サイコロの出た目は……
「4」であった。
「4」の継続内容は
『1週間に1回。催眠実行者の精液を飲ませる』
である。
すずかと同じか……。
少しだけほんの少しだけ、すずかに吸い続けられた体験を思い出してしまう。
一瞬、背筋に悪寒が走ったので、それ以上考えるのを辞め、対応方法に関して検討する。
正直、出目的にはもう少し軽い方がやりやすかったのだけれど、出てしまった目は変えられない為、それに向けて調整する。
すずかと一緒の形であるため、そちらの設定流用を考えつつも、はやて的に今後、不自然にならない程度の動作を考えなければならない。
ただ、ヴォルケンリッターが出現前であるため、催眠内容によって動く『はやて』が『はやて』であると言う前段階が可能な為、<<原作としてのはやて>>を知っている状況で無ければ、不自然さにはそうそう気づかないであろう。
監視者を除いてと言う注釈がつくが。
どこまで彼らが「八神はやて」に対して、分析をしているのかは分からないが、それでもある程度の期間を確認していれば、おおよその性格や行動パターンは頭の中にあるだろう。
そしてそれが急遽逸脱した場合、何に原因があるのかを探ってくるぐらいの行動は起こすのも自然の流れで想像がつく。
間近でいつもと違った変化があった出来事。
すずかとの会合である。
恐らく不可解な出来事があれば、そこをより深く調べるに違いない。
そうなると、なのはとの結びつき、そして引いてはリンディさんとの繋がりによって『何か不可解』と言う違和感が生まれるかもしれない。
すると、どうするか? なのは達の監視が生まれ、それによって自身も可能性として調べられる可能性が高い。
この能力までは辿り着くこと自体、難しい環境にしているけど、それでも注視される深く調べられると言うのは後にどういった爆弾になるか分からない。
なので、極力……絶対に避けるべき事項であろう。
では、どうすれば良いのか?
まずは、リンディさん含むなのは陣営の対応である。
こちらに関しては、最終的に『闇の書』と呼ばれるロストロギアの存在が現存していると言う情報が無ければ、彼女らの行動に理由が生まれない。
そして、すずか自身はなのは達との関連はあるが、魔法は知っていないと言う環境下も利用し続ける。
なので、なのは陣営に対して、現段階では『八神はやて』の紹介は控える。
あくまで友達の友達の延長線上を、事件発生まで維持しないといけない。
そして……すずかは
結局、その人員を深く調べても何も出てこないと言う実績を認識させる。
向こうも下手に藪をつついて、逆に『闇の書』の関係者……リンディさんとクロノの勘ぐりを避けたいはずである。
すずかの会合は、偶然であると言う状況下を維持出来ていれば、深く動いてくることも無いだろう。
ただ、自分は、はやてと接触をある程度持たないといけない。
『継続対応』がある以上、何かしらの方法で『八神はやて』に自身の精液を飲ませないといけないのだ。
言葉にすると誰かさんに「変態! 変態っ!! ド変態っっ!!!」と叫びながら殴られてもしょうがないのだけれど、死活問題であるから……こればっかりはしょうがないと割り切る。
とは言え、催眠を行うと決めた時点で対応は考えないといけなかったのも現実であった。
そうして……自分的に考えた内容としては、
「不自然に見えるかもしれない行動は、はやて自身が考えたことによって生まれている」
である。
要するに、はやてが不自然な行動を行ったとしても、はやてにその不自然な
では、その理由をどうするか?
