降の今後を考える必要がある。
あのマッド……もとい天才科学者さまを含めStSの下地を整えないといけない。
それと、基本ストーリーから外れた内容。
アリシア・テスタロッサの対応も考えないといけない。
結果的にこちら側に保管することが出来たが、そのまま時空管理局に置いておくと大体歪なことになりそうなことは想像がつく。
魔改造の可能性もあり、色々と面倒なことが起こる前にこちらで手を打たなければならない。
恐らくこの辺りにおいて【家】の存在が重要になってくるだろう。と考えていた。
やることを想像すればするほど、気が重くなってくる。
段々とこのまま再度寝てしまおうかと逃避したくなってしまう。
だが、無情にも時の流れは万人に訪れて、起床の時間が近づいていった……。
ゆっくりと部屋のドアノブが回る音が聞こえる。
頭は思考中で目覚めてはいるが、姿勢はベッドの中にそして瞼はずっと閉じたままだ。
要するに寝ている状態と変わりがない。
しかし、部屋のドアノブが回る音が聞こえた時に一瞬、心臓の鼓動が早くなる。
起床の時間が来たと告げられたのだ。
だが、すぐ起きることは出来ない。
人体の不思議として、よくある話で、視覚という大情報を防いていると他の感覚が敏感になると言う。
それを今、実体験していた。
音を極力立てないようにして開いていく扉。
そして身体は小さくも内部に大きく秘めていることを伝えるような体温の熱量を肌で感じる。
その熱量が段々こちらへ近づいていくのを肌で鋭敏に感じ取っていった。
視線が顔に感じる。
瞳を開くことはしていないが、近づいて来た人物から発せられる視線の力が肌を通して感じられた。
まるで達人になったようにも思えてしまうが、そうではない。
視線が強すぎるのだ。
鼓膜を震わせて聞こえてくる吐息の音。そして肌で感じるその風の力は相手との距離を想像させる。
間違いなくこのまま顔を動かせばお互いの顔と顔がぶつかる距離である。
それだけ近づいていると色んな香りが鼻腔に吸い込まれれくる。
少女の身体から発せられている、甘く蕩けるような香りと石鹸の清潔さを感じられるような香り。
吐息は温かい感覚と、軽く指先で愛撫するような刺激を皮膚に伝える。
最近は入ってきてからまず顔を見られることが多くなった。
そしてその時間は段々長くなっているようにも感じられる。
しばらく見ていたことで彼女は満足していたのか、行動を再開させた。
布団の中にスッと入り込む感覚が伝えられる。
その行動を想像することで自然と期待に満ちて鼓動がドキドキと高鳴っていった。
そして……不意に敏感な部分を通して快感を脳に伝えてくる。
「あ……♡今日はまだちっちゃいままなの♡」
ボソっと聞こえたそのセリフに『小さい言うな』と脳内に突っ込みを入れた。
そんな突っ込みはいざ知らず……彼女……なのはの朝の日課が始まる。
……この問題もそろそろ何とかしないといけないなぁ……と思いつつも先端からの刺激によって頭に快楽の信号が走り、気持ち良さが身体を染め上げていくのだった。
活動報告の方にA's編の予告編(多分)を描いてみましたので、もし興味がありましたら見て頂ければ幸いです。