それを催眠内容として組み込む
・鏡音奏に好意的感情を持ち、鏡音奏の姿を見ると恋愛的感情が溢れる
・鏡音奏のお願いを叶える為の努力を怠らないようにする
・鏡音奏から渡された飲み物に対して、抵抗無く飲むことが出来る。そして、その飲み物を飲むと、とても美味しく幸せに感じる
・鏡音奏の精液は美味しく幸せに感じる
・鏡音奏の精液を飲むために行う鏡音奏との行為は全て幸せで、体を舐める行為も抵抗無く美味しく感じる
・精液を飲む行為は、人前では恥ずかしい行為だと認識する
・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら精液を飲みたい衝動は一時的に抑えられる。
・鏡音奏から「八神はやて」と呼ばれると「はい」と返事を行う。
何故? 写真を見せる必要があったのか? と言う所だけれど、要するに自分を『鏡音奏』と言う事実を認識させた上で催眠設定を行いたかったのだ。
勿論、この認識を催眠で設定する方法もある。
ただ、一つの懸念としてペナルティが発生した場合、名前の認識からスタートしなければならない。
ペナルティでは無くても何かの効果で消えてしまった時の想定もしなければならない。
いきなり名前の認識からスタートすると周りの空気も変わるし、難易度が跳ね上がる。
その上、設定的に積み上げたパズルは下が崩れると脆いだろう。容易に崩れ去る可能性が高くなるのだ。
実際……その時になった場合、どこまで催眠で設定した影響が出るのかも考える必要があるため、実際パズルの高さは低く設計するに越したことは無いのだ。
だから多少不自然でも手順として最初に行いたかった。
そして……はやてに設定した内容。
「八神はやて」にこちらから接触した場合、何か怪しい理由があるかも知れないという意識。
これを消す為の下準備である。
要するに「八神はやて」側に理由をつけさせるのだ。
その理由付け……。
正直色々と考えたのだけれど、やはり自然な形で組み込めるようにするには、自分の小さな頭ではこれが妥当かと言う結論になった。
『一目惚れ』
と言う理由付け。
「八神はやて」は少女。言葉を言い換えれば女性である。
異性。男の子に強い興味を持つなんて年頃の少女ならそうパターンが多くはない。
好意
恋に恋するお年頃も多い年代である。幸いなことに自身の顔立ちも悪くはないのだ。
だからこそ、なんとなく気になる。気に入ったと言う好意が向こうから近づいてくる理由付けになってくる。
興味があるという行動は、周りに対してもそこまで不自然な理由にもならない……はずである。
そして八神はやては薄幸の美少女なのである。
監視者も、主目的である【執行】に対する罪悪感もあるはずだ。
その時までは、多少は幸せに過ごすと言う環境を崩す事はしないだろうし、最悪、それを用いることすら計算するはずだろう。
なので、行動理由に対して、邪推するということまではそうないはずだ。
この人ええやん!!と興味を持って会ってみたら、あかん。惚れてもうた……!
そういう形で『一目惚れ』のシーンを作るのである。
惚れた方は女性からなので、こちらに理由が無い。
監視者がそう言ったシーンを見てくれれば万々歳である。
だからこそ、その後、相手側と接触しても、不自然な行動に見えづらくなり、違和感の匂いは消せるはずである。
後、現段階で顔を合わせておけば催眠もより容易に行えたのだが……顔を合わせてしまうと、彼女に出会った事実がこの段階で生まれてしまう。
もし、内緒のお願いをしたとしても、はやて自体が、その後の行動で自然な動きが鈍る可能性もある。
誰もがすずかのように出来るわけではない。各々のスキルを把握して活かさないと選択肢がどんどん狭まってしまうので、常に注意を払うべきだと考えていた。
そして、はやてに出会ったことを忘れる催眠を設定したとしても、それはそれで後の爆弾になりえそうな懸念が生まれてしまうので、それはそれで避けたかった。
なので、現段階では合わないに越したことは無いと判断して、今回の行動を起こしている。
そして、彼女に行ってもらうことはあくまで『努力目標』として動いてもらおうと思っている。
これは結局会話出来る内容も限られると思うので、こちらの話す意図の匂いをさり気なく拾ってもらうようにする為であった。
とは言え、この辺りは正直、保険の設定であり、実際、彼女に動いてもらうパターンはあまり無いと考えている。
後はすずかの流用を使いつつ纏めていく。
精液と言う知識……は……もし……無い場合、最悪、すずかさんに仕込んで頂こうと考えていた。
それと、少しだけすずかと違うパターンを仕込んでいる。この辺りは遠距離対応を考慮して入れていた。
そうして、設定を行った後、再度壁の方に隠れて催眠を解除する。
恐らくはまだ意識はまだ曖昧であろうはやてを置き、隠れていたすずかを戻して、はやての部屋に移動させる。
そして自分はこっそりと彼女の家から立ち去るのであった。
__
鼓動が速い。
今はベッドの中に居る。
体温によって温められたフトンを感じながらも、体中を駆け巡る血液はそれよりも熱を発しているようにも感じられた。
ドキドキ
ドキドキドキドキ
鼓動が速い……。
何故だろう。
何故こんなにもドキドキしているんだろう。
そう。友達から改めて
そして写真を再度確認した時に心が締め付けられた。
鏡音奏くん……
その名を思い浮かべた瞬間……心臓が跳ねる。
じわじわと心が暖かくなり、まるで失われた家族と一緒にいるような安心感すら感じさせてくれた。
この心からずっと湧き続ける感情は何だろう。
まだ……
そして……『この人とずっといることが当たり前である』と言う感情が心にずっとよぎっている。
父のような感じでもあり、兄のような感じでもあり、そして恋人……
その単語が出た瞬間……心臓が更に高まる。
顔に熱が集まってくるのが分かる。フトンから出てもその熱は止まることは無さそうな位に膨大な熱が身体を駆け巡るのであった。
男性と呼べる人物と接する機会はほとんど無かった。
父親の友達……今の生活を手助けしてくれるおじさんぐらいだし……それも数えるぐらいである。
なので、私が知っている男性と言うのは、ほぼ『本の世界』であった。
本には様々な人物が登場する。
少年から青年。そして壮年の男性。
それぞれがそれぞれの物語を奏でて、本の世界を盛り上げる。
冒険譚も多く存在して、自由に気ままに風の吹くまま行動が出来ない私にとっては羨ましくも感じられた。
ただ、私も年頃の乙女である。
男女における恋愛話は、とても興味を奪われ、心を震わせてくれた。
想像する。
彼と一緒にいる時を想像する。
「あかん……幸せすぎる」
心が暖かい膜に包まれ、蕩けるような幸せな気持ちが身体を染め上げる。
だけど……鼓動は速く高鳴り、異性と言う存在であることを強く意識づけさせてくれた。
……この感情はなんなんだろう。
彼のために何でもしてあげたい気持ちもあるし、何でもして欲しいという気持ちも湧き出てくる。
ふと『無償の愛』と呼べる単語が頭を過ぎった。
だけれど、感情は『愛』と呼べる感情なのだろうか。
『恋』?
『好き』
この言葉が過ぎった瞬間、身体が震えた。
好きという感情。慎ましやかに言えば『好意』である。
「そっか……私……大好きなんだ……」
言葉にすることで心がハマったように感じられた。
『一目惚れ』
そして頭がようやく事態を認識する。
すると、身体が更に正直に反応を示してくれた。
ドキドキドキドキ
きゅんきゅんとした逸る感情が身体を侵食する。
だけれど、不快ではない。むしろ幸せな感情が頭を駆け巡るのだ。
こういった事象……「一目惚れ」と言う語句は、本で学んでいる。
電流が身体中にピピピ!! っと迸ると言う表現があったのだけれど、私の場合は好きという気持ちが溢れすぎて幸せに溺れると言う状況である。
しかし……実体験してみると激流のようなこの感情の波は、人によっては電流かもしれないと思ってしまうのも納得してしまった。
会って顔をずっとみてみたい。
声を聞いてみたい。
そして……触れてみたい。
ドキッと心臓が跳ねる。
勿論、実際に恋愛したことなんて全く無いので、恋愛に纏わることは話は本でしか知らない。
だから……本の中であった恋愛を想像してしまうのだ。
二人は周りの祝福に彩られながら幸せなキス……口付けを交わす。
そんな子供騙しなものではない。
……サンタさんは実在していても、煙突から入ってくる訳ではない。それは御伽の存在である事実を知っている。
……スイカの種を飲んでもお腹から芽が出てくることなんてない。
そしてっ!!!!
……子供はコウノトリさんが運んでくれる訳ではないんや!!
残念というべきなのだろうか、それとも現実と言う名のリアルを知ってしまっていることを喜ぶべきというのだろうか。
要するに……世継ぎを作るやり方を本で学んでいた。
知りたいと言う知識欲は罪深いものである。
そしてその結果、夢見る
どんなに教育制限をされていても、興味と言う名はそれをぶち破る。
特に私のように親というストッパーが無ければ、それはもう知る機会などは沢山ある。
最初見た時は……色んな意味でショックではあったけれど……今ではある意味感謝したい。
想像は身体を熱くする。
もしも……彼と…………肌を触れ合うとすれば……
「あかん……あかんっ……」
どきどきが止まらない。ロマンティックが溢れる。
恐らくはこれが『好き』と言う感情なのだろう。
溢れ続けて止まらないこの感情。
更に……『家族としての想像』がスパイスとなり、幸せな感情が脳内を浸していく。
そんな感情に支配され……
私は初めてこの日……知識だけ先行しすぎた、己の身体を慰めると言う行為を行う……
そして……
知識だけで先走ると碌なことが無いと言う実体験を学んだのであった。
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